2008年10月11日 (土曜日)

REIT初の破綻 ニューシティ、負債1123億円

 不動産投資信託(REIT)のニューシティ・レジデンス投資法人は9日、東京地裁に民事再生法の適用を申請したと発表した。負債総額は1123億円。米金融不安によるREIT相場の低迷などで資金繰りが悪化し、予定していた大型マンションの購入資金や借入金の返済資金を調達できなかった。上場REITの破綻は初めて。

 ニューシティは賃貸住宅を投資対象とし、首都圏を中心に約100件のマンションなどを保有している。資産規模は約2000億円で、REITでは中堅。不動産関連のニューシティコーポレーション(東京・港)などが設立母体(スポンサー企業)で2004年に東京証券取引所に上場した。

 東証は同日、ニューシティを11月10日付で上場廃止すると発表した。それまでは上場会社と同様に整理銘柄として、投資家が市場で売買することはできる。

(10/10日経新聞)

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大和生命破綻:ハイリスク商品で損失拡大 積極投資たたる

 10日に更生特例法の適用を申請した大和(やまと)生命保険は金融危機で市場の混乱が深刻化する中、高リスクの金融商品への突出した投資が破綻(はたん)に直結した。一方、大和生命の掛け捨て型の死亡保障保険などは保険金の大半が保護される見通し。ただ、貯蓄性の高い年金保険などは保険金の削減割合が高くなる可能性がある。【辻本貴洋、宮島寛】

★人件費重く

 大和生命は08年3月期の総資産が2832億円と国内生保業界33位。経営規模が小さくても、販売手法は大手と同様に営業職員に頼り、人件費負担が重かった。保険金不払い問題もあり、保険料収入も伸び悩んでいた。

 これをカバーするため、高収益が見込める半面、損失の恐れも大きい海外の証券化商品などに積極投資してきた。高リスク金融商品への投資は運用全体の約3割に達し、同業他社の1~2%程度をはるかに上回った。

 だが、昨年夏以降の市場の混乱で海外の証券化商品などの価格が急落し、多額の損失を抱えた。業界では「生保は慎重な運用が必要なのに無理な投資がたたった」との指摘もあるが、中園武雄社長は会見で「リスク管理は適切に行ったが、市場の混乱が想定を超えていた」と強調した。

★年金は大幅減も

 生保業界は共同出資で「生命保険契約者保護機構」を運営しており、破綻生保が出ると、契約者が積み立てた保険金の支払い原資(責任準備金)の総額の原則9割以上を機構が補償する。掛け捨て型の死亡保障保険などは保険金の削減幅が小さい傾向があり、過去の破綻生保では削減率は数%が多かった。

 一方、貯蓄性の高い年金保険や終身保険などは高い利回りを約束した分、保険金の削減幅も大きくなる可能性がある。過去には年金保険で5割削減されたケースもあった。大和生命が契約者に約束している運用利回り(予定利率)は平均3.35%。破綻で引き下げは不可避とみられる。

 大和生命の契約者などは9日までに被保険者が死亡した場合などの保険金は全額受け取れる。10日以降、更生計画が認可されるまでは保険金は9割以上は払われる。更生手続き中は解約や契約内容の変更はできない。大和生命は今後、契約を引き継ぐスポンサー探しを急ぐが、スポンサーが決まらなければ契約者保護機構が引き継ぐ。

(10/10毎日新聞)

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株暴落、日経平均終値8276円…下落率は史上3番目

日経平均急落、終値881円安の8276円 5年4カ月ぶり安値

 10日の東京株式市場は日経平均株価が急落。大引けは前日比881円6銭(9.62%)安の8276円43銭だった。2003年5月28日以来の安値水準まで落ち込み、03年4月に付けたバブル経済崩壊後の安値(7607円)が視野に入った。下落率は過去3番目の大きさ。世界的な金融危機や景気減速に対する警戒感が一段と高まり、朝方からほぼ全面安の展開で、下げ幅は一時1000円を超える場面もあった。後場は三菱商やコマツなどを買い戻す動きも見られたが、みずほFG、新日鉄、トヨタなど主力株は総じて大幅安となった。東証株価指数(TOPIX)も急落。840.86で引け、2003年5月30日以来の安値水準まで下落した。

 日経平均は7日続落し、この間の下げ幅は3091円に達した。9日の米株式市場でゼネラル・モーターズ(GM)が急落したことで金融危機に伴う事業会社の経営に対する警戒感が東京市場でも高まった。

 東証1部の売買代金は概算で2兆6353億円、売買高は同32億7441万株。値下がり銘柄数は1499、値上がりは175、変わらずは40だった。

(10/10日経新聞)

ダウ一時8000ドル割れ 売り買いが交錯

 金融危機が深刻さを増し、株安が止まらない。10日、日経平均株価は一時1000円以上も暴落。米国のダウ工業株平均も一時、8000ドルの大台を割った。世界の株式市場の時価総額は、9月からの1カ月余りで1400兆円も吹き飛んだとみられる。株安が企業や家計をむしばみ、景気を冷やし、さらに株安に跳ね返る悪循環。米ワシントンで開かれる主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は、流れを変えられるのか。

 10日午前(日本時間同日夜)のニューヨーク株式市場は大幅安で始まった。大企業で構成するダウ工業株平均は一時、前日終値より696.68ドル安い7882.51ドルまで値下がりした。取引途中では03年4月初め以来の8000ドル割れ、同年3月以来約5年7カ月ぶりの安値になった。

 ただ、その後買い戻しが入って急速に値を戻し、一時、上げ幅は100ドルを超えた。売り買いが交錯している。ダウ平均は前日まで7営業日続けて下げ、この間の下げ幅は2271.47ドルにもなった。

 これに先だつ東京株式市場の日経平均は10日、03年6月以来約5年4カ月ぶりに9000円を割り込んだ。一時、前日比1042円安まで売り込まれ、終値は881円06銭安い8276円43銭。下落率は53年3月のスターリン暴落に次ぐ史上3位の9.62%だった。下落は7営業日連続で、下げ幅は計3091円。

 東京証券取引所第1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)は64.25ポイント低い840.86と、03年5月の水準まで下落した。出来高は32億7千万株。

 前日の上場不動産投資信託に続き、この日の大和(やまと)生命保険の経営破綻(はたん)で、国内の金融システムへの不安も高まり、売り注文が殺到した。アジア新興国市場の株価指数も軒並み下落。欧州市場の株価指数も急落しており、英国、ドイツ、フランスはいずれも一時マイナス10%超となった。

 世界の株式市場は、6日に米国株価が一時史上最大の800ドルも下落し、7日は東京市場で4年10カ月ぶりに1万円割れ。米自動車大手ゼネラル・モーターズの経営危機が表面化した9日、米市場が急落。東京での暴落につながった。市場関係者は「まるで暗黒の1週間だ」とつぶやく。

 米証券大手が破綻した「リーマン・ショック」が起きた9月から1カ月余りの間に主要市場の下落率は日本が36%を記録。米国が25%、英国が23%、中国・上海が16%に達する。大和総研の試算では、世界の株式市場の時価総額は8月末の約49兆ドルから、9日時点で28%減の約35兆ドルに。日本の国内総生産(500兆円強)の3倍近い14兆ドル(約1400兆円)が失われた。

 ドルやユーロの信用は揺らぎ、東京外国為替市場では円が急伸。10日、一時1ドル=97円91銭を付け、約7カ月ぶりの円高水準に。対ユーロでも午後5時時点で前日比3円98銭高い1ユーロ=134円96銭~135円00銭まで買われた。

 野村証券金融経済研究所によると、上場企業約2300社(金融除く)の保有株式の含み益は3月末の13.3兆円から、10日には3分の1程度の4.2兆円にまで減った。

 また大和総研の試算では、9月末に1477兆円あった家計の金融資産は、投資信託の損失拡大などで10日までに28.8兆円も目減りした。

 投資家の資金は比較的リスクが低い債券市場からも流出。長期金利の指標である新発10年物国債の流通利回りは10日、一時、前日比0.11%幅高い年1.580%まで上昇(債券価格は下落)。市場から逃げ出した資金の多くは、現金として投資家の手元にとどまっている模様だ。

(10/10朝日新聞)

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2008年9月18日 (木曜日)

米、株空売り規制強化

SEC 対象を全銘柄に拡大

 米証券取引委員会(SEC)は17日、株式を保有せずに売り注文を出す「空売り」に対する規制を強化し、対象をすべての上場銘柄に広げると発表した。

 SECは今年7月、政府系住宅金融2社の株価が急落した際、邦銀を含めた計19の金融株を対象に、一時的に規制を導入した。今回は全銘柄に拡大し、18日から適用する。

 空売りは、株券を借り受けるなどして売り注文を出し、株価下落局面で利益を得る手法。ただ、株券の受け渡しをせずに空売りするケースもある。今回の規制では、空売りした株式を決済日までに受け渡すことを義務づける。

 SECのコックス委員長は、「違法な相場操縦をやめさせる」との声明を発表した。

(09/18読売新聞)

 また、コックス委員長は、ヘッジファンドや大口投資家に株の売り状況の開示義務付けを検討する方針を示した。

 一方、米財務省は17日、米国債を臨時発行し、米連邦準備制度理事会(FRB)の資金供給を支援すると発表した。FRBは市場に供給する資金を確保するため、米国債を金融機関に貸し出しており、保有する米国債が減少し、財務が悪化する懸念が指摘されていた。

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モルガン・スタンレー、ワコビアと合併協議

 ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米証券大手のモルガン・スタンレー(NYSE:MS)は、米銀大手ワコビア(NYSE:WB)のほか、少なくとも別の1行との間で合併に向けた予備的な協議を行った。事情に詳しい筋が明らかにした。

 急落する自社の株価を支えるための策を検討しているモルガンは、同社株の下落を見込んだ空売りを抑制するため、規制当局および大規模な年金基金にも接触した。

 過去数日での株価急落を受け、モルガンの時価総額がワコビアをやや上回る程度の水準に落ち込んだことから、最も可能性が高いのは対等合併。ワコビアも、2006年に買収したカリフォルニア州の住宅金融会社ゴールデン・ウェスト・ファイナンシャルなどで、住宅ローン市場の混乱から打撃を受けている。

 モルガンは17日、急落する株価を支えるためにあらゆる措置を講じる、とした。

 広報担当者は「当社で最も優れた人々が解決策に注力している」と語った。合併の可能性に関する協議について質問されると、コメントを避けた。

 同社は、当面は資金調達を必要としないため独立を維持できる、との見方を示してきた。その一方で、投資銀行への信頼は、急速に薄れる可能性のある、何としても維持しなければならない貴重な財産であることも認識している。

 モルガンのジョン・マック最高経営責任者(CEO)はこの日、ポールソン米財務長官とコックス米証券取引委員会(SEC)委員長、米ゴールドマン・サックス・グループ(NYSE:GS)のロイド・ブランクファインCEOに電話をかけ、両社の株価の急降下に歯止めをかける方法を話し合った。

 事情筋によると、そのなかで合併は協議されず、議論はゴールドマンとモルガンの株価下落に賭けた空売りをどう抑制するか、という点に集中したという。

 モルガンの同日終値は、前日比6.95ドル(24.22%)安の21.75ドル。ゴールドマンも同18.51ドル(13.92%)安の114.50ドルで取引を終了した。

(09/18日経ネット)

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日銀、ドル供給を実施へ 米金融不安受け

 日本銀行は18日、緊急の金融政策決定会合を開き、金融機関の間で取引する短期金融市場に米ドルを供給する方針を決めた。同日から実施する。サブプライムローン問題の傷が比較的浅い日本の市場を通じ、世界の金融機関に対する大規模な資金供給に乗り出すことになった。リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)を引き金とする金融不安を受けて、欧米の金融機関の間で資金調達が難しくなっていることに対応する、極めて異例の措置だ。

 日銀は米ニューヨーク地区連邦準備銀行との間で円とドルを交換するスワップ取引をしてドル資金を確保し、日本市場で貸し付ける。スワップの期限は09年1月30日までとし、スワップの限度額は600億ドル(約6兆2千億円)。

(09/18朝日新聞)

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2008年9月16日 (火曜日)

日経平均大幅反落、終値605円安の1万1609円 3年ぶりの安値

 16日の東京株式市場で日経平均株価は大幅反落。終値は前週末比605円4銭(4.95%)安の1万1609円72銭と、今年5番目の下げ幅。3月17日以来、5カ月ぶりに年初来安値を更新し、2005年7月8日(1万1565円)以来、約3年2カ月ぶりの安値水準となった。米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻やアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の信用格付けの引き下げなど米国発の金融システム不安が嫌気され銀行や保険など金融株が大幅下落。金融不安によるドル安や米景気への影響を懸念して自動車や電気機器など輸出関連の国際優良株が売られた。また、米金融不安は原油などの国際商品から安全な資産への資金シフトを招き商品相場が下落、商社や資源関連の売りにつながった。東証株価指数(TOPIX)も大幅反落。下げ幅は59ポイントと、今年3番目の大きさだった。
 東証1部の売買代金は概算で2兆6050億円で株価指数先物・オプションの特別清算指数(SQ)算出日を除くと6月5日の2兆6252億円以来の高水準。売買高は26億639万株。

(09/16日本経済新聞)

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大幅反落 米金融不安で全面安、3年ぶり安値水準

 16日午前の東京株式市場はほぼ全面安となり、日経平均株価は大幅反落した。前引けは前週末比618円67銭(5.06%)安の1万1596円9銭と、前場の安値で終え、3月17日の年初来安値を下回った。取引時間中としては2005年7月8日以来、約3年2カ月ぶりの安値水準。米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻をきっかけに、米金融システムへの警戒感が広がった。東京市場が休みだった15日の欧米株式相場が大幅下落した流れを引き継いだ。銀行や保険といった金融株が軒並み大幅下落したほか、円相場が1ドル=104円台前半まで上昇したことや米経済の先行きへの懸念から輸出関連銘柄も売りが膨らんだ。東証株価指数(TOPIX)も大幅反落。下落幅は60ポイントを超えた。
 前引け時点の東証一部の売買代金は概算で1兆1495億円、売買高が11億4907万株。値下がり銘柄数は1583、値上がり銘柄数が104、変わらずが24銘柄。業種別TOPIXは「保険業」「鉱業」など33業種すべて下落した。

(09/16日本経済新聞)

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金融庁がリーマン日本法人に業務停止命令、支払い不能のおそれで

 金融庁は15日夜、米リーマン・ブラザーズ・ホールディングス(LEH.N: 株価, 企業情報, レポート)が連邦破産法の適用を申請したのを受けて、日本法人のリーマン・ブラザーズ証券(リーマン日本法人)に対し、業務停止命令を出したと発表した。

 15日から26日までの12日間、すでに結んだ契約の履行や顧客の預かり資産の返還などを除く業務の停止を命じた。リーマン日本法人に命じた報告の結果、親会社の経営破たんによって長期的に支払い不能に陥る恐れがあるとの回答を受けたため。

 金融庁は同日夕、リーマンの経営破たんで、日本の投資家の利益が害される事態が生じない措置を講じる必要があると判断し、リーマン日本法人に資産の国内保有命令と業務改善命令を出した。さらに金融庁は同日夜までに日本法人に命じた報告で、同社の支払い不能のおそれがあることを確認し、業務停止命令に踏み切った。

 リーマン日本法人に対する業務停止命令は26日までとしているが、金融庁は引き続き、支払い不能のおそれがあると認められた場合には、業務停止の期間を延長することも検討する見通し。

 資産の国内保有命令は、米親会社の経営破たんで日本法人の資産が海外の関連会社などに流出するのを防ぐため、リーマン日本法人の海外向けの債務を除く資産を日本国内に置いて保有するよう命じた。

 また、業務改善命令は、金商法51条の規定に基づき発動。法令違反がない場合でも、投資家保護のために必要と判断すれば発動される改善命令で、金融庁はリーマン日本法人に対し、1)投資家の資産の正確な把握、2)顧客資産の保全、3)投資家保護に万全の措置、4)投資家の資産保全の周知徹底――の措置を命じた。

(09/16ロイター)

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リーマン破たんによる金融市場への影響軽減に尽力=米大統領

 ブッシュ米大統領は15日、政府がリーマン・ブラザーズ(LEH.N: 株価, 企業情報, レポート)破たんに伴う金融市場への影響を軽減することに尽力していると述べた。その上で、資本市場が底堅いと楽観的な見方も示した。

 大統領は記者団に対し「混乱を軽減し、これら金融市場動向による経済全般への影響を最小限に抑えるよう取り組んでいる」と語った。

 「短期的には金融市場の調整は痛みを伴うものとなるだろう。長期的には、米資本市場が柔軟で底堅く、これらの調整に対処できると自信を持っている」と述べた。

(09/16ロイター)

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NY円、急反発 104円60―70銭、リーマン破綻で3円30銭円高

15日のニューヨーク外国為替市場で円相場は急反発。前週末比3円30銭円高・ドル安の1ドル=104円60―70銭で取引を終えた。米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻などを受け、市場参加者のリスク回避目的の円買いが優勢となった。東京市場が休場だったうえ、米欧市場でも薄商いだったため、値動きが荒くかった。
 15日未明にリーマンが連邦破産法11条の適用を申請し破綻した。バンク・オブ・アメリカはメリルリンチを買収することで合意。保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)も米連邦準備理事会(FRB)につなぎ融資を申請したと報じられ、金融システム不安が高まっている。リスク回避目的から幅広い通貨に対して円は買われ、早朝に104円53銭と7月16日以来の高値を付けた。
 14日夜にはFRBが市場への資金供給制度拡充策として、金融機関から受け取る担保の拡大などを発表。またシティグループなど大手金融機関10社は金融市場の混乱に備え、各社が利用できるよう、共同で計700億ドルのファンドを設立すると発表した。あす16日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測も出始めた。投資家のリスク回避姿勢が高まり市場参加者が少なくなっていることもあり、早朝に約2カ月ぶりの高値を付けた後は106円40銭まで伸び悩む場面があった。
 ただ取引終了にかけてダウ工業株30種平均500ドル安と下げ幅を広げると、円は再び値を切り上げた。
 円は対ユーロで急反発。前週末比4円40銭円高・ユーロ安の1ユーロ=149円05―15銭で取引を終えた。対ユーロでもリスク回避傾向による円買いが優勢だった。
 ユーロは対ドルで3日続伸。1ユーロ=1.42ドル台前半から1.42ドル台半ばに水準を切り上げた。アジア市場の時間帯に1.44ドル台後半まで買われる場面があったが、ニューヨーク市場では伸び悩んだ。対円でユーロが売られたため、対ドルでも値が重くなった。米株が引け間際に大きく下げると、ユーロ買い・ドル売りが出た。ニューヨーク市場でのユーロの高値は1.4323ドル。安値は1.4117ドルだった。

(09/16日本経済新聞)

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2008年9月15日 (月曜日)

【米金融危機】「流血の日曜日」 リーマン連邦破産法申請へ~2

 株主総会や独禁当局の承認を得て、2009年1~3月期までに統合を完了する予定。統合後のバンカメの資産規模は約2・5兆ドル(約260兆円)となり、シティグループを抜いて全米最大の金融機関となる見込み。
 バンカメのケネス・ルイス会長兼最高経営責任者(CEO)は「相乗効果により企業価値が高まる」とのコメントを発表。幅広い顧客層をもち個人取引に強いバンカメと、企業取引や富裕層に基盤をもつメリルの組み合わせが、より強みを発揮できると強調した。
 米金融業界では今年3月、5位のベアー・スターンズが米銀3位のJPモルガンチェースに救済合併されるなど、サブプライム問題に伴う巨額損失を抱えた大手金融機関への信用不安に発展した。
 傷みが激しい金融機関は資産売却や人員整理に加え、自力で巨額の増資を募るなどリストラに奔走している。この日はまた、保険最大手のAIGもFRBに巨額のつなぎ融資を要請していたと米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が報じるなど、危機の連鎖に歯止めがかからない状態だ。
 リーマン・ブラザーズ 米証券4位。リーマン3兄弟が1850年に創業。本社はニューヨーク。ニューヨーク、ロンドン、東京を3大拠点と位置付け、20数カ国に展開。東京支店は1986年に開設。従業員は世界で約2万5千人。2008年6~8月期決算見通しは最終損失が39億2700万ドル。赤字は2四半期連続で、1994年の株式上場以来最大。

(09/15産経ニュース)

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【米金融危機】「流血の日曜日」 リーマン連邦破産法申請へ~1

 経営危機に陥っていた米証券4位のリーマン・ブラザーズは15日、連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請すると発表した。一方、リーマン救済を模索した米銀2位のバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)は同日、証券3位のメリルリンチを500億ドル(約5・3兆円)で買収すると発表した。さらに、米保険首位のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)も経営不安が拡大、米連邦準備制度理事会(FRB)に400億ドル(約4・2兆円)の短期融資を要請したことが表面化した。サブプライムローン問題に端を発した米金融市場の動揺は、大手金融機関の連鎖不安に発展して金融危機の様相を帯びており、米メディアは「流血の日曜日」と報じた。
 リーマンをめぐる救済策は、金融当局と民間金融機関がニューヨーク連銀で12日夜から協議を続けた。民間側は将来の損失回避に政府の支援を求めて交渉は難航。最後はバンカメと英銀大手バークレイズによる買収が検討されたが、米政府は公的資金注入を拒否して頓挫した。
 一方、バンカメは、サブプライム問題の関連損失で経営不安が続くメリル救済の交渉の鉾先を変え、金融市場の混乱回避のため救済合併で合意した。証券大手の危機がリーマンからメリルに及ぶのを抑えたい意向から、金融当局が後押しに動いたとの見方もある。

(09/16産経ニュース)

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2008年8月15日 (金曜日)

大学発ベンチャー苦戦、平均赤字5100万円…経産省調査

 大学の研究成果を基に起業したベンチャー企業の多くが、経営を軌道に乗せるのに苦しんでいる実態が、経済産業省の調査で14日明らかになった。


 2007年度の営業利益は平均5100万円の赤字で、06年度に比べ赤字幅が400万円も広がった。

 大学発のベンチャー企業の3割を占める情報技術(IT)ソフト系などは赤字額が減少した反面、全体の4割を占めて最も多いバイオ系の赤字額が増加した。経産省は課題として、企業経営に携わった経験に乏しい研究者が経営者になるケースが多いことを踏まえ、「人材確保」「資金調達」「販路開拓」の3点を指摘している。

 一方、07年度末時点の大学発ベンチャー数は、06年度に比べ94社多い1773社となった。少子化の影響で入学者数が減少する中で、ベンチャーを設立することで特色をアピールする狙いがあるようだ。

(08/15読売新聞)

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2008年8月 9日 (土曜日)

NY円下落、7か月ぶり110円台…ドル高で原油は急落

 8日のニューヨーク外国為替市場は、日本や欧州の景気の先行き不安からドル高が進み、円相場は約7か月ぶりに1ドル=110円台まで下落した。


 一方、原油先物相場はドル高の進行で売りが加速し、一時、1バレル=114ドル台まで急落。これを好感した株式市場では、ダウ平均株価(30種)が大幅に上昇した。

 円相場は午後5時(日本時間9日午前6時)、前日比73銭円安・ドル高の1ドル=110円12~22銭で大方の取引を終えた。一時、1ドル=110円37銭まで下落する局面もあった。

 ドルはユーロに対しても買われ、一時、1ユーロ=1・4997ドルと約5か月半ぶりの高値を付けた。

 一方、ドル建てで取引される原油先物市場は、ドルの上昇で円やユーロから見た割高感が強まり、大幅に反落した。

 指標となるテキサス産軽質油(WTI)の価格は、前日比4・82ドル安の1バレル=115・20ドルと約3か月ぶりの安値で取引を終えた。その後の時間外取引では、1バレル=114・62ドルまで値下がりした。

 株式市場は原油価格の下落で買いが優勢となり、ダウ平均株価は前日比302・89ドル高の1万1734・32ドルと、約1か月半ぶりの高値で取引を終えた。

 上げ幅は今年5番目の大きさだった。

(08/09読売新聞)

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2008年8月 8日 (金曜日)

米原油先物が117ドル台に下落、トルコのパイプライン早期再開観測で

 米原油先物は、欧州時間8日朝(日本時間同夕方)の取引で下落。1バレル=118ドルを割り込んだ。爆発で火災を起こしているトルコの石油パイプラインが、一部で予想されていたより早く送油が再開される可能性がでてきたため。

 アゼルバイジャンからトルコにつながるバクー・トビリシ・ジェイハン(BTC)石油パイプラインの火災について、トルコのエネルギー省筋はロイターに8日あるいは9日に鎮火するとの見通しを示した。それまで送油再開には1─2週間かかると予想されていた。

 米原油先物9月限は0907GMT(日本時間午後6時07分)までに2.06ドル安の117.96ドルをつけた。

(08/08ロイター)

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2008年8月 7日 (木曜日)

NTTが大幅反落――4―6月期決算に厳しい見方

 大幅に反落。一時は前日比3万9000円(6.91%)安の52万5000円に下落した。6日大引け後に発表した2008年4―6月期連結決算(米国会計基準)で営業利益は前年同期比24%増の3720億円となったが、固定通信事業の苦戦などから決算に対する厳しい見方が多く株価下落につながっている。中核子会社のNTTドコモが携帯電話端末の割賦販売拡大に伴うコスト減で大幅増益となりグループ全体の利益を押し上げたが、市場には「NTT東日本と同西日本は大幅減益になっており、光回線の普及スピードが鈍っていることも懸念材料」(東海東京調査センターの角田佑介アナリスト)との指摘があった。

(08/07日経ネット)

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2008年8月 5日 (火曜日)

サントリー、過去最高益 6月中間決算

 サントリーが4日発表した08年6月連結中間決算は、売上高が前年同期比2.4%増の7238億円で過去最高だった。本業のもうけを示す営業利益は309億円で同21.6%増。高級ビール「ザ・プレミアム・モルツ」を中心に売上高が増え、販売促進費用を抑えたことが功を奏した。

