2008年8月20日 (水曜日)

大阪府、「バイオ応援団」を立ち上げ

 大阪府は18日、バイオ関連の研究・事業の第一線実務者で構成される「大阪バイオ応援団」を立ち上げたと発表した。北大阪を国際的なバイオクラスターへと発展させるために進めている、府のバイオ推進体制の第一弾。メンバーは、大手製薬会社やバイオベンチャー、大学機関など17人から成り、団長を、手代木功大阪医薬品協会会長(塩野義製薬社長)が務める。

 26日に行われる第1回の会合では、橋下知事と、大阪のバイオ産業に関する現状や課題、今後の将来像について意見交換する。府は、同応援団に対し、「大阪バイオ戦略推進会議(仮称:9月設置予定)」が取りまとめる「大阪バイオ戦略(案)」への実務的な助言と、具体的事業の展開における連携・協力を仰ぎたいとしている。

(08/19IP NEXT)

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2008年8月 7日 (木曜日)

カルナバイオがストップ安で売買成立 1298株の売り残す

 終日売り気配のまま推移し、大引けに値幅制限の下限(ストップ安)となる、前日比1万円安の6万6500円で売買が成立した。大引けで63株の売買が成立し、ストップ安水準で1298株の売り注文を残した。
 研究開発型ベンチャー。6日大引け後に2008年12月期の業績が従来予想より悪化するとの見通しを発表し売りが膨らんだ。

(08/07日経ネット)

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2008年8月 1日 (金曜日)

第1四半期決算発表「宝ホールディングス」

 宝ホールディングスの2008年4−6月期決算は売上高が前年同期と比べてほぼ横ばいの452億9000万円、経常利益が前年同期比12・2%増の11億5600万円、純利益が同112・1%増の7億6500万円だった。バイオ事業のタカラバイオの売り上げが理化学機器販売の不振で伸び悩んだが、主力の焼酎やソフトアルコール類が好調だったため、全体で売り上げを確保。販売促進費の削減で経常増益となり、純利益は前年同期に訴訟和解金を計上した反動で大きく伸びた。

(08/01京都新聞)

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2008年7月30日 (水曜日)

バイオベンチャーでマザーズのタカラバイオ(4974)は明日葉茶の発売を発表するも、利食い売りに押される展開に

屋久島の直営農場で栽培した明日葉だけを使用した健康茶「屋久島のめぐみ 明日葉茶」を7月31日より発売することになったと発表しているものの、利食い売りに押されている模様。
タカラバイオ(4974)の株価は09時38分現在、255,000円の4,900円安。

(07/29兜町ネット)

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2008年7月 3日 (木曜日)

タカラバイオ<4974.T>買い気配、白血病の遺伝子用医薬品の治験届を提出

 タカラバイオ(4974.T: 株価, ニュース, レポート)が買い気配。同社は1日、白血病に対する遺伝子治療(開発コード:TBI―0301)の治験計画届書を6月30日付で医薬品医療機器総合機構に提出したと発表し、材料となっている。

 同社によると、今回の治験の目的は安全性の確認に加えて、遺伝子導入リンパ球の血中動態および移植片対宿主病(GVHD)が発症した場合にガンシクロビル投与でGVHDの沈静化が期待できるため、その効果を検討すること。

(07/02ロイター)

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2008年3月 5日 (水曜日)

がん治療向け抗体医薬、第一三共、足場固め急ぐ―循環器に次ぐ新たな柱育成

 第一三共ががん分野の足場固めを急いでいる。柱は免疫機構を応用した「抗体医薬」で、米バイオ医薬大手のアムジェンから導入した骨関連に効く「デノスマブ」を筆頭に、複数品目を臨床試験(治験)中だ。主力の循環器分野に次ぐ新たな中核分野へ育てようと、M&A(合併・買収)にも意欲を示している。
 デノスマブは第一三共が昨年七月、総額約二百億円を投じてアムジェンから日本国内での開発販売権などを取得した期待の候補品だ。
 アムジェンは先月、日本法人と抗体医薬などの候補品十三品目の開発販売権を武田薬品工業に売却することを決めたが、第一三共の庄田隆社長はこの案件が浮上した際にも「すでに欲しい物は確保している」と食指を動かさなかった。
 デノスマブは病原体などを排除する「抗体」という特殊な免疫たんぱく質を製剤化した抗体医薬。骨の新陳代謝機構に働きかけ、骨の過剰な破壊などを防ぐ。骨転移したがん向けに国内で「第三相」と呼ぶ最終段階の治験を進めている。
 「関節リウマチ向けも夏から第三相を始め、スピード感をもって開発を進める」。庄田社長は先月実施したR&D(研究開発)説明会でも、将来の主力品だと強調した。
 「DE―766」はカナダ企業から導入した。「EGFR」と呼ぶ細胞表面のたんぱく質を狙い撃ちし、既存薬より毒性が低いと期待される。他の抗がん剤や放射線療法との併用を念頭に日本で第一相段階にあり、今夏までに第二相を始める。
 海外企業から開発販売権を取得した導入品に加え、自社製の抗体医薬にも取り組む。「CS―1008」はこのほど米国で抗がん剤としての有効性を検証する第二相の治験に着手した。
 がん細胞の表面にある特殊なたんぱく質だけに結合し、がん細胞を自滅に追い込む。血液がん以外の固形がんを中心に、とりわけ治療効果の高いがん種を見極めつつ開発を進めるもよう。
 第一三共のグローバル研究開発責任者であるジョン・アレキサンダー氏は「抗体の技術を磨くことで病気の発症機構を突き止めやすくなり、化学合成で作る既存の低分子薬も開発しやすくなる」と抗体医薬を取り扱う利点を解説する。
 抗体医薬は現在の製薬業界を動かす最も重要なキーワードの一つだ。
 昨年春にエーザイが米ベンチャーを買収。同十月には抗体医薬の効き目を百倍に高める技術を持つ協和発酵が、拒絶反応の少ない抗体医薬を作る技術を持つキリンホールディングスとの医薬事業統合を決めた。アステラス製薬も米ベンチャーを昨年末に買収。武田薬品はアムジェン日本法人買収に先立ち、米国で研究子会社を立ち上げた。
 この中で第一三共はデノスマブを導入したのみ。現状では出遅れ感も否めないが、アレキサンダー氏は「抗体医薬の重要性は高まっており、M&Aやアライアンスを通じて外部資源を積極的に取り込みたい」と話す。
 ただ主力の循環器分野で抗血栓薬が開発の終盤を迎えるなど、第一三共の研究開発費は膨らむ傾向にある。〇八年三月期の研究開発費は売上高の二割を占める千七百億円に達する見込みで、資金の効率配分も課題となる。「二〇一五年に売上高一兆五千億円」の長期ビジョンを見据え、研究開発のかじさばきが問われる。

(03/05日経産業新聞)

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普及遅れる先端医療(下)医療機器、日本は“中古”市場―新型導入に高い壁

 エドワーズライフサイエンスは二〇〇六年二月末に補助人工心臓「ノバコア」の新規販売をやめた。国内初の植え込み型補助人工心臓として〇一年八月に認可を取得、〇四年から保険適応をとって十台以上を販売した。小柄な日本人が植え込むには大型装置だったため販売数は伸び悩んだが、中止した最大の理由は部品供給の限界からだ。
 日本で人工心臓の第一世代にあたる製品が保険認可をとった〇四年、欧米ではすでに第四世代まで実用化されていた。三世代前の製品で、バッテリーを供給するカナダの部品メーカーが「もう作れない」とノバコア製造会社の米ワールドハートに供給停止を伝えてきた。
 エドワーズ社は厚生労働省などと相談し、販売済みの製品に必要な交換用バッテリーを確保。メンテナンスなどの体制は維持する。だがノバコアの最新型の治験などの予定はないという。日本では新型の導入も進まないうえ、中古機器さえ市場から消えるお寒い状況だ。
 医療機器メーカーを日本での治験から遠ざけるのは原材料規格に代表される厳しい基準。成分を少し変更しただけで試験などをやり直さなければならない。一方、海外では簡単に手続きできる。
 厚生労働省は審査基準を見直すため、米国と国際共同治験のモデルケースを作るプロジェクトを〇二年から始めた。ここで国内制度の問題点を見つけて改善につなげようという計画だが、いまだにどの医療機器で取り組むのかも決まっていない。
 審査体制の人員不足も指摘される。医療機器は三十万種。薬が一万七千品目にすぎず分類もしやすいのに対し、医療機器は限られた人員で多様な分野をカバーしなければならない。医療機器の普及を目指す在日米国商工会議所医療機器・IVD小委員会の児玉順子副委員長は「数合わせよりも専門家の育成が重要」と訴える。
 国内医療機器メーカーが参加する医療技術産業戦略コンソーシアムにとっても審査の遅れは変わらぬ課題だ。実用化を急ぐ七分野を決めて支援を開始。東芝や第一化学薬品が昨年申請したDNA(デオキシリボ核酸)チップや補助人工心臓などの実用化へ近づき成果が上がっているという。
 「政府で医療機器のことを話す機会が増えた。流れが変わり光があたってきた」と同コンソーシアム共同議長の和地孝テルモ会長は期待する。内閣府や厚生労働省などで解決に向けた動きが出始めたという。
 厚労省は重要な医療機器の審査を急ぐ委員会を設置したが、対象は植え込み型補助人工心臓や胸部大動脈ステントグラフトなど十三品目にとどまる。対象拡大を急がなければ海外との承認の差「デバイス・ラグ」は簡単には縮まらない。
 「日本の特技は改善改良。これを生かせる制度にしてほしい」と和地テルモ会長は力を込める。医療機器は一社ではできない。さまざまな部品メーカーなどが参加意欲をかきたてられるように改善改良を認める制度の必要性を訴える。
 医療機器は開発期間が約四年、市場で競争力がある期間が一年半といわれる。どちらも十年以上の薬に比べて世代交代が圧倒的に速い。だからこそ日本企業の特技が生きる可能性はあるはずだ。

(03/05日経産業新聞)

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抗がん剤の併用療法、ヤクルトが承認申請、結腸・直腸がん対象

 ヤクルト本社は抗がん剤「エルプラット」を中外製薬の抗がん剤「ゼローダ」と併用して結腸・直腸がんの治療に使う投与方法について、厚生労働省に承認申請したと発表した。主力薬であるエルプラットの使用方法を広げ、売り上げを伸ばす。二〇〇九年中の承認取得を目指している。
 〇六年から中外製薬と併用療法の共同開発を進めており、二月に申請した。このほど海外で実施した転移性結腸がんと直腸がんの患者を対象にした臨床試験で、承認済みの抗がん剤三剤を投与した場合と効き目がほぼ同じだと確認した。二剤併用で済むため、従来の方法より抗がん剤の種類を減らすことができる。
 エルプラットは〇五年四月に国内で発売。〇八年三月期の売り上げは二百二億円(前期比二四・四%増)の見通し。

(03/05日経産業新聞)

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タカラバイオ、自社開発たんぱく質、三重大学で臨床研究開始

タカラバイオは白血球の培養などに使う自社開発のたんぱく質「レトロネクチン」を使った臨床研究が三重大学で始まると発表した。抗がん剤投与後に起きる免疫機能低下を抑制する機能と、安全性の確認が研究の主な目的。
 抗がん剤投与前に患者から血液を採取。血液中に含まれる白血球の一種で、人体の免疫機能に重要な役割を果たすナイーブT細胞をレトロネクチンを使って培養する。免疫機能が低下する抗がん剤投与後に、培養したナイーブT細胞を体内に注入して免疫機能低下を抑えることを目指す。

(03/05日経産業新聞)

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2008年3月 4日 (火曜日)

普及遅れる先端医療(上)新薬治験、日本は後回し―審査長く、低い薬価

 先端医療の国内での普及が遅れている。新薬と医療機器で企業は海外での臨床試験を優先して日本は後回し。治験が進めにくく事業性でも見劣りする国内の制度が足を引っ張る。変化の兆しも見えるがまだ一部にすぎず、さらに国際的に取り残される可能性が高い。
 二月、バイオベンチャーのオンコリスバイオファーマ(東京・港)が遺伝子組み換えで開発した抗がん剤「テロメライシン」の台湾での審査が始まった。安全性を調べる第一相試験を実施中の米国に続く、臨床試験を目指す。同社の浦田泰生社長は「日本のハードルは高く、小さなベンチャーでは越えられない」と話す。
 米食品医薬品局(FDA)の審査はスムーズだった。資料を送れば一カ月後には電話会議で相談できた。遺伝子組み換えという先端領域でも専門家チームで対応してくれる。「無用な動物実験などをきちんと教えてくれて、実用化に向けて協力的だ」(浦田社長)。
 一方、日本の審査の評判は悪い。「相談するのに三カ月以上かかる」「膨大な質問をされる」「手間がかかるのに日本の治験の質は低く、海外から信用されない」。そんな不満があふれる。
 厚生労働省などは改善しようとしているが、資金面で厳しいベンチャー企業は海外に活躍の場を求めている。
 抗体医薬のアージェンス(東京・港)は昨年九月からベルギーで関節リウマチ向け抗体医薬の第一相試験を開始。遺伝子治療のディナベック(茨城県つくば市)は中国で重症虚血症治療の臨床試験を昨年一月に申請した。治験が海外へ流出する事例は枚挙にいとまがない。
 外に活路を求めるのは、国内のバイオベンチャー育成が進んでいないことの反映でもある。これまでにベンチャーが新薬の承認をとったのはノーベルファーマ(東京・中央)の一社だけ。今年一月にウィルソン病治療薬で取得したが、これに続くベンチャーはまだ無い。
 皮肉にも同社は海外と国内の承認の差である「ドラック・ラグ」を利用する。希少性疾患で国内に治療薬がなく海外で承認されている薬に注目。日本での権利を取得して実用化するビジネスモデルだ。希少性疾患ならば優先審査となり実用化が早くなる点を生かす。
 ドラッグ・ラグに政府も手をこまぬいているわけではない。厚労省は未承認薬使用問題検討会議で検討を開始。海外で承認済みで需要のある四十二品目を選び、すでに優先審査で十三品目が承認された。海外五十カ国で承認済みなのに国内で治験していない薬を持つ企業が背中を押されて動き出している。
 ただそれでも臨床試験を引き受ける企業が見つからない薬が四品目残っている。厚労省は企業に依頼するが企業の反応は鈍い。ノーベルファーマの塩村仁社長は「企業がやらないのは薬価が低いから。大企業では優先順位の上位にこない」と話す。
 「ドラッグ・ラグの原因は審査だけでなく、治験を始める時期が遅いため」。医薬産業政策研究所が二〇〇〇―〇六年の承認薬五十四品目について調べた結果だ。
 日本は欧米に比べて治験期間で一年半、承認審査は半年長い。それに加え、治験に着手する時期が一・九―二・七年も遅い。その理由について企業側は「まず海外で先行という戦略だった」と石橋慶太主任研究員は言う。
 海外重視の傾向は外資と国内企業で変わりはない。薬価や国内市場の伸び悩み、治験のやりにくさなどの不満から企業の海外への意識は強くなる一方だ。