 経常利益は同13.9%増の304億円で過去最高。当期利益は同60.8%増の113億円だった。

 ビール事業は、前年同期比9%増の2778万ケース(1ケースは大瓶20本分)を販売。ザ・プレミアム・モルツが同20%増の481万ケースと販売を伸ばしたほか、金麦などの第三のビールも3割を超える販売増を記録した。

 ビール事業の販売促進費は、店頭での費用や小売店への特売奨励金を見直したりして15%削減した。ただ、ビール事業の黒字化は実現しなかった。原料高によるコスト増や9月に実施する家庭用缶ビールの値上げの影響など不透明な面もあるが、通期では黒字化を狙うという。

(08/04朝日新聞)

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2008年8月 1日 (金曜日)

ソニーショック再来か!?純利益47%の大幅減

86%増の松下電器と対照的

ソニーショックの再来か――。

 29日発表されたソニーの2008年4―6月期連結決算が、あまりにも厳しかったため、市場関係者らが気を揉んでいる。
 売上高こそ前年同期比0.1%増の1兆9790億円だったが、営業利益は734億3900万円と39.5%減、純利益は349億7700万円、47.4%の大幅減となったのだ。09年3月期予想も下方修正に追い込まれた。
 5月に発表した08年3月期決算が過去最高ラッシュだったのに比べ、あまりの落差にボー然だ。
「エレクトロニクス部門や携帯合弁会社の採算悪化が響いた。注目はエレクトロニクス。液晶テレビは、販売台数大幅増で損益が改善したものの、コンパクトデジカメやビデオカメラ、PCは競争激化による価格下落で減益となったのです」(電機業界関係者)
 しかし、同じ状況にあるのに、松下電器は営業利益48.2%増(1095億円)、純利益は85.7%(730億円)の大幅増だった。あまりにも対照的だ。
「松下の場合、薄型TVやデジカメが大きく売り上げを伸ばしたうえ、コスト合理化努力が実を結んだ。一方、液晶パネルを他社に頼るソニーはコストダウンに限界がある。また、北米市場をはじめ海外依存比率が高く、サブプラ問題の影響を受けた面も大きいのではないか」(経済ジャーナリストの重道武司氏)
 大根田伸行最高財務責任者は「テレビはある程度伸びが期待できるが、全体ではやはり景気動向に引っ張られる」と先行きに慎重なコメントを出していた。
 3月期決算発表直後に5270円をつけた株価も、29日の終値は4210円とさえない。北米市場の景気失速が顕著になるなか、ソニーの前途は厳しいものになりそうだ。

(07/30日刊ゲンダイ)

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2008年7月29日 (火曜日)

ガソリン価格:8月は180円台後半へ 元売り値上げで

 石油元売り最大手の新日本石油は29日、原油の調達コストが増加したとして、8月のガソリン卸値を1リットル当たり5.1円引き上げると発表した。昭和シェル石油も6.5円、ジャパンエナジーも6円値上げする方針。8月のレギュラーガソリンの小売価格(全国平均)は1リットル=180円台後半に達する公算が大きい。

 米国の原油先物相場は7月中旬まで高騰が続き1バレル=140ドル台の高水準だったが、その後120ドル台まで値下がりした。ただ、新日石は6月26日~7月25日の1カ月間の調達コストが前月を上回ったため、5.1円の値上げになった。

 月2回料金改定している出光興産は、すでに6月26日~7月9日の高値の原油価格を反映させて7月後半の価格を4.4円上げた。その後の原油下落で8月からは3.2円引き下げる予定で、1カ月前と比べた値上げ幅は1.2円と新日石などに比べ小さくなる。だが「ガソリンスタンドは競合店の動向を見て小売価格を決めるため、各店舗の値上げ幅に大きな差は出ない」(元売り大手)見通しだ。

 石油情報センターによると、22日現在のレギュラーガソリンの小売価格(全国平均)は1リットル=180.9円だった。

(07/29毎日新聞)

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2008年7月26日 (土曜日)

ヤフーの第1四半期決算、増収増益も景気減速感からやや伸び悩み

 ヤフーは25日、2008年度第1四半期(4月~6月)の連結決算を発表した。売上高は655億円、営業利益は328億円(前年同期比10.9%増)、経常利益は324億円(同13.6%増)、四半期純利益は191億円(同18.2%増)。売上高については今期から計上方式を変更しているため直接の比較はできないが、前年度と同じ方式で比較した場合には27.9%の増加となり、増収増益の決算となった。

 事業別の売上高は、広告事業が336億円、ビジネスサービス事業が140億円、パーソナルサービス事業が178億円。広告事業については、オーバーチュアの子会社化やヤフーグループ以外の媒体での広告採用が増加したことから、前年同期比で売上が増加。ただし、当初の予想以上に景気停滞感が強く、見通しに比べると売上は伸び悩んだとしている。

 ビジネスサービス事業も同様に、景気全般の減速感に伴い求人関係の売上が減少。一方、不動産関連やショッピング関連などでは売上を伸ばしたという。パーソナルサービス事業では、Yahoo!オークションの利用料収入が微減したが、有料会員サービスのYahoo!プレミアムは会員数が700万IDを突破するなど順調に推移したとしている。

 第2四半期の見通しは、売上高が653億~686億円、営業利益が319億~338億円、経常利益が315.5億~334.5億円、四半期純利益が184億~195.5億円。景気の状況などから厳しい環境が当面続くと見ており、第1四半期からほぼ横這いの金額となっている。

 ヤフーの井上雅博社長兼CEOは投資家向けの説明会で、新たな事業展開の中では、ユーザーの興味や関心に沿った広告を表示する「インタレストマッチ」に期待していると説明。インタレストマッチは、ユーザーの行動履歴などから興味や関心に沿った広告をWebページ中に表示する仕組みで、将来的には検索連動型広告と同程度の市場規模に成長することが期待できるとした。インタレストマッチの展開は2008年秋からの予定で、市場の拡大ペースについては「検索連動広告が現在の規模になるには4年ほどかかったが、それよりは速いのではないか」という見通しを示した。

 決算資料の中では、各事業分野でモバイル向けサービスの売上が伸びているとされており、具体的にはどの程度の規模かという質問に対しては、「伸び率は3~4割と大きいが、金額面ではPC向けサービスと比べるとまだケタが違う」と説明。また、米Yahoo!が投資家のCarl Icahn氏との間で和解が成立したことについては、「とりあえずよかったね、というのが感想」とだけコメントした。

(07/25ImpressWatch)

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2007年10月27日 (土曜日)

証券優遇税制、延長強まる 自民税調、株価を懸念

 株取引にかかる税負担を減らす証券優遇税制について、自民党税制調査会のなかに延長論が強まっている。津島雄二会長ら幹部による最近の非公式会合で、軽減税率が期限切れとなる08年度末以降も優遇を続ける方向で検討するべきだとの意見が多数を占めた。ただ、証券税制には「金持ち優遇」との批判があり、与党の公明党にも廃止論が根強い。年末の税制改正に向けた与党内の調整は難航も予想される。

 証券優遇税制は、上場株式や株式投資信託の売却益や配当、分配金にかかる税率を本来の20%から10%に下げるもの。株価が低迷していた03年、市場てこ入れのための時限措置として導入された。軽減税率の期限は売却益が08年末、配当・分配金は09年3月末。金融庁や証券業界は継続を要望し、08年度税制改正の主要テーマの一つだ。

 もともとの期限はその1年前だったが、昨年末に自民党内で株価への悪影響を懸念する声が強まり、1年延長を決めた経緯がある。

 今回の延長論の背景にあるのは、米国の低所得者向け(サブプライム)住宅ローンの焦げ付き増を発端にした世界の株式市場の不安定化だ。自民党内では「優遇の廃止を決めた場合、日本の株式市場にどんな影響が出るのか見えない」(税調幹部)との声がある。

 証券税制をめぐっては、株や投信など異なる金融商品同士で損益を合算して税負担を軽くできる仕組みの拡大も、政府・与党内で検討されている。自民党税調には、これを可能にする情報システムなどの環境が整うまで、軽減税率を続ける案も浮上しているという。

 ただ、継続のハードルは昨年以上に高い。減税の恩恵が富裕層に集中するため、「格差拡大につながる」との指摘があり、参院第1党の民主党など野党は廃止を主張しているからだ。政府税制調査会も11月末にまとめる答申に廃止を盛り込む方針を固めている。

 昨年末、延長に慎重論を唱えた公明党が、今年さらに難色を示すのも必至。自民党税調の議論は11月後半に本格化するが、最終的な判断は、公明、民主両党の出方などに左右されそうだ。

(10/27朝日新聞ニュース)

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2007年10月18日 (木曜日)

野村、世界に先駆け実現損―サブプライムに終結宣言

 野村ホールディングスの社内がにわかに騒がしくなったのは、先週末のことだった。予定していた二〇〇七年七―九月期の決算発表は二十五日と十日以上も先。だが米住宅ローン担保証券(RMBS)事業に絡む「サブプライム損失」の数字が見えてきたのだ。週明け十五日に古賀信行社長など三首脳は臨時取締役会を開くことを決め、社外取締役にそっと招集をかけた。
 そして十五日午後に突如開いた緊急会見。「今回はおれが説明する」と、会見場に姿を現した古賀社長はいつになく緊張しているように見えた。決算は最高財務責任者(CFO)が説明するのが野村の慣例。例年決まった時期に開く経営方針説明会を除けば、古賀社長が会見に登場するのは〇三年三月の社長就任会見以来だった。
□ ■ □
 「大変残念な結果になった」。古賀社長が口にした損失の数字は、七―九月期で新たに七百三十億円。すでに計上した一―六月分を加えると、総額で千四百五十六億円に達した。確かに社長が自ら記者の前に出て説明しなければとても収まりが付かないほど、野村のサブプライム損失はあまりにも巨額だった。
 野村が今回問題となった米国のRMBS事業に参入したのは、決して早くない。信用力の高い住宅ローンの証券化を始めたのが〇二年。サブプライムローンにいたっては〇五年に入ってからだ。昨年の米RMBSの引受金額を見ると、野村は六十億ドル強で十七位。市場シェアは〇・七%という後発の業者だった。
 野村のRMBSのポジションは、トップシェアを争うベアー・スターンズやリーマン・ブラザーズと比べると、十五分の一以下にすぎない。半面、ベアーやリーマンがすでに公表したサブプライム損失は一千億円前後にとどまる。とすると、展開していた事業規模から見て、野村の今回の損失は過大な規模に膨らんだように映る。
 だが、今回の野村の巨額損失を海外の投資銀行と比べる場合、より精ちな議論をする必要がある。野村が今回計上したサブプライム損失は、多くの欧米金融機関が公表したものとは損失の「質」がかなり異なるのだ。
 欧米金融機関の多くが公表した損失は、あくまで現時点で発生が見込まれる損失。サブプライムのように市場が「消滅」してしまった商品の評価は、自社のモデルに従って計算した理論価格と簿価との差額を、損失として公表せざるを得ない。
□ ■ □
 半面、野村の場合は正真正銘の損失。つまりすでにポジションの大半を整理することで発生した「実現損」だ。サブプライムのように流動性が極端に枯渇している商品については、「評価損」と「実現損」の差は大きくなる。
 野村は七月にRMBS事業から撤退することを決め、八月下旬に保有する住宅ローンやその証券化商品をまとめて売りに出した。同業他社やヘッジファンドなどのプロにポジションの引き取りを依頼したため、当然ながら「買いたたかれた」(野村幹部)。結果、出てきたサブプライムの「真の損失」が千四百億円強というわけだ。
 市場の情勢をにらみながら、だましだましでRMBSから撤退する方法もあった。今後市況が回復すれば、売り急ぐよりも損失が縮まる可能性もある。だが野村はそうはしなかった。なぜか。野村首脳の一人は「この判断が拙速だったかどうかはこの後の歴史が判断すること。今は将来性のない事業からきれいさっぱりと撤退し、次の挑戦に移りたかった」と話す。
 振り返ると、野村が初めてサブプライムの「評価損」の数値を公表したのが七月。世界の主要金融機関では最も早かった。そして今回は世界で最も早い「実現損」の公表。金額の大きさに対する批判は決して免れないが、野村は欧米金融機関に先んじて自らのサブプライム問題に「終結宣言」を出したわけだ。
 四月、部店長会議から名称を変更した「グループ・マネージャーズ・ミーティング」。壇上に立った稲野和利副社長は、前回の不祥事からの「野村の十年」を総括。その中で今後も変えてはならない野村の遺伝子は「失敗を恐れずに挑戦すること」と語った。
 言葉を変えれば、リスクから逃れずに新たなビジネスに挑み続ける精神ということだろう。「リスク」という言葉の語源は、「リズィカーレ」というイタリア語。「勇気を持って試みる」という意味だ。サブプライム問題を越え、野村が次の挑戦に向けて一歩を踏み出した。

(10/18日経金融新聞)

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2007年10月16日 (火曜日)

株、足元は模様眺めも年末上向き・宅森氏――中間決算や米商戦で

 宅森昭吉・三井住友アセットマネジメントチーフエコノミスト 16日の株式市場では、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に起因した金融機関の損失発生が重しになり、ひところの懸念が再燃した格好で幅広い銘柄が売られた。もっとも、損失を発表した野村は下げ渋ったほか、そもそも10月は例年、米系ファンドの決算対策売りなどの需給要因で下げやすい時期でもあり、きょうの下げは比較的冷静に受け止めて良いだろう。
 サブプライム問題だけでなく、原油高や盛り上がらない国内消費など懸念材料は残っており、10月の株式相場は模様眺め気分の強い展開が続くかもしれない。ただ、鉱工業生産や雇用統計といった米経済指標はおおむね堅調に推移しているとあって、11月あたりからは米クリスマス商戦や国内企業の良好な9月中間決算などを手掛かりに、国内外の株式相場は再び上向く可能性が高いと考えている。
 米大リーグでは消費拡大につながるニューヨーク・ヤンキースの優勝に期待していたが、既に敗退した。一方、国内のプロ野球では日本シリーズへの出場権をかけた決定戦が行われている。百貨店の優勝セールなど消費の喚起が見込まれる、巨人の優勝に期待したいところだ。

(10/16日経ニュース)

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株、これ以上下げず・モルガンの神山氏――今週は米国の影響出やすい

 神山直樹・モルガン・スタンレー証券ストラテジスト 16日午前の東京株式市場で日経平均株価が反落した。一時は下げ幅が200円を超えたが、これ以上、下値を模索する展開にはならないとみている。銀行株の下落は信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題への懸念もさることながら、売られすぎた株を買い戻す「リターン・リバーサル」で直近上昇してきたことに対する戻り待ちの売りが出やすい地合いにあったためと考えている。米国でもサブプライムローン問題で住宅ローン担保証券(RMBS)を保有する運用会社を救う動きが出てきたので、今後はこの問題で大きく動くことはないとみている。
 今週は米主要企業の四半期決算や経済指標の発表が相次ぐので、どうしても米株式市場の影響を受けやすい。その後は国内企業の中間決算が材料視される。もっとも、日経平均が1万7000円を割る理由は見つからず、発表が一巡した段階では現状の水準よりも上がって1万7500円以上で推移している可能性がある。ただ今後1万8000円まで上昇するには個人消費の回復が確認できることが条件になるだろう。

(10/16日経ニュース)

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2007年10月13日 (土曜日)

松井証券、モバイル取引キャンペーン「秋の陣」を実施

 松井証券は、モバイル取引キャンペーン「秋の陣」を、平成19年10月15日から実施することといたします。

 松井証券では、平成19年9月に株式取引を行ったお客様のうち約20%(*1)が携帯電話を利用しており、持ち運び可能な携帯電話は株式取引において重要なツールの一つとなっていると言えます。
 当社では、携帯電話を利用した株式取引の利便性向上のため、株価の自動更新、複数気配情報画面からの発注など、PC向けリアルタイム・トレーディングツール「ネットストックハイスピード」が備える高機能を携帯電話で実現するツール「ハイスピードα」の導入を進めてまいりました。平成18年10月に「iアプリ」、本年8月に「S!アプリ」、そして同9月には「EZアプリ」向けに携帯電話向けツール「ハイスピードα」を導入し、多数のお客様にご利用いただける環境を整えております。
 この度、さらに多くの方に携帯電話を使った取引をお試しいただきたく、本キャンペーンを実施することといたしました。

【キャンペーンの概要】 http://www.matsui.co.jp/event/busyo/
 ※QRコードは関連資料をご参照下さい。
 ※電話のバーコードリーダーで読み取るだけで、携帯キャンペーンサイトにアクセスできます。


■口座を開設したお客様に
 口座を開設した方全員に、オリジナル携帯電話用組立て式スタンドをプレゼント
  >対象期間 平成19年10月15日(月)~11月30日(金)


■携帯電話から取引したお客様に
(1)「ハイスピードα」経由(*2)の取引は、手数料の半額をキャッシュバック(*3)
(2)携帯電話経由で手数料315円(税込)以上の取引(*4)をした方の中から、抽選で500名様に(*5)オリジナル携帯電話充電器をプレゼント
  >対象期間平成19年11月1日(木)~11月30日(金)
  ※オリジナル携帯電話充電器の画像は関連資料をご参照下さい。

*1 平成19年9月の約定人数ベースの比率。
*2 ハイスピードαの対応機種は当社指定の機種となります。
   詳細は下記をご覧ください。自動更新設定にした場合、料金プランによりパケット料金が高額となる場合があります。パケット定額プランを強くお勧めします。
*3 手数料のキャッシュバックは、平成19年12月上旬頃、お客様のネットストック口座に入金予定です。
*4 キャンペーンの対象は「株式取引」のみとなります。先物・オプション取引、外国為替保証金取引は対象となりません。
*5 発表は発送をもってかえさせていただきます。

(10/12日経ニュース)

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旧南野建設株を不正操作

「最後の大物仕手筋」西田容疑者逮捕…旧南野建設株を不正操作

 ジャスダック上場の旧南野建設(現A・Cホールディングス)の株価を不正につり上げたとして、大阪地検特捜部は12日、証券取引法違反(相場操縦)容疑で、関西を中心とする仕手グループの中心人物とされる投資アドバイザー、西田晴夫容疑者(57)=大阪市=を逮捕、会社役員、谷口豊容疑者(51)=東京都港区=を再逮捕した。

 証券取引等監視委員会が平成17年3月に強制調査に乗り出してから約2年半。「最後の大物仕手筋」とも呼ばれる西田容疑者の刑事責任が本格追及されることになる。

(10/13サンスポ)

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2007年10月12日 (金曜日)

東京メトロ株、都は保有継続・石原知事表明

 東京都の石原慎太郎知事は12日の記者会見で、2009年度にも株式上場を目指す東京地下鉄(東京メトロ)について「都は株式の全部を手放すつもりはない。メトロの大株主であり続ける」と述べ、全株売却を検討する政府と一線を画す姿勢を示した。
 メトロ株は政府が53%、都が47%を保有しており、都はメトロとは別に都営地下鉄を運営している。石原知事は「利用者のためには(2つの地下鉄は)本来、一緒に運営されるべきだ」と指摘。将来の都営地下鉄とメトロの統合に備え、一定割合のメトロ株を保有し続ける考えを示した。
 政府・与党が法人二税の配分を大都市圏に不利な形で見直しを検討していることについて、石原知事は「税の原理原則にもとる」と批判。「地方でも優良な製造業が立地する県は困るのではないか」と改めて反対していく考えを強調した。

(10/12日経ニュース)

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外国人投資家調査、買い、割安・含み益・新興国、売り、機械・消費関連・金融

銘柄選別進む
 外国人投資家は内需株売り・割安株買い――。東京証券取引所一部上場の主要五百社を対象に、過去六カ月間の外国人保有比率の増減を調べたところ、金融や小売りなど内需関連株の減少が目立つ一方、割安感や含み資産のある銘柄は比率が上がった。二〇〇七年度上期は米住宅問題を発端にした外国人の売りが日本株の調整を引き起こしたと言われたが、むしろ売られすぎた銘柄は欧米ファンドが積極的に買い増し、銘柄の入れ替えを進めている実態が明らかになった。(北松円香、塚本奈津美)=内需関連株は2面「ミニ辞典」参照
 米調査会社ファクトセットがまとめた海外機関投資家の日本株保有比率の減少ランキングによると、機械・部品関連株が上位に顔を並べた。機械関連株は世界的な景気拡大と設備投資の活発化への期待が高まり、八月上旬までに最高値圏へ上昇する銘柄が多かったが、割高感も台頭し、外国人が利益確定に動いた。
 減少率首位は住友重機械工業。八月七日に上場来高値を付ける過程で利食いが広がったようだ。三月に発行済み株式の一四%を保有していた米アライアンス・バーンスタインは七月に二%強に減らした。
 〇七年四―六月期の業績は好調だったが「船舶事業の利益が今後も大きく伸び続けるかは不透明」(みずほインベスターズ証券の石田雄一シニアアナリスト)と先行きの収益環境を慎重に見る声も聞かれた。
 工業計器を手掛ける山武は八月十日に、工具のマキタも七月二十日に過去最高値を付けるなど堅調だったが、海外勢は逆に売りを活発化させ、保有株は大きく減った。
 減少率二位のミレアホールディングスは「米住宅ローン問題を巡る金融市場の混乱で日銀の利上げが先送りされ、利ざや改善の期待が遠のいた」(AIG投信投資顧問)ほか、保険金の不払い問題など「不祥事」が敬遠された。
 同じように不正会計を起こした日興コーディアルグループも減少率上位に入ったが、これは米シティグループが三月から四月にかけてTOB(株式の公開買い付け)を実施。海外投資家がTOBに応じたことで比率が低下したとみられる。
 住友林業や大林組などの建設株のほか、大丸(現J・フロント リテイリング)、マツモトキヨシ(現マツモトキヨシホールディングス)、ライオンといった個人消費関連株も減少した。内需の回復がもたついていることで見切り売りに動いたとみられる。
 ソシエテジェネラルアセットマネジメントの吉野晶雄チーフエコノミストは「小売りの中でも店舗効率の改善が期待できない銘柄を手放すなど、海外投資家は選別を進めている」と分析する。
 ▼集計方法
 ランキングは米金融データ会社ファクトセット・リサーチ・システムズ(米コネティカット州)が集計・加工した。東証一部の主要銘柄のうち、二〇〇四年三月末から継続してデータを得ている四百七十六銘柄が対象。各銘柄に投資している機関投資家のうち上位百社の動向を調べ、発行済み株式数に対する海外機関投資家の保有比率の増減幅をランキングした。
 ファクトセットは各国の監督官庁や証券取引所への届け出、投資家の運用報告書などから情報を収集し、約百カ国の銘柄の株価や大株主、投信組み入れ比率などの情報を毎日更新している。

(10/11日経金融新聞)

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2007年10月 9日 (火曜日)

日本株出遅れは外需の差―海外売上高比率高い米企業

 名実ともに下期相場入りした最初の一週間で、日経平均株価は約一・六%の小幅な上昇にとどまった。八月中旬の急落前の水準を上回って推移し、一万七〇〇〇円台は回復したが、上値が重い。一方で米ダウ工業株三十種平均は三月末と比べて一割強上昇している。日米とも国内景気の先行き不透明感が残る中で、ダウ平均の上昇率の高さは日本株の出遅れ感を際立たせる。
□ ■ □
 日経平均がダウ平均よりも出遅れている理由は何か。採用銘柄の値動きに注目すると要因が見えてくる。キーワードは「海外売上高比率」だ。
 日経平均採用銘柄を対象に上期の指数の値動きに個別銘柄がどれだけ貢献したかを示す寄与度を調べたところ、上位にはコマツや川崎汽船など機械や海運株が並んだ。いずれも海外売上高比率が高く、新興国を中心に世界経済の拡大の恩恵を受けやすいという外需株だ。株価騰落率も軒並み二ケタを超える。一方、下位には内需株。ソフトバンクやファーストリテイリングといった通信や小売りが目立つ。
 外需株に買いが集まるのは日本株に特有の傾向ではない。実は米国株の上昇をけん引するのも外需関連銘柄であることを示すデータがある。大和総研の調べによると、ダウ平均採用銘柄で最も海外売上高比率が高いのはインテルの八四・五%。インテルは上期の株価騰落率でも首位となった。他の二十九銘柄をみても海外売上高比率が高いほど株価騰落率でも上位に並ぶ傾向は日本株と変わらない。
 ダウ平均採用銘柄全体の前期の海外売上高比率は四一・八%で、S&P五百種株価指数(二九・四%)と比べて高水準。上期の株価騰落率でS&P五百種を上回るのも「ダウ平均には世界各地に収益基盤を持つグローバル企業が多いため」(成瀬順也シニアストラテジスト)との指摘もある。一方、日経平均採用銘柄全体の海外売上高比率は約三三%とダウ平均と比べて見劣りし、株価の出遅れと無関係とはいえないだろう。
 外需中心の物色は続くか。ユナイテッド投信投資顧問の高塚孝一シニアファンドマネジャーは「資源や商社、海運や建機といった物色傾向は変わらない」と分析する。同氏は「米国が過去の金融危機を緩和策で乗り切ると、その後は危機の前より資産価格の上昇傾向が強まる」と指摘する。カネ余り傾向が強まる結果、リターンの高い銘柄に資金が集まりやすくなるためだ。一方、株価上昇で投資家は「高所恐怖症」にもかかりやすい。「世界的な景気拡大の恩恵を受けやすい」など、買える理由が明確な銘柄に人気が集まりやすくなる。
□ ■ □
 十月一日以降の五営業日で日経平均採用銘柄のうち、商船三井など十六銘柄が年初来高値を更新。トレンドマイクロやニコン、テルモなど指数へのプラス寄与度と海外売上高比率の高い銘柄が目立った。指数からみた出遅れ感に気を取られて過度な悲観論にとらわれすぎると、相場の流れを見誤ることになるのかもしれない。

(10/9日経金融新聞)

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2007年10月 4日 (木曜日)

日興株主に米国リスク―シティ株の分析不可欠に

 「株式売買は低迷しているが投資信託の販売が好調だから下支えするだろう」「不正会計問題で顧客離れが起きなかったのは買い材料だ」――。主に国内市場動向に基づいていた日興コーディアルグループ株の分析が転機を迎える。国内初の三角株式交換方式で米シティグループの完全子会社になることが決まったためだ。今後増加するとの見方が多い三角合併の先例となったが、保有する国内企業の株式がある日を境に外国株式になるという事実が日興株主の前に重くのしかかる。
 三日の東京市場は好調なアジア市場や米国市場の上昇基調を好感して三日続伸となった。米国では信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の全貌(ぜんぼう)が見えてきたことに対する安心感が株高の背景になっている。日本の金融機関は欧米勢に比べてサブプライム関連の損失は限定的なのだから、サブプライム問題が早く収束して欲しいとひとごとのように構える関係者も多いのではないだろうか。
□ ■ □
 シティと日興の株式交換の合意内容をおさらいすると、日興株一株につき千七百円分のシティ株を受け取ることになる。交換比率に不満があれば、十二月に開催される日興の株主総会で反対表明したうえで買い取り請求権を行使し、対価として現金を受け取る。日興株主は日興の企業価値だけではなく、シティの企業価値や米市場環境の見通しに基づいた判断を迫られる。
 足もとの為替レートとシティの株価から算出すると日興株主が受け取るのは日興株一株につきシティ株約〇・三株。仮にこのまま決まるとすれば、重要なのは株主総会が開かれる十二月に状況がどう変わっており、交換が実施される一月以降にどうなるかという読みだ。そしてこれはシティが本拠を置く米国でのサブプライム問題がどうなるかを抜きには語れない。
 サブプライム問題とシティ株と為替動向を組み合わせるとどうなるのか。「一般的にサブプライムローン問題が深刻化すれば円高、沈静化すれば円安に振れやすくなる」(JPモルガン・チェース銀行の佐々木融チーフFXアナリスト)として試算してみる。
 サブプライム問題が深刻化すれば当然シティの株価は下がる。日興の合意内容ではシティの株価が三七ドルを下回った場合には三七ドル、五八ドルを上回った場合には五八ドルとして計算することになっている(二六ドルを下回った場合には株式交換そのものを日興がなくすことができる)。
 為替レートを深刻化によって一一〇円まで円高、沈静化によって一二〇円まで円安と仮定すると、日興株主が受け取ることができるシティ株は「サブプライム深刻化=一一〇円まで円高+シティの株価が三七ドルまで下落」の場合で〇・四一株。逆に「サブプライム沈静化=一二〇円まで円安+シティ株価が五八ドルまで上昇」の場合で〇・二四株と、その差は一・七倍まで開くことになる。
 現金による買収なら対価を受け取って株式を手放すため、現在の価値に照らして可否を考えればよかった。株式交換の場合は受け取る企業の株式の将来性や経営環境を自ら分析する必要に迫られる。
 シティグループは一日、七―九月期の純利益が前年同期比で約六〇%減少するとの見通しを発表している。サブプライムローン問題の影響で、スイス銀最大手のUBSも七―九月期が赤字に転落するとの見通しを発表している。さらに、英フィナンシャル・タイムズ紙は二日、シティのチャールズ・プリンス会長兼最高経営責任者(CEO)の更迭論を掲載した。
□ ■ □
 「六割減益でもシティの株価は下がっていないが」「サブプライム問題の収束はいつか」「グリーンスパン前米連邦準備理事会(FRB)議長はサブプライムの影響はこれから出てくると言っている」「プリンスCEOはどうなるのか」――。
 三角合併による影響を推し量るには買収企業の国の経済からその企業の経営・財務内容まで短期間で分析する能力が必要だ。通貨もユーロや英ポンドから中国元、インドルピーまで何でもあり。サブプライム問題を対岸の火事としているようではグローバルな買収時代に対応できなくなる。

(10/4日経金融新聞)

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2007年10月 3日 (水曜日)

自社株買い、リスク吸収――余剰資金、源泉に危うさも

 世界の株式相場が回復基調にある。一日に米ダウ工業株三十種平均が過去最高値を更新したのに続き、二日は日経平均株価が一万七〇〇〇円台を約二カ月ぶりに回復。上海やインドなどアジアの主要株価指数も軒並み堅調だ。米住宅ローン問題を契機に退避していたマネーがリスク資産にそろり戻り始めた。
 こうした中、一部の市場関係者が注目していた米国のM&A(合併・買収)案件が先週、無事完了した。投資ファンド、コールバーグ・グラビス・ロバーツ(KKR)が支払い決済サービス大手のファースト・データを買収したのだ。
 買収金額は二百六十億ドルの大型案件。四月に合意し、九月末が完了予定日だったが、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の余波で予定通り進むのか懸念が出ていた。「ファンドも取るべきリスクを取り始めた。資金が株式に回帰する一つの傍証になる」と大和総研の東英治専務は指摘する。
□ ■ □
 八月以降、にわかに浮上した過剰流動性の縮小懸念が、沈静化しつつある。背景にあるのがなお続く企業部門の資金余剰だ。「豊富なマネーを企業が抱える構図に変化がないどころがむしろ強まっている」とUBS証券の平川昇二ストラテジストは話す。
 UBS証券が法人企業統計を使い、資本金十億円以上の上場企業を対象に債務返済後の純現金収支(フリーキャッシュフロー)を調べたところ、四―六月で十五兆円強となった。一九九〇年代半ばはゼロ水準にとどまっていたが、業績回復を背景に企業の懐は一段と潤沢になっている。
 余剰資金は夏場以降、自社株買いという形で、調整局面の強まった株式相場を下支えする構図が鮮明になった。
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 最大の投資先が自社株買い――。八月末に一千億円の追加買い入れを発表したキヤノンはついに自社株買いの今期累計が四千五百億円と、設備投資の計画額と同規模にまで達した。豊富な手元資金を活用し、三菱商事も相場が急落した八月後半に約一千五百億円という大規模の自社株買いを実施した。
 「こんなに機動的に企業が自社株買いに動いたのは過去になかった」と平川ストラテジスト。八月の単月の買い入れ額は全体で七千億円台、九月も六千億円に達した。資生堂のように、自社株買いと配当を合わせた株主配分の合計額が純利益と同額に達する企業も珍しくない。
 空前の規模にのぼる自社株買いが市場に資金を供給。信用収縮リスクを吸収し、相場反発への地ならしの役割を果たしたと言える。
 主力企業が豊富な資金を自社株買いや配当などの株主配分に惜しみなく使うのは、実は日本に限った現象ではなく先進国企業に共通している。八月の米国の自社株買いは市場推定で二百八十億ドル強と過去最高水準だった。九月二十八日に企業価値向上に向けた新戦略を発表した独BMWは「〇七年の株主総会で大幅増配を提案する」と表明。同時に自社株買いに動く可能性も否定しなかった。
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 世界的に広がっている企業の余剰資金増加の背景は何だろうか。
 ドイツ証券の安達誠司シニアエコノミストが指摘するのが、二〇〇〇年前後のIT(情報技術)バブル崩壊の後遺症説。企業がITバブルに懲りて設備投資をキャッシュフロー(現金収支)の範囲に抑えようとする結果、余剰資金が自然に積み上がるというわけだ。日本企業の場合、九〇年代の深刻なデフレ経験も尾を引いている。いわば企業の慎重姿勢が手元資金を積み増す後ろ向きのマネーフローだ。
 もう一つが中国、インドなど新興国経済の発展。新興国の需要増を背景にした資源価格の上昇がマネーの膨張を招いている。さらに「新興国の低水準の労働力の台頭が先進国企業の労働分配率を下げ、超過利潤と資金余剰を招いている」(大和総研の東専務)といった解説もある。
 いずれにせよ企業の余剰資金の源泉は必ずしも盤石といえない。米景気が後退局面に入り、新興国の成長が減速すれば、構図の一端はあっさり崩れる可能性がある。流動性相場が再び勢いづいても危うさをはらんでいることに注意を払わなければならない。

(10/3日経金融新聞)

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2007年10月 2日 (火曜日)

株式市場に新たな買い手―郵政、2兆円の行方に期待

 一日、旧・日本郵政公社が民営化し「日本郵政グループ」が業務を開始した。広いネットワークを生かした郵便や貸出業務などに関心が集まるが、株式市場にとっても待望の真打ち登場といえる。傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命による買い出動が期待できるためだ。日本株は国内投資家層に厚みがなく、外国人に偏在している。「国民から民営化して本当に良かったと言われたい」(西川善文社長)。株式市場でも救世主となるだろうか。
 今春以降、旧郵政公社は株価伸び悩みの「主犯」扱いされてきた。民営化に備え、株売却を進めてきたからだ。株式を含む旧公社の「金銭の信託」の残高は八月末に郵貯が七千百七十四億円、簡保が六兆百三十二億円だった。三月末と比較するとそれぞれ一兆二千億円、一兆五千六百億円減少した。金銭の信託の内訳は四半期ごとにしか開示されない。国内株の比率を六月末と同じと仮定すると、推計で一兆七千億円程度を圧縮したとみられる。月半ばに日経平均が急落した八月単月でも大幅に減少しており、相場の地合いに関係なく売り続けたフシがうかがえる。
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 だが民営化で一転、市場では新たな買い手として期待が高まっている。大和総研の壁谷洋和氏は「民営郵政の計画と比較すると、八月末時点では株式を圧縮しすぎた感がある」と話す。民営化後の事業内容などを定めた「日本郵政公社の業務等の承継に関する実施計画」では、民営化時の金銭の信託の残高はゆうちょ銀が二兆三千五百六十億円、かんぽ生命が六兆三千九百七十億円としていた。八月末との差額がすべて国内株に向かうとしたら、最大で郵貯と簡保を合計して約二兆円の買い余力がある計算だ。
 野村証券の藤田貴一ストラテジストは「民営化後はメガバンクや大手生保の運用内容も意識するだろう」と読む。というのも連結総資産に占める国内外株式の比率はメガバンクの平均が約四%、大手生保が約二三%に達するからだ。ゆうちょ銀とかんぽ生命が大手金融機関並みに株式運用比率を引き上げるなら、単純計算で数十兆円株式を積み増さなくてはならない。
 もちろん、政府保証が付いた旧契約は資産構成を大きく変更はできないが「今後の新規資金は政府保証がなく、運用の自由度は高まる」(大和総研の壁谷氏)期待がある。ゆうちょ銀の場合、政府保証の付いた定期性預金(大半が定額貯金)の残高は百三十兆円強。最長で十年満期のため残高は段階的に減る。満期を迎えた資金をゆうちょ銀が預金として再び獲得できれば新規資金としての運用が可能だ。クレディ・スイス証券の市川真一チーフストラテジストは「郵貯、簡保とも運用資産が国債に偏っており、将来のインフレリスクを回避するためにも株式運用を増やす可能性がある」と指摘する。
 三菱UFJ証券の藤戸則弘投資情報部長は「公的年金と同じような運用スタンスに出るのではないか」とみる。積極的に上値は追わないが、株価水準が下がれば買いに回る姿勢だ。
□ ■ □
 新興三市場では早くも郵政の動きがカンフル剤になり始めた。旧公社の簡保部門が七月、「バリュー型」「グロース型」とともに「中小型」でも委託先の投資顧問を選定し、運用を始めたからだ。九月末以降、東証マザーズ指数、大証ヘラクレス指数とも戻り歩調だが「かんぽ生命の投資を見越した先回り買いも入っているようだ」(いちよし投資顧問の秋野充成運用部長)との声が出ている。
 「日本人はいつになったら自信を持って日本株を買うのか、と尋ねる外国人は多い」(ゴールドマン・サックス証券のキャシー・松井チーフ日本株ストラテジスト)。総資産で三百兆円を超える民間金融機関の誕生が自らの資金だけでなく、他の国内投資マネーをも株式市場に呼び込む起爆剤の役割を果たすか――その行方にしばらく目が離せない。

(10/2日経金融新聞)

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2007年10月 1日 (月曜日)

苦戦続く小型株投信―過去1年で「1勝47敗」

 日経ジャスダック平均株価が九月二十八日に三日続伸。長く低迷した新興株相場にもようやく底入れ感が出てきた。ただ、昨年一月の高値からの下落率が三五%を超える状況に変わりはなく、売買代金も依然低水準だ。過去一年余りは運用のプロも苦戦。ライブドアショック以降に負った新興株市場の傷は癒えていない。
 まずは問題を一つ。運用次第ではハイリターンの可能性もあることが魅力の小型成長株ファンド。四十八本ある公募型投信のうち、今年八月までの一年間に運用成績がプラスだったのは何本でしょうか?
 「プロが運用してるんだから半分以上」と答えた人は不正解。「相場環境は悪かったけど、三割打者で十五本ぐらい」というのも外れ。正解は四十八本中四十七本がマイナス。勝率にすれば「二%」という大苦戦の状態だった。
 これは投信評価会社、モーニングスターの調査。同社によると「小型グロース」に分類される公募投信は合計で四十八本。このうち今年八月末までの過去一年間に基準価格が上昇したのは、ファンド規模が小さい「JF成長株・オープン」の一本だけだった。一方、百九本ある「大型グロース」は全体の六割に当たる六十四本が値上がりした。
 「小型グロース」四十八本全体の平均リターンも同期間でマイナス一八・三六%と低迷した。対する「大型グロース」は〇・九五%の上昇だから、小型株運用の苦戦ぶりが目立つ。下落率は日経ジャスダック平均株価(一五・七五%)も下回った。
 一口に投信といっても、運用を担当するファンドマネジャーの手法は様々。小型株投信の場合、最も多いのが「アクティブ運用」と呼ばれる積極的な運用スタイルだ。担当者が投資対象の候補となる企業に直接足を運び、綿密な調査の上で有望株を選び出す。年間の訪問社数が数百社に及ぶファンドマネジャーもいるほどだ。
 業績成長の潜在性を重視する手法もあれば、経営者個人に対する評価に重きを置く小型株ならではのスタイルもある。値動きの激しい小型株の直接投資には手を伸ばせない個人にとって、専門家の見立ては大きなよりどころだ。
 ところが、ライブドアショック以降の新興株相場低迷は専門家の予想を上回るものだったようだ。モーニングスター調査では運用成績の下位十本はいずれも一年間の下落率が二五%を超えている。三〇%を超えるものも六本あった。
 純資産が百億円超のファンドの中でベストパフォーマーだったのが「JF中小型株オープン」。ところが組み入れられた銘柄をみると、東証一部上場などの大型銘柄が目立つ。
 川崎重工業、ミツミ電機、三井造船……組み入れ上位十位のすべてが東証一部銘柄だ。全体に占める東証一部銘柄の比率は八七・七%に達する。ジャスダックや東証マザーズなど新興株市場に上場する銘柄の比率は五・四%にとどまる。相場動向にあわせた適切な資産配分の結果かもしれないが、小型株での運用がいかに難しかったかを物語る。
 このままでは小型株投信は「ハイリスク・ローリターン」という不名誉な位置づけにされてしまいかねない。小型株に値ごろ感が出ているとも言える今下期以降は運用実績を改善することが求められる。手数料の安いインデックスファンドを下回り続けるとすれば寂しい結論だ。
 個人投資家にも自衛手段は必要だろう。モーニングスター調査分析部の小池貞弘ゼネラル・マネージャーは「下げ相場の時にあまり値下がりしない『抵抗力』のあるファンドが有望だ」指摘する。

(10/1日経金融新聞)

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2007年9月29日 (土曜日)

特集―前FRB議長アラン・グリーンスパン氏、バブルは防げない

グリーンスパン前FRB議長、サブプライム、実体経済影響これから

 グリーンスパン前米連邦準備理事会(FRB)議長は日本経済新聞社と会見し、米経済の先行きについて「今後、住宅価格が押し下げられ、(資産価値の目減りにより)個人消費は減速するだろう」と指摘した。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)市場の崩壊による実体経済への悪影響はこれから本格化するとの見方を示した。(関連特集「世界を語る」を11面に)
 前議長は今年三月時点で米国が景気後退に陥る可能性が三分の一あるとしていたが、状況の悪化を受け、その可能性がさらに高まったと見ていることを明らかにした。
 サブプライム問題を機に世界的に広がった信用収縮に関しては「金融仲介システムがほとんど凍結するような極端な状況は緩和された」と金融不安は最悪期を脱したとの認識を示した。ただ「(米国の)住宅価格が予想外に大きく下落するようなことがあれば、第二幕の引き金になる」と述べた。
 議長時代のFRBが金融緩和を長引かせたことが住宅バブルの原因、とする批判については「(途上国の貯蓄過剰など)グローバルな要因に伴う世界的な長期金利低下が唯一の理由」と反論した。また「(金融を強烈に引き締めて)経済を不安定にしない限り、バブルの台頭を止めるのは不可能」と強調した。
 今回の危機については一九九八年の米ヘッジファンド、LTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)の破綻に伴う危機に近いと指摘した。また、同危機の際にニューヨーク連銀が米銀に支援を求めた時を振り返り「きわどい決定だった。私には必要性が明確でなかったが、当時のマクドナー・ニューヨーク連銀総裁が間違っているとも言えなかった」と、判断に苦しんだことを明らかにした。

 米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題を機に世界経済が揺れている。震源地の米経済の行方をどう見るか。中国やインドが台頭する中で、世界の経済地図はどう変わっていくのか。米連邦準備理事会(FRB)の前議長であるアラン・グリーンスパン氏に聞いた。
 ――住宅市場の悪化で米国経済はどうなるか。
 「私の判断では米国の住宅の過剰在庫は二十万戸以上ある。サブプライムローン利用者向けの住宅販売が劇的に減ったことが背景だ。新築住宅の品質基準を維持するコストは高いので、幾つかの販売業者は安売りに走り始めた。安売りが今後広がることで、住宅価格は押し下げられるだろう。その結果、新規の住宅建設だけでなく、個人消費にも悪影響が及ぶのは確かだ。個人消費支出の一五%は住宅や株式の値上がりに伴う資産効果によるものだからだ」
 ――景気後退の懸念は。
 「今年三月の時点で少なくとも三分の一の可能性があると判断していた。三月より(状況が)悪化し始めたこともあり、景気後退の可能性はさらにいくらか高まった」
 ――世界の金融市場に信用収縮が広がったが。
 「金融仲介システムがほとんど凍結するような極端な問題はここ二、三週間で緩和された。コマーシャルペーパー(CP)市場も機能し始めている。その意味で第一幕は終わった。問題は第二幕があるかどうかだ。(米国の)住宅価格が予想外に大きく下落するようなことがあれば、第二幕の引き金になろう」
 ――今回の危機を過去の金融危機と比べると。
 「一九八七年の株価暴落(ブラックマンデー)とは、恐怖が価格を決める支配力になったという点のみで似ている。極端な形で流動性不安が起きた点では、九八年の米ヘッジファンド、LTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)の破綻に伴う危機やロシア危機の方が近い」
 ――証券化市場が舞台になった初の危機だ。
 「問題は証券化市場そのものにはない。(証券化された)サブプライムローンの値付けが適切でなかったということだ。例えば、格付け会社がサブプライムについてもっと低い格付けをしていて、実際にはそれよりちょっと良かったという形になっていれば今回の危機は起きなかった」
 ――危機がグローバルに広がる時代に金融当局はどう対処すべきか。
 「危機は予測できない。バブルの発生を予想したり、それを正常な状況で取り除くのも不可能。重要なのはバブルが崩壊した時に、(その悪影響が)生産や雇用を大きく減らすことなくうまく吸収されるように、柔軟な経済システムをつくっておくことだ」
 「英中央銀行であるイングランド銀行のキング総裁は最も優秀なセントラル・バンカーの一人。彼ですら(中堅銀行ノーザン・ロックの取り付け騒ぎで批判されるなど)問題をうまく乗り切れないなら、だれにもできない。中銀にできることは、皆が思うより限られている」
 ――予防できないにせよ危機発生後の対応は重要だ。
 「今回のような危機になれば、どのくらいの流動性を供給すべきかをしっかりと決めなければならない。米同時テロの時は決済システムが機能不全に陥ったので巨額の資金を供給した。中央銀行間で資金を融通しあうスワップも素早く取り決めた」
 ――今回の危機も影響してヘッジファンドの規制論が再び盛り上がっている。
 「金融市場(の価格)のゆがみを直す役割を果たしているのがヘッジファンドや買収ファンド。規制によって彼らが銀行のように投資を決めるようになれば、二十一世紀の金融の課題に対処できなくなる。仮に規制しようとしてもどうするかは難しい。(財務をチェックしようにも)ヘッジファンドのバランスシートは一夜で変わってしまう」
 ――住宅バブルの一因は長期金利が非常に低くなったことと見ているようだが。
 「(原因の一つではなく)それこそが原因だ。住宅価格の大幅上昇は二十数カ国以上の国が経験している。世界的に長期金利が押し下げられ、住宅ローン金利が下がった結果だ。(冷戦終結や中国の市場経済化など)計画経済の崩壊を機に大量の余剰貯蓄が生まれたことが背景にある」
 ――米金融当局はインフレへの警戒も崩していない。
 「(中国の工業労働力の急増など)一九九〇年から二〇〇五年にかけて進んだディスインフレ(インフレ緩和)過程がピークを過ぎた。ディスインフレの要素がはがれてくればインフレ圧力は高まる。すでに一部の分野で世界的にコスト増加が見られる」
 ――米国の生産性の伸びの低下を懸念する声もある。
 「米企業は最近、自社株買いと海外での設備投資におカネを使っている。国内に設備投資の対象があれば、そうしたおカネの使い方はしていないはずだ。生産性の変化に先行するイノベーションがここ一、二年落ちていることを示唆している。ただ、長期的には心配していない」
 ――中国やインドの台頭で米国の経済的な優位性が脅かされるとの見方がある。
 「世界の国内総生産(GDP)に占める米国のシェアが落ちるのは間違いない。しかし、それは(中国など)ほかの国が資本主義的なやり方を取り入れて、成長を伸ばした結果だ。米国の競争力が衰えたことを意味しない」
 ――米国の競争力の行方には楽観的だ、と。
 「そうだ。米国ではイノベーションの波が起きることで、十―十五年単位で見ると必ず生産性を高めてきた。人々が自由で、活発で、強い財産権で守られているために、イノベーションは継続的に起きている」
 ――技術革新やグローバル化に伴う貧富の差の拡大を懸念する声も増えている。
 「新しい発明と歩調を合わせて人々の技術的能力が高まるわけではない。低い技能しかない人は賃金が低下し、高技能の人は給与が大幅に上がっている。民主社会にとっては危険な傾向だ。富が公平に分配されていると人々が思わなければ、資本主義への支持も得られない」
 「教育によって人々の技能を高め、それによって所得水準を上げていくことが重要だ。富裕層への課税で所得を再配分すれば、全体の所得を低くしてしまうだけだ」
 ――グローバル化が後退する可能性について。
 「ありうる。非常に懸念しているのは米欧で見られる保護主義の高まりだ。広がれば、日中など輸出依存が大きい国はもちろん、米国経済にも重大な悪影響を及ぼす」
 ――地球温暖化への懸念の高まりをどう見るか。
 「温暖化が起きている証拠は明白にある。ただ、二酸化炭素(CO2)の排出量を、経済にそれほど大きな影響を及ぼさずに減らせるという見方は正しくない」
 ――新著ではブッシュ政権の経済政策に不満を示した。
 「最大の不満の対象は議会の共和党だ。小さな政府や歳出削減を掲げていたはずなのに、あらゆるプログラムに予算を付けようとしている。ブッシュ政権への不満は、彼らが出した関連法案に拒否権を発動しなかったことにある」
 ――イラク戦争の本質は石油にあると指摘しているが。
 「米政権が石油のために開戦したと言っているわけではない。私にはイラクのフセイン元大統領が中東原油を支配しようとしていることが明白に思えた。原油輸送が止まれば主要国経済は停止しただろう。フセインが引きずり降ろされた時はほっとした」
 ――二〇〇八年の米大統領選挙の候補たちの論戦をどう見ているか。
 「どの候補者も世論調査を見て有権者が聞きたがっていることをしゃべっているだけに見える。これから払う(公的年金などの)給付のメドがついてないうちに新たな給付の約束をしようとしている」
 ――日本経済の先行きは。
 「外からとやかく言うべきことではないだろうが、エコノミストとして見る限り、移民を増やそうとしていないことは日本経済を将来難しい状況に追い込むと思う。生産性上昇や労働人口に限りがあれば成長は鈍くなってしまう」
 1926年3月、ニューヨーク生まれの81歳。ニューヨーク大で経済学博士号を取得。74―77年、大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務め、87年から2006年まで米連邦準備理事会議長。巧みな危機管理や市場との対話によって米経済のかじを取り、「マエストロ」(名指揮者)と呼ばれた。退任後はワシントンでエコノミスト活動や執筆活動を続ける。夫人はNBCテレビの花形記者のアンドレア・ミッチェルさん。新著「波乱の時代」(日本語版)は11月14日に日本経済新聞出版社から発刊される予定。
 世界経済の動揺が収まるかどうかの鍵は米国の住宅価格がどこまで下がるかで決まる――。これが長年経済と金融市場を観察してきたグリーンスパン氏のご託宣だ。値下がり方次第では危機は第二幕に入ると警告する。
 新たな危機を防ぐための処方せんを巡る議論も活発になっているが、グリーンスパン氏は多くの識者と全く異なる視点を示す。
 熱狂とその反動である恐怖意識は「人間の本性」に基づくので、バブルの膨張・破裂を防ごうとするのはそもそも無理と指摘する。また、破裂の傷を浅くしようと、市場にいたずらに介入するのも逆効果と見る。危機の予防や対応のために様々な規制が生まれ、それによって市場の自己修正機能が弱められることを大いに心配している。
 議長時代の金融政策が住宅バブルを生み、今回の危機につながったという批判を意識した面もなくはなかろう。だが、根底には徹底した市場主義者としての信念がある。
 そうした信念は、どの国よりも市場機能と自由な経済活動を重視した米国の経済システムへの信頼にもつながっている。中国やインドが台頭しても米国経済の強さは揺るがないとする楽観論の根拠はそこにある。
 議長をやめた後も経済統計や市場の動きからは目を離さない。ワシントンのオフィスには古い経済統計の本がずらりと並ぶ。「一八六八年の米銀の自己資本比率を調べたら四〇%もあった」とうれしそうに語っていた。