(03/04日経産業新聞)

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医学生物学研と京大、がんの抗体医薬開発へ、2年後目指す

 臨床検査薬などの開発を手がける医学生物学研究所と京都大学は三日、がんの新しい免疫治療法を共同開発すると発表した。京大の坂口志文教授らが見つけた抗体を利用し、がん細胞への攻撃を抑制するタイプのT細胞を減らすことで治療効果を上げる。
 胆がん細胞を移植したマウスで腫瘍(しゅよう)を減らす効果を確認済みで、医学生物学研は人間で使うヒト抗体も作製した。二年後をメドに治療法を確立して、製薬企業にライセンス供与する計画だ。
 T細胞は免疫反応で中心的な役割を担うリンパ球の一種。病原菌などを攻撃するエフェクターT細胞と、その攻撃を抑制する制御性T細胞からなる。
 制御性T細胞では、ビタミンの一種、葉酸を取り込むたんぱく質が増えることを利用して、このたんぱく質とくっつく抗体を投与することで、制御性T細胞を減らし、がん細胞が消滅する仕組みだ。
 がんの免疫療法は生理活性物質などを投与してエフェクターT細胞を増やす方式が一般的とされる。
 しかし、制御性T細胞も同時に増え、治療効果が限定される場合が少なくない。

(03/04日経産業新聞)

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2008年3月 3日 (月曜日)

乳がん向け抗体医薬、術後患者も対象に―中外、適応拡大の承認取得

 中外製薬は乳がん向けの抗がん剤として販売している抗体医薬「ハーセプチン」の適応拡大が承認されたと発表した。これまでは転移して手術のできない患者だけが対象だったが、新たに乳がんの切除手術を受けた後の補助療法として認められた。対象患者数の拡大で、二〇〇八年は前年比三割増となる二百十六億円の売上高を目指す。
 ハーセプチンは親会社であるスイス・ロシュが開発した薬で、「HER2」と呼ぶたんぱく質が過剰につくられる悪性度の高いタイプの乳がんが対象。中外はハーセプチンを〇一年にHER2の過剰生産が確認された転移性乳がんの治療薬として発売。「術後補助化学療法」の適応拡大を〇六年末に申請していた。
 中外が承認申請のために提出した、日本など世界三十九カ国で乳がん患者約五千百人を対象とした臨床試験(治験)によると、手術後にハーセプチンを一年間投与することでがんの再発率を三六%、死亡リスクを三四%下げられたという。
 中外はこのデータなどを医療機関に提供、ハーセプチンの採用を促す。

(03/03日経産業新聞)

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武田薬品、不眠症治療薬の製造販売、厚労省に承認申請

 武田薬品工業は、自社開発の不眠症治療薬「ラメルテオン」の製造販売承認を厚生労働省に申請したと発表した。米国では「ロゼレム」という製品名で二〇〇五年七月に米食品医薬品局(FDA)から販売許可を取得し、同年九月から販売している。
 ラメルテオンは脳内で睡眠と目覚めのサイクルをつかさどる「MT1/MT2受容体」に作用し、自然な睡眠をもたらすという。従来、不眠症治療薬には薬物依存性があったが、ラメルテオンは臨床試験(治験)で依存性が認められず、米では司法省麻薬取締局(DEA)から規制を受けない初の不眠症治療薬として販売されている。
 米国での〇六年度の売上高は約百億円。欧州でも〇七年三月に欧州医薬審査庁(EMEA)に販売許可を申請している。

(03/03日経産業新聞)

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2008年3月 1日 (土曜日)

たんぱく質を詳細解析、名大など、水分子の結合も判別

 名古屋大学と理化学研究所の共同研究チームは二十八日、たんぱく質の構造を詳しく解析する新手法を開発したと発表した。たんぱく質にエックス線を照射して撮影した画像を独自の数値計算手法で処理する。従来、特定が難しかったたんぱく質の中にある水分子などの細かい構造を調べられる。近く国際学会誌に発表する。
 大型放射光施設「SPring―8」とスーパーコンピューターを利用し、リン酸エステル加水分解酵素と呼ぶたんぱく質を解析した。その結果、これまでに解析された五万種類のたんぱく質の上位〇・二%に入る高精度で構造がわかったという。新薬開発などで重要だが判別の難しい水分子や、水素原子と別の分子との結合状態など、細かい構造を突き止めた。

(02/29日経産業新聞)

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新型万能細胞のシンポジウム、京都で開催

 科学技術振興機構は五月十一―十二日、国際シンポジウム「iPS細胞研究が切り拓く未来」を国立京都国際会館(京都市)で開く。新型万能細胞(iPS細胞)をテーマに欧米やアジアの研究者を招き、最新の研究動向と国際協力の進め方を議論する。参加無料。
 申し込みは三月十四日以降に同機構ホームページ(http://www.ips2008.jst.go.jp)から。定員になり次第締め切る。
 iPS細胞研究の現状や将来展望について、京都大学の山中伸弥教授や米マサチューセッツ工科大学のルドルフ・イェーニッシュ教授らが紹介。ノーベル医学・生理学賞を受賞した英カーディフ大学のマーティン・エバンス氏が基調講演を予定している。他にドイツ・マックスプランク分子医薬研究所のハンス・シェラー所長、シンガポール幹細胞コンソーシアムのアラン・コールマン専務理事らが参加する。

(02/29日経産業新聞)

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「現時点では承認不可」、パーキンソン病薬、FDA、協和発酵に

 協和発酵は二十八日、パーキンソン病薬「KW―6002」に関して、米食品医薬品局(FDA)から「現時点では承認不可」の通知を受けたと発表した。今夏に米国で発売する計画を見直す可能性がある。同社は「FDAと協議をして今後の方針を検討したい」としている。
 同社は二〇〇七年四月にKW―6002についてFDAに承認申請した。レボドパ製剤と呼ぶ神経物質ドーパミンを補充する薬と合わせて使う。FDAは、動物実験に関するリポートの要約の再提出と販売後に薬がどのように人体に影響を及ぼすか確認する試験をするように指示したという。動物実験では脳にカルシウムがたまることが確認されており、この現象がどのような症状を引き起こすかは現在のところ不明としている。

(02/29日経産業新聞)

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2008年2月28日 (木曜日)

卵巣がん向け抗体医薬、近く最終治験―エーザイ、FDAと協議

 エーザイは生物の免疫機構を応用した抗体医薬の候補品「MORAb―003」(開発番号)について、米国で卵巣がん患者を対象に最終段階の臨床試験(治験)に近く着手する。中期段階の治験でがんの縮小効果を確認できたことから、米食品医薬品局(FDA)との協議などを進める。二〇一二年度の承認申請を目指す。
 この候補品は昨年買収した米子会社のモルフォテック(ペンシルベニア州)が開発した。がん細胞表面の「葉酸受容体」と呼ぶ特殊なたんぱく質に結合し、がん細胞の増殖を抑える。
 現在は第二相と呼ぶ中期段階の治験で、再発卵巣がんの患者を対象に、この候補品の効果を検証している。他の二つの抗がん剤と併用投与した二十二人のうち、十九人でがん組織の縮小などの効果が見られたという。
 最終段階である第三相の治験に早期に着手できるよう、治療データのとりまとめやFDAとの協議などを急ぐ。
 エーザイはアルツハイマー病型認知症薬「アリセプト」と抗潰瘍(かいよう)剤「パリエット」という主力二製品への依存度が高い。これらが二〇一〇年から順次、世界各地で特許が切れることから、がんと神経の二分野を中核として次期主力製品の育成を急いでいる。

(02/28日経産業新聞)

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2008年2月27日 (水曜日)

がん治療用抗体、開発・販売権を取得、協和発酵、VBから

 協和発酵は二十六日、バイオベンチャーのリブテック(川崎市、中村康司社長)からがん治療用抗体の開発・販売権を取得したと発表した。全世界が対象。リブテックに契約一時金二億円のほか、開発の進ちょくに応じた成功報酬などを支払う。協和発酵は人が持つ免疫機能を利用した抗体医薬の開発に力を入れており、肝臓がんなど固形がん薬へ応用を目指す。
 取得したのは「LIV―1205」と呼ぶヒト化モノクローナル抗体。肝臓がんなど固形がん細胞の表面にある抗原とくっついて、がん細胞の増殖を抑える効果がある。協和発酵が持つ抗体の効き目を百倍に高める「ポテリジェント技術」と組み合わせて医薬品への応用を目指す。動物実験や臨床試験(治験)は協和発酵が担い、他のがんへの応用はリブテックと共同で研究する。
 協和発酵はアレルギーや血液がん、固形がんの抗体医薬の開発を進めている。抗体の権利を取得して自社の抗体医薬の技術と組み合わせて、開発品目を増やすことが狙い。今回取得した抗体は開発中の抗体と作用の仕組みが異なるため、新しいタイプの抗体医薬になることが期待できるという。

(02/27日経産業新聞)

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新型万能細胞、関連特許を一元管理、総合科学技術会議中間報告案、創薬研究を支援

 総合科学技術会議(議長・福田康夫首相)の作業部会は二十六日、新型万能細胞(iPS細胞)の研究支援策の中間報告案をまとめた。iPS細胞に関連する様々な特許を一元管理する仕組みをつくり、企業や大学が研究開発に必要な特許を簡単な手続きで使えるようにする。ノウハウや情報の交換も促し、「オールジャパン」体制で新薬開発や臨床応用へ向けた動きを加速する。
 二十九日の本会議で報告する。京都大学のiPS細胞研究センターを中心に国内の大学や研究機関が参加する研究組織を二〇〇九年度初めまでに設立。ここに特許管理の専門機関を設ける案が有力だ。
 iPS細胞を再生医療や創薬に生かすには、同細胞を効率よく作る手法や狙った体の組織に成長させる技術に関する特許をいくつも使う必要がある。企業や大学が特許ごとに権利者と個別交渉する手間を省けるように、窓口を一本化する。
 製薬会社が特許管理機関を通じて権利者の異なる様々な特許を使って新薬を製品化した場合、発生する収益の分配の仕方は各権利者などと協議して決める。企業が独自開発した成果の権利を行使して利益に結びつける道は残す。
 中間報告案では〇九年度以降もiPS細胞の研究に十分な資金を援助することや、臨床研究に向けた指針整備を急ぐ方針も示した。

(02/27日経新聞)

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抗血栓症薬、第一三共、夏から最終治験、不整脈患者を対象に

 第一三共は今夏、将来の大型製品と期待している抗血栓症薬の候補品「DU―176b」の最終段階の臨床試験(治験)を始める。対象は不整脈の一種の「心房細動」の患者。人工関節を埋め込んだ患者に対する最終段階の治験の準備も進めている。この薬とは別の仕組みで血液が固まるのを防ぐ次期主力薬「プラスグレル」とともに製品化を急ぎ、循環器分野を強化する。
 候補品は主に静脈系に作用し、血液を固める特殊なたんぱく質「血液凝固因子」のうち「X(テン)a」と呼ぶ因子の働きを妨げることにより血のかたまりである血栓ができるのを防ぐ。同種の薬の開発は独バイエルが先行し、第一三共などが二番手グループを形成している。
 第一三共は、心臓が小刻みに震えて血液を正常に送り出せなくなる心房細動の患者約千五百人を対象に、DU176bの効果を検証する第二相の治験を日米欧で進行中。今夏から最終段階の第三相の治験に着手し、実用化を急ぐ。
 これとは別に、人工股(こ)関節や人工膝(ひざ)関節を埋め込んだ患者約千二百人に対して第二相の治験を実施。投与量が多いほど血栓ができるのを防ぐ効果が高まり、出血の副作用の発生率は変化がなかった。現在、第三相の治験の準備を進めている。
 第一三共が次期主力薬と期待するプラスグレルは「抗血小板薬」と呼ばれ、主に動脈系に作用して血が固まるのを防ぐ。プラスグレルは欧米で承認申請中で、米国では年内の発売を見込む。
 血液が固まるのを防ぐ薬は医療ニーズが大きく、年間売上高が一千億円を超える大型製品に育つと期待されている。第一三共は二種の薬を早期に製品化し、中期的な成長の柱に据える考えだ。

(02/27日経産業新聞)

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医薬品市場初の8兆円台、高血圧薬の伸び目立つ

 日本の医療用医薬品の市場規模(薬価ベース)が二〇〇七年に初めて八兆円を超えたことが調査会社のIMSジャパンのまとめで分かった。〇七年は薬価改定がなく、効き目ごとの分類で最も売上高の大きい高血圧薬(レニン・アンジオテンシン系作用薬)が前年比一〇%伸びたことなどから、市場規模は同四・六%増の八兆四百七十九億円となった。
 レニン・アンジオテンシン系高血圧薬の売上高は五千四百五十二億円。「アンジオテンシンII受容体拮抗(きっこう)剤」と呼ぶ比較的新しいタイプの薬を各社が積極的に販促したため、売り上げが大きく伸びた。このほか「カルシウム拮抗剤」と呼ぶ別のタイプの高血圧薬も効き目別の売上高で六位に入った。
 抗がん剤(前年比九・四%増)と糖尿病薬(八・〇%)、抗血小板薬・血栓症薬(八・五%)も二ケタ近い伸びを示した。
 〇六年は薬価が平均六・七%引き下げられ、市場規模は前年比〇・六%減とマイナス成長だった。今年も薬価が引き下げられるため、市場規模の拡大ペースは鈍るとみられる。

(02/27日経産業新聞)

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2008年2月26日 (火曜日)

難病治療薬、4月にも販売へ、アンジェスMG初の商品

 遺伝子医薬品開発のアンジェスMGは二十五日、承認申請中の難病治療が厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会で了承されたと発表した。今後は同審議会薬事分科会での審議を経て製造販売承認となり、早ければ四月にも販売を始める見通し。同社初の商品になる。
 承認されたのは先天性代謝異常疾患「ムコ多糖症VI型」の治療薬「ナグラザイム」。米バイオマリン・ファーマシューティカル(カリフォルニア州)から日本国内での開発・販売権を取得した。
 ムコ多糖症VI型は国内に数人の患者がいるとされる進行性の難病で、有害物質の分解に必要なたんぱく質を遺伝的に持たないため骨の変形などが起きる。骨髄移植でたんぱく質を補う方法があるが、患者の肉体的負担が軽減できる薬を使った補充方法が求められている。

(02/26日経新聞)

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アトピー性皮膚炎、重症度評価の診断薬―塩野義が発売、因子量を測定

 塩野義製薬は二十五日、アトピー性皮膚炎の重症度を評価する体外診断用医薬品「アラポートTARC」を二十九日に発売すると発表した。同皮膚炎の症状を悪化させると考えられている血清中の因子「TARC」の量を測定することで、見た目だけでは難しい同皮膚炎の重症度を客観的に診断できるという。
 専用機器などは不要で、五十マイクロ(マイクロは百万分の一)リットルの血清のみでTARC値の測定が可能。TARCはアトピー性皮膚炎の皮膚病変などによって生産が誘導、増強される白血球走化性因子の一つで、アレルギー反応を進ませ症状を悪化させる。TARC値を測定できる診断薬は初めて。
 一キット九十六回用で価格は十一万一千円(税抜き)。現在は保険未収載で適用を申請中。同社は「クラリチン」「リンデロン」などのアレルギー性疾患治療薬を販売しており、診断薬の品ぞろえを強化し治療薬との相乗効果を高める考えだ。