(9/29日経新聞)

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2007年9月28日 (金曜日)

上期の新興4指数、マザーズとヘラクレスの急落鮮明 ネット、不動産低迷

 新興企業向け株式市場で主な株価指数4つの2007年度上期末の下落率はすべて2ケタとなり、なかでも東証マザーズ指数が前期末比29%、大証ヘラクレス指数が30%と2つの指数の急落ぶりが鮮明となった。マザーズのネット主力株、ヘラクレスの不動産ファンド株という両市場の時価総額上位銘柄がきつい下げを記録したためだ。もっとも新興4指数はそろって年初来安値に近い水準にあり、停滞感は新興市場全体に横たわっている。「本格回復には『会計不信』や『成長期待の低下』といった投資家の不信を取り払う努力が必要」との指摘は根強い。
 新興市場でネット主力株とされる銘柄はマザーズ市場の時価総額上位が多い。中でも知名度が高いACCESS(4813)やサイバー(4751)は長期的な下げ基調をたどっている。市場ではネット主力株について、「『ライブドアショック』発生直前の新興市場が活況を呈していた2005年後半時のような成長期待を持っている投資家は少ない」と声が聞かれる。ヘラクレス市場ではダヴィンチ(4314)やASSET(2337)といった不動産ファンド株が地価上昇の鈍化懸念や、夏場の世界的な信用収縮懸念による海外資金の流出観測で売られてきた。
 新興市場全体に目を向けてみると、ここ最近では会計監査法人による決算書類への意見不表明が起因となり監理ポストに割り当てられたり、株式併合と新株予約権を組み合わせた資本政策を発表して取引所が投資家に注意喚起する銘柄が相次いだ。投資家の新興市場に対する不信感は依然強いままで、「うみを出し切るには、まだ時間を要する」(準大手証券)ようだ。以下に主な新興市場の株価指数の下落率を一覧した。
<主な新興市場の株価指数下落率>
              28日終値    前年度末   下落率
・日経ジャスダック平均株価 1861円32銭   2123円36銭   12%
・Jストック指数      1563.24     1766.10    11%
・東証マザーズ指数     732.72     1038.31    29%
・ヘラクレス指数(総合)  1177.21     1683.23    30%
(その他の市場の主要株価指数)
・日経平均株価       1万6785円69銭 1万7287円65銭 3%
・東証株価指数(TOPIX)1616.62     1713.61    6%
・東証2部指数       3636.72     4205.92    14%

(9/28日経ニュース)

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逆張り占う2つの改革―「企業・政府」外国人なお疑念

 双葉電子工業を新たにポートフォリオに加えた。十八銀行も、日立マクセルも、九電工も買った。市場に知られて追随されないように少しずつ、ひっそりとだ。
 運用会社に勤める平山氏(仮名)は、米国のサブプライムローン問題で株式相場が低迷したのを機に、割安株を次々と拾ってきた。理由は割安の目安となるPBR(株価純資産倍率)が一倍未満の銘柄数の比率。二年前は全体の一割にとどまっていたが、株安で二割に増え「異常なほど割安」と判断した。なかでも、さきに示した銘柄は〇・六倍前後という超割安株だ。
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 周囲が売っている時に買い向かった平山氏にとって、二十七日の大幅な株高は、逆張りの勇気が報いられる兆しかもしれない。だが、一日で判断するには早計だ。
 サブプライム問題が深刻化した八月以降でみると、震源地の米国株よりも日本株の方がなお相場が低迷している。企業と政策を巡る「二つの改革」に対する外国人投資家の不信が背景とみられる。
 まず企業改革への不信。「日本株に対する外国人の期待値は、私の十七年間のキャリアの中でも最低です」。十九日、東京での講演会。ゴールドマン・サックス証券の日本株ストラテジスト、キャシー松井氏は語った。米大幅利下げと株高から一夜明けたばかり。明るい話題を期待して集まっただろう百八十人の前に浮き上がったのは、買収防衛策の導入が株価の低迷を招いてきた事実を示すスライドだ。
 「防衛策と株持ち合いの強化が、外国人が最も懸念している点です」。同氏は、買収の脅威で守りに入った経営者こそが株安の原因と訴えた。外国より低い自己資本利益率(ROE)などの指標も続々と映し「世界との差が今後埋まるのか、やはり日本は異質なのか。外国人は非常に真剣に見ています」と語った。
 日本企業のROEが見劣りする点について、ソシエテジェネラルアセットマネジメントのエコノミスト、吉野晶雄氏は「上昇はそろそろ限界」という説を採る。経営者が株主の圧力を避けているからというより、経営者を守りに追い込む環境に手を打たない政府に、理由を求めている。外国人が抱く改革不信のもう一つの柱、政策だ。
 「少子化で企業の国内需要は落ち込むだろう。外交を見ても中国をはじめ有望市場との自由貿易協定は進んでいない。こんな環境では米企業と同じ水準のROEを求める外国人投資家の圧力に、経営者は耐えられない」。経営者が防衛に走る理由を吉野氏は二年前からこう公言してきた。
 「人口減少という新たな時代に入った」「外に目を転じれば近隣諸国の成長が著しい」。福田首相が今週の就任記者会見で語った内容は吉野氏の懸念を意識しているかのようだが、改革への具体策が論じられるのはこれからだ。
 外国人が構造改革の政策をどれだけ望んでいるかは、二〇〇五年のマネーの動きが物語る。小泉政権が郵政改革を旗印に衆院解散に踏み切った八月、買越額は史上最高の二兆円弱に達した。
□ ■ □
 外国人は必ずしも失望しているわけではない。二十七日、東京での市場関係者の討論会で国内金融機関の幹部は最近の体験を披露した。「外国人に必ず聞かれる質問がある。日本人がいつ株を買い始めるかだ」。ABNアムロでアジアの富裕層向け事業を統括するマイルズ・アシュトン氏は、「日本の行方は日本人が一番知っている。外国人はそれを知りたいのだ」とこの幹部の体験談を解説する。
 独自の判断を下すかつての自信はないが、関心はある。買う根拠が欲しい――。外国人の心理はこの辺か。官民そろって改革路線に戻るというメッセージは十分根拠になり得る。平山氏の逆張りが報われるかどうかも左右する。

(9/28日経金融新聞)

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2007年9月27日 (木曜日)

日本株、再び米国株離れ?――カギ握る銀行株の反騰

 東京株式市場が買い手不在に陥っている。二十六日の東京証券取引所第一部の売買代金は二兆二千八百九十一億円と、活況の目安とされる三兆円を連日で割り込んだ。九月中間期末を控えているという季節的な要因を割り引いても、例年以上に閑散相場ぶりが際立つ。投資家からは「世界の主要株式相場から日本株だけ置いてけぼりにされかねない」(大和住銀投信投資顧問の小橋裕一執行役員)との声も漏れる。
 日本株と米国株の連動性を見ると、その懸念がにわかに現実味を帯びる。東京市場では外国人投資家の存在感がひときわ大きく、米国株が値上がりして投資余力が増すと日本株にも資金を振り向け、反対に米国株が調整局面に入ると早々に日本株から資金を引きあげる構図が定着しているためだ。しかも、その投資行動の変化は銀行株の値動きから端的に読み取れるように思われる。

 グラフは日経平均株価と米S&P五百種株価指数の月末終値が、前年同月に比べてどれだけ伸びたかを示している。IT(情報技術)バブルが崩壊した二〇〇一年以降に限っても、ほぼ一貫して日経平均はS&P五百種に一歩遅れる形で上昇・下落をたどってきた。ただ目を凝らしてみると、この連動性が薄れた局面が過去二回ある。いずれも銀行株をきっかけに外国人の売買が盛り上がり、日経平均が米S&P五百種を大きく上回る上昇を見せた局面だ。
 最初は〇四年半ば。日経平均はバブル崩壊後の最安値の七六〇七円から約一年かけて一万二〇〇〇円台まで六〇%急騰した。〇三年五月、りそな銀行への公的資金注入をきっかけに金融危機が収束に向かうとの期待感が広がり、同年十一月に足利銀行が一時国有化されると、外国人は日本株買いを加速していった。
 続いて当時の小泉純一郎首相が「郵政解散」に踏み切った〇五年八月から、〇六年末にかけても銀行株が相場をけん引した。銀行株は外国人の投資余力を推し量るバロメーターの一つと言えまいか。
 そして、今年八月以降は過去二回とは逆に、銀行株が相場の重しとなっている。国内景気がまだら模様だったところに、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題が追い打ちをかけ、「外国人が世界的に金融株の持ち高をひとまず減らす動きにつながった」(ドイツ証券の武者陵司副会長)。東証一部に占める銀行株の時価総額の割合は二十六日時点で一〇・一%と、過去一年間で五ポイント近く低下した。
 二十六日は銀行株の一角に買い戻しが入ったが、三井住友フィナンシャルグループは八十三万三千円と過去一年間の平均的な売買コスト(二百日移動平均)を二四・六%も下回る。りそなホールディングスや住友信託銀行の含み損は計算上、三〇%を超える。銀行株の下げが続けば日本株は相場のけん引役を失い、当面下値を模索して米国株との連動性が薄れる可能性も捨てきれない。

 ただ盲点もある。国内の主要株式市場に占める外国人の売買シェアは五八・八%(二〇〇七年一―六月)と前年同期比七・三ポイントも増え、半期ベースで過去最高を記録。足元ではさらにシェアを伸ばし、投資家の偏りが市場の価格発見機能を低下させる懸念だ。
 実際に大半のアナリストは八月の株価急落以降、中期的な業績回復への期待を背景に銀行株の目標株価を据え置いている。「外国人は業績の良い銘柄を厳選する傾向を強めている」(クレディ・スイス証券の市川真一チーフストラテジスト)。銀行株は明らかに売られ過ぎとの見方もある。だとすれば、仮に日米株の連動性が薄れたとしても、それは短期的にとどまる公算もある。
 短期的な株価下落に備えて持ち高を調整するか、将来の反騰局面にかけて押し目買いに徹するか。日米株の連動性が薄れ始めた今、投資家の眼力も問われる。

(9/27日経金融新聞)

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新興株、底入れなるか 公的年金に期待広がる、売買代金がカギ

 27日の新興企業向け株式市場では主要3指数が大幅に続伸。低迷が続いていた売買代金もここ2日は大きく膨らんでおり、新興市場に少しずつ明かりが差し始めた。投資家心理の好転を指摘する声も多いが、この傾向が明日以降も続き、底入れとなるのか。カギを握るのは売買代金だ。
 きょうのジャスダック平均は前日比25円19銭高の1854円38銭と、今年最大の上げ幅を記録した。東証マザーズ指数と大証ヘラクレス指数も大幅続伸し、上値の抵抗線として意識される25日移動平均を突破した。売買代金は3市場合わせて1094億円と、7月4日以来2カ月ぶりに1000億円を超え、久しぶりに活気が戻ってきた。ある国内証券の情報担当者は「当社の顧客の注文状況をみても、ここ2日で先週の倍くらいの買い注文が入っており、個人の投資意欲が戻ってきた」と話す。
 東証1部で日経平均株価が戻り歩調にあることや米国株が堅調なことから、投資家のリスク許容度が改善。出遅れ感のある新興株にも目を向け始めたとの見方が大半だ。
 さらに思惑を呼んでいるのは公的資金の流れだ。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF、前身は年金資金運用基金)は4月に小型株の運用を得意とする運用機関を初めて募集。「現在委託先を選定中で、運用開始時期は未定」(GPIFの企画部)ということだが、「公的年金基金の資金が秋以降、新興市場に流入するという期待がある」(水戸証券投資情報部の岩崎利昭課長)という。
 クインランドが会計監査人から監査意見を表明しないと通知されたと26日に発表。業績の下方修正も続くなど、新興株の重しとなってきた「会計不信」や「業績見劣り」をほうふつさせるニュースも出ている。しかし、いちよし証券投資情報部の宇田川克己課長は「こうした悪材料が出ながらも相場が堅調なのは、銘柄の選別が進んでいることの表れ」と評価する。
 ただ、ここ2日の上昇が本格反騰につながるかどうかという点については半信半疑という市場関係者も多い。「売買代金が再び減少に転じれば、一時的な上昇で終わってしまう」(国内証券)という見方が大勢だ。楽天証券の福永博之チーフストラテジストは「いったん指数が下がったとしても下げを吸収できる水準」として、ジャスダック市場の売買代金350億円を目安としてあげる。この2日の盛り上がりに関しては、「9月末が近く、お化粧買いが入っている面もある」(いちよし投資顧問の秋野充成運用部長)と慎重な見方も多いため、10月以降の売買代金がカギを握りそうだ。

(9/27日経ニュース)

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2007年9月26日 (水曜日)

外国人「東京市場は二の次」――もたつく改革にいらだち

 二十五日の日経平均株価は小幅反発。同日発足した福田新内閣に対する反応は鈍く、売買代金は五日連続で三兆円を割り込んだ。
 選挙対策委員長を党四役に格上げした党執行部人事、高齢者医療費の負担増凍結、地方への配慮――。早くも選挙モード全開の福田新内閣に市場関係者はげんなりしている。「“内向き政治”が加速すれば、二〇〇三年から計三十八兆円以上も日本株を買い越してきた外国人投資家の投資意欲が後退しかねない」。藤戸則弘・三菱UFJ証券投資情報部長は懸念を募らせる。
 日本株に対する海外投資家の関心は冷める一方だ。来日していた欧州系ヘッジファンドの幹部は、「日本の銀行株のショートポジション(売り持ち高)は積み増し」との投資判断を改めて確認、飛行機に乗り込んだ。行く先は本部のあるロンドンではなく香港国際空港。中国・アジア株の運用も担うこの幹部は、東京より香港や上海に立ち寄る機会が急に増えた。有望銘柄を探し出しては、日本株を売って回収した資金を投じる方針だという。

 この日、上海では香港にも上場する中国建設銀行が新規上場。初値は公開価格を三三%も上回った。香港ハンセン指数は二十五日こそ息切れしたものの、前日まで連日の最高値を更新。ハンセン指数が年初来三二%上昇したのに対し、日経平均は同五%下落。これでは「香港・中国企業の訪問が第一で、東京は二の次」になるのも無理はない。ヘッジファンドや海外の運用会社では日本株の運用担当者を減らしたり、香港や他のアジア株の運用担当者と兼務させたりする動きが出てきた。
 日本株を支える数少ない好材料にも黄信号がともり始めた。一つは企業業績の動向だ。メリルリンチがまとめた九月の機関投資家調査によると、日本株への資金配分を「減らした」投資家は「増やした」投資家を〇三年七月以来、四年ぶりに上回った。
 日本株の企業収益見通し(「明るい」から「暗い」を引いた数値)はマイナス一五。最も暗い米国(マイナス三〇)に次いで悪かった。東京精密の業績下方修正をきっかけに、他の半導体関連株や電機株の一角にも売りが波及する展開が続く。「米景気に配慮した米連邦準備理事会(FRB)の利下げ効果が間接的に日本株を支えている」(メリルリンチ日本証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジスト)とはいえ、新興国需要を頼りに収益を伸ばす鉄鋼、資源関連株だけでは支えきれない。

 もう一つの懸念材料は流動性の相対的な低下。国際取引所連盟によると、八月の中国市場の時価総額(三市場を単純合算)は五兆三千六百億ドル。東京市場は四兆五千百億ドルにとどまり、逆転された。
 外国人投資を規制する上海市場の特殊性や上海・香港に重複上場する銘柄が多い点を考慮する必要はあるが、時価総額が示すのは東京市場の地位低下だ。流動性が高いほど投資マネーは集中する。いずれ中国が「アジアで最も流動性が高く時価総額の大きい市場」として定着すれば、成長力の劣る日本株に投資マネーは集まりにくくなる。
 〇五年夏、「コイズミ改革」に期待した外国人投資家は銀行、小売りなど内需株を買い進んだ。小泉政権下で最も上昇率が高かったのは不動産株、次いで鉄鋼株だった。安倍政権下で株式市場は「政治への期待」を失い、業績と景気に集中する傾向を強めた。「東京市場は二の次」という姿勢を取り始めた外国人投資家は、マイナス基調が続く消費者物価やもたつく個人消費にいらだち、じりじりと見切り売りに動き始めている。福田首相のかじ取り次第では、日本株を大量保有する外国人の売りが加速しかねない。

(9/26日経金融新聞)

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2007年9月11日 (火曜日)

サブプライム問題、雇用直撃、米実体経済へ波及懸念―消費への影響、焦点に

 信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題が米国の実体経済に影を落とし始めた。個人消費を下支えしてきた雇用情勢の悪化が表面化。問題は住宅部門から金融・資本市場、さらに産業活動の現場へと広がる。米景気は全般的にはなお底堅いが、先行きの不透明感は増している。世界の市場の動揺は収まらず、日本経済が抱えるリスクも高まりつつある。(関連記事9面に)
 「来年の全米の新規住宅融資は今年より二五%減少する」。米住宅金融最大手、カントリーワイド・ファイナンシャルは七日、今後三カ月で従業員数の二割にあたる最大一万二千人を削減すると発表した。八月に五百人、五日に九百人の削減を発表したばかりだったが、逆風はやまない。
 雇用統計ショック――。米政府は七日、八月の雇用者数が前月比四千人減少し、二〇〇三年八月以来続いた雇用拡大がとまったと発表した。ダウ工業株三十種平均は先週末約二五〇ドル下げ、週明け十日には日経平均が三五〇円超下げ、アジア株も軒並み下落した。
 八月半ば以降、相次ぐ金融機関の大量の人員解雇の動きが統計に反映されるのはこれからで、米労働市場が縮小に転じた可能性がある。
 「最新の情報を注視し、実体経済への影響を見極める」。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が八月末の講演で臨戦態勢を表明して以来、はっきり悪化を示した指標は初めてだ。
 主要小売業の売上高、製造業景況感指数など八月の米景気指標は、金融市場の混迷が示すほど弱くはない。だが「景気のいい部分は徐々に消えていく」(エド・ハイマン米ISI会長)との見方が増えている。
 その兆候はある。
 ▼オートバイ大手、ハーレーダビッドソンは七―九月の出荷台数見込みを約七%下方修正した。八月の売り上げが急激に落ち込んだためだ。
 ▼FRBは地区連銀経済報告で融資基準の厳格化で自動車販売に影響が出るというディーラーの懸念を紹介した。
 問題の震源地、米住宅市場では四―六月の住宅ローンの延滞率が五・一二%と五年ぶりの高水準に。月々の支払額が跳ね上がる変動金利型ローンは、来年末にかけて金利改定を迎える分が八千億ドル(約九十兆円)規模あるといい、状況の一段の悪化が予想される。
 傘下の運用会社で住宅ローンの証券化商品を抱えている欧米の銀行の資金繰りも困難さを増している。銀行財務への疑心暗鬼から短期資金をやりとりするロンドン銀行間取引金利(LIBOR)は急上昇。ドル三カ月物は直近で五・七%台と一カ月で〇・四%前後も上昇した。
 ゼネラル・エレクトリック(GE)など米主要企業の借入金利はLIBORに連動。金融不安は資金調達コスト増を通じて企業業績を圧迫しつつある。
 〇七年の米実質成長率は二%前後――。民間エコノミストの大勢は二%台後半という当初予想を引き下げつつも、米景気の腰折れは避けられると見ている。ただし、その前提は十八日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅な利下げ。従来予想の〇・二五%ではなく「利下げ幅は〇・五%」(ゴールドマン・サックスのハチウス氏)という見方も出てきた。
 米経済は「雇用・所得の堅実な伸びが消費を下支えする」という安定の構図を維持できるのかどうか。四―六月期に年率換算で一・二%減のマイナス成長となった日本経済にとっても、米景気減速が最大の懸念材料になっている。

(9/11日経新聞)

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9月利上げ予想ゼロに、「年内1回も難しい」見方浮上

 金融市場で日銀の利上げ観測が弱まっている。将来の金融政策などを予想して取引する「翌日物金利スワップ(OIS)」からみた九月利上げの予想確率は十日、ゼロ%に低下した。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライム)問題をきっかけに米景気の不透明感がさらに強まり、日銀による利上げは「年内に一回実施するのも難しい」との見方が浮上している。
 ▼…利上げ観測の後退に拍車をかけたのは前週末七日に公表された米雇用統計。八月の非農業部門の雇用者数が四年ぶりに前月比で減少したのを受け、日銀内でも「金融市場とともに米経済の行方をゆっくり見極める必要が出ている」(幹部)との指摘が出始めた。こうした見方は市場も共有しており、OIS金利でみた九月利上げの予測は初めてゼロ%になった。前回八月の金融政策決定会合の直後は約四割の予想だったものの、利上げ予想はじりじり弱まった。
 ▼…先行きにも市場の視線は厳しくなっている。OISから計算した一年先に金利がどれくらい上がるかの予測も十日、現在に比べて「〇・二一%の上昇」になった。日銀の利上げ幅は一回に〇・二五%ずつとの予想が多いなかで、一年間に利上げが一回あるとも言い切れない水準まで下がった。サブプライム問題に火がつく前は年に二回の引き上げをほぼ織り込んでいた。市場の読みの変化はやや激しすぎるという見方も出ているが…

(9/11日経金融新聞)

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2007年9月 9日 (日曜日)

米利下げ観測強まる、「0.25%か0.5%か」焦点

米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の深刻化を背景に、米連邦準備理事会(FRB)が本格的な利下げに踏み切る公算が大きくなってきた。市場関係者は18日の利下げをほぼ確実視しており、0.25%と0.5%のどちらの下げ幅を選択するかに関心が移っている。バーナンキFRB議長は景気の動向をぎりぎりまで見極め、最終的な対応を決断する。
 8月の雇用者数が4年ぶりに減少したのを受け、7日の米市場では景気失速の懸念が急浮上した。サブプライム問題を発端とする金融不安が実体経済に打撃を与えていることが確認され、FRBが利下げに転じるとの期待が一気に膨らんだ。
 FRBの政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は年5.25%。18日に開く次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利下げを決めるとの観測が大勢だが、ゴールドマン・サックスやメリルリンチなどは0.5%の利下げを織り込んでいる。
 「意味のある利下げが必要だ」。フランク下院金融サービス委員長(民主党)は7日、FRBの行動を催促する声明を発表した。議会の利下げ圧力は一段と強まっており、FRBの外堀は着実に埋まりつつある。
 8月9日以降の金融不安に歯止めをかけるため、FRBは短期金融市場への潤沢な資金供給や公定歩合の緊急引き下げに踏み切った。ただ、企業が短期資金を調達するコマーシャルペーパー(CP)市場の混乱は収まらず、株式市場や外国為替市場も乱高下を繰り返している。
 FRBが5日発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)では住宅市場の冷え込みが浮き彫りとなり、7日の雇用統計では労働市場の悪化も鮮明になった。FRBの内部でも「景気後退の可能性が高まった」(セントルイス連銀のプール総裁)との見方が出ており、利下げに動く準備は整っている。
 バーナンキ議長は投資家などの安易な救済には慎重で、0.25%の漸進的な利下げを探るとの見方が多い。しかし、週明けの市場動向によっては、0.5%の大幅な利下げを迫られる可能性もある。
 利下げ幅が0.25%なら2003年6月以来、0.5%なら02年11月以来。市場では18日の利下げを皮切りに、FF金利の誘導目標を年末までに4.25―4.5%に引き下げるとの見方も広がっている。

(9/8日経ニュース)

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2007年9月 7日 (金曜日)

日米株価、思惑に揺れる―金融緩和期待に危うさ

 日米の株式相場が不安定だ。日経平均株価は六日、四日ぶりに反発したものの、四〇〇円を超える振幅で乱高下した。米国では利下げ期待が盛り上がり、金融政策の思惑で株価が振れやすくなっている。信用力が低い米個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題をきっかけとする「金融緩和モード」の行方が相場を左右する現状には、危うさもつきまとう。
 東証では六日、為替の円高傾向も逆風となって午前中は輸出関連株を中心に幅広い銘柄が売られた。米国の実体経済の悪化が拡大すれば「米国依存の高い日本経済の減速も避けられない」(クレディ・スイス証券の市川真一チーフストラテジスト)との警戒感は強い。先週来、住宅や設備投資関連の悪い指標が相次いだことも、投資家心理を冷え込ませている。
 十八日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で連邦準備理事会(FRB)は利下げに踏み切るというのが市場参加者の共通認識。まず短期市場の信用不安を沈静化させたうえで「利下げ効果で米景気も次第に浮揚してくる」(UBS証券の平川昇二チーフストラテジスト)との期待がある。
 半面、利下げはFRBが実体経済の悪化を追認したことを意味するとの解釈もある。このため、利下げだけでは日米株価の本格反発に力不足で「米住宅市場の底入れを示す統計が出るまで、薄氷を踏むような不安定な相場が続く」(野村証券の岩沢誠一郎チーフストラテジスト)との指摘もある。
 ニューヨーク市場関係者は、金融政策の行方に一喜一憂する様相を強めている。五日にFRBが発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)は緩やかな景気拡大を指摘し、予想を上回る内容と受け止められた。
 実体経済の好調さは株価の下支え要因にもみえるが、むしろ「利下げは期待できない」との失望感が優勢になった。ダウ工業株三十種平均の下げ幅は一時、二〇〇ドルに達した。
 欧州中央銀行が六日に利上げを見送り、世界的な「緩和モード」が長期化するとの見方も出ている。ただ、企業業績に代表される投資の物差しが二の次になり、金融政策をめぐる思惑が幅をきかせる株式市場では、投資家は想定外のリスクを抱え込むことにもなりかねない。

(9/7日経金融新聞)

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2007年9月 4日 (火曜日)

「構造改革相場」の終焉?――投資環境悪化、相場の重しに

 三日の日経平均株価は小幅反落したが、世界的な連鎖株安の中で付けた先月十七日の年初来安値(一万五二七三円)からは八%程度持ち直した水準。米国発の信用不安問題に対する日米欧の中央銀行の一連の応急措置を好感した格好だが、相場の反発は持続するのか。先行きを占う上で一つの指標となるのが日経平均と二十四カ月移動平均との関係の変化だ。
□ ■ □
 二十四カ月移動平均は過去二年間の投資家の平均売買コストを示す。日経平均が二十四カ月移動平均を下回ると、計算上では期間中に株式を購入した投資家すべてが含み損を抱えることになる。過去も日経平均が下回った後に、一―三年にわたって下げ相場が続いた場面もあった。
 ここ二年余りは日経平均が二十四カ月移動平均を大きく上回る状態が続いてきたが、八月末時点の二十四カ月移動平均(一万六三七八円)に対する日経平均の上方乖離(かいり)率は三日にわずか〇・八九%まで狭まり、逆転ぎりぎりの水準に接近した。
 八月末から数えて二十四カ月前の二〇〇五年八月は、いわゆる「郵政解散」や政府・日銀の「踊り場脱却宣言」などを好感した投資家の買いが入った月。年初来高値を付けた今年七月九日までの上昇相場の起点ともいえる。
 二十四カ月移動平均に対する日経平均の上方乖離率は、八月末時点ですでに一・一六%と、〇三年八月に日経平均が上回って以来、最低水準に低下していた。〇五年八月末時点の上方乖離率一〇・六二%を大幅に下回る。二十四カ月移動平均と日経平均が逆転ぎりぎりまできていることで、〇五年八月を起点とする上昇相場が転換点を迎えているとみる市場参加者は多い。
 今年の八月末と〇五年八月末を比較すると、投資環境の厳しさが浮き彫りとなる。最大の変化は日本株の売買シェアの約六割を占める外国人投資家の投資姿勢の変化だ。
 東京証券取引所の投資主体別売買動向によると、〇七年八月の外国人は第四週までの合計で一兆八百九十九億円の売り越し。売り越し幅はこれまで過去最大だった一九八七年十月以来の水準。一方で〇五年八月は一兆九千六百二十四億円の買い越しで、東証の統計開始以来で最大の買い越し幅だった。
 〇五年は九月の衆院選を控えて構造改革期待が高かった。一方、今年は七月の参院選で自民党が大敗した。三菱UFJ証券の藤戸則弘投資情報部長は「構造改革路線の揺り戻しに対する懸念から外国人の資金が他の新興国へ移る可能性もある」と指摘。「構造改革相場」の終焉(しゅうえん)を示唆する。
□ ■ □
 個人投資家の投資余力に対する懸念も強い。個人などが信用取引で買った株式の含み損益を示す信用評価損益率は八月二十四日時点でマイナス一四・四三%。〇五年八月二十六日時点に比べ大幅に悪化している。一方で六カ月以内に反対売買で決済する必要がある信用買い残は増えており「長期資金が入っていない」(楽天証券の福永博之チーフストラテジスト)。
 当時と比べて予想PER(株価収益率)など株価指標は改善している。日本経済新聞社の集計によると、上場企業(金融、新興市場除く)の〇八年三月通期の経常利益見通しは前期比四・二%増と好調だ。好業績や割安感から相場の先行きに対して強気な見方も残る。だが上値の重さが二年前と比べた需給悪化に伴う投資家心理の萎縮にあるとすれば、日経平均の本格的な反発は当面見込めそうもない。

(9/4日経金融新聞)

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2007年9月 1日 (土曜日)

上場企業の4―6月期、経常利益20%増

 上場企業の2007年4―6月期連結決算が31日出そろった。日本経済新聞の集計によると全産業の経常利益は前年同期比20.4%増となった。主力の自動車や電機が輸出を中心に好調だったほか、素材高が商社や化学などの収益を押し上げた。増益基調は続くとの見方が多いが、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライム)問題などリスク要因も浮上。通期見通しについては慎重な姿勢が目立つ。
 集計対象は金融や新興3市場を除く3月期決算の全上場企業1554社。
 全産業の経常利益の16%を占める自動車は22.8%の増益。スズキはアジアや欧州を中心に小型車「スイフト」が好調で20%増益。海外向けの小型車生産を優先した戦略が奏功した。
 電機や機械も3割を超す経常増益。コマツは主力の建設・鉱山機械の海外販売が伸びた。同部門の営業増益分の3分の1が円安効果だった。
 自動車や造船向けの高級鋼が増えた鉄鋼は27.7%の増益。新日本製鉄の増田規一郎副社長は「高級鋼の需要は根強い」と強調。原材料価格上昇による利益押し下げ効果も数量増で吸収した。
 資源価格高止まりの恩恵を受けた商社も大幅増益が続いた。大手5社は海外の油田や鉄鉱石鉱山などへの積極投資による生産量拡大も寄与した。
 もっとも、通期の経常増益率見通しは4.2%で、期初の3.5%からほとんど変わらなかった。4―6月期で26.4%増益だった化学は、「ナフサ価格の動向など不透明要因がある」(旭化成の伊藤一郎副社長)として、大手5社は通期見通しを据え置いた。
 国際企業の業績改善の追い風になった為替も最近はサブプライム問題の影響で不安定だ。野村証券の伊藤高志シニアストラテジストは、「円高が1ドル=110円台前半にとどまるなら通期業績への影響は想定の範囲内」とみる。しかし、サブプライム問題が米国の実体経済に波及するなどの展開となれば、販売数量などの面から業績に影響が及ぶ可能性もある。

(9/1日経ニュース)

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2007年8月31日 (金曜日)

戻り高値 不安定な展開続く・元木氏――9月まで予断許さず

 元木宏・AIG投信投資顧問常務執行役員 31日の日経平均株価は415円高と急伸した。一部では「これで下振れ懸念は遠のいた」との見方も出ているようだが、まだ外部環境は予断を許さない状況にあり、当面は不安定な展開が続くとみている。
 きょうは「ブッシュ米大統領が信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題についての対策を発表する」との報道が買いに弾みを付けた面が大きいようだ。日本時間今晩の米株式相場も上昇するだろうが、サブプライム問題の深刻な実態を受けた緊急対策という深読みもできる。つまり、今後も金融機関などの巨額損失が表面化し、再び世界中を揺るがす危険は残っていると認識しておいた方が良さそうだ。
 このところ海外の株式や為替相場は、要人発言や経済指標で一喜一憂する値動きの荒い展開が続いている。国内の企業業績は総じて良好ではあるが、当面は日本株も外部要因に振り回される乱高下の展開が続く公算が大きい。相場が落ち着きを取り戻すには、少なくとも9月に予定されている欧州中央銀行(ECB)の理事会、米連邦公開市場委員会(FOMC)、そして米金融機関の決算発表などを通過する必要があるだろう。

(8/31日経ニュース)

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2007年8月24日 (金曜日)

アルゼの4―6月期、28億9200万円の経常黒字

 パチスロ機器メーカーのアルゼは24日、2007年4―6月期の連結経常損益が28億9200万円の黒字(前年同期は2億9900万円の赤字)になったと発表した。パチスロ機の販売が伸びたほか、持ち分法適用のカジノホテル運営会社が好調で投資利益約17億円が発生した。
 売上高は24%増の126億円だった。純利益は子会社の固定資産譲渡により特別利益が発生したため、47億7200万円の黒字(同4億100万円の赤字)だった。
 子会社のセタが08年3月期に計上すべき売り上げを07年3月期に計上していた可能性があることが23日、分かった。約3億3000万円で、アルゼの4―6月期業績にも影響を与えるため、金額が確定次第、発表するという。

(8/24日経ニュース)

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内閣改造「構造改革継続が最低ライン」――歳出削減見直し警戒

 24日の東京株式市場で日経平均株価は反落。前日急伸した反動による利益確定売りが目立った。週明け27日に実施されるとみられる安倍晋三首相による内閣改造を控えた手控え気分も一部にはあったようだ。参院選での惨敗を受けた内閣改造だけに、安倍首相としては起死回生の一打としたいところだが、市場の声を総合すると「少なくとも、これまでの構造改革路線の継続が最低ライン」との反応だ。
 世界景気の堅調も背景に、日経平均株価は安倍内閣がスタートした06年9月26日(1万5557円)から参院選前の直近営業日となる07年7月27日(1万7283円)まで11%上昇した。5年5カ月続いた小泉政権の後を継ぎ、安倍内閣は規制緩和や歳出削減などを伴う小泉流の構造改革路線を継承。市場では「莫大(ばくだい)な赤字を抱える財政の再建につながると前向きにとらえられてきた」(国内証券の情報担当者)と言っていい。
 しかし参院選は年金問題などで歴史に残る自民党の惨敗となり、参院第一党を民主党に奪われた。市場関係者が特に気にしているのは格差問題を背景とした民主党の地方1人区での圧勝。「地方対策のため歳出削減などに見直し圧力が働き財政再建が遠のく」との連想が「日本売り」につながるとの懸念だ。このため、今回の内閣改造では経済閣僚に「民主党との折衝に堪えられる構造改革派」を求める市場関係者が多い。新光証券の瀬川剛エクイティストラテジストは「特に歳出をつかさどる財務相の人選がキーポイント」と指摘する。
 報道各社の関連報道をみると、自民党からは挙党体制のため「実力者」の入閣が望まれるとの声があがっているという。その1人である谷垣禎一前財務相は「財政再建の過程で増税議論は避けて通れない」との立場だ。増税に対し積極的な経済閣僚の就任は株式市場で消費者心理の悪化が連想されやすいため気になるところ。しかし「今後加速する少子高齢化社会に対応する財政策の一環として前向きに評価する投資家もいる」(モルガン・スタンレー証券の神山直樹ストラテジスト)との指摘も多い。この点の影響は総じて限定的になりそうだ。
 今回の内閣改造については、「参院選の惨敗で、サプライズ人事を狙った民間人を含め有能な閣僚候補が就任要請を受諾するか疑問」との声も聞かれた。市場の期待は少なくとも安倍内閣発足時とかけ離れていることは否めない。「誰が経済閣僚候補として期待できるという以前に、少なくとも構造改革路線という方向感だけは確認したい」(国内シンクタンクのエコノミスト)というのが足元の市場心理のようだ。

(8/24日経ニュース)

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株式ミニ投資――値がさ優良株に分散投資も

 Q 株式ミニ投資について教えてください。
 A ミニ株ともよばれ、通常の十分の一単位の株数で売買できる制度です。株式は銘柄ごとに売買単位が決まっています。たとえば単元株百株のトヨタの場合、最低約六十五万円の資金が必要です。株式ミニ投資を使うと十株、六万五千円程度から購入できます。
 Q どんな株でも買えるのですか。
 A 主要銘柄はおおむね対象ですが、新興市場株の一部には買えないものもあります。NTTのように売買単位が一株の銘柄も対象外。証券会社によって決められ、取扱銘柄数にも差があるので確認が必要です。
 Q 配当や株主優待などの権利は。
 A ミニ株でも持ち株数に応じた配当金を受け取れます。株主優待については換金可能なものは換金のうえ分配してくれる証券会社もあります。ただし名義は証券会社のものとなるため議決権行使はできません。
 Q どのような活用法がありますか。
 A 値がさ優良株への分散投資に使う方法があります。以前に比べ株式分割や売買単位の引き下げが進み、手掛けやすい銘柄も増えてきました。それらの株は通常取引で買い、国際優良株など値の張る銘柄はミニ株でという具合に「戦略的に使い分けて活用する投資家も増えている」(日興コーディアル証券)といいます。
 Q 注意点は。
 A 通常の取引と比べ売買手数料が相対的に高く、頻繁な売買には向きません。証券会社によっては口座管理費が別途かかる場合もあります。また、株式ミニ投資では注文の翌営業日の寄り付き価格で約定します。指し値注文はできず、海外市場の動向などによっては思いがけない価格で売買が成立してしまうこともあるので注意が必要です。

(8/24日経新聞)

ブロードバンド系商品

NTT西日本

NTT西日本

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2007年8月23日 (木曜日)

板硝子、今期経常益3.4倍に――為替、期初予想より円安で

 日本板硝子は23日、2008年3月期の連結経常利益が前期比3.4倍の270億円になりそうだと発表した。従来予想(240億円)から30億円上方修正した。為替相場が期初予想に比べ円安に振れていることが主因。海外で主力のガラス販売が好調なことも利益を押し上げる。
 売上高は25%増の8500億円になりそう。今期の為替見通しを1ポンド=215円と見込んでいたが、07年4―6月の期中為替平均は239円と大幅な円安で推移。今期の想定為替レートを230円に見直したことで、英子会社ピルキントンの売り上げが拡大する。
 営業利益は89%増の450億円になる見込み。1円円安に振れると、1―1.5億円営業利益を押し上げる。主力のガラス販売は国内は伸び悩むが、欧州や南米では建築と自動車向けに増加。税制改正に伴う減価償却費の負担増や燃料価格の上昇を吸収する。
 純利益は4.4倍の530億円になりそうだ。主力の板ガラス事業を再構築するため、7月にピルキントンの豪州子会社を売却したことで、特別利益が発生する。
 同日発表した07年4―6月期の連結純利益は前年同期比95%増の469億円。売上高は3.4倍の2178億円となった。

(8/23日経ニュース)

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外国人の売越額「ブラックマンデー並み」――資金回帰に不透明感

 前週の株式市場で日経平均株価が1490円と大幅に下落したのは、外国人投資家の売りが主導したことが統計からも裏付けられた。東京証券取引所が23日発表した8月第3週(13―17日)の投資部門別売買動向(東京・大阪・名古屋3市場、1・2部と新興企業向け市場合計)によると、外国人の売越額は7519億円と、「ブラックマンデー」翌週の1987年10月第4週(7675億円)以来、約20年ぶりの高水準だった。
 東証によると、週間ベースで過去最大の外国人の売り越しは87年10月第3週の1兆1220億円で、今回は過去3番目となった。前週末17日に日経平均は874円安と、IT(情報技術)バブル崩壊時の2000年4月17日以来の下げ幅を記録した。米国での信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の焦げ付き問題による信用収縮懸念を背景に、リスクマネーを引き上げる動きが世界各地で起きた。市場では「8月第3週の日経平均の急激な下げ方は取引シェアの約6割を占める外国人投資家の資金引き揚げしか考えられなかった」との声が多く、こうした見方が確認された。
 2月下旬に中国株の急落をきっかけに世界連鎖株安が起きた「チャイナショック」を受け、外国人は2月第4週に2649億円、3月第1週には3900億円を売り越したが、7月には日経平均が年初来高値を更新するなど順調に回復した。一方、今回の売り越し規模はチャイナショック時をはるかに上回る。外国人は8月第3週まで4週連続で売り越し、その累計は1兆4000億円近くに達している。その分、相場の下げもきつくなった。
 この週の委託の内訳で売り越していた投資主体は外国人だけで、国内勢は個人投資家を中心に押し目買いが目立った。ブラックマンデー当時も外国人が売り浴びせたのに対し、個人が買い向かった。こうした構図は一見似ているが、当時とは市場環境に違いがある。日興コーディアル証券の西広市エクイティ部部長は「今はネットなどの発達で世界中の市場がつながっている」と指摘する。
 今回、国内外の株式相場の波乱要因となったサブプライム問題は、証券化されたリスクが様々な金融商品に複雑に組み込まれ世界中に散らばっている状態だ。各中央銀行による短期金融市場への資金供給で信用収縮懸念はひとまずは後退しおり、日本企業の業績はおおむね好調だ。しかし、「世界のどこかで『不発弾』がまた爆発する可能性は捨てきれない」(市場関係者)との声は根強く、明確に海外資金が回帰する筋道はまだみえない。

(8/23日経ニュース)

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日銀、利上げ見送り――政策決定会合、市場動向見極め

 日銀は23日開いた金融政策決定会合で、政策金利の引き上げを見送り、現状維持とすることを決めた。誘導対象である無担保コール翌日物金利を年0.5%前後に据え置き、即日実施した。正副総裁を含む9人の政策委員は賛成8に対し反対1。金融・資本市場が不安定な状態になっており、実体経済への影響を見極める必要があると判断した。
 日銀が現状維持の方針を決定したのは7回連続。会合では日本の物価や景気の見通しなどを分析。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)に端を発した市場の動揺や米国経済の先行き、国内からの輸出動向なども議論したもよう。
 政策委員の間で、株式市場の乱高下が続くなど不安定な状態が続いていることなどを踏まえ、情勢分析を進めた方が良いとの意見が大勢となった。福井俊彦総裁が金融政策の現状維持の議案を出し、決議したとみられる。現状維持に反対したのは7月に続いて水野温氏審議委員。
 同日午後には福井総裁が記者会見し、政策決定の背景や景気認識について説明する。
 日銀は前月の会合直後、今後の景気回復に自信が持てれば、政策金利を引き上げる姿勢をみせていた。ところが、サブプライム問題をきっかけに内外の金融・資本市場で信用収縮懸念が高まった。今週に入ってからは株式市場などは落ち着いてきたものの、依然として不安定さが残っている。
 会合では、日銀が金融機関の申し出に応じて資金を貸し出す「補完貸付制度」の基準金利も現行の年0.75%で据え置いた。

(8/23日経ニュース)

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上海株、続伸で始まる 指数は初の5000台乗せ、大手銀行株に買い

23日朝方の中国株式市場で、上海株式相場は続伸して始まった。通常取引開始前の「プレオープニング」で上海総合指数は前日比0.45%高い5002を付けた。上海総合指数が5000台に上昇したのは初めて。中国人民銀行による21日の利上げ発表を受けた22日の上海株が上昇したことで市場心理が一段と上向いた。大手銀行株や不動産株などに買いが先行している。

(8/23日経ニュース)

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情報サービス各社4―6月業績、金融向け比率で格差

 情報サービス各社の業績に格差が出始めた。2007年4―6月期業績は、売り上げに占める金融機関向け比率の高い企業が軒並み増収増益だった。野村総合研究所をはじめ中間や通期の業績予想を上方修正する企業が多かった。金融機関がシステム投資を積極化していることが追い風となっている。
 野村総研の07年4―6月期の連結業績は営業利益が前年同期比31%増の107億円。野村ホールディングス向けの売り上げが20%増えた。08年3月期の業績予想は営業利益を前期比19%増の520億円(従来予想は460億円)に引き上げた。
 日立ソフトウェアエンジニアリングも銀行など金融向けが33%増え、中間期の営業利益を37%増の47億円(従来予想は44億円)とした。NTTデータは金融向けが38%増と伸長し、営業利益が23%増の200億円だった。
 日銀の今年6月の企業短期経済観測調査では、07年度の金融機関のソフト投資額見通しは前年度比28%増。メガバンクのシステム統合や生損保の不払い対応が追い風。サービス充実を図る証券会社もシステム投資を増やしている。
 半面、金融向けの比率が相対的に低い企業は売り上げの伸びが小さく、人件費などの販管費負担増を吸収できなかった。金融向け比率が1割を切る伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の4―6月期業績は営業利益が71%減の8億円。富士ソフトも23%減の10億円だった。

(8/22日経ニュース)

ハイビジョン液晶TVセット

上新電機

パソコンとAV家電の専門店 アプライドネット

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2007年8月22日 (水曜日)

株、「漠然とした不安」は徐々に解消へ・岩沢氏――日柄調整は必要

 岩沢誠一郎・野村証券チーフストラテジスト 日経平均株価は一にも二にも外部環境次第の展開が続いており、今後の動きを読める段階にはない。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題を発端とした世界の金融・株式市場の混乱は起きてからまだ日が浅いため、日本の株式相場もしばらくは日柄調整が必要だろう。
 ただし、今回の問題の本質は資産担保CP(ABCP)市場の機能不全にあることが徐々に明らかになってきたことで、世界の投資家が抱いている「漠然とした不安」は解消に向かいつつある。ABCP市場が問題の根幹であるのならば、実現性は乏しいものの、最終的に米連邦準備理事会(FRB)がABCPを買い取れば、混乱は収束するといった処方せんをイメージできるからだ。
 実体経済への影響も今のところは考えなくて良いだろう。消費者心理は別として、主要な経済指標にサブプライム問題の影響は表れていない。米国の金利低下が今後は米住宅市場を下支えすることを考慮する必要もある。

(8/22日経ニュース)

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株、サブプライム波及の疑心暗鬼が重し――様子見の声も

 22日午前の東京株式市場は日経平均株価が小反落。1万6000円の回復はおろか、前日よりも安い水準での推移に終始した。重しになったのは依然として根強い信用収縮への不安感と、主要企業の想定為替レートを上回る円相場の水準の2つ。「日本株はしばらくこうした展開が続く」との見方が多い。
 「米国における信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の焦げ付き問題が世界的に波及し、信用収縮が起こる」という不安感は依然として根強い。例えば21日のシンガポール取引所(SGX)の日経平均先物9月物が夜間取引で下落に転じた理由は「英系保険会社がサブプライム関連で損失を出した」とのうわさが一因だった。問題が米国にとどまっていないことが「馬インフルエンザと同じで、どこまで問題が波及しているのか分からない」(立花証券の平野憲一執行役員)との不安感につながり、相場の重しになっている。
 三菱UFJ証券の藤戸則弘投資情報部長は「前日21日の日経平均の動きを見て、しばらくは回復が見込めないと感じた」と話す。一時は1万6100円まで回復したが、戻り待ちの売りにおされ、1万6000円を維持できなかった。
 米実体経済への不安感はじわりと広がっている。米ワシントンポスト紙とABCがまとめた19日現在の消費者信頼感指数によると、米国経済に対しては弱気の見方が強まっている。サブプライム問題が実体経済に及ぼす影響が無視できない動きになってきたと言えそうだ。さらに日本の場合、円相場が1ドル=114円台前半で推移している。「このまま円高・ドル安が進めば、実体経済へのマイナスの影響の懸念が出てくる」(平野氏)という外需依存の日本株ならではの問題ももたげてくる。
 きょうはみずほFGや三菱UFJ、三井住友FGといった大手銀行株だけでなく地方銀行株も総じて売られている。外資系証券アナリストは「利ざや改善だけでなく、貸し出しの実績が伸びないと株価は大きく反応しない」と指摘する。日銀はあすまでの政策委員会・金融政策決定会合で利上げを見送る公算が大きいが、このことが不安心理の払拭(ふっしょく)には至らない点がサブプライム問題の根の深さだ。市場からは「海外の株式相場が落ち着くまでしばらく待つしかない」(藤戸氏)との声も聞こえてきている。

(8/22日経ニュース)

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株、日柄調整に入る・かざか証券田部井氏――下値懸念は薄い

 田部井美彦・かざか証券市場調査部長 22日午前の日経平均株価は小幅な値動きにとどまった。株式相場の値幅調整は終わり、日柄の調整に入ってきた。東証株価指数(TOPIX)はPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)といった指標面で、2004年や2005年の安値水準にほぼ達し、下値懸念は薄らいでいるが、現時点で積極的に買う材料もみあたらない。
 信用力の低い個人向け住宅融資「サブプライムローン」問題への不安感はまだ残っている。7月の米国の競売や差し押さえ不動産件数は前年同月からほぼ倍増している。金利がステップ・アップしていくローンの形態からすると、焦げ付きなどの問題はこれからも続き、金利変更といった小手先の対応だけでは不十分だ。政府による債権の一時的な肩代わりなど、抜本的な方針が見えてくるまでは問題は尾を引くだろう。
 株式相場の本格的な上昇には日米の金利差が落ち着くことも必要になる。金利差の水準が不透明なままでは裁定取引などヘッジファンドの動きは定まらず、相場変動につながりやすい。

(8/22日経ニュース)

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2007年8月21日 (火曜日)

楽天の6月中間、連結経常益28%減――証券部門の低迷で

 楽天(4755)が21日発表した2007年6月中間期の連結決算は、経常利益が前年同期比28%減の149億円だった。楽天市場など主力のEC事業は堅調に推移したものの、個人投資家の比率の高い新興市場の株価低迷で、傘下の楽天証券ホールディングスの業績が低迷したことが響いた。
 売上高は6%減の989億円。主力のEC事業やトラベル事業は堅調だったが、証券事業の低迷に加えて、クレジット・ペイメント事業が伸び悩んだ。
 営業利益は30%減の134億円、純利益は18%減の58億円だった。前年同期にあった特別退職金などの特別損失がなくなったことで、最終減益幅が縮小した。

(8/21日経ニュース)

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老後の資産運用、ファンドが好調、4ヵ月で残高41%増

 老後の資産運用を主な目的とするファンドが人気を集めている。フィデリティ投信とニッセイアセットマネジメントが運用する三ファンドの純資産残高の合計は七月末時点で三百十四億円。三月末からの四カ月で四一%増加した。団塊世代の退職が進むほか、現役世代も年金の記録漏れ問題などで老後の生活を不安視していることなどが背景とみられる。
 三ファンドはフィデリティの退職設計ファンドと退職金活用ファンド、ニッセイアセットのセカンドライフ応援ファンド。いずれも国内外の株式、債券、不動産投資信託(REIT)などに分散投資し、安定収益の確保を目指している。最も純資産が大きいのは退職金活用ファンドの二百四十二億円(安定型、成長型など投資リスクに応じた三種類の商品の合計)で、四カ月で二二%増えた。「少子高齢化の進行で中高年層の資産運用への意識は引き続き高まる」(ニッセイアセット)とみられる。

(8/21日経金融新聞)

ANAホテルズ

NEC デスクトップ(ラインアップ)