(02/26日経産業新聞)

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2008年2月25日 (月曜日)

第一三共、米で申請中抗血栓症薬、優先審査対象に、年内発売へ追い風

 第一三共は、米製薬大手イーライ・リリーと共同で昨年末に米食品医薬品局(FDA)に承認申請した抗血栓症薬「プラスグレル」がFDAの優先審査対象となったと発表した。両社はこの薬を次期主力品と位置付け、年内の発売を計画している。優先審査の対象は他の薬に比べて手続きが迅速に進むため、年内発売の追い風となりそうだ。
 FDAの審査は平均十カ月かかる。ただ特例として、治療効果が高いと期待される薬を優先的に審査する制度がある。優先審査の対象となった約九割の品目は、承認申請から六カ月以内に審査結果が出るという。
 結果は「承認」と、追加審議を必要とする「承認見込み」、申請を認めない「非承認」の三通り。承認を得られれば、両社はただちに発売の準備に入る。承認見込みの場合は、両社でFDAとの協議を続ける。
 プラスグレルは第一三共と宇部興産が発見した新薬候補品。臨床開発は第一三共と米リリーが共同で進めており、昨年十一月には一万人規模の臨床試験で仏サノフィ・アベンティスが販売する競合薬「プラビックス」を上回る治療効果を確認したと公表。十二月二十六日にFDAに承認申請し、今月八日には欧州医薬品庁に承認申請した。

(02/25日経産業新聞)

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2008年2月23日 (土曜日)

創薬系バイオ6社の今期、2社が経常赤字縮小

 新薬開発や再生医療関連のバイオベンチャーの今期業績は、主要6社のうち2社で経常赤字幅が縮小しそうだ。臨床試験を進める品目を絞り込み研究開発費の負担を減らす。製薬会社に新薬の候補物質の開発権を供与する契約なども寄与する。各社とも臨床試験の段階を進めているが、開発権の供与など対応の違いが足元の業績を左右しそうだ。
 がん治療薬開発のオンコセラピー・サイエンス(OTS)は製薬会社との新規契約で赤字幅が縮小する。がんワクチンについて1月末に、大塚製薬に開発・製造販売権を供与する契約を結んだ。大塚製薬からの契約金が入ったことで、今期の経常赤字幅は4億円に縮小する。
 メディシノバは開発品目を絞り込み、臨床試験費用を減らす。ぜんそくの急性発作と多発性硬化症の治療薬の2品目に経営資源を集中。研究開発費は前期より半減しそうで、今期の経常赤字幅は半分近くにまで減る見通し。
 一方、研究開発費がかさむ4社は経常赤字幅が拡大する。アンジェスMGは遺伝子治療薬が臨床試験を終え製造販売承認申請の準備に入り、提携先の製薬会社から受け取る開発協力金が減少。半面、皮膚がん治療薬の臨床試験費を一部負担する契約を結んでいる米バイオ企業向けの協力金が増える。
 そーせいグループは、がんの痛み止め薬や緊急避妊薬の最終段階の臨床試験を始めたため費用が増加する。今期の研究開発費は前期より10億円多い45億円となりそうだ。
 再生医療のジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J・TEC)は培養表皮(皮膚の1番外側の層)の製造設備の償却費や再生医療の研究開発費が重く経常赤字幅が拡大。ジーエヌアイは中国の子会社が手がける肺や肝疾患治療薬の治験費用の増加から赤字幅が広がる。

(02/22日経ニュース)

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2008年2月22日 (金曜日)

エーザイ、乳がん向け抗がん剤、日本で第二相治験着手、09年度に承認申請

 エーザイは抗がん剤の候補品「E7389」について、乳がんを対象に治療効果を検証する中期段階の臨床試験(治験)に着手した。同社はこの候補品の米国での承認申請時期を二〇〇七年度から〇九―一〇年度に延期したが、日本では従来の計画通りに治験を進め、〇九年度中に厚生労働省に承認申請する。
 E7389は「クロイソカイメン」と呼ぶ海洋生物が持つ毒素の構造をまねた化合物。細胞分裂を妨げ、がん細胞の増殖にブレーキをかける。
 同社はこの化合物を乳がん患者に投与して薬としての有効性を調べる「第二相」と呼ぶ中期段階の治験を始めた。
 米国で先行して実施した三百人規模の第二相の治験では、既存の抗がん剤を使った治療法を平均四通り受けても完治しなかった患者の一割近くに効果があった。副作用である重い神経障害は確認されなかったという。
 日本でも開発を急ぎ、米国での治験データを活用するなどして〇九年度に承認申請する。
 同社は米国で実施した第二相のデータをもとに特例制度を活用して〇七年度中に承認申請する計画だった。だが競合薬が通常の手続きで承認を受け、この制度を使えなくなった。そのため米国での申請時期を、第三相と呼ぶ治験の最終段階のデータが出そろう〇九―一〇年度に先送りした。

(02/22日経産業新聞)

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第一三共、骨粗しょう症向け抗体医薬、今夏から最終治験

 第一三共は二十一日、都内で研究開発プロジェクトの説明会を開き、米アムジェンから日本での開発販売権を取得した抗体医薬「デノスマブ」について、骨粗しょう症を対象とする最終段階の臨床試験(治験)を今夏から始めることを明らかにした。骨粗しょう症患者は社会の高齢化に伴って増加しており、第一三共は早期の製品化を目指す。
 デノスマブは第一三共が昨年七月にアムジェンから導入した。病原体などを排除する「抗体」と呼ぶ特殊な免疫たんぱく質を製剤化したもので、骨の新陳代謝機構に働きかけて、骨の過剰な破壊を抑える。皮下注射剤で、骨粗しょう症の治療には、六カ月の間隔をあけて計二回投与する。
 アムジェンが進めてきた日本での治験では、閉経後の骨粗しょう症患者を対象とした中期段階の「第二相」で、治療効果を確認できたという。
 現在は開発販売権を取得した第一三共が、最終段階の「第三相」の準備を進めている。庄田隆社長は「今夏から第三相に着手し、スピード感をもって開発を進める」と説明している。

(02/22日経産業新聞)

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2008年2月19日 (火曜日)

抗がん剤候補化合物、メルクとの開発、武田薬品が中止

 武田薬品工業は十八日、抗がん剤の候補化合物「EMD72000」の独メルクとの共同開発を中止すると発表した。EMD72000は独メルクが創製した化合物。大腸がん、胃がん、肺がんを対象に第二相臨床試験(治験)を欧米で実施していたが、期待した結果が得られず共同開発の中止を決めた。

 武田は独メルクと、日米欧とアジアの一部を対象にした共同開発、販売契約を二〇〇五年九月に結んでいた。EMD72000は、多くのがんの発生や進行に関係している上皮成長因子受容体に対するヒト化抗体。

(02/19日経産業新聞)

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2008年2月18日 (月曜日)

国産初の抗体医薬「アクテムラ」、関節リウマチ向け投入・中外製薬

 中外製薬は4月をメドに、国産初の抗体医薬「アクテムラ」を国内で関節リウマチの治療向けに投入する。2005年から「キャッスルマン病」と呼ぶ難病の治療用に販売している薬で、関節リウマチへの適応拡大が今春にも国から認められる見通し。欧米でも親会社のスイス・ロシュを通じて関節リウマチ薬として承認申請しており、早期に年間売上高1000億円を超える大型製品に育てることを狙う。
 アクテムラは中外と大阪大学の共同開発品で、日本で創出された抗体医薬の実用化第1号。免疫機構を担う抗体と呼ぶ特殊なたんぱく質が主成分で、炎症を促進する「インターロイキン6(IL―6)」と呼ぶたんぱく質が受容体と結合するのを妨げる。
 関節リウマチは体内で過度の炎症が生じるために起こる。患者にアクテムラを投与すると炎症反応が抑えられ、病気を治療できるという。
 関節リウマチの治療では、IL―6とは別の「TNF―α」と呼ぶ炎症促進たんぱく質の働きを妨げる薬が一定の効果を上げている。中外などが実施した治験では、この薬が効かなかった患者にもアクテムラが効果を示したという。
 中外は05年、アクテムラをリンパ節が炎症を起こす難病であるキャッスルマン病向けに日本で発売した。06年4月に関節リウマチへの適応拡大を申請し、今年1月に厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の部会で適応拡大が了承された。3月の薬事分科会への報告を経て、4月にも正式承認される見通しだ。
 アクテムラの07年の売上高は5億円。08年は関節リウマチへの適応拡大により48億円を見込む。国内の関節リウマチ患者は70万人以上にのぼり、なお増加傾向にあることから、中外は安全性に配慮しつつ医療機関に採用を促す。
 海外ではロシュが07年末に関節リウマチ薬として申請しており、中外はロシュと共同販促するなどして海外でも売り上げを伸ばす計画だ。

(02/18日経ニュース)

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2008年2月14日 (木曜日)

製薬業界再編、技術融合がカギ、食品・化学…得意技活用

 富士フイルムホールディングスと富山化学工業が狙うのは異分野技術の融合による革新的な新薬の創出だ。キリンホールディングスによる協和発酵の買収も「抗体医薬」という新薬技術の強化が狙いだった。製薬業界再編の原動力は規模拡大から技術の深掘りに移っている。それだけに新しい医薬品の開発に応用できる技術を持った異業種の参入が今後も続く可能性がありそうだ。
 富士フイルムの強みは、フィルムや医療機器事業で培ったナノテクノロジー(超微細技術)などの化学合成技術や画像診断技術。一方、富山化学は競合他社がまだ成功していない新しい仕組みで作用する薬の創出に力を注いでいる。両社は画像診断技術を応用して患部へ効率よく届く薬を見極めたり、ナノテクを使ってがんなどの患部を狙い撃ちする新型薬を創出できると期待している。
 技術融合で新薬開発力の向上を狙っているのは、キリンと協和発酵も同様だ。両社は免疫反応を応用した抗体医薬の技術を持っており、互いの技術を持ち寄ることで、効果が高く副作用の少ない抗がん剤などを生みだそうとしている。
 食品や化学などを本業とする兼業医薬メーカーは、バイオや化学合成などそれぞれの得意技を活用して個性的な薬を開発している。例えば味の素は発酵技術を応用したアミノ酸系の薬が主力。東レはバイオとナノテクを応用した効き目の長い新薬の開発を進めている。
 日本製薬工業協会の青木初夫会長は「規模より技術など会社の深みを求めるM&A(合併・買収)が増える」と予測する。製薬企業が世界的に新薬不足に陥るなか、独自技術を持つ兼業医薬メーカーが国内製薬業界再編のカギを握りそうだ。

(02/14日経新聞)

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そーせい、がん鎮痛剤最終治験、舌に噴霧、患者負担軽く

 東証マザーズに上場する創薬ベンチャーのそーせいグループは、欧州で開発しているがん痛み止め薬について、最終段階の第三相臨床試験(治験)を始めたと発表した。英国や仏など十カ国で計約三百人の患者に投与する。既存薬のモルヒネ製剤と比較し、投与後約三十分の血中薬剤濃度や、有効性や安全性などを調べる。
 治験を始めたのはAD923と呼ばれる薬。既存の鎮痛剤に使われているフェンタニルという物質を有効成分としている。そーせいが独自開発した専用の容器を使い、舌に噴霧する方式で投与する。経口剤に比べて効き目が早く、注射剤より患者の負担が少ない薬となる可能性がある。
 そーせいは欧州のムンディファーマ社にAD923の販売権を供与している。最終段階の臨床試験に進んだことで、同社から受け取った成功報酬型の一時金約五億七千万円を二〇〇八年三月期の売上高に計上した。

(02/14日経産業新聞)

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エーザイ、臨床データ業務委託、米アクセンチュアと提携

 エーザイは十三日、米コンサルティング大手のアクセンチュアと提携し、臨床試験(治験)における患者の回復状況などをとりまとめる臨床データマネジメント業務を委託すると発表した。同業務はアクセンチュアのインド拠点(チェンナイ市)が一括して担う。エーザイは同業務の委託先を一本化することで治験を円滑に進め、新薬の迅速な製品化につなげる。
 エーザイの米臨床開発子会社エーザイ・メディカル・リサーチ(ニュージャージー州)が米アクセンチュアと同業務の委託契約を結んだ。アクセンチュアは三週間の準備期間後、エーザイが日米欧で実施する治験の臨床データのとりまとめをインド拠点で請け負う。
 治験では医師が薬の候補品を患者に投与し、症状の回復度合いをつぶさに検証して薬としての有効性を検証する。ただ治験は国内外の多数の国で並行して実施されることが多く、症状など様々なデータをまとめる臨床データマネジメントの作業が煩雑になっている。
 これまでエーザイは案件や地域ごとに複数の企業に臨床データマネジメント業務を委託してきた。今後は原則的にアクセンチュアに一本化し、同業務を効率化する。

(02/14日経産業新聞)

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富士フイルム、富山化学の買収発表、「医療関連で売上高1兆円」、総合化めざす

 富士フイルムホールディングスは十三日、富山化学工業の買収を正式発表した。TOB(株式公開買い付け)と第三者割当増資に約千三百億円を投じて富山化学を子会社化、医薬品事業に本格参入する。富山化学の筆頭株主である大正製薬も第三者割当増資を引き受け、三社が事業強化で連携する。富士フイルムの医療関連事業の売上高は画像診断などを中心に三千億円規模だが、十年間で一兆円に引き上げる構想も明らかにした。
 富山化学は二十八日に約三百億円の第三者割当増資を実施し、富士フイルムが百九十八億円、大正製薬が百二億円を引き受ける。一株あたりの発行価額は六百八十三円。富山化学は調達する資金を新薬の研究開発費や生産設備増強に充てる。
 これに先立ち、富士フイルムは十九日から富山化学のTOBを始める。一株八百八十円で三月十八日まで受け付ける。買い取り株数に上限は設けないが、富士フイルムと大正製薬の合計保有比率が三分の二を超える水準に下限を設定する。
 TOB成立後、最終的に富士フイルムが六六%、大正製薬が三四%を保有し、富山化学は上場を廃止する。
 十三日記者会見した富士フイルムの古森重隆社長は、医療関連事業を育て「十年後をめどに売上高一兆円の総合ヘルスケア企業を目指す」と述べた。医療分野は画像診断を中心とした診断、サプリメントなどの予防関連が主体だったが、富山化学を傘下に収めて治療分野に進出。予防や診断から治療までカバーする。
 富山化学の売上高は今期予想で三百二十億円程度だが、インフルエンザ治療薬など有望とされる新薬候補を抱えており、買収に踏み切る。
 また、一兆円達成に向けた新たなM&A(合併・買収)は「いろいろな可能性がある」とした。
 富山化学は資本増強で新薬開発を加速する。富士フイルムが写真事業を通じて蓄積した技術を薬の開発に活用する。菅田益司社長は会見で「技術融合や資金調達が同時に可能で企業価値拡大の最良な選択」と話した。
 大正製薬は二〇〇二年に富山化学に約二二%を出資し、両社の医療用医薬品の販売部門を統合した。富士フイルムの傘下入りで富山化学の経営基盤が安定し、技術融合で新薬開発のスピードが速まれば販売会社の収益も高まると期待する。

(02/14日経新聞)

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エフェクター、アステラスと新薬候補探索

 名証セントレックス上場のバイオベンチャー、エフェクター細胞研究所は十三日、アステラス製薬とリウマチ治療などの新薬候補物質を共同で探索する契約を結んだと発表した。研究期間は二年間で、アステラス製薬から研究協力金を受け取るほか、新薬になりそうな物質が見つかれば成功報酬を得る。

(02/14日経産業新聞)

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医薬再編、異業種が主導・富士フイルムが富山化学買収へ

 富士フイルムホールディングスが新薬メーカーの富山化学工業を買収し医薬事業に本格参入する。4月にはキリンホールディングスが協和発酵を子会社化する予定で、異業種企業が国内医薬再編の主導役の一角に躍り出てきた。
 富士フイルムの医療関連事業の柱はエックス線撮影装置や内視鏡などの診断機器。サプリメント(栄養補助食品)・化粧品と合わせ、ヘルスケア事業の年間売上高は約3000億円に達する。
 国内の医薬再編はまず専業大手が口火を切った。欧米勢に対抗しうる事業規模の確保が狙いで、05年に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併しアステラス製薬に、三共と第一製薬が統合して第一三共が誕生した。
 こうした流れが中堅にも波及。全体の事業規模は専業より大きく、資金力を背景に多角化を進めたい異業種を巻き込んだ再編に結びついた。05年には大日本製薬が住友製薬と合併し住友化学の傘下に入り、07年には田辺製薬が三菱ウェルファーマと合併し田辺三菱製薬となり、三菱ケミカルホールディングスの子会社になった。キヤノンも将来の医薬事業参入を視野に定款を変更した。
 化学、食品メーカーにとり自社の技術を応用でき、本業より利益率が高い医薬事業は魅力的に映る。国内市場は6兆―7兆円にとどまるが、現在7000億ドル台半ばの世界市場はアジアやアフリカの人口増を背景に拡大傾向が続く見通し。特色や技術力はあっても経営基盤の弱い中堅・ベンチャーを買収する形で、異業種による医薬事業参入が相次ぐ可能性がある。
 新薬を継続的に生み出すのに必要な研究開発投資をまかなうには、年間売上高30億ドル以上が必要とされる。1980年代の参入以来、自社開発品を製品化できていない日本たばこ産業(JT)の例をみても壁は厚い。長期の投資に耐え回収にこぎ着けられるか異業種組の底力が試される。
 海外では、独ヘキスト(現・仏サノフィ・アベンティス)が90年代に化学事業を分離するなど10年前から医薬特化の動きが続く。年間売上高約450億ドルの米ファイザーをはじめ世界上位は欧米の専業メーカーが占める。国内最大手の武田薬品工業も10位以内に入れず、規模では欧米大手との差は依然大きい。

 富士フイルムホールディングスが東証1部上場の新薬メーカー、富山化学工業を買収する。月内にもTOB(株式公開買い付け)を開始し、子会社化する。買収総額は1000億円を超える見通し。富山化学の持つ新薬開発力を足掛かりに医薬事業に本格参入する。富山化学に約22%出資している大正製薬とも連携し、成長戦略の柱に育てる。高齢化社会の到来で安定した需要が見込める医薬市場への異業種からの参入が加速してきた。医薬業界の再編に拍車がかかりそうだ。
 週内にも発表する。TOB価格のプレミアム(価格上乗せ分)は平均とされる2―3割程度になるもよう。取得株数に上限は設けず過半数の取得を目指す。その後富士フイルムは富山化学の実施する数百億円規模の第三者割当増資を引き受け、出資比率をさらに引き上げる。富山化学は上場廃止になる公算が大きい。
 富山化学の筆頭株主である大正製薬は、保有株を売却せずに富士フイルムによるTOBに賛同。富山化学の第三者割当増資の一部を引き受けて出資比率を拡大し、3社で医薬品の研究開発や販売などを推進する。大正製薬は12日、ビオフェルミン製薬の買収も発表しており、事業基盤の拡大に拍車をかける。富山化学への最終的な出資比率は富士フイルムが約3分の2、大正製薬が3分の1程度になる見込み。
 富士フイルムは2007年3月期までに写真フィルム事業の構造改革を終了。画像情報装置や内視鏡など医療機器に加え、診断薬や再生医療など医療関連事業を強化している。ナノテクノロジー(超微細技術)などの独自技術と富山化学の創薬技術を合わせれば、競争力の高い医薬事業を展開できると判断した。
 富山化学は鳥インフルエンザ治療薬などの開発を進めているが、新薬開発費用がかさみ07年3月期には最終赤字に転落。昨年9月末で160億円強の累積損失を抱えている。世界的に医薬品の研究開発費は膨らむ傾向にあり、資金不足に悩む中堅メーカーが増えている。資金力のある富士フイルムの傘下に入ることで、新薬開発を加速する

(02/13日経ニュース)

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富士フイルム「医療関連で売上高1兆円」・富山化学の買収発表

 富士フイルムホールディングスは13日、富山化学工業の買収を正式発表した。TOB(株式公開買い付け)と第三者割当増資に約1300億円を投じて富山化学を子会社化、医薬品事業に本格参入する。富山化学の筆頭株主である大正製薬も第三者割当増資を引き受け、3社が事業強化で連携する。富士フイルムの医療関連事業の売上高は画像診断などを中心に3000億円規模だが、10年間で1兆円に引き上げる構想も明らかにした。
 富山化学は28日に約300億円の第三者割当増資を実施し、富士フイルムが198億円、大正製薬が102億円を引き受ける。1株あたりの発行価額は683円。富山化学は調達する資金を新薬の研究開発費や生産設備増強に充てる。
 これに先立ち、富士フイルムは19日から富山化学のTOBを始める。1株880円で3月18日まで受け付ける。買い取り株数に上限は設けないが、富士フイルムと大正製薬の合計保有比率が3分の2を超える水準に下限を設定する。
 7月の臨時株主総会を経て、最終的に富士フイルムが66%、大正製薬が34%を保有し、富山化学は上場を廃止する。
 富士フイルムの古森重隆社長は13日開いた記者会見で医療関連事業を育て、「10年後をめどに売上高1兆円の総合ヘルスケア企業を目指す」と述べた。医療分野は画像診断を中心とした診断、サプリメントなどの予防関連が主体だったが、富山化学を傘下に収めて治療分野に進出。予防や診断から治療までカバーする。1兆円達成に向けた新たなM&A(合併・買収)は「いろいろな可能性がある」とした。
 富山化学は資本増強で新薬開発を加速する。富士フイルムが写真事業を通じて蓄積した技術を薬の開発に活用する。菅田益司社長は会見で「技術融合や資金調達が同時に可能で企業価値拡大の最良な選択」と話した。富士フイルムの海外拠点を利用しながら、3年以内を目標に自社製品の海外販売網も築く考え。
 大正製薬は2002年に富山化学に約22%を出資し、両社の医療用医薬品の販売部門を統合した。富士フイルムの傘下入りで富山化学の経営基盤が安定し、技術融合で新薬開発のスピードが速まれば販売会社の収益も高まると期待する。富士フイルムと一般用医薬品(大衆薬)での連携も視野に入れている。

(02/13日経ニュース)

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富山化学、1株880円でTOB、富士フイルムが買収発表

 富士フイルムホールディングスは十三日、東証一部上場の新薬メーカー、富山化学工業を買収すると正式発表した。十九日から一株八百八十円でTOB(株式公開買い付け)を開始。期間中に富山化学が富士フイルム、大正製薬を割当先とする第三者割当増資を実施する。富士フイルムは富山化学を子会社化し、医薬事業に本格参入する。
 富山化学もTOBへの賛同を表明した。TOB期間は十九日―三月十八日。買い付け価格には過去三カ月間の終値平均で二六・二%のプレミアム(上乗せ分)を付けた。取得株数は上限を設けず、七千三百十九万株を下限とする。買い付け額は最低で六百四十四億円。
 第三者割当増資は二十八日付で富士フイルムが約百九十八億円、大正製薬が約百二億円を引き受ける。富山化学は七月をメドに臨時株主総会を開き少数株主から株式を取得する。東京証券取引所は十三日、富山化学の株式の売買を一時停止すると発表。同時に監理銘柄に指定した。

(02/13日経新聞)

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富山化学、富士フイルムが買収、総額1000億円超、医薬に本格参入

月内にもTOB 業界再編が加速
 富士フイルムホールディングスが東証一部上場の新薬メーカー、富山化学工業を買収する。月内にもTOB(株式公開買い付け)を開始し、子会社化する。買収総額は一千億円を超える見通し。富山化学の持つ新薬開発力を足掛かりに医薬事業に本格参入する。富山化学に約二二%出資している大正製薬とも連携し、成長戦略の柱に育てる。高齢化社会の到来で安定した需要が見込める医薬市場への異業種からの参入が加速してきた。医薬業界の再編に拍車がかかりそうだ。(関連記事3面に)
 週内にも発表する。TOB価格のプレミアム(価格上乗せ分)は平均とされる二―三割程度になるもよう。取得株数に上限は設けず過半数の取得を目指す。その後富士フイルムは富山化学の実施する数百億円規模の第三者割当増資を引き受け、出資比率をさらに引き上げる。富山化学は上場廃止になる公算が大きい。
 富山化学の筆頭株主である大正製薬は、保有株を売却せずに富士フイルムによるTOBに賛同。富山化学の第三者割当増資の一部を引き受けて出資比率を拡大し、三社で医薬品の研究開発や販売などを推進する。大正製薬は十二日、ビオフェルミン製薬の買収も発表しており、事業基盤の拡大に拍車をかける。富山化学への最終的な出資比率は富士フイルムが約三分の二、大正製薬が三分の一程度になる見込み。
 富士フイルムは二〇〇七年三月期までに写真フィルム事業の構造改革を終了。画像情報装置や内視鏡など医療機器に加え、診断薬や再生医療など医療関連事業を強化している。ナノテクノロジー(超微細技術)などの独自技術と富山化学の創薬技術を合わせれば、競争力の高い医薬事業を展開できると判断した。
 富山化学は鳥インフルエンザ治療薬などの開発を進めているが、新薬開発費用がかさみ〇七年三月期には最終赤字に転落。昨年九月末で百六十億円強の累積損失を抱えている。世界的に医薬品の研究開発費は膨らむ傾向にあり、資金不足に悩む中堅メーカーが増えている。資金力のある富士フイルムの傘下に入ることで、新薬開発を加速する。
 富山化学を持ち分法適用会社にしている大正製薬も、富士フイルムの力を借りれば富山化学の収益基盤の立て直しが進むと判断した。富山化学と共同出資する医療用医薬品の販売会社の商品力の強化につながるとの思惑もある。
 富士フイルムホールディングス 東証一部上場の精密・化学メーカー大手。写真フィルム事業の構造改革を終え、フィルム主体から複写機、医療画像関連、液晶材料、印刷材料などの複合企業に転換。二〇〇七年三月期の連結売上高は二兆七千八百二十五億円、純利益は三百四十四億円。〇七年九月末の連結従業員数は七万七千五百五十五人。
 富山化学工業 東証一部上場の中堅製薬会社。研究開発に特化しており、タミフルなど従来品とは作用の仕組みが違うインフルエンザ治療薬や、リウマチ根治薬などを開発している。二〇〇七年三月期の連結売上高は百六十七億円、八十七億円の最終赤字。〇七年九月末の連結従業員数は千五十六人。

(02/13日経新聞)

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2008年2月13日 (水曜日)

必要なたんぱく質に的、酵母菌使い大量作製――産総研、創薬研究に利用

 産業技術総合研究所は酵母菌を使って創薬研究に役立てるたんぱく質を高効率で作製する技術を開発した。酵母菌の遺伝子を組み換えて低温状態にすると、狙ったたんぱく質を従来の二十五倍以上作り出せるようになり、大量作製が可能になった。さらに効率を引き上げて実用化を目指す。
 酵母菌は一般にさまざまな種類のたんぱく質を作る。遺伝子を導入して狙ったたんぱく質だけを作ろうとしても、ほかのたんぱく質が同時に大量にできてしまう。必要なたんぱく質は全体の一―二%にすぎず、煩雑な分離作業が必要になるなど、創薬研究に利用するには課題も多かった。
 研究チームは遺伝子の発現状況を網羅的に調べ、低温状態になると狙った遺伝子の活動だけを促す分子(プロモーター)を見つけた。
 作製したいたんぱく質に関与する遺伝子とともに酵母菌のDNA(デオキシリボ核酸)に組み込んで、通常のセ氏三十度の状態から同十度の低温状態にすると、高い効率でたんぱく質を作り出すことができるようになった。
 蛍光たんぱく質の遺伝子を導入して実験した。得られたたんぱく質の量は約十マイクロ(マイクロは百万分の一)グラムだったが、そのうち最大で約半分が蛍光たんぱく質だった。たんぱく質によって効率は異なるが、狙ったたんぱく質を大量に作り出せるという。
 今後はより複雑な構造を持つ膜たんぱく質などを作製できるようにする。通常、酵母菌では膜たんぱく質を作ることはできないが、研究チームは遺伝子組み換え技術を応用すれば可能とみている。
 膜たんぱく質は医薬品のターゲットとなる重要分子。実現すれば創薬への応用が大きく開ける可能性がある。

(02/13日経産業新聞)

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富山化がストップ高比例配分1億2110株の買い残す

 終日買い気配が続き、大引けに制限値幅の上限(ストップ高)にあたる前日比100円高の731円で比例配分された。大引けでは23万株の取引が成立したが、ストップ高水準には発行済み株式数(1億4412万株)に迫る1億2110万4000株の買い注文が残った。富士フイルム(4901)が富山化を買収すると昼に正式発表。TOB(株式公開買い付け)価格の880円へのサヤ寄せを見込んだ買いが入った。
 富士フイルムは反落。

(02/13日経ニュース)

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富士フイルム社長:治療分野の中核企業として支援――富山化買収で

 富士フイルムホールディングス(4901)、富山化学工業(4518)、大正製薬(4535)は13日、資本・業務提携すると発表した。富山化が実施する総額約300億円の第三者割当増資を富士フイルムと大正薬が引き受けるほか、富士フイルムは富山化株に株式公開買い付け(TOB)を実施する。
 同日午後記者会見した富士フイルムの古森重隆社長は、現在を進めているヘルスケア事業強化の中で、「富士フイルムグループの治療分野での中核企業として(富山化を)支援する」と述べた。当面の目標として「富山化が現在開発中のインフルエンザ治療薬を早急に商品化。今回の提携により生産面、販売面、資金面で全面的に支援し、早期の安定供給を目指す」と説明した。

(02/13日経ニュース)