アウトドア&フィッシング ナチュラム

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自社株買いに動く企業増える

 米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題を発端とする株式相場の大幅調整に対応し、自社株買いに動く企業が増えている。20日、SMCが初の実施を決め、大和ハウス工業やテルモは買い付けを発表。ロームは先週末に実施を決めた。自社株買いは株安に一定の歯止めをかける効果があり、今後も相場次第で追随する企業が出てくる可能性がある。
 「株価が急落する中、株主価値を最大限に配慮した」。20日に自社株買いを決めたSMCの薄井郁二専務はこう話す。買い付け規模は上限130万株(発行済み株式数の1.8%)、金額は同200億円。期間は21日から9月20日まで。株価は17日までの5営業日で15%下げており、「自社株買いにより株主の不安を取り除こうと考えた」(薄井氏)。
 大和ハウス工業は21日に立会外取引で860万株(同1.46%)、160億円を上限に自社株を取得する。「株価調整局面は自社株買いの好機で、下落が続く株価のテコ入れにもつながると判断した」(財務部)という。当面は消却せずに金庫株として持ち、「将来のM&A(合併・買収)資金などに活用する」方針だ。
 テルモも同日、立会外取引で250万株(同1.2%)の自社株を買い付ける。6日の取締役会で500万株を上限とする取得枠を設定済みだが、これまで買い付け実績はなかった。「短期的には先週末で株価が底を入れた可能性が高く、買い時と判断した」
 一方、先週金曜日の相場急落時にロームは取締役会を開き、100万株、100億円を上限とする自社株買いを決めた。今期はフリーキャッシュフロー(純現金収支)の100%以上を配当と自社株買いで株主に配分する方針を打ち出しており、買い付けのタイミングを探っていた。取得期間は20日から9月14日まで。
 株安を好機と見て、設定済みの自社株取得枠の消化を急ぐ企業もある。シンプレクス・テクノロジーは6月から始めた上限2万5000株の自社株買いのペースを速める方針だ。「今回の株価急落で買いたい値段に入ってきた」(沢田正憲執行役員)として、自社株買いを委託する証券会社に買い付けを指示したという。

(8/20日経ニュース)

2007夏 LOOX9COLORS

2007夏モデルFMV新登場

2007夏 FMV-BIBLO NFシリーズ

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私鉄7社、経常減益・大手13社の4―6月

 私鉄大手13社の2007年4―6月期の連結業績が20日、出そろった。前年同期に比べ7社が経常減益、6社が増益となった。景気回復を追い風に鉄道の輸送人員は好調だったが、不動産販売や減価償却費が各社の収益の明暗を分けた。
 20日発表した東京急行電鉄の連結経常利益は1%減の223億円。多摩田園都市で法人向け物件販売が減ったほか、鉄道事業で高架化工事などに伴う減価償却費増加が利益を圧迫した。沿線開発などが奏功し、鉄道の輸送人員は5.4%伸びた。
 京王電鉄も減益。オフィスビルの不動産販売が減少。ICカード乗車券「パスモ」関連の投資で減価償却費も増えた。
 関東勢で健闘したのが2割以上増益の小田急電鉄や京浜急行電鉄。小田急はマンションの分譲販売が増えたほか、株式売却益も寄与した。京急は団塊世代向けに三浦半島西海岸の「湘南佐島なぎさの丘」の分譲販売が好調。鉄道事業でも羽田空港線の利用が伸びた。東武鉄道もマンション向けの土地売却益が膨らみ、運輸事業の減価償却費の負担増をこなした。
 関西勢では、阪急阪神ホールディングス(HD)と南海電気鉄道の2社が増益、近畿日本鉄道と京阪電気鉄道の2社が減益だった。阪急阪神HDは昨年経営統合した阪神電気鉄道が上乗せされ、45%増の216億円。傘下の阪急不動産などによる分譲マンション戸数の販売が拡大した。
 南海電気鉄道は4月に全面開業した大型商業施設「なんばパークス」が利益を押し上げたほか、3月に競艇施設を開設した効果も表れた。
 一方、近鉄は運輸事業で伊勢・志摩方面などへの長距離輸送の好調で運輸収入は増えたが、ICカード対応費用や減価償却費の増加が響いた。京阪電は前年度に子会社の飲食業を清算した影響で流通事業が低調。税制改革による減価償却費の増加を補えなかった。
 名古屋鉄道はマンションの分譲販売減少が響き減益。航空貨物事業の不振などで西日本鉄道も利益が大きく減った。

(8/20日経ニュース)

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2007年8月20日 (月曜日)

電通の4―6月期、営業益32%減――W杯の反動減響く

 電通が20日発表した2007年4―6月期の連結営業利益は前年同期比32%減の75億円だった。昨年夏のワールドカップ(W杯)サッカー・ドイツ大会の反動減を補えなかったほか、業務効率改善のためのソフトウエア投資に伴う減価償却費も増えた。
 売上高は2%減の4749億円だった。その95%を占める広告は、携帯電話を中心に情報・通信の出稿は増えたが、前年同期はW杯で大きく増えた飲料・嗜好(しこう)品や家電・AV機器が大きく減少。消費者金融の出稿減が響いた金融・保険も落ち込んだ。W杯特需が収益を押し上げた前年同期は6%の増収、23%の営業増益だった。
 今回初めて開示した経常利益は95億円、純利益は22億円。9月中間期で23億円の持ち分投資利益を見込む、持ち分法適用会社の仏ピュブリシスグループは四半期の決算集計をしていないため、四半期の損益には取り込んでいない。簡便法の採用で税金費用が大きくなったことも、純利益を押し下げた。
 一方、同業で既に発表済みの博報堂DYホールディングスの4―6月期の連結営業利益は、同75%増の50億円。W杯の反動減という特殊要因がなく、主力の広告で金融・保険や家電・AV機器が2ケタ減ったが、飲料・嗜好品や不動産・住宅設備が大きく伸びた。制作業務の内製化や原価管理の徹底といったコスト削減策も寄与した。
 両社とも2008年3月期通期の業績見通しは変えていない。

(8/20日経ニュース)

シャディ Gift&Shopping

ウイルスバスター ダウンロードストア

NEC「得選街」

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マネックス、9月中間配900円実施へ

 マネックス・ビーンズ・ホールディングス(8698)は20日、9月中間期末の一株当たり配当金を900円とすると発表した。8月と9月の業績が7月実績と同水準になることが前提。併せて発表した7月単月の月次業績は、連結経常利益が13億円(前年同月は11億円)だった。2008年3月期末の配当金は未定としている。
 マネックスは3月20日に、前期まで実施してこなかった中間配当を、07年9月中間期から実施すると発表していた。

(8/20日経ニュース)

上新電機

上新電機 パソコン買取サービス

富士通直販アウトレットPC

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2007年8月18日 (土曜日)

円安生んだ構図反転、海外投資家「円借り」解消急ぐ

 17日の東京市場で円相場が一時1ドル=111円台に急騰し、1年2カ月ぶりの高値を付けた。リスク回避の姿勢を強めた海外のヘッジファンドなどが主要通貨を売って円を買い戻したためだ。ファンドは低金利で借りた円を高金利通貨で運用する「円借り(円キャリー)取引」を膨らませていた。それが世界的な連鎖株安をきっかけに取引の解消を急いでおり、急激な株安と円高の同時進行をもたらした。
 これまで円安を演出していた構図が逆転しただけに、オーストラリアドルなど円キャリー取引の主な対象だった高金利通貨に対し、とくに円買いの勢いが激しい。
 円は豪ドルに対して1豪ドル=85円台まで買われ、この1カ月間の上昇率は22%に達した。対ニュージーランド(NZ)ドルでは26%で、米ドル(8%)やユーロ(10%)を大きく上回る。
 円キャリー取引は超低金利の円を元手にするので、金利差の大きい通貨ほど魅力があった。政策金利が高い豪州(年6.5%)、ニュージーランド(8.25%)に対し円売りが特に膨らんでいたことから、その分、円の反騰も鮮明に表れた。
 これまで長く円安傾向が続いてきたが、円相場が反発しがちになると金利差分で得られる利益はあっという間に吹き飛んでしまう。このため円キャリー取引も仕掛けにくくなる。例えば日米の金利差が年4.75%あるのに対し、最近の円相場の変動率は5%に達し、それを上回る。「円キャリー取引のうまみが減った」(外国証券の外為ディーラー)。
 日経平均株価の急落の裏には外国人投資家の売りがあるのに、株安と円高が同時に起こっているのは、円キャリー取引を解消するための円買いの規模が大きいからだ。海外のヘッジファンドには借りた円を元手に日本株に投資していたケースも多く、日本株を売っても外為市場で円売りにつながらないことがある。
 FRBが17日に公定歩合引き下げを決め、欧米外為市場では円安に振れる場面もあった。これで為替相場の動揺が収まるかは不透明で、「当面は神経質な展開が続く」との見方が多い。

(8/18日経ニュース)

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株安と円高、個人投資家に損失広がる

 株式相場の急落で、個人投資家の多くが損失を被った。証券会社に差し入れた担保をもとに、数倍の金額の売買ができる信用取引絡みの損失が目立つという。信用取引で個別株を買っていた投資家が、株価下落で「追い証」と呼ばれる担保の追加差し入れを求められ、手じまい売りに追い込まれるケースも相次いだ。少ない元手で多額の外貨を運用できる外国為替証拠金取引でも、急激な円高で個人投資家が打撃を受けた。
 「信用取引を最近始めた人や追い証が必要になった人への報告に朝から追われた」。銀行系証券会社の支店幹部はぐったりした表情で話す。
 インターネット専業証券でも17日、大手5社で1万件を超える追い証が生じた。1日の件数としては昨年1月のライブドアショックなどを超え、過去最大となった可能性が高い。これらの投資家がやむを得ず売りに動き、相場の下落が加速、その影響で新たな追い証が発生し、売りが膨らむという循環も生じた。
 東京株式市場は売買代金の約6割を外国人が占める。世界的な株安局面では外国人投資家の持ち高整理の売りに押されやすい。福岡大学商学部の水野博志教授は「投資教育が不十分な個人が大きな損失を被ると、株式投資から完全に手を引いてしまい、買いが入りにくくなる」と指摘する。
 外為証拠金取引でも個人投資家に損失が広がった。個人投資家の大半は円を売ってドルやオーストラリアドルなどの外貨を買っていた。円安・外貨高が進めば利益が生じる半面、円高になると損失が膨らんでしまう。
 この取引では10万円の証拠金をもとに、1万ドル(円相場が1ドル=120円の時なら、120万円分)の外貨を買うことも可能。ただ円相場が1ドル=113円に上昇すれば、保有する1万ドルは円換算で113万円に目減りし、7万円の含み損が生じる。証拠金の7割が吹き飛ぶ計算だ。
 投資家は一般的に証拠金の一定割合を超える評価損が生じれば、取引を停止する契約を結んでいる。外為証拠金取引を手掛ける外為どっとコム(東京・港)では「115円を超えた16日以降、売買停止を迫られた個人が多かった」(資金為替部の上田剛部長)。
 個人投資家でも株式市場で空売りを仕掛けて利益を得た人がいる半面、株式と外為証拠金取引の両方で損失を被った人もいるという。

(8/18日経ニュース)

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2007年8月17日 (金曜日)

新興3市場で年初来安値、ファンド関連株急落

 16日の新興株市場では日経ジャスダック平均株価、東証マザーズ指数、大証ヘラクレス指数が続落し、そろって年初来安値を更新した。このところ大きく下落したのは株式、不動産など投資に関連する企業。世界的に投資資金の流れが変わりつつあることが背景にあるとみられる。
 日経ジャスダック平均株価が直近の高値をつけた7月3日から8月16日までの期間で、新興3市場に上場する銘柄の下落率をランキングしてみた。最も下落率が大きかったのはファンドを通じて不動産や株式に投資するファンドクリエーション。7月6日夜に業績見通しの大幅下方修正を公表したのを受け、株価は急落した。不動産物件の取得競争が激化していることが下方修正の要因という。
 不動産ファンドを運用するアセット・マネジャーズ(ASSET)は2007年3―5月期の連結経常利益が前年同期の半分近くに減った。大型案件の売却がなかったためで、株価は下げ基調にある。
 下落率4位のリプラスは賃貸保証事業と不動産ファンド運営事業を営む。9日に07年6月中間期の業績予想を上方修正したが、株価の下落傾向には歯止めがかからなかった。マンション大手のコスモスイニシアや不動産流動化のレーサムリサーチも軟調だ。
 ベンチャー投資を手掛けるngiグループやベンチャーキャピタルのエヌ・アイ・エフ・SMBCベンチャーズ、中小型株を対象とする投資信託を運用するスパークス・グループの株価もさえない。新興株相場の低迷が長期化した場合、運用収益が落ち込む恐れがあることを市場が警戒しているとみられる。
 M&A(合併・買収)助言のGCAも世界的な株安局面でM&Aの拡大ペースに歯止めがかかることが懸念されているようだ。
 かつては新興株市場への資金流入を促した新規公開株人気も様変わりとなった。6月12日に上場した自動車関連情報サイトのカービューは初値こそ公募・売り出し価格を5%上回ったものの、その後はじりじりと下値を切り下げた。
 6月21日に上場した外国為替証拠金取引のマネーパートナーズ。7月上旬に07年12月期の連結業績を大幅に上方修正したが、買いが続かず、下落に転じた。市場では「成長が見込まれる銘柄にまで全面的な売りが広がっている」(国内銀行系運用会社)との声も出ていた。

(8/16日経ニュース)

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2007年8月16日 (木曜日)

円115円台、個人萎縮で次のメドは113円――「ユーロプレミアム」にも警戒

 16日の東京外国為替市場で、円相場は約5カ月ぶりに1ドル=115円台に一時上昇した。欧米市場で火の粉が降りかかる信用収縮への懸念はアジア株にも動揺を与え、リスク資産圧縮に伴う円買いが加速。日経平均株価が取引時間中に一時1万6000円の節目を8カ月ぶりに割り込む場面では115円71銭と3月8日以来の高値を付けた。
 信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の問題を背景としたリスク資産圧縮の動きは主に二つ。一つは「円キャリー取引」(低金利の円を借りて高金利通貨で運用する取引)で積み上がった円売りの持ち高を解消する円買いの動き。もう一つはオーストラリアドルやユーロなどに対して売られていたドルを買い戻す動きだ。欧州市場の信用収縮で欧州の金融機関はドル調達時に上乗せ金利である「ユーロプレミアム」を求められているという。「ドルの借り入れが困難な場合、欧州中央銀行(ECB)が供給したユーロを売ってドルを買う動きも見られる」(欧州系銀行東京支店)といい、結果として流動性供給が為替相場へ影響を与えている。
 円買いとドル買いが重なると円・ドル相場には中立だが、クロス円取引(ドル以外の通貨との円取引)での円買い戻しが強いことに加え、ここに来て短期売買を中心とする一部の個人投資家が円売り意欲を弱めていることが円の上昇力を高めているとの指摘がある。東京金融先物取引所の為替証拠金取引(くりっく365)では足元で円売り・ドル買いの建玉が減少傾向にある。直近のピークだった7月24日時点の約15万6000枚から徐々に減り、15日は約13万6000枚と円売りにブレーキが掛かった格好。「欧米に比べて日本株の上値の重さが目立つなか、株式取引も手掛ける個人にとっては積極的に円売りのリスクを取りにくくなっている」(国内証券会社)という。
 次の円高値メドは3月5日に付けた今年の高値である115円16銭。ただ、これを上回ると113円程度まで円高が進むとの見方は多い。チャートで見て、昨年の円高値である108円97銭までの「3分の1戻し」の水準にほぼ相当する。引き続きお盆休みで参加者が少ないだけに、円高の加速ペースには要注意だ。

(8/16日経ニュース)

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アジア株急落、円キャリー・バブルは終焉か――試されるアジア危機の教訓

16日のアジア各国・地域の株式市場で主要な株価指数は軒並み急落。休場明けの韓国では株式と通貨の連鎖安の状態に陥った。米株安が止まらず、低金利の円を調達して円以外の資産に投資する「円キャリー取引」を解消する動きが加速。アジア市場からの資金流出懸念が高まっている。
 韓国市場では総合株価指数(KOSPI)が7%近く下落し下げ幅は今年最大を記録した。インドネシア株やフィリピン株は約6%下げた。いずれも、アジア域内では「高金利国」とされ、円キャリー取引の資金が流入していた市場。円相場が昨年5月から今年6月まで下落する過程で、円相場とほぼ逆相関の形で高金利国の株式と通貨は急速に上昇していた。こうした「円キャリー・バブル」とも呼べる状況に終焉(しゅうえん)の兆しが出始めている。
 円キャリー取引を進めていたとみられている主体の一つが、欧米のヘッジファンド。低金利の日本で資金を調達し、アジアの通貨や株式に投資していたとされている。一方、アジアの外国為替市場では、「日本の個人投資家の外貨買いやアジア株買いが、今年前半のアジア通貨高の大きな要因」と指摘する声も多い。ある日本の投信会社は「(最近アジア株が急落する中でも)投信の解約が相次いでいるという報告はない。今のところ、日本の個人投資家は冷静だ」(広報担当者)と話す。しかし、アジアの外為市場では「アジア通貨の急落で損失を抱えた日本の個人投資家は少なくない」とささやかれている。こうしたヘッジファンドや日本人投資家による円キャリー取引解消の動きが、「アジア売り」を加速させているようだ。
 円キャリー取引の解消が警戒される中、どれだけの資金が流出する可能性があるのか、アジアで注目され始めている。韓国では財政経済省が「円キャリー取引の資金規模は韓国では50億―60億米ドルと推定される。2500億米ドル以上の外貨保有額と比べれば約2%に過ぎない」と発表した。韓国では権五奎・副首相兼財政経済相が14日の職員掲示板に「(円キャリー資金が)予期できない衝撃で急激に回収されるなら、1997年の通貨危機のような大きい混乱を招く可能性もある」との文章を寄稿していたことが15日に判明。国内で問題になったばかりだった。
 アジア各国・地域の中央銀行は今年前半のアジア通貨高局面で自国通貨売り介入を積極的に実施し、外貨準備を積み上げてきた。また、すでにアジア諸国はスワップ協定を結び、緊急時に米ドルを融通し合う制度も構築している。いずれも、97―98年のアジア通貨危機の教訓だ。このまま米株安が続けば、こうしたアジア危機の教訓が試されることになりそうだ。

(8/16日経ニュース)

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東証一部騰落レシオ60%に低下――昨年6月以来の低水準

 16日の東京株式市場で、東証一部の騰落レシオ(25日移動平均、QUICK算出)は前日比0.44ポイント低い60.11%に低下し、2006年6月14日以来の低水準となった。騰落レシオは直近25営業日の値上がり銘柄数を合計し、値下がり銘柄数の合計で割って算出。相場の過熱感や売られすぎを判断する指標として使われる。
 16日は日経平均株価が一時1万6000円を割り込むなど急激な調整局面となって下落銘柄数が値上がり銘柄数を大きく上回った。騰落レシオは一般に120%以上は相場の過熱を警戒。半面、70%前後は相場の底値圏と判断されている。

(8/16日経ニュース)

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株連日安値 数週間が厳しい場面・市川氏――日本株の戻り早い

 市川真一・クレディ・スイス証券ストラテジスト サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題が広がりを見せる中、日本を含め世界経済に不透明感が広がっている。このサブプライム問題はここ数週間がもっとも厳しい場面となるだろう。この問題はローンの焦げ付きよりも、派生商品などに組成され、誰がどの程度リスクを保有しているか明確でないことが大きい。個別企業の問題として終わるのか、あるいは制度や経済全般に影響するのかが焦点だ。
 欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備理事会(FRB)は一時的な措置として資金供給を行ったが、次は利下げに踏み切るだろう。また個別の問題ということがはっきりすれば、市場は落ち着きを取り戻す。
 日本への直接的な影響はないがユーロ圏のバブルは終わるだろう。欧州はこれまで、インフレ抑制のための利上げしてきたことでユーロ相場が上昇。世界から資金が集まり、不動産や株式の急騰を誘ってきた。今後は利下げによりユーロは下落基調に入り、欧州で利益を出している日本企業の一部に影響が出そうだ。
 米景気の失速懸念がなければ、サブプライム問題の影響がなく、全般的に業績が好調な日本の評価は高まる。今後は強い通貨となる「円」資産を買う動きが強まり、日本株の戻りは早いと見ている。
 株式相場の下値メドは明言し難いが、年末や来年3月期末を念頭に現在の水準を見れば「買い場」といえる。外国為替相場が円高に反転を迎えており、個人投資家も海外ではなく割安な日本株に目を向けるべきだろう。

(8/16日経ニュース)

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株連日安値 不安が売り呼ぶ悪循環――本格反転は外部環境次第

 16日の東京株式市場で日経平均株価が大幅続落し、連日で年初来安値を更新した。後場には1万6000円の大台を割り込む場面もあった。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に端を発した投資家の不安心理が相場を急落させ、ヘッジなどの売りを誘う悪循環に陥った格好だ。日経平均は下げ渋る展開となり1万6000円を維持して引けたため、自律反発機運が高まる可能性もあるが、本格反転には米株式相場をはじめとする外部環境の落ち着きが不可欠だ。
 日経平均の下げが加速した一因は、先物9月物が500円刻みのオプションの権利行使価格を連日で割り込んだことが挙げられる。きょうは1万6000円を下回ったことで、プットの売り手によるヘッジの先物売りが膨らんだ。
 相場急落は「ヘッジファンドが水面下でどの程度の損失を抱えているかがわからず、投資家の不安を増幅させた」(日興コーディアル証券の西広市エクイティ部部長)ことが発端だ。米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は前月の議会証言でサブプライムローンを組み込んだ金融商品の損失が最大1000億ドルに達するとの試算を明らかにしているものの、「個別の金融機関の損失などが次々と明らかになるので、投資家が問題の全容をつかめない」(東洋証券情報部の大塚竜太ストラテジスト)状況だ。
 こうした中、前日の米株式相場が大幅に続落し、円相場の上昇による企業の好業績期待の後退や、休場明けの韓国などアジア株式相場の連鎖安もあって投資家心理が一段と悪化。ヘッジファンドの換金売りなどに対する不安もあって国内株式相場も急落し、信用取引で追加証拠金(追い証)の差し入れに迫られた個人投資家による売りや、投資信託などの機関投資家による損失限定(ロスカット)目的の売りやヘッジ売りを招いた。
 市場では騰落レシオなどテクニカル指標面で「十分に売られすぎの水準」(国内証券)との見方が多い。「サブプライム関連」で売られていた金融株の一角が反発したほか、日経平均は600円を超える下落から大引けにかけて下げ渋ったことで、「セリング・クライマックス」を迎えたとの声も聞かれた。
 しかし、相場の本格的な底入れの条件として、米株式相場や円相場などが安定を取り戻し投資家心理が好転することを挙げる市場参加者は多い。きっかけとしてFRBの緊急利下げが取りざたされるが、米セントルイス連銀のプール総裁は15日のテレビインタビューで緊急利下げは不要との判断を示したと伝わっている。当面は日米とも不透明感の強い相場展開が続く可能性が高いだろう。

(8/16日経ニュース)

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先物のNT倍率が急上昇――時価総額高い銘柄の下落影響

 日経平均先物9月物をTOPIX先物9月物の値段で割って算出した先物のNT倍率が急上昇している。16日午前は一時10.46倍を付け、期近物としては2003年9月10日(10.48倍)以来、約4年ぶりの高水準となった。前日終値時点では10.32倍だった。は東京株式市場で銀行株や優良株など時価総額が大きく、流動性の高い銘柄の下落が目立つことが影響している。
 時価総額の高い銘柄の下落について、優良株を長期保有する「バイ・アンド・ホールド」型ファンドの解約売りが出ているとの声が聞かれた。

(8/16日経ニュース)

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日銀、4000億円の即日供給オペを通知――3日ぶり

 日銀は16日、9時20分の定例金融調節で即日に始まる4000億円程度の共通担保資金供給オペ(本店方式、期日17日)を通知した。即日スタートの資金供給は13日以来、3日ぶり。朝方から無担保コール翌日物金利が日銀の誘導目標(0.5%)より高い0.530―0.550%程度で推移していたことを受け供給に踏み切ったとみられる。
 オペの結果、準備預金の残高見込みは前日より2兆4000億円多い5兆8000億円程度、当座預金の残高見込みは同2兆5000億円多い9兆3000億円程度になった。

(8/16日経ニュース)

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クレオス、営業黒字転換、2億円、4―6月、不採算部門縮小効く

 GSIクレオス(8101)が十五日発表した二〇〇七年四―六月期の連結業績は、営業損益が二億円の黒字(前年同期は四億円の赤字)だった。半導体製造装置用シール材は好調だったが、アパレルなど向けのOEM(相手先ブランドによる生産)受託は天候不順の影響で苦戦。売上高は微増にとどまったが、不採算部門の縮小や人件費の削減が奏功した。
 売上高は前年同期比四%増の二百七十七億円だった。主力の繊維関連事業はアパレル向けOEM受託が低迷したが、肌着用原糸販売で取扱量が増加した。
 事業別売上高は四%増を確保した。半導体用シール材や包装材など非繊維事業は米国など向けに受注好調。三%増収となった。
 不採算ブランドからの撤退など事業再編を進め、粗利益率は一一・七%と一・三ポイント改善。経常損益は一億九千百万円の黒字(同四億円の赤字)、最終損益は一億八千七百万円の黒字(同二億円の赤字)だった。

(8/16日経金融新聞)

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2007年8月15日 (水曜日)