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大正製薬がTOB、ビオフェルミン製薬、傘下に

 大正製薬は十二日、ビオフェルミン製薬を傘下に収めると発表した。大正が十三日からTOB(株式公開買い付け)を実施。ビオフェルミンの株式を一株三千六百二十円で、発行済み株式の六二%(七百五十三万五千五百株)を上限に取得する。TOBにはビオフェルミンも同意している。大正製薬はビオフェルミンが持つ乳酸菌技術を医薬品の開発に役立てる。
 買い付け金額は最大で二百七十二億円。買い付け価格は八日の終値を約二三%上回る水準に設定した。TOB期間は三月十一日まで。TOB後も上場は維持する。
 十二日時点でビオフェルミン製薬株の四〇・一九%を保有する筆頭株主のTZCS(東京・中央、旧T・ZONEキャピタル)は買い付けに同意しており、TOB成立は確実な情勢だ。一〇・〇一%で二位株主の武田薬品工業は「慎重かつ迅速に検討する」としている。
 ビオフェルミン製薬は乳酸菌を利用した整腸剤や下痢止めなどが主力で、医療用医薬品と大衆薬の両方を扱う。二〇〇七年三月期の売上高は七十八億円で経常利益は十七億円。
 二〇〇六年度の大衆薬の整腸剤市場は年間三百四十億円強で今後も拡大傾向にある。大衆薬で最大手の大正製薬は整腸剤分野が手薄なため、ビオフェルミン製薬を傘下に収め成長分野に本格参入する。
 ビオフェルミン製薬の製品は武田薬品工業が販売している。大正製薬による買収後も当面は武田薬品が販売業務を継続するとしている。

(02/13日経産業新聞)

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リウマチ薬第二相治験、富山化学が国内で開始、たんぱく質合成抑制

 富山化学工業は抗リウマチ薬「T―5224」の第二相臨床試験(治験)を国内で始めた。免疫異常のもとになるたんぱく質の合成を抑える作用があり、リウマチを根治する治療薬として期待できる。高齢化などで抗リウマチ薬の市場が広がると判断し開発を急ぐ。
 既存薬は免疫異常を改善する作用を持つだけで、関節や骨の破壊を完全に抑えることはできなかったという。同社は抗菌剤が主力製品だが、「コルベット」の承認申請を済ませるなど、リウマチ薬の開発を強化している。国内の関節リウマチの推定患者数は約七十万人。今後も高齢化などで増加傾向にあるという。
 T―5224は海外ではスイス製薬大手のロシュが開発を進めている。二〇〇七年六月に日本を除く世界での開発、販売権をロシュに譲渡した。

(02/13日経産業新聞)

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バイオVB、抗体医薬に活路、大手との提携、技術力がカギ

 体の免疫機構がつくり出す抗体を利用した診断薬や治療薬の開発にバイオベンチャーが乗り出している。抗体医薬は副作用が起きにくく、開発期間が短いなどの利点があり、製薬会社が開発を競う分野。作製した抗体を製薬会社に提供する企業も出ており、抗体医薬がバイオ企業の浮上のきっかけになる可能性もある。
 抗体は体内に異物が侵入した際、排除するためにできるY字型の物質。先端部分が異物に結合して排除する。この抗体を薬として投与することで病気の治療を目指すのが抗体医薬だ。結合すると発色するような色素を抗体に組み込めば、病気の診断に使える。
 生物は自らの体に存在するたんぱく質に対して抗体を作らない。そのため、人のがん細胞に対する抗体は、マウスなどの動物で作製する。
 具体的には、がん細胞などの表面のたんぱく質の一部(抗原)を動物に投与し、抗体を作るB細胞を取り出す。B細胞と増殖力の強い特殊な細胞を結合させ、抗体を増やす。この時点では動物の抗体のため投与できないため、遺伝子組み換えで人の抗体に変える。
 免疫生物研究所の抗体作製には、清藤勉社長の“職人技”が生きる。抗原にするたんぱく質のアミノ酸の配列を清藤社長が分析し、経験などからどの部分をマウスに投与すれば抗体ができるのか判断する。同社は自社開発の抗体をリウマチ治療薬として開発・販売する権利をアステラス製薬に供与した。現在、最初の段階の臨床試験(治験)が進められている。
 抗体は動物の体内でできるため、確実に抗原に結合する抗体を得るのは簡単でない。抗原のたんぱく質の選び方や動物の種類、抗原の投与間隔などで左右される。技術力が試される。
 東京大学先端科学技術研究センターの遺伝子解析結果をもとに抗体を作製するのが、ペルセウスプロテオミクス(東京・目黒、降矢朗行社長)。肝臓がん細胞の表面だけに現れるたんぱく質「グリピカン3」に対する抗体を作り、がん治療薬として中外製薬にライセンスした。
 遺伝子改変マウスのトランスジェニックは、通常より多くの抗体を作製するように遺伝子を変えたマウスを使い抗体を作製。がんになると尿に増える物質に結合する抗体を、診断薬メーカーにライセンスした。
 いちよし経済研究所の山崎清一首席研究員は「抗体医薬は製造コストが高い半面、生物由来のため副作用がおきにくい」と指摘。第一段階の治験にある新薬が発売できる確率は約二五%と、低分子化合物より二〇ポイント高いという。
 アステラス製薬による米アジェンシス買収などの動きは抗体医薬の強化を狙ったものだ。目立った成果が少ないと指摘される国内のバイオベンチャーだが、有望な抗体を作製できれば大手との提携策に活路を見いだすことにもなりうる。

(02/13日経新聞)

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2008年2月 9日 (土曜日)

「新薬開発」に道筋/製薬各社、M&Aで強化

 製薬業界では、バイオ医薬品事業への関心が高まっています。国内製薬最大手の武田薬品工業が、バイオ医薬品では世界最大の米アムジェン(カリフォルニア州)の日本法人買収を決定、提携強化を進めています。エーザイや医薬品事業をもつキリンホールディングスも昨年、バイオ医薬品に強いメーカーを買収しました。なぜ製薬各社はバイオ医薬品事業のM&A(合併・買収)に熱い視線を注いでいるのでしょうか。

                   ◇

 武田は、アムジェン日本法人の買収額を明らかにしていませんが、一時金を支払ったり、一定額の開発費を負担することを契約。これにより武田はアムジェンが開発中の抗がん剤や抗体医薬品など新薬候補13種類について、日本での独占開発・販売権を獲得。バイオ医薬品事業の強化をはかったことになります。

 エーザイが昨年、4300億円と巨額の買収に踏み切った米MGIファーマや、キリンホールディングスが買収した協和発酵も、このバイオ医薬品に強みをもっています。

 こうした動きの理由は、バイオテクノロジーが製薬企業の成長に欠かせない「新薬開発」に大きな可能性をもっていることにあります。

 日本製薬工業協会などによると、バイオ医薬品とは「遺伝子組み換え」や「細胞融合」などのバイオテクノロジーと呼ばれる技術を応用して製造する医薬品のことです。生体に存在するたんぱく性の生理活性物質、抗体あるいは酵素などがバイオ医薬品として認められています。

 合成に高度な技術を必要としたり、設備投資にコストがかかるなどの問題点はありますが、日本製薬工業協会は「期待される点はつくられる医薬品の『純度』と『大量生産』にある」と指摘しています。

                   ◇

 こうした特性を生かし、現在使われているバイオ医薬品では、肝炎治療薬のインターフェロンや糖尿病治療薬のヒトインスリンが代表的です。バイオ医薬品の可能性はここにとどまりません。世界では現在もさまざまな生理活性物質や受容体などが次々と発見され、病気との関係について解明研究が進められています。これらがバイオテクノロジーの活用によって量産され、医薬品としての可能性が期待されているのです。

 特許切れした先発医薬品を安価で売れる「後発医薬品」の普及促進や薬価の引き下げなど、医療費削減を背景に、国内の製薬市場は厳しい状況にあります。企業は生き残りをかけ、成長のカギを握る新薬の開発に取り組んでいます。

 しかし新薬開発には、膨大な労力と費用が必要です。そこで、将来新薬を生み出す可能性を多分に秘めた「バイオ医薬品」分野に注目。同分野に強みをもつ企業のM&Aに次々と踏み切っているのです。

(02/08フジサンケイビジネスi)

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2008年2月 8日 (金曜日)

糖尿病薬の海外開発・販売権、杏林製薬、譲渡めざす―米の第2治験、今夏完了

 キョーリングループの杏林製薬(東京・千代田)は糖尿病治療薬「KRP―104」の開発と販売権を譲渡する。米国での第二相臨床試験(治験)が今夏にも完了する見通しとなったが、最終段階の治験には多額の費用がかかるうえ、同社は海外に自前の販売網を持たないため開発と販売権を供与しライセンス収入を得る。国内での製品化は引き続き自社で進める。
 「KRP―104」は血糖値を調整するインスリンの分泌を促す作用がある。既存の糖尿病薬と効き目の仕組みが異なるため、既存薬では効き目が不十分な患者の治療に適しているという。
 食事をして血糖値が上がった状態になるとインスリンの分泌を促す。血糖値が平常であれば薬を服用しても作用しないため、血糖値を下げすぎる副作用が少ない特徴がある。国内では杏林製薬が第一相の治験を実施している。
 杏林製薬は海外に販売組織を持たないため、自社で開発した化合物の開発、販売権は他社に譲渡している。二〇〇六年二月に免疫抑制剤「KRP―203」の開発、販売権をスイスのノバルティスに譲渡した。今後も自社開発品の海外での開発、販売権は譲渡する方針だ。
 開発、販売権を譲渡してライセンス収入を得るほか、譲渡先企業が持っている化合物の日本国内での開発権を得るなどして、自社開発品を有効活用する。
 一般的に海外のほうが開発効率が高く治験期間が短いため、海外の治験結果を国内での開発作業の参考にできる利点もある。

(02/08日経産業新聞)

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糖尿病薬、国内でも第2治験、アステラス、欧州で先行

 アステラス製薬は糖尿病治療薬の開発候補品「ASP1941」(開発番号)の有効性を検証する第二相の臨床試験(治験)を日本で始めた。二〇〇七年三月に欧州で第二相治験に着手した糖尿病薬の開発候補品「YM543」で、明確な有効性が確認できないなど万一の事態に備え、同じ仕組みで作用するASP1941の開発を並行して進める。
 ASP1941は飲み薬で、腎臓の「SGLT2」と呼ぶ特殊なたんぱく質の働きを妨げる。このたんぱく質には、いったん尿に排出した糖を血液中に再び吸収する役割がある。薬効成分がSGLT2の働きを抑えることによって余分な糖を排出して、血糖値を下げる仕組み。
 インスリンの分泌量を調節する既存の薬とは作用の仕組みが異なっており、他の血糖降下剤と併用することが可能になるという。
 糖尿病の患者は世界で増加傾向にあることから、同社は当面、YM543とこれをバックアップするASP1941の治験を同時に進めて、新型薬を早期に実用化して糖尿病分野の強化につなげる考えだ。
(02/08日経産業新聞)

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2008年2月 7日 (木曜日)

ES細胞使い、赤血球効率生産、理研が新技術

 理化学研究所は万能細胞であるマウスの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を使い、赤血球の大量生産につながる新技術を開発した。不足する輸血用赤血球の確保に役立つとみて、今後人のES細胞や新型万能細胞(iPS細胞)でも研究を進める。
 理研バイオリソースセンターの寛山隆研究員らの成果で、米科学誌に六日発表した。八種類のマウスES細胞を分化する実験を繰り返し、赤血球の元になる増殖性細胞を三種類作った。試験管で半永久的に増やせる。
 薬剤で急性貧血にしたマウスに赤血球の元の細胞を投与すると、実際に赤血球が増えて症状が改善した。万能細胞から作るためがん化防止が課題だが、約半年間観察しても悪性腫瘍(しゅよう)は発生しなかった。
 研究チームはすでに人のES細胞で研究に着手。iPS細胞での実証も計画している。輸血用赤血球の早期臨床応用に期待を寄せている。

(02/07日経産業新聞)

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2008年2月 6日 (水曜日)

ノバルティス、結核治療薬など製造販売、グループ会社に移管

 スイス系製薬会社のノバルティスファーマは五日、結核治療薬「リファンピシン」(一般名)とハンセン病治療薬「クロファジミン」(同)の製造販売をグループ会社のサンド(東京・港、中道淳一社長)に移管すると発表した。四月からはサンドが両製品の情報提供を担当する。
 両社は同じスイス・ノバルティスグループで、世界では結核とハンセン病の薬はサンドに製造販売を集約しており、日本も海外に合わせる。
 二品とも医薬品を輸入して、日本で国内向けに包装し販売している。当面はノバルティスファーマの篠山工場(兵庫県篠山市)で包装を続けるが、数年後にサンドの上山事業所(山形県上山市)に移管する。

(02/06日経産業新聞)

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ES細胞から赤血球のもと、理研が技術開発、輸血用血液へ道

 理化学研究所の研究グループは、万能細胞の一つである胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を使い、赤血球を効率よく作製する技術を開発した。マウスのES細胞から無限に増える赤血球のもとの細胞を作り出すことに成功、貧血の症状を改善できることも確認した。人の細胞でも同じことができれば、将来、輸血用血液の大量生産が可能になると期待される。
 理研バイオリソースセンター細胞材料開発室の寛山隆研究員、中村幸夫室長らの成果で、米科学誌に六日発表した。人のES細胞を使った実験にも着手、今後、受精卵を使わない新型万能細胞(iPS細胞)を使った研究も進める。
 八種類のマウスES細胞に分化を促す別の細胞を加えて培養する手法を繰り返し、赤血球になる増殖性の細胞を三種類作った。この細胞はほぼ無限に分裂できるES細胞と同じく、試験管内で半永久的に増やすことが可能。できた赤血球は、正常な赤血球のように途中で細胞の核がなくなることを確かめた。

(02/06日経新聞)

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2008年2月 5日 (火曜日)

武田、バイオ医薬本格展開、米アムジェン日本法人を買収、再編へM&A1兆円

 武田薬品工業は四日、世界最大のバイオ医薬品メーカーである米アムジェンの日本法人を買収すると正式に発表した。アムジェンが持つがん治療薬などの新薬候補十三品目の開発権の取得額も含めた買収総額は九百億円超。バイオ医薬品事業の本格展開に向けた足がかりとするほか、収益力を高め国内首位の座を固める。国内外の製薬大手による再編が活発になるなか、武田は今後も一兆円前後をM&A(合併・買収)などに投じ、グローバル展開を加速する。
直腸がん薬 年内申請も
 武田はアムジェン日本法人(東京・千代田)の全株式を三月末までに数十億円で取得する。日本法人の社員百六十人全員を引き継ぎ、グループ会社として残す方針。
 国内で臨床試験(治験)を実施している直腸がん治療薬や、米本社が欧米で治験実施中のリウマチ治療薬など十三品目の日本での開発・製造・販売権も取得する。ライセンス料は最大総額八億三千七百万ドル(八百九十一億円)。直腸がん薬は年内にも承認申請する予定で、出遅れていたバイオ医薬品事業を拡大する。
 国内最大手の武田は海外展開を重要課題に掲げ、欧州事業やバイオ技術の強化を狙って欧米企業の買収交渉に臨んだが、いずれも条件が折り合わず破談。アムジェンから日本法人の売却提案を受け、まずは買収で足元の国内強化を優先する。
 薬価引き下げや後発薬の普及促進など政府の医療費抑制策により、国内市場は縮小傾向にある。国内大手は生き残りをかけて再編を進めている。エーザイが米MGIファーマを約四千三百億円で買収、キリンホールディングスも協和発酵買収で合意している。
 競合他社が再編・統合で規模拡大を狙うなか、武田が国内首位の座を失えば海外企業との交渉などで不利になる恐れがある。同社は今後のM&Aなどに約一兆円を用意しており国内外の企業や技術の取り込みを進める。
 欧米製薬大手のなかには拡大路線に行き詰まり業績が低迷しているところも多く、日本法人の縮小・撤退の動きが出始めている。
【表】06年医薬品メーカー売上高(百万ドル)      
  社  名  国名  売上高
1  ファイザー  米  45,083
2  グラクソ・スミスクライン  英  39,335
3  サノフィ・アベンティス  仏  37,461
4  ノバルティス  スイス  29,491
5  ロシュ  スイス  27,318
6  アストラゼネカ  英  25,741
7  ジョンソン・エンド・ジョンソン  米  23,267
8  メルク  米  22,636
9  ワイス  米  16,884
10  イーライ・リリー  米  14,816
11  アムジェン  米  14,268
16  武田薬品工業  日  9,613
(注)ユート・ブレーン調べ   

   
 ▼バイオ医薬品 遺伝子組み換え技術などバイオテクノロジーを駆使して作る医薬品。生物が本来持つ免疫機能を活用した「抗体医薬」やタンパク製剤、C型肝炎などの治療に使う抗ウイルス剤などがある。一九八〇年創業の米アムジェンは世界十一位の製薬会社でバイオ医薬品の最大手。

(02/05日経新聞)

 

武田薬品に日本法人売却、アムジェン、自販方針を転換――ヒットは未知数

新薬候補物質
 武田薬品工業は四日、米バイオ医薬品最大手のアムジェンの日本法人(東京・千代田)を買収すると発表した。アムジェンが持つ抗がん剤などの独占的開発、販売権を含め買収額は九百億円強となる。日本での自社販売の開始を表明していたアムジェンは一転、方針を転換。武田は一気に十三品目の新薬候補物質を導入したが、ヒット薬として育つかは未知数だ。
 「今の状態を考えると、提携が最良の判断だった」。米アムジェンの研究開発を統括するエグゼクティブ・バイスプレジデントのロジャー・パールムッター氏は四日、こう日本法人を売却する事情をこう明かした。
大幅なリストラ
 米アムジェンは二〇〇七年一月、主力の貧血治療薬「アラネスプ」を大量に投与すると、心臓発作などのリスクを高めるとの研究結果を受け、この薬の売上高が急減。〇七年八月に従業員を最大一四%(二千六百人)削減するなどのリストラ策を打ち出した。
 米アムジェンのマーケティングを担当するバイスプレジデントのドミニク・モネ氏は「日本法人の売却はコスト削減の一環ではない」と否定する。しかし、日本法人は医薬品開発コストがかかる一方、承認を得て販売できる製品はまだないため、年に数十億円と見られる支出があるにもかかわらず売り上げゼロが続いた。計画通り自社販売を始めるために自前で医薬情報担当者(MR)を雇えばさらに負担は重くなるところだった。
 武田に国内での開発、販売権を供与すれば負担を軽減でき、製品化も加速できるとの目算がある。武田の販売力を生かした方が、自販するよりも効率がよいとの判断もあったようだ。
 武田が国内で開発、販売権を得たのは大腸がん向け抗体医薬「パニツムマブ」など十三品目。パニツムマブは米国で発売済みで、日本でも〇八年中にも承認申請できるほど開発は進んでいる。早ければ〇九―一〇年の発売もあり得る。抗がん剤「モテサニブ」は武田が日本での独占的な開発販売権に加え海外での共同開発販売権も獲得した。
相次ぐM&A
 製薬業界では抗体医薬を含むバイオ医薬品を巡ってM&A(合併・買収)が相次いでいる。エーザイが米製薬会社のMGIファーマを買収したほか、キリンホールディングスが協和発酵を買収することで合意している。バイオ医薬品の強化を目指す武田の動きは業界の流れを象徴している。
 ただ、十三品目の具体的な内容は非公表。公表した候補物質に冷ややかな声も聞かれる。
 モテサニブは「作用の仕組みが極めて珍しいわけではない」(みずほ証券の田中洋シニアアナリスト)。パニツムマブも「米国での売上高は約一億ドル。競合する抗体医薬の方が好調で、日本で発売しても年何百億円も売れるとは思えない」(同)。
 アムジェンが日本で開発していた骨粗しょう症薬「デノスマブ」は〇七年夏、第一三共へ国内での開発販売権を供与した。アムジェンが持つ候補物質の中で、もっとも市場性を評価する声もあった製品だ。武田は導入した十三品目の開発を急ぐ一方、アムジェンの技術を取り込んでバイオ医薬の研究開発力の底上げを急ぐ必要がありそうだ。
(川俊成、早川麗)
【表】国内製薬会社が買収した主なバイオベンチャーやライセンス      
発表時期  買い手  金 額  買収対象
07年12月  エーザイ  約4174億円  米MGIファーマ
08年2月  武田薬品工業  900億円強  米アムジェンの日本法人、抗がん剤など13品目の国内の開発、販売権など
07年11月  アステラス製薬  約412億円  米アジェンシス
3月  エーザイ  約346億円  米モルフォテック
12月  大塚製薬  約213億円  米PDLバイオファーマから世界での血液がん薬の商標や特許、販売権など
7月  第一三共  約181億円  米アムジェンから国内での骨粗しょう症薬の開発・販売権
3月  武田薬品工業  非公表  英パラダイム・セラピューティック
(注)為替は2月4日のレートで計算した

(02/05日経産業新聞)

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2008年2月 4日 (月曜日)

米アムジェン日本法人、武田薬品が買収、900億円――バイオ医薬で攻勢

 武田薬品工業は世界最大のバイオ医薬品メーカーである米アムジェンの日本法人を買収する。買収額は九百億円強とみられ、武田のM&A(合併・買収)としては過去最大となる。武田は遺伝子組み換え技術などを活用して作るバイオ医薬品で出遅れ気味で、買収により攻勢をかける。製薬業界ではエーザイが米製薬会社を買収するなど成長分野であるバイオ医薬を巡るM&Aが広がっており、国内製薬最大手である武田の攻勢により再編がさらに加速しそうだ。
 四日午後発表する。武田はアムジェン日本法人(東京・千代田)を買収すると同時に、米アムジェン本社が欧米で開発している十三個の新薬候補物質を、日本で優先的に開発・生産・販売する権利を取得する。
 アムジェン日本法人は現在、抗がん剤や骨粗しょう症などの新薬候補物質の臨床試験を日本で実施中。製造・販売承認を取得した新薬はまだないため売上高はほとんどなく、〇八年度中に抗がん剤を発売する計画。武田はこの臨床試験を引き継ぎ、アムジェンが開発した製品を日本で生産・販売する。
 最先端の遺伝子組み換え技術などを利用したバイオ医薬品は世界的に市場が拡大している。武田も自社で開発・販売を進めてきたが、世界の製薬大手に比べると大きく出遅れていた。バイオ医薬品の草分け的存在であるアムジェンの日本法人を買収することで、今後の成長領域で一気に攻勢をかける。
 アムジェンは主力の貧血治療薬の不調などで業績が悪化。昨年八月に全従業員の一割超にあたる最大二千六百人を削減するリストラに乗り出した。日本法人の売却もこうしたリストラの一環とみられる。
 製薬業界ではM&Aの動きが加速しており、キリンホールディングスが国内医薬十二位の協和発酵を買収することで合意。エーザイも米製薬会社MGIファーマを約四千三百億円で買収した。協和発酵とMGIファーマはバイオ医薬品に強く、いずれのM&Aも成長分野の取り込みを狙っている。
 アムジェン 世界十一位の米製薬会社で、遺伝子組み換え技術などを活用して作る「バイオ医薬品」では世界最大手。二〇〇六年十二月期の売上高は百四十三億ドル。〇七年に主力の貧血薬などで安全性問題が浮上して業績が悪化、全従業員の一割超を削減する世界規模のリストラを進めている。

(02/04日経新聞)

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エーザイ、抗がん剤、米で申請延期――通常手続きで競合薬承認、特例制度使えず

 エーザイは一日、二〇〇七年度中に乳がん向けの抗がん剤として米国で承認申請予定だった開発候補品「E7389」の申請時期を〇九―一〇年に延期すると発表した。重い病気の治療薬は短期間で承認を取得できる特例制度を利用する計画だったが、競合薬が通常の手続きで先行して承認されたため、同制度を活用できなくなった。
 E7389は「クロイソカイメン」と呼ぶ海洋生物が持つ毒素の構造をまねた化合物。
 同社は米国で薬の有効性を検証する臨床試験(治験)の第二相を実施。抗がん剤などの治療を平均四通り受けても完治しなかった乳がん患者約三百人に投与したところ、約一割近い有効性があり、重い神経障害は確認されなかった。
 同社はこのデータをもとに「サブパートH」と呼ぶ特例制度を活用して今年度内に米国で承認申請する計画だった。だが競合薬が通常の手続きで承認を受けたため、エーザイは特例制度を活用できなくなり、申請時期を先送りした。
 吉松賢太郎常務執行役は「治療効果には自信を持っている。欧州での治験データを活用し、特例制度を使わない一般的な手続きで、早期に承認申請したい」としている。

(02/04日経産業新聞)

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2008年2月 1日 (金曜日)

がんワクチン、大塚製薬に権利供与

 東証マザーズ上場でがん治療薬ベンチャーのオンコセラピー・サイエンス(OTS)は三十一日、大塚製薬(東京・千代田)にがんワクチンの開発・製造販売権を供与したと発表した。OTSは大塚製薬から契約金を受け取った。臨床試験(治験)が進めば一時金を得るほか、薬の販売後は売上高に応じたロイヤルティー収入が入る。
 OTSは東京大学医科学研究所と共同で、がんの増殖にかかわる遺伝子を探索。この遺伝子がつくり出すたんぱく質の一部をワクチンにし患者に投与すると、患者の免疫機能を活性化し細胞障害性T細胞ががん細胞を攻撃する。免疫の利用で、副作用の小さい新治療法になる可能性がある。
 OTSは既に二種類の遺伝子から作製したがんワクチンの開発・製造販売権を大塚製薬に供与している。今回は新たに七種類の遺伝子から作製した膵臓(すいぞう)がん治療用のワクチンを供与。OTSが大塚製薬に供与したワクチンは計九種類となった。今後は共同で前臨床試験や第一相臨床試験を進める。
 大塚製薬との契約締結により、OTSは二〇〇八年三月期の連結業績を上方修正。売上高は前期比二・五倍の二十億円、経常損益は四億円の赤字(前年同期は十三億千百万円の赤字)となる見通し。

(02/01日経産業新聞)

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メルク、副作用訴訟で赤字転落

メルク(米製薬大手) 

 三十日発表した二〇〇七年十―十二月期決算は、最終損益が十六億三千九十万ドルの赤字に転落した。前年同期は四億七千三百九十万ドルの黒字。鎮痛剤「バイオックス」の副作用訴訟で、和解金(四十八億五千万ドル)の支払いがかさむのが主因。

(01/31日経新聞)

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2008年1月30日 (水曜日)

米ベンチャー投資11%増、07年3兆1000億円

全米ベンチャーキャピタル(VC)協会などがまとめた2007年の米ベンチャー投資額は、前年比11%増の294億ドル(約3兆1000億円)だった。4年連続の増加で01年(406億ドル)以来6年ぶりの高水準。環境技術・バイオ技術分野などがけん引した。ベンチャー企業の新規株式公開の増加など投資環境が良好だったためだが、今年は景気減速で投資心理が悪化するとの指摘も出ている。

 業種別では、バイオ・医療機器など「ライフサイエンス分野」への投資が2割増の91億ドルで最大。環境技術分野は47%増の22億ドルで最も伸びた。ライフサイエンスと環境技術への投資額はともに過去最高を更新した。インターネット分野は12%増の46億ドル、ソフトウエアは4%増の53億ドルだった。

(01/30日経ニュース)

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2008年1月23日 (水曜日)

23日タカラバイオが買い気配

 タカラバイオ(マザーズ)が買い気配を切り上げている。同社が前日に、急性白血病遺伝子治療の共同パートナーである伊モルメド社が、イタリア医薬品庁から高リスク急性白血病を対象とした遺伝子治療の第3相臨床試験(フェーズ3)を開始する許可を受けたと発表したことが手がかり。

(01/23ラジオNIKKEI)

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タカラバイオ、遺伝子治療共同開発パートナーが第III相臨床試験をイタリアで開始

急性白血病遺伝子治療の共同開発パートナーであるモルメド社は第III相臨床試験をイタリアで開始します

 タカラバイオ株式会社(社長:加藤郁之進)の遺伝子治療共同開発パートナーであるモルメド社(社長:Claudio Bordignon)は、イタリア医薬品庁(AIFA:Agenzia Italiana del Farmaco)から高リスク急性白血病を対象としたHSV-TKを用いた遺伝子治療の第III相臨床試験を開始する許可を、本年1月17日付けで受けました。モルメド社が実施する第III相臨床試験では、慢性GVHDの予防及び生存率の向上を目的とし、遺伝子導入細胞の特性解析の検証も行います。

 当社とモルメド社は相互にライセンス契約を締結し、当社がアジアにおける造血器悪性腫瘍を対象とするHSV-TK遺伝子治療の独占的な商業化権を保有する一方、モルメド社は欧州と米国における当社の遺伝子導入技術・レトロネクチン法の非独占的実施権を保有しています。当社及びモルメド社は、それぞれの開発国において、白血病を対象とするHSV-TKを用いた遺伝子治療の臨床開発を進めています。

 現在、白血病、リンパ腫、骨髄腫といった造血器悪性腫瘍の治療では、造血幹細胞移植が有効な治療選択肢とされていますが、HLA(ヒト白血球抗原)が一致したドナーが見当たらない場合、患者は同種造血幹細胞移植を受けることができません。しかしHSV-TK遺伝子治療では、ドナーが両親や子供といった血縁者であることから、ほぼ100%の患者が治療を受けられます。HSV-TK遺伝子治療は、両親や子供といったHLA不一致の血縁ドナー(ハプロタイプ一致ドナーと呼ぶ)からの造血幹細胞移植後に、自殺遺伝子HSV-TKを導入したドナーリンパ球を追加輸注(TK add-back)するという治療法です。この治療法では、ハプロタイプ一致ドナーからの造血幹細胞移植においても問題であった、追加輸注したドナーリンパ球が患者自身の体を攻撃する移植片対宿主病(GVHD)を発症した場合でも、ガンシクロビルを患者に投与することでドナー由来のリンパ球を消失させることにより、GVHDを抑えることができます。