日経平均、年初来安値を更新――信用収縮懸念が再燃

 15日の東京株式市場で日経平均株価は大幅安となり、3月5日以来、約5カ月ぶりに年初来安値を更新した。米住宅ローン問題に端を発した世界的な信用収縮懸念が強まり、市場心理が悪化した。外国為替市場での円高加速も売り材料となった。国内景気や企業業績は堅調なものの、不安定な外部環境への警戒感は強く、国内外のリスク資産から資金を引きあげる動きが続いている。
 日経平均の終値は前日比369円(2.19%)安の1万6475円61銭と、昨年12月8日(1万6417円)以来の水準に下落した。東京証券取引所第1部に上場する銘柄の9割超が値を下げた。東証1部の売買代金は2兆9392億円と、活況の目安とされる3兆円を連日下回った。
 前日の米国市場で、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題が米国の個人消費にも悪影響を及ぼしかねないとの見方が浮上。東京市場でも朝方から銀行、自動車などの主力株中心に大口の売り注文が膨らんだ。主要なアジア株も下げ、外為市場で円借り(円キャリー)取引の解消などによる円高が進むと、日経平均が一時400円超下げる場面もあった。
 ヘッジファンドなど投機筋は9月から11月にかけて決算を迎えるところも多く、足元の相場下落で損失確定の売りを出しているという。
 新興株市場でも日経ジャスダック平均が11営業日連続で下げ年初来安値を更新。東証マザーズ指数、大証ヘラクレス指数もともに反落し算出開始以来の安値を付けた。

(8/15日経ニュース)

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株、売りの連鎖で年初来安値――追い証発生やロスカット相次ぐ

 15日の日経平均株価は大幅に反落し、約5カ月ぶりに年初来安値を更新した。14日の米株安をきっかけに世界的な信用収縮懸念が再燃し、金融株中心に売りが売りを呼ぶ展開となった。
 資金繰り問題は米国から欧州、そしてカナダへ――。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題を発端とした売りの連鎖は世界の金融市場へと広がり、収束する気配を見せない。14日のトロント株式市場では、資産担保コマーシャルペーパー(ABCP)の借換債の発行ができなかったと13日に発表したカナダの投資銀行コベントリーが1日で7割下落した。
 「バンカメなど米国の大手銀行がサブプライム関連でのヘッジファンドへの融資を拒否している」(15日付の英フィナンシャル・タイムズ)との報道も市場の話題に上った。投資家が資金繰り問題に神経質であることがうかがえる。
 この日の下げの直接的なきっかけは米株安だが、後場の下げに拍車がかかったのは、需給要因によるところが大きい。信用取引で追加証拠金(追い証)の差し入れに迫られた個人投資家や年初来安値を下回ったことで、機関投資家からの損失限定(ロスカット)目的の売りが重なったという。
 先週は欧州中央銀行(ECB)と米連邦準備理事会(FRB)が短期市場に大量の資金供給を実施したが、市場は政策当局の次の一手をかたずをのんで見守っている。「不動産融資の総量規制やヘッジファンド規制など突然のルール変更が打ち出されれば、日本の不良債権問題の二の舞となりかねない」(大和総研の東英治専務取締役)からだ。
 「日経平均を1つの株式と見た場合の予想1株利益(約920円)は今が過去最高ではないか」――。ある国内証券の役員はこう語る。それでも欧米やアジアの主要な株価指数より一足早く、年初来安値を更新したのは国内政局の不透明感に加え、「外国人は買っても日本人は誰も買わない」(大和総研の東氏)という需給構造のゆがみがあるため。日本企業の好業績を背景に、「押し目は買い」との声は聞かれるが、本格反転までには時間が必要との見方も増えている。

(8/15日経ニュース)

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株安値 関係者に聞く(3) 日米中央銀行の対応が当面の鍵

▽芳賀沼千里・野村証券ストラテジスト
(1)米国のサブプライム問題による信用収縮懸念の中、米ウォルマートの決算が市場予想を下回り、米国景気の先行き不透明感が強まった。
(2)日経平均が1万6500円を下回ったが、今後も調整局面は続く。
(3)秋口以降。世界経済が深刻な調整局面に陥るとは考えていないが、市場参加者は米国の景況感を気にしている。米国は秋口が新学期シーズン入りなので、この時期の消費動向などを確認しないと市場には買い安心感が生まれそうにない。
(4)世界景気に対する中央銀行の対応。サブプライム問題に対する各国・地域の中央銀行の対応は短期金融市場への資金供給にとどまっているが、実体経済に影響が及ぶ可能性が強まれば、米国の利下げなど金利調整の動きが出て来るだろう。

▽水谷秀夫・ジーク証券チーフ・ストラテジスト
(1)米株式相場の先行き不透明感が増したことや円高進行が主因。米サブプライム問題が小売りなど個人消費に影響を与える、との懸念が広がったことが投資家心理を冷やした。
(2)8月中に下値を付ける。7月9日に付けた年初来高値(1万8261円98銭)の9割水準である1万6435円や、2006年の最安値と2007年最高値の半値水準(1万6240円)程度が当面の下値メドだろう。
(3)10月以降。米金融機関が7―9月期決算を発表しサブプライム関連の損失にメドがつくころだ。10月からは国内企業の中間決算の発表が始まる。米株式相場の激しい値動きが落ち着けば、国内の好業績銘柄に目を向けた投資家の買いが入るだろう。
(4)9月18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)。サブプライム問題で揺れる市場に対してどのような対策を打ち出すのか注目したい。急速に円高・ドル安が進んでいる円相場の動向も注視する必要がある。

▽山本平・コメルツ投信投資顧問社長
(1)14日の米株安。ヘッジファンドの出資者が解約を相次ぎ求めており、それに伴う換金売りが続いた。
(2)きょうの水準(1万6475円61銭)は明らかに売られすぎで、下値の水準に来ている。若干調整は続くだろうが8月中に底入れだろう。
(3)ヘッジファンドの換金売りがどの程度続くかによるが、9月にも反転を見込んでいる。
(4)日銀の利上げと米国の利下げが決定されるかどうか注目だ。ヘッジファンドの運用状況に対する情報開示のあり方の議論にも関心がある。

(8/15日経ニュース)

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株安値 関係者に聞く(2) 世界株安続けば年末1万6000円割れも

 質問事項は以下の通り。(1)きょうの下落理由(2)下値のめどとその時期(3)反転の時期の見通し(4)今後注目している動き。

▽宇野大介・三井住友銀行市場営業推進部ストラテジスト
(1)前日14日の米株安。サブプライムローン問題のほか、消費関連企業の業績不振により、信用収縮への不安感は米国景気の先行き懸念に広がっている。主要通貨に対する円高進行も影響した。
(2)2007年末に1万6000円割れ。07年度末には1万5500円程度まで下げ続ける。
(3)サブプライムに始まった信用収縮問題は半年や1年では収束しそうにない。目先3―4年は世界的な株安基調が続く。
(4)内閣改造や日銀の利上げなどが注目か。ただ日本株だけが何らかの材料を手掛かりに反転するとは考えにくく、世界的な株安を受けた下値模索の展開が続くだろう。

▽瀬川剛・新光証券エクイティストラテジスト
(1)住宅部門の低迷で米国の実体経済に先行き不透明感が出てきたこと。円高進行も影響し、北米依存度が高い日本の輸出企業の業績動向に懸念が生じている。
(2)8月中に底入れ。東証株価指数(TOPIX)が過去1年間での安値を付けた06年11月21日の1万5734円が日経平均の下値メド。目先はろうばい的な売りが出て一段安となる展開も想定される。
(3)(4)注目イベントは7月の米消費者物価指数(CPI)など、これから発表が相次ぐ米経済指標。一連の指標が住宅部門の低迷が実体経済に影響を及ぼしていることを追認する内容となれば、米連邦準備理事会(FRB)による緊急利下げが現実味を帯びてくる。その認識が市場で高まれば、相場反転のきっかけになるだろう。

(8/15日経ニュース)

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株安値 関係者に聞く(1) 8月中に底入れか、軟調長期化懸念も

 15日の東京株式市場で日経平均株価は大幅反落し、年初来安値を更新した。一時は下げ幅が400円を超えた。日経QUICKニュース社(NQN)では市場関係者5人に緊急アンケートを実施した。きょうの日経平均の年初来安値更新の背景は前日14日の米株安を挙げる声が多い。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の焦げ付き問題に端を発した信用収縮への不安感が世界の株式相場を覆う中、米ウォルマート・ストアーズの四半期決算内容が会社予想を下回ったことが投資家心理を冷やした。
 円相場がきょう一時1ドル=116円台に乗せた。輸出依存度の高い銘柄は円安による業績の上方修正の期待を集めていただけに、こうした円高基調の動きもきょうの株安につながった、との声も出ている。
 今後の値動きについては8月中に底入れ、との見方が大勢を占める。サブプライム問題を契機に世界的な信用収縮が広がる、との懸念が晴れたわけではないため、今後「3―4年は世界的な株安基調が続く」(三井住友銀行の宇野大介ストラテジスト)との声も出ている。日経平均は今後1万6000円を割り込む、との見方も浮上している。
 反転の契機を探る意味で、市場関係者が注目するのは米国の経済指標の内容と、世界の中央銀行の政策判断だ。信用収縮への不安感から、実体経済への先行き懸念に広がるのかどうか、市場関係者がこうしたイベントで見極めようとしているのが分かる

(8/15日経ニュース)

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もう証取はいらない、欧州、私設市場始動へ、大手金融機関組む、売買・情報、独占崩す

 伝統ある証券取引所が資本市場の総本山として「株売買」や「市場情報」を独占する。そんな構図を突き崩す試みが、欧州で本格化してきた。規制緩和を追い風に、欧米の金融機関が手を組んで巨大な私設マーケットの設立に動いている。その行方は世界の投資マネーの流れを左右し、東京市場の将来とも無縁ではない。(ロンドン=田村篤士)
 「新ルールまであと七十九日」。ゴールドマン・サックス、メリルリンチ、シティグループなど大手金融機関九社が顧客の株売買の取引情報を集約・配信する共同事業。そのホームページでカウントダウンが始まった。十一月の業務開始に備え、ロンドンで配信システム運営を委託する業者も選定した。
 七月初めには金融情報サービスの英ロイターが独自の集約・配信システムの運営に乗り出すと発表した。日ごろはしのぎを削るライバル銀行が手を組んだり、新規参入が相次ぐのは、ロンドン証券取引所の「特権」を奪うのが狙いだ。
 英国では取引所外で売買された取引でも、取引情報をロンドン証取に報告する義務がある。報告料は一取引〇・〇六ポンド(約十四円)。一方でロンドン証取は集まった情報を市場に有料配信し、そこでも収入を得ている。配信サービスだけで売上高の三割を占める「ぬれ手で粟(あわ)」の収益源だ。
 この「特権収入」が十一月に開放される。欧州連合(EU)が加盟二十七カ国で株式など市場運営業務を全面的に自由化するからだ。十一月に施行する新ルール「MIFID(金融商品市場指令)」では自由化の対象を売買執行だけでなく、市場情報の配信まで含めている。
 会計基準の統一など市場統合を進めるEU。取引の活発度は米国市場には見劣りする。昨年の取引規模(件数ベース)は欧州の全取引所を合わせても米ナスダックの半分に満たない。市場の厚みが乏しければ、企業の資金調達も安定しない。
 イタリアやフランス、スペインには株売買の「取引所集中義務」も残っている。取引一件あたりの取引所の収入を比べると、執行と情報配信合わせてロンドンやドイツ市場で米ニューヨークの平均三―四倍。スペインは六倍に迫る。
 「我々の顧客は取引所のサービスに満足していない。効率的な売買機会を提供したい」。有力投資銀行七社による欧州株私設マーケット構想で旗振り役を務めるメリルリンチのニキ・ビーティー氏はこう話す。売買システム選定は大詰めを迎えており、既存の取引所の上場銘柄をコンピューター上で取引する。関係者は「フル稼働すれば、伝統的な証取より取引コストを五割以上減らせる」という。
 ほかにも米証券インスティネットや元ナスダック欧州のシステムを再利用する別の新市場構想も浮上している。
 MIFID 多様な金融商品をカバーするEUの共通ルールで、投資家保護や市場活性化につなげるのが狙いだ。市場関連では新規参入を自由化するかわり、市場運営業者には価格など取引情報の速やかな開示を義務付けている。金融機関にはそれを見比べて最良執行を求めている。
 株式だけでなく、金融派生商品(デリバティブ)なども対象になっている。今年十一月に導入され、欧州証券市場統一のカギを握る市場改革といわれている。システム負担が重いため、導入が先送りされた経緯がある。

(8/15日経金融新聞)

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2007年8月12日 (日曜日)

週明けの東京市場、波乱含みの展開か

 週明けの東京株式市場は波乱含みの相場展開になりそうだ。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に端を発した信用収縮懸念を抑え込もうと、欧米などの中央銀行は短期金融市場に資金を連日大量に供給したが、欧米株式相場は先週末も下げ止まらなかった。主要な中央銀行は引き続き資金を供給する姿勢を示しているが、市場はなお先行きを警戒している。
 ヘッジファンドなどの投機筋は9月から11月にかけて決算を控えているため、換金売りが今後本格化する懸念がある。市場心理が悪材料に過敏に反応しがちな局面だけに、売りが膨らむようだと「日経平均株価は年初来安値(1万6642円)をにらんで推移する場面もありそうだ」(三菱UFJ証券の山本容子シニアストラテジスト)との声もある。
 もっとも、日本国内に限ってみると景気や企業業績は引き続き好調。不安心理が後退すれば相場が持ち直す可能性もある。お盆休みで市場参加者が少ないこともあり「小口の売買で値幅が大きく動きやすい」(野村証券の藤田貴一ストラテジスト)との指摘もあった。
 一方、外国為替市場の円相場は1ドル=116―120円台で、振れやすい展開になるとの見方が多い。サブプライムローン問題が拡大すれば、市場参加者がリスク資産を圧縮し、円の買い戻しが強まる可能性がある。ただ市場心理の悪化に歯止めがかかれば、円高圧力が弱まる方向に働くとみられる。

(8/12日経ニュース)

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2007年8月11日 (土曜日)

石油資源開発の今期、経常利益36%減に

 石油資源開発は10日、2008年3月期の連結経常利益が前期比36%減の221億円になる見通しと発表した。従来予想を45億円上回る。今期の予想原油価格を期初の平均1バレル55ドルから64ドルに引き上げ、為替レートも1ドル=119円と期初より4円安い水準に変えたため。権益を持つ海外油田の生産量も増える見込みで、減益幅縮小に寄与する。
 売上高は7%増の1823億円(従来予想は1557億円)、営業利益は52%減の141億円(同119億円)の見込み。

(8/10日経ニュース)

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ゲオの今期、純利益5%増・過去最高へ

 ゲオは10日、2008年3月期の連結純利益が前期比5%増の59億円と、過去最高になるとの見通しを発表した。従来予想は同11%減の50億円だったが、主力のレンタルDVD事業が伸びた。年間配当は2400円で据え置いたが、連結配当性向30%の方針を打ち出しており「(業績が)このままなら増配余地はある」(笹野和雄常務)という。

(8/10日経ニュース)

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世界株安、貴金属や非鉄に波及

 米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題を発端にした世界的な株安が、貴金属や非鉄金属などの国際商品にも波及した。信用収縮を懸念したヘッジファンドなど投機筋が手じまい売りを加速している。調整色を強めていた商品相場の下げ圧力となりそうだ。
 金のニューヨーク先物(期近)は9日、1トロイオンス661.4ドル。前日から13.1ドル(1.9%)急落し、7月24日の直近高値からは3.3%下がった。信用不安の高まりで投資家の解約に直面したファンドが利益確定の売りを出している。主産国の南アフリカ共和国のスト懸念が後退したプラチナも売られた。
 高値圏にあった非鉄にも下げ要因となった。指標となるロンドン金属取引所(LME)の銅3カ月先物は前日比110ドル(1.5%)安の一トン7470ドルで1カ月半ぶりの安値。北米や南米などの労使紛争がおおむね収束し、「供給が増えるとの見方から地合いが弱かったところに金融不安が追い打ちをかけた」(三井物産の池崎慎哉LME営業室チーフトレーダー)。鉛も7月下旬につけた最高値から約15%下落した。
 ファンドは米国債などに資金を逃避させる安全志向が鮮明。「8月中はサブプライム問題が尾を引き、売りと買いが交錯する荒い値動きが続く」(ワールド・ゴールド・カウンシルの豊島逸夫日韓地域代表)との指摘が出ている。

(8/10日経ニュース)

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サブプライム不安緩和狙う、欧州中銀10兆円、FRB4兆円、連日の大量供給

欧州中央銀行(ECB)は十日、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の問題で生じた金融市場の不安を沈静化させるため、六百十億五千万ユーロ(約九兆八千億円)の資金を短期金融市場に供給した。九日に続く二日連続の大規模な流動性供給。米連邦準備理事会(FRB)も十日「必要に応じて米金融市場に流動性を供給する」との緊急声明を発表、傘下のニューヨーク連銀を通じ、二回にわたって合計三百五十億ドル(約四兆一千億円)の資金を供給した。(関連記事3、5、6、7面に)
 欧州金融市場では資金需要が高水準で推移。資金の出し手もサブプライム問題への不安で運用に神経質になっており、ECBは連日の巨額供給が必要だと判断した。この二日間の資金供給額は合計で千五百五十八億ユーロ超、二十五兆円近くに達した。
 FRBも前日、二百四十億ドルの資金供給を実施していたが、表向きは通常の金融調節との位置づけ。これに対し十日は百九十億ドルと百六十億ドルという二回の資金供給とともに緊急声明で信用不安の沈静化に全力を挙げる姿勢を鮮明にした。FRBが流動性供給にあたり緊急声明を出すのは二〇〇一年九月の米同時テロ直後以来。この中で「市場の混乱に伴って金融機関に異例の資金需要が発生する可能性がある」と指摘。短期資金の需給逼迫(ひっぱく)懸念に配慮し、潤沢な資金供給を続ける用意があると指摘した。

(8/11日経ニュース)

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米国株、小幅に続落――FRB緊急声明・資金供給で下げ渋り

10日の米株式相場は小幅に続落。ダウ工業株30種平均は前日比33ドル01セント安の1万3237ドル67セント(速報値)、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は10.65ポイント安の2545.84(同)で終えた。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の焦げ付きに端を発した信用リスク懸念を背景にした売りが引き続き優勢。アジアや欧州の株安も重しとなった。ただ米連邦準備理事会(FRB)が緊急声明を出して短期金融市場に資金を供給したことなどから、下げ渋りの展開となった。

(8/11日経ニュース)

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2007年8月10日 (金曜日)

ビール4社の6月中間、サッポロは黒字に届かず・3社も営業減益

 ビール大手4社の2007年6月中間決算が10日出そろった。原料高の逆風が吹く中、各社は新製品を積極投入したが競争激化や市場の縮小でビール類が不振。営業赤字幅が縮小したサッポロホールディングスを除く3社が営業減益となった。下期も一段の原料高を見込み、非上場のサントリーを除く3社が07年12月期通期を期初予想から下方修正した。
 サッポロHDが10日発表した中間連結決算は営業損益が12億円の赤字(前年同期は約18億円の赤字)だった。不動産事業が好調だったほか、買収した加スリーマンの新規連結が6億円利益を下支えした。好採算のエビスビールの販売が伸びたため製品構成も改善し、酒類事業の赤字幅は縮小した。ただ、不二家商品の販売を一時停止したことや第3のビールの苦戦が響き、期初に見込んだ5億円の黒字転換には届かなかった。
 上期に4社が投じた新製品は過去最高水準の19。積極的に広告宣伝に費用を投じた半面、ビール類の出荷量(課税ベース)は2%減と現行統計では過去最低となった。
 通期ではサントリーを除く3社がビール類の年間販売計画を下方修正。キリンホールディングスとアサヒビールは原料高の影響額も積み増した。アルミ缶や麦芽などの原料高は「想定以上」(キリンHDの加藤壹康社長)に負担が膨らみ、原料高は「コスト削減で吸収できない状況になりつつある」(サッポロビールの寺坂史明専務)。
 競争激化が続く中、原料高に押され各社ともビール類の値上げの是非を検討するとしている。

(8/10日経ニュース)

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FRB「市場が機能するよう流動性供給」――声明を発表

米連邦準備理事会(FRB)は10日、「金融市場が秩序だって機能するよう、流動性を供給している」との声明を発表した。声明は「フェデラルファンド(FF)金利が米連邦公開市場委員会(FOMC)の誘導目標である5.25%近くで推移するよう、公開市場操作を通じ必要な資金を供給する」としている。

(8/10日経ニュース)

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長谷工、経常益39%増、4―6月、不動産販売で増収

 長谷工コーポレーション(1808)が九日発表した二〇〇七年四―六月期の連結業績は、経常利益が前年同期比三九%増の百五十億円だった。マンション建設を目的に土地を取得し、デベロッパーに販売する不動産関連の売上高が増加した。単独の受注高は二二%増の千百五十二億円。〇八年三月期通期の業績見通しは据え置いた。
 売上高は一五%増の千六百六十六億円。利益率の高い不動産売上高が増えたため営業利益は四三%増の百五十七億円となった。前年同期にあった訴訟関連の特別損失がなくなり純利益は四・五倍の百四十八億円だった。
 単独受注高の地区別内訳は、首都圏が前年同期に比べ二八%減の五百五十七億円。近畿圏は大型マンション案件が増えた影響で、三・六倍の五百九十五億円だった。

(8/10日経金融新聞)

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トレンド、6月中間、増益効果12億円―会計、日本基準に変更

 トレンドマイクロ(4704)は九日、日本基準による二〇〇七年六月中間連結決算を発表した。今年五月末に米国ナスダック市場の上場を廃止し、従来の米国会計基準から変更。これにより営業利益ベースで約十二億円の増益効果が出た。ストックオプションの費用計上など両会計基準の違いが影響した。
 最もプラス面で大きかったのはストックオプション費用の処理。日本基準は〇六年五月の会社法施行以前に発行したストックオプションの費用を計上する必要がない。これが十四億円の増益要因となったうえ、有給休暇の費用処理なども不要になり、合計で約十五億円の利益押し上げ要因となった。
 一方、マイナスもあった。米国基準は減損処理を除き営業権(のれん代)の償却は不要だ。トレンドの場合、中間期に約三億円ののれん代償却費用が新たに発生。これらの差し引きで全体で約十二億円の増益要因となった。
 同社は米市場での売買高が小さかったため五月に米ナスダック市場に登録していた米預託証券(ADR)の上場を廃止した。
 米国基準に基づく連結財務諸表の提出義務がなくなる見通しで、中間期から日本基準を適用している。

(8/10日経金融新聞)

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2007年8月 8日 (水曜日)

成長株、投資の好機?――堅調な業績が支えに

 「予想PER(株価収益率)でみると、新興市場株は東京証券取引所第一部より割安です」。七月二十九日に大和証券がパシフィコ横浜(横浜市)で開いた「ダイワの投信フォーラム」。インベスコ投信投資顧問で中小型株の運用を担当する得能修シニアファンドマネジャーは自社の展示スペースに集まった来場客に七月に新規設定した新興株で運用する投資信託について説明する際、こう強調した。
 新興市場には東証一部と比べて社歴が浅い企業が多い。企業としては成長過程にあり、業績面の伸びしろも大きい分だけ将来の成長に対する投資家の期待は根強く、予想PERは東証一部より高い場合が一般的だ。だが二〇〇六年一月のライブドア・ショック以降、新興株は実力以上に割安に放置されているとみる市場関係者は多い。
□ ■ □
 実際、新興株の割安感は強まっている。株価を一株利益で割って算出するPERは五月に〇四年四月以来、約三年一カ月ぶりに東証一部がジャスダックを上回った。足元でも七月十三日以降、一貫して東証一部がジャスダックを上回っている。東証一部のPERは〇六年七月以来一年一カ月ぶりに十九倍を下回る低水準で推移していることを考慮すると、投資家にとって割安感は新興株だけでなく市場全体に及んでいるといえる。
 投資家の成長株物色が一巡したことを示すデータがある。日本経済新聞社グループが東証一部上場銘柄を対象にPBR(株価純資産倍率)や自己資本利益率(ROE)を基準に「バリュー」と「グロース」に分けて時価総額をもとに算出する「日経スタイルインデックス」だ。〇五年末を一〇〇として指数化し、PBRの低い「バリュー」からROEの高い「グロース」を差し引いた値の推移をみると、四月中旬以降の成長株物色は六月初旬に一巡。足元では七月中旬以降、再び割安株に物色が向かいつつあることが分かる。
□ ■ □
 成長株物色が一巡した要因として、世界的な株安でリスク許容度の低下した外国人投資家の持ち高整理の売りに加え、国内勢が物色の手を弱めたためとの指摘は多い。野村証券が純資産額が五十億円以上で四―六月の運用成績が七%以上の追加型国内株式投信を対象に、組み入れ上位十位に入った回数の多い銘柄を調べたところ、新日鉄やコマツといった世界経済の拡大の恩恵を受けやすく業績拡大期待の強い「成長株」が並んだ。
 これら銘柄の今期経常増益率の中央値は一二・二%、予想ROEは一三・六%と、東証一部(経常増益率は六・九%、ROEは七・六%)を大きく上回った。「投信の買い手である個人に組み入れた理由を説明しやすいよう、好業績銘柄に物色が集まった」(野村証券の藤田貴一ストラテジスト)
 ただ、東証の投資主体別売買動向によると投信は七月まで三カ月連続で売り越している。外国の株式や債券を組み入れた投信が好調な一方、日経平均株価が一万八三〇〇円近辺で伸び悩む上値の重い展開が続き、換金売りが出やすい地合いのなかで「組み入れた投信が多い成長株ほど、売りも出やすかった」(藤田ストラテジスト)ようだ。
 日本経済新聞社が三日までの発表分を集計した上場企業の四―六月期業績(新興三市場・金融を除く)によると、経常利益は前年同期比一九・五%増えた。期初時点の会社予想の通期増益率(三・五%)を大幅に上回る水準で推移したうえ、通期予想も四・二%増益に上方修正している。為替相場の円高進行に伴う為替差益の縮小や原材料や人件費の上昇に伴う粗利益率低下など先行きに対する不透明感は残るものの、通期業績についてはさらに上方修正を見込む市場関係者は多い。
 七日の日経平均は小幅反発にとどまり、五日連続で一万七〇〇〇円を下回った。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の焦げ付きをきっかけとする世界的な株安を受けて、下値不安の乏しい割安株に物色を移す投資家は多い。だが、投資心理が弱気に傾いた今こそ、実は成長株投資の好機なのかもしれない。