 モルメド社が欧州で高リスク造血器悪性腫瘍患者を対象に実施してきたHSV-TK遺伝子治療の第 I/II 相臨床試験では、TK add-backが造血幹細胞移植後の継続的な免疫系再構築に有効な手段であり、ハプロタイプ一致血縁ドナーからの造血幹細胞移植を行う上で有用であることが明らかにされ、特に生存率が従来の治療法と比較して非常に優れているという結果が得られています。
 またモルメド社は、米国MDアンダーソンがんセンター(MD Anderson Cancer Center)においてHSV-TK遺伝子治療の第 I/II 相臨床試験を2008年に開始する計画です。

 当社では、日本において、同種造血幹細胞移植後の再発白血病を対象としたHSV-TK遺伝子治療(ドナーリンパ球輸注療法)の臨床試験を国立がんセンターにて2008年度中に開始する予定です。

(01/22タカラバイオHP)

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2008年1月10日 (木曜日)

遺伝子利用のがんワクチン、OTS、今春にも治験、患者の免疫力を利用

 東証マザーズ上場で新薬開発ベンチャーのオンコセラピー・サイエンス(OTS)は二〇〇八年春にも、東京大学医科学研究所と共同で探索したがん関連遺伝子を基に作製した「がんワクチン」の臨床試験を始める。がんワクチンは患者の免疫力を利用してがんを攻撃する新たな治療法で、既存の抗がん剤などよりも副作用が少ない薬となる可能性があるという。
 OTSは東大医科学研究所と共同で、がんに特有な遺伝子を、DNA(デオキシリボ核酸)チップを使い探索。既に計十六種類のがん関連遺伝子を見つけ出した。
 がんワクチンは、がん関連の遺伝子がつくり出すたんぱく質の断片を人体に投与する。人体内で異物と認識される細胞を破壊する「細胞障害性T細胞」の増殖や活性化を促し、免疫力を高めることでがんを治そうというものだ。がん細胞がつくり出すたんぱく質は患者の体内に既に存在しているが、それを上回る量を体外から投与することで、免疫力を高めることが期待できる。
 膀胱(ぼうこう)や食道、肺などのがんに関連する遺伝子十六種類を基にたんぱく質の断片を合成、ワクチンを作製した。例えば膀胱がんでは「C3059」という遺伝子ががん増殖にかかわると見て、C3059がつくるたんぱく質の一部をワクチンにする。
 社外取締役で東京大学医科学研究所の中村祐輔教授が臨床研究で患者に投与したところ、投与から三カ月が経過した患者の約六割で、がんが縮小したり進行が止まったりなどの効果があったという。
 膀胱がんでは、独立行政法人科学技術振興機構から補助金を受け、動物を使って安全性を確かめる前臨床試験を進め、今春に第一相臨床試験に進む見通し。また大塚製薬(東京・千代田)には〇七年末、開発中のがんワクチンのうち大腸がんなど二種類の開発・製造販売権を供与した。

(01/10日経産業新聞)

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2007年12月28日 (金曜日)

オンコセラピー、がんワクチン2種、大塚製薬に権利供与

 東証マザーズ上場で新薬開発ベンチャーのオンコセラピー・サイエンス(OTS)は二十六日、がんワクチン二種類の開発・製造販売権を大塚製薬(東京・千代田)に供与したと発表した。OTSは大塚製薬から契約金を受けとった。金額は明らかにしていない。今後は、臨床開発の進ちょくに応じた収入を得るほか、薬として販売されればロイヤルティーが入る。
 OTSは、東京大学医科学研究所と共同でがんに関する遺伝子を探索。がんに特有な遺伝子がつくり出すたんぱく質を元にワクチンを作製し患者に投与すると、体の免疫機能が高まり、がん細胞を攻撃するといった新たな治療法の研究開発を進めている。
 大塚製薬に権利を供与したのは二種類のがんワクチンで、一つは大腸がんが適応症、もう一つは未定。
 前者については大塚製薬に対して二〇〇三年十月に、開発・製造販売権を予約する権利である「オプション権」を与えていた。
 大塚製薬は今後、前臨床試験を経て実際に患者に投与する臨床試験を進める。

(12/27日経産業新聞)

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2007年12月 3日 (月曜日)

中外、肺がん薬を発売――年内にも、全症例の安全性調査

 中外製薬は肺がん用抗がん剤「タルセバ」を年内にも発売する。親会社のスイス・ロシュから導入した薬で、がん細胞の表面にある特殊なたんぱく質を狙い撃ちする分子標的薬の一種。英アストラゼネカが開発した同種の「イレッサ」で重い副作用による死者が出たため、三十カ月かけて全症例を対象に有効性や安全性を調べる。膵臓(すいぞう)がんへの適応拡大も急ぎ、がん分野を強化する。
 タルセバは飲み薬。患者が服用すると、がん細胞の表面にある「EGFR」と呼ぶ特殊なたんぱく質に結び付き、増殖や転移を抑えたり、他の抗がん剤を効きやすくしたりする。
 欧米では手術による切除が不能で、抗がん剤による治療後も増殖した「非小細胞性肺がん」や「膵臓がん」に使われている。二〇〇六年の売上高は世界で約七百五十億円だった。
 日本では非小細胞性肺がんの患者百二十三人を対象に、臨床試験(治験)を実施した。欧米での七百人規模での治験の結果とあわせ、〇六年四月に厚生労働省に承認を申請し、今年十月に取得した。
 薬価収載後、年内にも発売する。副作用の懸念があるため、タルセバの取り扱い施設は全国六百―九百の施設に限定。患者の同意を得て、三十カ月にわたって三千人の患者を対象に有効性や安全性を詳しく調査する。医師と薬剤師、患者に向けて副作用への注意を喚起する文書を配る。
 膵臓がんを対象とする第二相の治験も進めている。中外はがん分野が主力で、六月に抗体医薬の「アバスチン」を発売するなど相次ぎ新薬を投入している。タルセバを早期に投入し、適応を広げて主力薬の一つに育成したい考え。
【表】中外製薬の主な抗がん剤    
  適 応  07年売上高見込み
リツキサン  悪性リンパ腫  186億円
ハーセプチン  乳がん  174億円
アバスチン  結腸・直腸がん  80億円
タルセバ  肺がん  -
(12/03日経産業新聞)

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2007年12月 1日 (土曜日)

バイオベンチャー10社、6社、経常赤字が拡大―今年度、研究開発費など重荷に

 バイオベンチャーの二〇〇七年度の経常損益は十社中九社が赤字になり、うち六社は前期より赤字幅が拡大しそうだ。創薬系は新薬開発の臨床試験費用などの負担が大きく、研究支援系は解析装置や試薬などの開発費がかさむ。一部企業で研究開発費を抑制する動きもあるが、当面は赤字体質から脱却できそうもない。
 新薬の開発を目指す創薬系の五社はすべて前期より赤字幅が拡大する。製薬会社などから得る研究協力金や一時金収入を上回る金額を、臨床試験費用や新薬の研究に投資するためだ。
 アンジェスMGは遺伝子治療薬で第三相臨床試験費用がかかるほか、提携先への研究協力金の支払いが増加する。そーせいグループはがんの痛み止め治療薬が〇八年一月に第三相臨床試験入りするため、臨床試験費の負担が拡大。オンコセラピー・サイエンスはがんワクチンの前臨床試験費用がかさむ。
 一方、研究支援系の企業は四社の経常損益が赤字となる。メディビックグループは遺伝子を使った新薬開発支援が低調。期初計画より研究開発費を減らすが補えない。
 免疫生物研究所はアステラス製薬に供与した抗体開発権から得る一時金収入が計画の半分にとどまり、赤字に転落する。赤字幅を圧縮するため期初計画より研究開発費を絞り込む。
 唯一、経常増益となるのは遺伝子治療薬や試薬販売のタカラバイオ。米国の試薬の開発販売子会社の研究開発費を絞り込み、経常増益幅は期初見通しより拡大する。

(12/1日経新聞)

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LTTバイオファーマ、9月中間決算発表を延期

 バイオベンチャーのLTTバイオファーマは三十日、同日予定していた二〇〇七年九月中間期の決算発表を延期すると発表した。子会社の会計処理を巡って霞が関監査法人と対立、同法人が辞任した。

(12/1日経新聞)

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アステラス、米バイオVBを買収、418億円、「抗体医薬」に本格進出

 アステラス製薬は二十七日、米バイオ医薬ベンチャーのアジェンシス(カリフォルニア州)を三億八千七百万ドル(約四百十八億円)で買収すると発表した。人間の免疫機能を応用した「抗体医薬」に強いアジェンシスの研究開発力と生産能力を取り込み、成長が続く同分野に本格進出する。アステラスは山之内製薬と藤沢薬品工業が二〇〇五年四月に合併して誕生。合併に伴うリストラにメドを付けたことから拡大路線へかじを切る。
 アステラスはアジェンシスの全株式を現金で取得し、十二月中に買収手続きを完了する。アジェンシスが保有する新薬候補品の有効性などが確かめられた段階で、成功報酬として総額一億五千万ドルを買収前の株主に払う。
 アジェンシスは一九九六年の設立。がん向けの抗体医薬を効率よく開発、製造する技術を持ち、泌尿器分野を中心に十一個の候補品を保有している。このうち一個が臨床試験中で、残りも動物実験を進めている。
 抗体医薬は病原体などの異物を体内から排除する「抗体」と呼ぶ特殊なたんぱく質をもとに作る薬。

(11/28日経新聞)

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そーせい、英国で鎮痛薬のP3承認取得

 そーせいグループは28日、同社の開発品である鎮痛薬「AD923」が英国で第3相臨床試験の治験承認を取得した。第3相は欧州におけるライセンス先であるムンディファーマが年内に実施する。承認取得にともなって、そーせいはムンディからマイルストンを受け取る。AD923はオピオイド系鎮痛薬フェンタニル(一般名)の舌下噴霧製剤。第3相ではがん性突出痛を適応に有効性評価の多施設共同治験と安全性評価試験を行う。

(11/28化学工業日報)

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2007年11月27日 (火曜日)

万能細胞優位育つか、京大先行、追う米英勢

京大の再生医療研究、層の厚さが原動力

 京都大学の山中教授が再生医療向けに作った新型の「万能細胞」。京大内では研究の進展をたたえる雰囲気はあっても、祝賀ムードは感じられない。むしろ、研究で先んじられたある種の悔しさすら漂う。(24面参照)
 山中教授のライバルは海の向こうとは限らない。第二、第三の万能細胞で世界をうかがう同僚が身近にいる。研究者の層の厚さが、京大が世界に伍(ご)していく原動力となっている。
 京大は再生医療の研究機関として世界でも先駆け的存在だ。
 一九九八年、胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を米国チームが初めて人から作り出した。そのころ、早くも京大は現在の再生医科学研究所を旗揚げした。九五年ころ、胸部疾患研究所の再編が議論になり、本庶佑客員教授らが「次の三十年間は『再生医科学』の時代」と唱えて回ったからだ。
 京大には岡田節人・名誉教授以来の発生生物学の伝統があった。イモリの切れた尾が再び伸びる神秘にひかれて研究を志した面々が、再生医療を夢見るようになる。「おもろいからやる」の自由な雰囲気も先見性をはぐくんだ。
 再生医科学研究所の前所長、中辻憲夫教授は日本で初めて人からES細胞を作り、国内の研究拠点として礎を築いた。多田高准教授は独自に考案した新しい万能細胞の作製法が患者の選択肢の一つになると信じて疑わない。医学研究科の篠原隆司教授は、発見した精子幹細胞の研究スピードを一段と加速する。
 さらに、人材は京大に収まりきらず、神戸に世界有数の再生医療拠点が二〇〇〇年に生まれた。理化学研究所発生・再生科学総合研究センターだ。京大出身の竹市雅俊・センター長や西川伸一・副センター長らが設立の立役者。京大から移った笹井芳樹グループディレクターらが人のES細胞から神経細胞を作製し、世界と競い合う。

 

 

万能細胞優位育つか、京大先行、追う米英勢

「バイオ立国」試金石
 京都大学の山中伸弥教授らが人の皮膚から万能細胞を作ることに成功した。人での一番乗りを目指して世界の研究者が繰り広げてきた先陣争いに決着が付いた。だが、リードを守る戦略が見えないと研究者は口をそろえる。事実上三カ国のレースは巻き返しに意気込む英米に追い越されかねない。バイオ立国への試金石として、二十八日開かれる国の総合科学技術会議の課題となる。
(関連記事10面に)
●危機感
 「一日も早く国がこの分野の研究所を作るべきだ。日本中の研究者の力を結集しなければ米国に巻き返される」。論文発表に先立ち十九日に「iPS細胞」の成果を説明した京大の山中教授は記者会見で訴えた。応用に向けた改良には研究者の協力が不可欠。日本はそのインフラが決定的に不足しているという。
 国の対応は鈍い。「どういう体制を取るのが良いか検討したい」。渡海紀三朗文部科学相は二十二日の記者会見でこう述べるにとどまった。
 世界は今回の成果に強く反応した。まず米国。山中教授と同じ日、米ウィスコンシン大学も本来の論文発表日を前倒しし同様の細胞を作製したと公表。翌日、ブッシュ大統領は「倫理に沿った研究の進展を非常に喜んでいる」と声明を出した。
 従来の胚(はい)性幹細胞(ES細胞)は受精卵を壊して作るため、キリスト教保守派の反発が根強かった。今後は年間総額で三百億ドルともいわれる生命科学関連の連邦予算が、この分野になだれ込むとみられる。
 予算は既に差がある。米国は州や企業・富裕層が資金を出しES細胞研究を推進。カリフォルニア州は〇五年以降毎年三億ドルを投じる。〇三年に文科省がプロジェクトを立ち上げた日本の予算は十年で約二百億円。同州の一年分にも満たない。
 英国では十年前クローン羊ドリーを生み出したイアン・ウィルムット博士が十七日、英紙でiPS細胞へとカジを切る意向を表明した。同博士はクローン技術を応用し拒絶反応の起こらない「クローンES細胞」の研究に取り組んでいた。米英のトップ研究者が巻き返しに入ることになる。
●文科省の壁
 万能細胞の研究は英チームがマウスES細胞を作製した一九八一年にさかのぼる。マウスの研究で日本はトップレベル。それにもかかわらず、人の細胞でこれまで注目されることはなかった。
 「何度、ヒトES細胞の研究をやめようと思ったことか」。東京大学の中内啓光教授はこぼす。日本は研究に必要な文科省の事前審査に一年ほどかかるが、米国は二週間―一カ月。競争の激しい分野では致命的な差だ。
 iPS細胞の研究はES細胞との比較が欠かせない。山中教授もライバルに後れを取らないように今夏、サンフランシスコに研究拠点を設け月一週間ほど滞在している。
 日本で初めてヒトES細胞を作製した京大の中辻憲夫教授によると、日本は動物のES細胞では世界の二〇%の論文を発表しているが、ヒトES細胞では一%。七〇%の米国、一〇%の英国には遠く及ばず、韓国やシンガポールなどの後じんを拝しているのが実情だ。
 ヒトiPS細胞で米国は四―五チームが異なる手法で作製、検証を進めているとされる。山中教授らは特許を出願しているが、安全性の面で改良の余地がある。周辺特許を押さえられ、ばくだいな使用料が海外に流出する事態になりかねない。
 米英は倫理と折り合いを付けて研究レベルを維持している。生命倫理に詳しい京大の位田隆一教授は「研究者ももっと分かりやすく社会に成果を説明する必要がある」と指摘する。どう実用化へと結びつけていくか、政府だけでなく国民も巻き込んだ議論が必要となる。(本田幸久)
企業は様子見ムード
 バイオベンチャーだけでなく製薬企業も細胞を薬のように患者に投与する再生医療に興味を抱いている。だが、現時点では収益性が不透明なため様子見の構えだ。
 「現在の再生医療のビジネスモデルは患者から取り出した細胞を加工して本人に戻す『オーダーメード型』。薬の錠剤などと違って量産できないので、採算をとるのは難事業だ」。キリンホールディングスの医薬事業子会社であるキリンファーマ(東京・渋谷)の浅野克彦社長は指摘する。
 感染事故が起きないよう細胞を扱う加工・輸送施設は厳密に管理する必要があり企業の投資負担は重い。一人当たりの治療コストは高くなるが見合う治療費が国から認められるかは分からない。
 再生医療の基礎研究を進めているエーザイの内藤晴夫社長も「短期的に再生医療を事業化しようとは考えていない」。主力のアルツハイマー型認知症治療薬の後継品開発を急いでおり「基礎研究で脳などの神経細胞の特性を学び、再生医療を新薬を開発するツールとして活用したい」と話す。
 ▼万能細胞 人体のあらゆる組織や臓器に成長できる細胞で、脊髄(せきずい)損傷や糖尿病など、病気やけがで失われた体の機能を回復させる再生医療の切り札と期待される。代表格は胚(はい)性幹細胞(ES細胞)。体に成長する前の細胞を採りだして作る。生命の芽生えである受精卵を壊すことへの反発に加え免疫の拒絶反応が起こる課題があった。
 患者と同じ遺伝子の「クローンES細胞」を作る手法などが提案されたが、倫理と拒絶反応の問題を完全に解決できなかった。ただiPS細胞は精子や卵子も作れるため、研究に一定の歯止めが必要との声もある。