(8/8日経金融新聞)

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商社系携帯販社、2社、2ケタ増益、4―6月

 大手総合商社系の携帯電話販売会社の二〇〇七年四―六月期業績が七日出そろった。テレパーク(3738)は販売台数が大きく伸びたが、販売網拡充のコストがかさみ経常減益となった一方、アイ・ティー・シーネットワーク(ITCN、9422)と丸紅テレコム(9447)は二ケタ増益だった。各社にとって想定の範囲内だったため、中間期・通期の業績見通しは変えていない。
 七日発表した三井物産系のテレパークの単独売上高は前年同期比一〇%増の八百四十九億円。直営店のほか、傘下の二次代理店が持つ店舗や、家電量販店の拠点数の増加が寄与し、販売台数は八十六万六千台と同一八%増。しかし、新規店舗の開設コストや人件費は膨らみ、営業・経常利益とも同一%減った。
 一方、伊藤忠商事系のITCNの単独売上高は同八%減の三百八十七億円。二次代理店の吸収合併に伴い、同社への端末取引の販売代金を計上しなくなったため。
 販売台数も約四十二万台と横ばいだったが、子会社合併による業務の効率化や、高機能端末の販売比率が上昇し、営業・経常利益とも同七三%伸びた。
 丸紅テレコムの連結売上高は横ばいの三百三億円。ローソン向けのプリペイド携帯電話のリチャージ(料金追加)事業がなくなり、約二十億円の減収要因。携帯電話の販売台数が同八%増の三十七万五千台となり、主力の携帯電話事業では七%の増収を確保。経常利益は三一%増の二億円となったが、利益率の高い首都圏の店舗や直営の店舗が少ない同社は、他の二社に比べ利益水準で見劣りする。

(8/8日経金融新聞)

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2007年8月 7日 (火曜日)

島津、経常益55%増、4―6月、航空・産業機器が好調

 島津製作所が六日発表した二〇〇七年四―六月期の連結業績は、経常利益が前年同期比五五%増の三十四億円だった。海外で航空・産業機器が好調だったほか、国内では設備投資の拡大を受け計測機器が伸びた。為替差益も利益を押し上げた。
 売上高は一一%増の五百七十六億円。海外で民間の航空機需要が拡大し航空・産業機器部門は四割伸びた。計測機器部門は国内のほか、欧州や中国向けに質量分析計などが好調だった。
 営業利益は三%増の三十億円、純利益は一六%増の十八億円。〇八年三月期通期の業績は従来予想を変更しなかった。

(8/7日経新聞)

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三井金属の4―6月、経常益36%減・電子材料が低迷

 三井金属が6日発表した2007年4―6月期の連結業績は、経常利益が前年同期比36%減の82億円だった。価格競争の激化で主力の電子材料が低迷。銅鉱石の値上がりを受け、持ち分法投資利益が4割弱減少したことも響いた。
 売上高は10%増の1507億円。亜鉛や銅地金価格が期初予想を上回り、電子材料が中心の中間素材部門や鉱山・基礎素材部門で増収を確保した。営業利益は38%減の49億円、純利益は68%減の51億円。
 中間素材の営業利益は23億円と50%減った。銅はく、伸銅品の収益は価格転嫁がある程度進み順調だったが、半導体実装材料、液晶パネルに使うITO(酸化インジウムすず)ターゲット材が在庫調整や価格競争で苦戦した。
 鉱山・基礎素材の営業利益は40%減の12億円。亜鉛調達先のペルーの鉱山からの出荷が7―9月期にずれ込んだほか、国内製錬所の定期修理が遅れたのが主因だ。
 銅事業会社の収益も鈍化し、持ち分法投資利益は37%減の23億円。海外銅鉱山による銅鉱石の値上げやチリでの探鉱費増が響いた。銅地金価格は上昇したが、コスト負担をこなせず経常利益を押し下げた。

(8/6日経ニュース)

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旭硝子の6月中間、経常益最高に――欧州ガラス事業が好調

 旭硝子が6日発表した2007年6月中間連結決算は営業利益が前年同期比37%増の902億円と、中間期での過去最高を更新した。欧州で自動車・建築向けガラス事業が好調。海外事業の伸びに加え為替差益も寄与し、経常利益も45%増の947億円と最高益となった。
 売上高は2%増の8059億円。東欧やロシアを中心に建築需要が拡大し、板ガラスの販売数量が伸びたほか、値上げも進んだ。欧州の売上高営業利益率は06年6月中間期の8%から6ポイント上昇し14%となった。
 薄型ディスプレー向けの基板ガラスはプラズマ向けが伸び悩んだが、液晶向けが大型化への対応が進み好調だった。採算の悪化していたブラウン管事業からの撤退で利益率が大幅改善した。
 前年同期に1ユーロ=142円だった円レートが160円まで下落した。前年同期比で77億円の為替差益が生じたことも利益を押し上げた。
 ブラウン管事業の撤退に伴いシンガポールとタイの生産拠点を縮小。構造改革費用として約200億円を特別損失に計上したことで、純利益は24%増の528億円にとどまった。
 07年12月期は売上高が3%増の1兆6700億円、営業利益は32%増の1800億円と従来予想を変えなかった。欧州で板ガラス事業が引き続き伸びるが、燃料の石油価格動向に不透明感が残るとしている。電子ディスプレー事業も携帯電話向けなど中小型ガラス基板で伸び悩みそう。
 年間配当は従来の16円から20円とする。創業百周年に伴い記念配4円を上乗せするため。

(8/6日経ニュース)

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2007年8月 6日 (月曜日)

日航の4―6月期、営業赤字大幅縮小

 経営再建中の日本航空は6日、2007年4―6月期の連結業績を発表した。営業損益は85億円の赤字と、前年同期(319億円の赤字)から大幅改善したが、ライバルの全日本空輸は減益ながら132億円の黒字を確保している。2010年の羽田、成田空港の拡張など「航空ビッグバン」を控え、リストラの強化や資本増強など財務基盤強化の課題は引き続き残ったままだ。
 4―6月期の売上高は前年同期比0.3%減の5206億円。低収益路線の削減などで提供座席数を減らしたため国内、国際線とも旅客数は減ったが、値上げなどの単価アップで落ち込みを抑えた。営業費用は賞与カットなどリストラ効果で4.5%減の5292億円。最終損益は42億円の赤字(前期は267億円の赤字)と改善した。
 ただ、全日空は原油高に伴う燃料費増加を吸収した上で営業、経常損益ともに黒字を計上した。系列ホテルの売却などもあり、6月末の現金など手元資金は3223億円となった。逆に日航は1880億円と約32億円減った。全日空は手元資金を「燃油費高騰への対応策として機材の更新をできる限り前倒しする」(山元峯生社長)。資金力の差が今後両社の競争力の差につながる公算は大きい。
 課題の資金繰りは「今期の資金調達は終了した。来期以降年間400億―500億円の借り入れをすれば(10年度を最終年度とする)中期計画での資金計画は達成できる」(金山佳正執行役員)としている。ただ、同時に「テロなど不測の事態に備え、資本増強は常に検討課題。あらゆる方法を検討している」(同)と述べ、財務基盤強化のため取引金融機関と増資策などを引き続き協議する考えを示した。
 資本増強策をめぐる今後の焦点は、金融庁の検査を控えている主要取引銀行の日本政策投資銀行の判断だ。政投銀は米同時テロ後の世界航空不況の際に、日航向けに緊急融資を実施、融資残高が膨らんでいる。二期連続の最終赤字を踏まえて日航向け債権の評価を見直すと、08年3月期に一時的に赤字に転落する可能性もあり、政投銀にとり日航の経営再建は急務になっている。
 日航の営業損益が改善し始めた現状は金融支援の追い風となる。銀行側も金融支援を実施するには自らの株主の理解を得る必要があるが、「再建に向けた残る課題は過大な有利子負債の削減」などと説明しやすくなる。政投銀をはじめ主力銀行は旅客数の増加やリストラ効果の浸透が持続するのかどうか慎重に精査する方針だ。
 6日の東京株式市場で日航の株価は前週末終値と変わらずの230円で取引を終えた。「会社の構造的な問題が解決するかが焦点で、短期の業績で株価の方向感は出にくい」(大和証券SMBC)という。

(8/6日経ニュース)

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マネックス、携帯で株の夜間取引可能に

 インターネット専業証券のマネックス証券は13日から同社が運営する株式の夜間取引市場の売買を携帯電話経由でもできるようにする。携帯電話による株式売買は時と場所を選ばない利便性から個人投資家に広がりつつあり、夜間市場でもできるようにして売買の増加を狙う。
 マネックスは2001年1月から個人向けに夜間市場「マネックスナイター」を提供している。現在はパソコン経由でないと取引できないが、携帯でもできるようになれば外出先などパソコンがない環境でも売買が可能になる。手数料はパソコン取引と同じで、1取引につき500円。
 マネックスナイターは私設取引システム(PTS)を活用した株式売買市場で、取引時間は平日の午後5時半から同11時59分まで。取扱銘柄数は3000以上。

(8/5日経ニュース)

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上場企業、経常益19%増・4―6月期、新興国需要で潤う

 日本経済新聞社が4日、上場企業の今年4―6月期(2008年3月期第1四半期)連結業績を集計したところ、全産業の経常利益は前年同期に比べ19.5%増となった。企業業績は今期で5期連続の最高益になる見通しだが、新興国を中心とする世界景気の拡大や円安を追い風に、いぜん2ケタの増益ペースを維持している。ただ米景気や為替相場など収益環境の先行きにはここへきて不透明感も漂う。
 4―6月期業績を開示済みの3月決算上場企業(新興3市場、金融を除く)914社を集計した。最終的な集計対象の約6割にあたる。08年3月期通期の経常利益について、企業は期初時点で3.5%増と前期実績(11.2%増)から減速を予想していた。4―6月の増益はこれを大きく上回るペースだ。
 集計によると、全32業種のうち22業種が増益。今期に入り目立つのは、新興国経済の拡大の恩恵を受ける業種の一段の収益拡大だ。海運大手では資源輸送の増加で、不定期船運賃相場が3月末に比べ2割上昇し、過去最高値圏で推移する。これを追い風に前期減益だった日本郵船の経常利益が約2倍に拡大。横ばいだった商船三井も8割増益になった。
 機械ではコマツが5割増益。同業の米キャタピラーは米国内の住宅建築減速で利益を減らしたが、コマツは新興国で足場を拡大しているのが強みだ。中国や中近東、ロシアなどの建機需要が利益を押し上げている。新興国景気は資源・エネルギー価格の一段の上昇につながり、三井物産は3倍に利益が膨らんだ。
 円安も引き続き、幅広い業種の収益の追い風だ。前期末に1ドル=118円だった円相場は6月末123円。トヨタ自動車が3割増益となるなど自動車大手の収益が好調を持続。これを背景に鋼材の値上げ交渉も通り、新日本製鉄など鉄鋼大手の業績拡大も続いた。

 もっとも四半期業績開示にあわせ、今期通期の業績見通しを上方修正する企業は限られた。4日時点の集計では、通期の予想増益率は4.2%と、期初時点の予想からわずか0.7ポイントの上方修正にとどまっている。
 信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題で米国景気や株式市場の先行きに不透明感が出ているほか、「為替がどう振れるか分からない」(ニコンの寺東一郎副社長)と慎重な声も多い。前期も4―6月は約15%増益だったが、年度後半やや減速した。振幅のある四半期だけでは通年の業績を見通しにくい面もあるようだ。

(8/5日経ニュース)

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2007年8月 3日 (金曜日)

総合化学大手5社の4-6月、三井化学など4社が増益

 三井化学が3日、2007年4―6月期の連結業績を発表し、総合化学大手5社の業績が出そろった。三井化学の営業利益はウレタン市況の改善などが寄与して前年同期比50%増の250億円となった。4社が営業増益となったが、全社とも2008年3月期の業績予想は据え置いた。原油相場が過去最高値をつけるなか、各社とも先行きに慎重になっている。
 三井化学はウレタン原料以外にもフェノールやアセトンの採算も改善するなど価格修正を進めたことで大幅営業増益となった。固定資産売却益を特別利益に計上、純利益は2倍の180億円だった。
 営業利益が前年同期に比べ2.9倍となった東ソーは前期実施した定期修理の影響がなくなったことに加え、カセイソーダやエチレンアミンなども好調だった。旭化成と三菱ケミカルホールディングスも石油化学が全体の収益をけん引して営業増益となった。
 住友化学は基礎化学や農薬は増益だったが、情報電子が液晶用光学フィルムの韓国での生産効率の悪化や価格下落の影響で営業赤字に転落したことが響いて営業減益だった。
 石油化学の原料となる国産ナフサは上昇が続いている。4―6月期は5万7800―5万8200円と前年同期に比べ9000円以上上昇した。各社とも春に5万6000円程度までの値上げを実施したが、足元は6万2000円程度まで上昇しており、さらなる値上げを打ち出している。4―6月期は各社とも期初の想定を上回ったもようだが、「ナフサの上昇局面では収益は厳しくなる」(三井化学の佐野鉱一常務)との見方が強くなっている。

(8/3日経ニュース)

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キリン5%営業減益――6月中間、原料高やビール・発泡酒不振

 キリンホールディングスが3日発表した2007年6月中間連結決算は営業利益が前年同期比5%減の428億円だった。原料高騰が響いたほか、市場の縮小で国内酒類事業も不振だった。下期に一段の原料高を見込むほか、年間のビールの販売計画を引き下げ07年12月期通期の営業利益は前期比1%増の1170億円と従来予想を40億円下方修正した。
 6月中間期の売上高は前年同期比7%増の8360億円。メルシャンを新規連結したことで471億円の増収要因となったが、既存事業ベースでは1%増収。各社の新製品発売が相次ぎ競争が激化し、ビールや発泡酒が減収に転じた。海外のライオンネイサンの好調に加え、飲料事業の伸びでカバーした。
 経常利益は3%減の456億円。アルミ缶などの原料高が約50億円の負担になった。生産や物流分野でのコスト削減や販促、広告費の効率化を進めたが、補えなかった。純利益は11%減の167億円だった。
 07年12月期通期の連結売上高は前期比10%増の1兆8300億円。経常利益は4%減の1160億円を見込む。従来予想をそれぞれ500億円、50億円減額した。ビール類の販売見込みを790万ケース引き下げ、前期比1%増の1億8960万ケースとした。
 原料高は通期で約120億円を見込む。会見した加藤壹康社長は「原料高が次年度以降も厳しい状況が続けば、(値上げを)やるのがいいのか、やらないのがいいのか検討を進める」と話した。有価証券などの売却で、純利益は5%増の560億円を見込む。

(8/3日経ニュース)

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トヨタの純利益32%増・4―6月期、売上高でGM抜く

 トヨタ自動車が3日発表した2007年4―6月期の連結業績(米国会計基準)は、純利益が前年同期比32%増の4915億円となり、5000億円に迫った。国内を除くすべての地域で販売台数が増え、円安も寄与した。4―6月期の売上高は米ゼネラル・モーターズ(GM)を上回り、自動車メーカーの年間売上高で初めて世界一になる可能性が高まった。
 本業のもうけを示す営業利益は32%増の6754億円だった。販売台数は3%増の216万2000台。北米は2%増と伸び率が鈍化したが、欧州が8%、アジアが15%増えた。高級車ブランド「レクサス」の旗艦車種「LS」の販売も収益増に寄与した。
 円安・ドル高などによる為替差益も1000億円の増益要因となった。中国の合弁会社の利益が伸びたことなどにより持ち分法投資損益も改善、純利益の増加に貢献した。
 売上高は16%増の6兆5226億円となり、営業利益、純利益とともに四半期ベースでは過去最高を記録した。4―6月期の売上高はGMの468億1200万ドル(約5兆5700億円、1ドル=119円で換算)を上回ったほか、小売台数も4万台差まで迫った。前年同期の差は18万7000台だった。
 08年3月期通期の業績予想は売上高25兆円、純利益1兆6500億円に据え置いた。営業利益は期初予想2兆2500億円に対する4―6月期の進ちょく率が30%に達したが、同日の記者会見で鈴木武専務は「為替は想定より円安傾向だが、全体として業績はほぼ計画通り。不透明な要素もある」と慎重な見方を示した。

(8/3日経ニュース)

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不動産大手5社の4-6月、4社が営業増益――マンション販売がけん引

 不動産大手5社の2007年4―6月期の連結業績が3日、出そろった。都心部を中心としたマンション販売価格の急速な値上がりで住宅事業が好調に推移し、横ばいだった東急不動産を除く4社の営業利益が増加した。オフィスビル賃料の値上がりを受け、賃貸事業も順調に推移した。
 野村不動産ホールディングスが3日発表した4―6月期連結業績は、営業利益が前年同期比1%増の102億円だった。マンション・戸建て住宅の引き渡し戸数が703戸と18%増加。1戸あたり単価も5148万円と2.8%上昇した。投資家向け不動産売却益が減少した影響を補った。
 住友不動産の住宅事業の営業利益は279億円と87%増えた。3月末に完成した物件の引き渡しが4―6月にずれ込んだのが寄与した。都心部の高層マンションが多く、販売価格上昇の恩恵を大きく受けた。住宅事業の売上高営業利益率は30%と前年同期を10ポイント上回った。
 三井不動産の住宅事業の営業利益は37%減となったが、ファンドなど機関投資家向けの販売戸数が少なかったためで、「個人向けの販売は好調が続いている」(曽田立夫副社長)
 賃貸事業も増益に貢献した。三鬼商事によると、東京ビジネス地区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の6月末の空室率は2.87%。需給逼迫(ひっぱく)が続き、賃料を上げやすい環境が続いている。
 三菱地所のビル事業の営業利益は30%増だった。現在契約更改を進めている丸の内ビルディング(東京・千代田)は「テナントに15―20%の値上げを要請しており、10%以上の値上げで合意するケースが多い」という。

(8/3日経ニュース)

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「株の投資単位下げ」二の足、09年の株券電子化にらむ

 上場企業の間で、株式投資に必要な金額(投資単位)を引き下げる動きが鈍っている。2007年1―7月に1単元の株式数を変更する「くくり直し」を実施した東京証券取引所上場企業(マザーズ含む)は12社にとどまり、前年同期の59社を大幅に下回っていることが日本経済新聞の集計で分かった。
 東証は昨年12月に上場規則を見直し、投資単位を「5万円以上50万円未満」の範囲とするよう努力を求めるルールを新設した。だが株券の作成費用など、くくり直しに伴うコスト負担が軽減される09年1月(予定)の株券電子化制度導入までは、投資単位引き下げを手控えようと考える企業が多いようだ。
 結果的に投資単位が高水準のまま当面放置されれば、投資家層のすそ野拡大を狙った東証の新ルールの実効性が問われることにもなりそうだ。

(8/3日経ニュース)

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商社新スタイル(下)環境事業、多彩に――排出権・水…各国で存在感

 インドネシア・ブラン島の養豚場。ここではふん尿から出るメタンガスを回収し、燃焼させている。
 何の熱源に使われることもないこの炎を燃やし続けているのは、実は三井物産が納入した装置。温暖化の負荷の高いメタンを燃焼させて、温暖化ガスの排出権を獲得するためだ。
 この事業で獲得した排出権量は百二十万トン。二〇〇五年に発効した京都議定書で定められた温暖化ガス排出量の削減手法の一つ、「クリーン開発メカニズム(CDM)」に基づく。先進国が途上国に対する技術支援などで温暖化ガスの排出を削減すると、その分を排出権として利用できる仕組みだ。
 中国でフロンを回収、分解する事業などを手掛ける三菱商事の排出権量は年千百八十七万トンと日本企業で最大とみられる。総合商社四社では国連登録ベースで年二千七百万トン以上となり、世界シェアも一七%に及ぶ。
 同議定書での日本の削減義務は〇八年―一二年の約束期間に一九九〇年比で六%。期限が刻々を迫り目標達成が危ぶまれる中、商社は世界各国で排出権を獲得しては国内の電力や製鉄業界などにさばく。排出権取引はもはや日本の商社抜きには語れない。
 排出権ばかりではない。「東南アジアでも誇れる水準となった」と三菱商事の環境・水事業ユニットの西村弘次長が胸を張るのがフィリピンのマニラ東地区での水道事業だ。
 九七年のマニラの水道事業民営化時に地元アヤラ・グループなどと共同で水事業に参入。今では同国の全人口の六・三%に当たる約五百五十万人に水を供給する。漏水や盗水など全供給量に占める収入にならない水量の割合(無収水率)は現在約二五%と九七年の六三%から大幅に低下。バンコク(三二%)やクアラルンプール(三八%)などよりも高いレベルにある。
 世界各地で水道事業の民営化の流れは続く。三菱商事はマニラでの成功事例をもとに今後は「アジアを中心に事業地域を広げたい」(水谷重夫環境・水事業ユニットマネージャー)。
 一方、双日は子会社を通じて四月から、バクテリアの働きで有機物を二酸化炭素(CO2)と水に分解する装置や、後付け方式のアイドリング停止装置を販売。有機物分解装置は養鶏業者に鶏ふんなどの処理用としての納入実績を持ち、食品メーカーへの売り込みも狙う。商社が手掛ける環境ビジネスは多彩だ。
 各社がこうした環境事業に力を入れるのは、まず次世代の収益源としての将来性を感じていること。さらに投資案件の発掘や販路開拓に総合商社としての幅広い事業領域を活用できるからだ。

(8/3日経産業新聞)

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商社新スタイル(下)商社、問われる技術発掘――販路拡大へ営業力もカギ

 伊藤忠商事が四月に発足させた「太陽電池室」。金属・エネルギーカンパニーと機械カンパニーの担当者で構成し、次世代の中核ビジネス候補として太陽光発電事業に取り組む。
 太陽電池室の設立は「両カンパニーが協力し、技術革新が相次ぐ太陽光発電事業での将来のネタをつかむ」(加藤直之室長)ため。金属・エネルギーカンパニーはシリコンなど原材料を扱い、機械カンパニーはガラス基板にシリコンの薄い膜を蒸着させるという新しい生産手法に使う装置を販売する。
 太陽電池室ではそれぞれの取引先を通じて、原料メーカーや発電システムの構築業者などへの投資案件を共同で発掘し、選定する。そこに商社の総合力が生きる。
 とはいえ課題もある。環境ビジネスは新たに開けた市場とあって、顧客のニーズをつかむのも、顧客に受け入れられる新たな商品を見つけるのも容易ではない。
 兼松は日本総合研究所などと組み、北海道で牧場の牛ふんから発生するメタンガスの精製・販売を計画。担当者は七月に畜産や食品加工が盛んな鹿児島・宮崎両県をかけまわった。
 日本総研や長崎県のベンチャー企業が高効率のメタンガス精製装置を開発しており、その装置を設置してもらうための市場調査だ。
 精製したガスはボンベ詰めして燃料用として商業施設などに納める計画だが、装置の設置場所の確保にも、ガスの販路拡大にも地道な営業が不可欠だ。
 七月三十一日までに出そろった大手商社の二〇〇七年四―六月期決算は各社とも収益は高水準。資源高などに加え、ビジネスモデルを企業への投資を通じて連結収益や配当収入を伸ばす形に変えてきたことにある。
 しかし、環境ビジネスでは優れた技術の発掘と販売という商社の伝統的な役割が問われる。今改めて“商人(あきんど)”としての商社の力が試されようとしている。

(8/3日経産業新聞)

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UAEで発電・造水事業、丸紅、英電力大手と組む

 丸紅は二日、英電力大手のインターナショナルパワーと組み、アラブ首長国連邦(UAE)で発電・海水淡水化事業に乗り出すと発表した。総事業費は約二十八億ドル(約三千三百億円)で、日本企業が加わる海外の発電事業としては最大級。
 オマーン湾に面するフジャイラに天然ガス火力発電所と海水淡水化設備を一体建設する。発電出力は二百万キロワットと日本の原子力発電所二基分に相当。造水能力は日量五十九万トンで、日本の一般家庭なら百八十八万人分の生活用水を賄う。十二月に着工し、二〇一〇年度の稼働が目標。一日付で発注元のアブダビ水電力庁と正式に契約した。
 同庁が六〇%、丸紅と英社で四〇%を出資して事業会社を作り、建設から設備運営までを一貫して担当する。電力・水の供給期間は設備完成から二十年間を予定。丸紅はその間、持ち分に応じた収益を得られる。総事業費の八割を銀行団によるプロジェクトファイナンスで調達する計画だ。

(8/3日経産業新聞)

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株、長い「下ヒゲ」で底入れ?――現物、デリバティブともに整理進む

 2日の東京株式市場で日経平均株価が113円高と上昇した。ただ、取引時間中には200円強下落するなど乱高下の目立つ相場展開。東証1部の売買代金は3兆8307億円と、株価指数先物やオプションの特別清算指数(SQ)算出日を除くと3月5日以来の高水準だった。相場の乱高下で損失を被った投資家は少なくないが、信用の期日前の整理売りが進むなど悪い話ばかりではないようだ。
 持ち高の整理が進んだ――。後場の急落場面は、これまで我慢して主力株を保有し続けていた投資家が見切り売りに走り、株価指数先物でも、ストップロス(損失を回避するための機械的な売り)が出たと指摘されている。ミニ日経平均先物(日経225ミニ)の9月物は37万枚と連日で過去最高を更新、日経平均先物の売買高も2月28日以来の大商いだった。来週末にSQを控えた8月物の日経平均オプションでは権利行使価格にあたる1万6500円が視野に入り、相場の上昇を見込んであらかじめプットオプションを売っていた参加者の買い戻しが加速、大商いとなった。後場の急落局面で信用取引を中心とする現物株やデリバティブ(派生商品)の持ち高整理が進んだことは株式を巡る需給環境の改善と前向きに評価されている。
 テクニカル面でも変化が出てきた。日足チャートのローソク足は前日1日に、弱気を示す「長い陰線」を描いたものの、きょうは寄り付きや終値を取引時間中の安値が大きく下回る「下ヒゲ」のある「陽線