(11/27日経産業新聞)

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2007年11月21日 (水曜日)

新型万能細胞、拒絶反応ない移植へ前進、研究ルール・安全面に課題

 京都大学の山中伸弥教授らがこれまでにない画期的な新型万能細胞を開発した。患者から細胞を採取してこの万能細胞を作り、さらに移植用の組織を作製すれば移植しても拒絶反応が発生しないことになる。新薬開発にも応用可能。だが、作製方法などを改良し安全性の向上やコスト低減に努める必要があるほか、乱用を防ぐ研究ルールの整備など、実用化までには克服すべき課題が多い。(1面参照)
 再生医療は世界的に注目されている先端医療で、万能細胞のような医療材料が必要。だが、万能細胞はまだ研究段階だ。現時点で有力なのは「胚(はい)性幹細胞(ES細胞)」。様々な細胞や組織に成長する能力を持つが、生命の萌芽(ほうが)である受精卵を壊さないと作れない。
 このため、生命倫理面の反発が根強く、米ブッシュ大統領は連邦予算を使った研究を制限している。日本でも研究に文部科学省による事前審査が必要となるなど、厳しい規制がある。
 同じ遺伝子を持つ生物を多数作り出すことのできるクローン技術を利用して作った「クローンES細胞」も有力視されていたが、研究の世界最先端を走っていたと思われたソウル大学チームの成果が捏造(ねつぞう)と判明。人の細胞を使ったクローンES細胞はまだ成功していない。
 一方、京大チームの「iPS細胞」は皮膚など患者の体細胞から作製することが可能。受精卵などを使わないので研究者の間ではES細胞などよりも倫理上のハードルが低いと考えられている。
 昨年、京大チームがマウスの細胞でiPS細胞の作製に成功して以来、世界の研究者が人の細胞での成功を目指してしのぎを削っていた。京大チームの今回の成功によって、今後の再生医療の研究は世界的にiPS細胞を中心に展開していくとの見方が強まっている。
 だが、iPS細胞を患者の治療に使うには課題がある。技術的な課題は作製方法の改良だ。京大チームは四種類の遺伝子を組み込む際にウイルスを使ったが、これががんの原因になる可能性がある。組み込んだ遺伝子の一種類も発がんとの関連が指摘されている。
 患者ごとにiPS細胞を作るのにも現段階ではコストと時間がかかる。山中教授はiPS細胞をもとに多様な遺伝子タイプの細胞や移植用組織を作ってそろえておくバンク構想を提案している。
 また、国が研究ルールを早急に整備する必要がある。iPS細胞からは精子や卵子も作ることが理論的に可能だ。無精子症など不妊患者を対象とする生殖補助医療への可能性が広がる半面、人為的な生命の誕生にもつながりかねず、新たな倫理問題となる可能性もはらんでいる。
 iPS細胞の研究に国のルール作りが追いついていないのが現状だ。万能細胞の研究に取り組んでいる理化学研究所の丹羽仁史チームリーダーは「ES細胞のようなルールがiPS細胞ではまだ存在しない。ルール作りのための議論を早く始めるべきだ」と話している。

(11/21日経新聞)

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京大など成功、ヒトの皮膚から万能細胞、本格的な再生医療に道

 京都大学の山中伸弥教授らは、神経や筋肉など体の様々な細胞や組織に育つ新型の「万能細胞」を、人の皮膚の細胞から作ることに世界で初めて成功した。すでにマウスの細胞でも同様の細胞を作っていたが、人の細胞で成功したことによって、患者本人の細胞から拒絶反応の起きない移植用組織を作れる可能性が出てきた。次世代医療である再生医療の本格的な実現につながる成果だ。(関連記事3面に)
 科学技術振興機構との共同研究。米科学誌セル(電子版)に二十一日、論文を発表する。
 作製したのは「iPS細胞」。山中教授らは昨年、マウスの細胞でiPS細胞を作製。人の細胞でも作れるか世界の研究者が注目していた。
 成人の皮膚細胞に四種類の遺伝子を組み込み、約一カ月培養するとiPS細胞ができた。その後、神経や筋肉、肝臓など約十種類の細胞に成長。パーキンソン病や糖尿病など様々な病気の治療に役立つ移植用組織を作り出せる可能性がある。
 一方、米ウィスコンシン大学も人の皮膚細胞に特殊な遺伝子を組み込み、同様の万能細胞を開発することに成功。二十一日付の別の科学誌に発表する予定だ。
 ▼万能細胞 体のあらゆる細胞や組織へと成長する能力を持つ細胞。代表格は胚(はい)性幹細胞(ES細胞)で、受精卵から成長前の細胞を採り出して作る。人では一九九八年に米大学が初めて作製。同じ遺伝子を持つ生物を作り出すクローン技術を使いES細胞を作る方法もあるが、入手の難しい卵子が必要。
 ▼再生医療 様々な細胞に成長する特殊な細胞を培養して移植用の組織を作り、病気やけがを治す先端医療。培養する細胞としては、骨髄などに含まれる細胞を利用する場合と、万能細胞を使う場合がある。骨髄などに含まれる細胞を利用するタイプは心臓病患者などへの臨床応用が大学病院を中心に始まっている。

(11/21日経新聞)

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2007年11月20日 (火曜日)

ホソカワミクロン、カテーテル共同開発へ…血管の再閉塞防止

 粉体機器大手のホソカワミクロンの技術開発子会社、ホソカワ粉体技術研究所(大阪府枚方市)は、カテーテル(細長いチューブ)による血管拡張手術の後、血管が再び閉塞(へいそく)するのを防止する新しいカテーテルの実用化に向け、バイオベンチャーのアンジェスMG(大阪府茨木市)、医療機器メーカーのメディキット(東京都文京区)との間で共同開発契約を結んだ。

 

 血管拡張手術は、先端に血管を拡張するためのバルーン(風船)がついたカテーテルを血管に挿入し、血管が閉塞している部分でバルーンをふくらませて正常な太さに拡張させる。

 3社が開発を目指すのは「薬剤溶出型バルーンカテーテル」。血管拡張手術の際の炎症反応抑制効果をもつ薬剤を、微小なナノ粒子に封入し、これをバルーンの表面に塗布するもの。薬剤が溶出することで、再び血管が閉塞するのを防ぐ効果を発揮する。

 アンジェスの薬剤技術、ホソカワのナノ粒子への薬剤封入技術、メディキットのカテーテルへの塗布技術を持ち寄り、共同開発を進める。動物実験や臨床試験などを経て2012年の商品化をめざす。

 バルーンカテーテルによる血管拡張手術は、閉塞性動脈硬化症患者などに有効な治療法として使われているが、治療後に再び閉塞するケースが30%程度の割合で発生しており、医療上問題になっている。

 これを防止するため、心臓血管手術の場合、薬剤を塗布した金属製の編み目のチューブを挿入し、血管を拡張した後、その場にとどまって血流を確保する治療法が使われている。

 血管の再閉塞を防止する効果はあるが、チューブが血管内にのこったままになるため、患者にとって精神的な面でも負担がかかる。開発する技術はこれを解消でき、また、治療費の面でも削減効果が見込める。

(11/20フジサンケイビジネスアイ)

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武田薬品、米に抗体医薬子会社、社長・研究者を現地採用

 武田薬品工業は十九日、ヒトの免疫の仕組みを利用してがんなどの疾病を治療する抗体医薬の研究子会社を米国に設立したと発表した。今後ただちに新社長など約二十人の研究者を現地採用し、〇八年度始めにも稼働させる。日本から研究機能の一部も移し、抗体医薬の総合研究所として機能させる計画だ。欧米大手に出遅れた抗体医薬で巻き返しを狙う。
 米国の持ち株会社、武田アメリカ・ホールディングスの全額出資子会社として武田サンフランシスコ(カリフォルニア州)を設立した。資本金は一ドル。バイオ企業が集積する地の利を生かし、社長兼最高科学責任者(CSO)など約二十人の研究者を現地採用する。日本で抗体医薬の研究を担うバイオ医薬研究室からも研究者を派遣する見通し。
 体内標的分子の探索、抗体医薬の作製、薬効や安全性の確認、活性強化など抗体医薬に関する多くの研究開発テーマを新会社に集約する計画。
 武田は二〇〇六年以降、抗体医薬の遅れを取り戻そうと複数の米バイオベンチャーと抗体医薬の開発権取得や共同研究などの提携戦略を加速してきた。こうした提携プロジェクトも新会社が引き継ぐ。今後、抗体医薬を得意とする米バイオベンチャーを買収した場合、新会社が受け皿会社となる可能性もある。

(11/20日経産業新聞)

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2007年11月16日 (金曜日)

アンジェスMG、血管再狭窄予防で共同研究

 東証マザーズ上場で創薬ベンチャーのアンジェスMGは十五日、医療機器製造販売のメディキットとホソカワ粉体技術研究所(大阪府枚方市)の二社と、血管再狭窄(きょうさく)を予防する効果のある医療器具を共同開発すると発表した。動物実験などで効果や安全性などの研究を進める。
 閉塞(へいそく)性動脈硬化症の患者や人工透析を受けている患者の腕に形成した血管が細くなると、血管にカテーテルと呼ばれる細い管を入れ、狭くなったところで先端を膨らます。
 再び血管が細くなる患者も少なくなく、カテーテルの先端に、アンジェスMGの炎症を抑える薬剤「NFκBデコイオリゴ」を塗ることで予防が期待できるという。

(11/16日経産業新聞)

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2007年11月15日 (木曜日)

アンジェス社長が強調、医療、工学などと連携重要

 ベンチャー企業の振興を目指した複合イベント「ベンチャー2007KANSAI」(日本経済新聞社、アジア生産性機構などが共催)が十四日、大阪市で開幕した。医療関連ビジネスで各分野が協力する必要性を議論するシンポジウムなどを行った。初日は約八千五百人が来場した。
 「連携が生み出す医療ビジネス」と題したシンポジウムでは、アンジェスMGの山田英社長が「医療ベンチャーはグローバルな展開が必要」と、工学など他分野との連携の重要性を強調した。
 千房(大阪市)の中井政嗣社長は「できるやんか!信頼と情熱の起業」と題し講演。「外食産業は経営者や従業員の人間性が特に問われる」と人材教育の必要性を語った。
 シンポジウム「女性が創るアジア新産業地図」では、ステラケミファの深田純子会長が新事業に進出した事例を紹介。「同じ事業に閉じこもるのも高リスク。常にベンチャー精神が必要」と述べた。
 同時に開かれた「ベンチャー・エキスポ2007」では百四十の企業・団体が新製品・技術を展示した。

(11/15日経新聞)

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2007年11月13日 (火曜日)

アンジェス、治療用核酸、米VBに開発販売権、「大学発」と初提携

 遺伝子医薬品開発のアンジェスMGは、炎症を抑える作用がある核酸の欧米での開発販売権を米カリフォルニア大学発バイオベンチャーのマイヤー・ファーマシューティカルズLLC(カリフォルニア州)に認めた。同社が米国の大学発ベンチャーと業務提携するのは初めて。
 開発販売権を許諾したのは、アンジェスが国内での研究開発を進めている核酸「NF―κBデコイオリゴ」。国内ではアトピーの治療で臨床試験第二相を実施中で、欧米でも皮膚や呼吸器、整形外科領域、炎症性腸疾患で患部に集中的に投与する薬の開発を目指す。開発の進展は国内の研究開発にも生かす。
 マイヤーからは数億円とみられる契約一時金のほか、疾患や地域ごとの開発の進展に応じた報酬(マイルストーン)を受け取る予定。薬が各国で承認申請された場合も利益の一部を受け取る。

(11/13日経新聞)

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2007年11月 7日 (水曜日)

関西の医薬・バイオVB、米欧に開発拠点続々――臨床環境やコスト負担減魅力

 国内の医薬・バイオベンチャーが欧米の足場づくりに動くのは、先端的な創薬技術や新薬候補を売り込みやすい事業環境に魅力を感じているためだ。特に米国では抗原抗体反応など身体メカニズムを活用した抗体医薬や遺伝子技術を利用する核酸医薬といった次世代創薬技術をベンチャーが開拓し、製薬大手がこうした技術の権利を一つずつ獲得する流れが定着。大手の目にとまれば提携実現も夢ではない。
 関西では自治体や経済団体の後押しもあり、医薬・バイオベンチャーが相次ぎ誕生している。こうした中から成長し、有望な新薬候補物質を生み出したベンチャーにとっては、世界最大の市場である米国での成功が究極の目標だ。運良く有力な開発・販売パートナーに出会えた場合、新薬としていち早く発売するうえで米国の臨床試験(治験)環境は魅力といえる。
 例えば他国で販売されている新薬が米英では平均一年半で承認され、発売されるのに対して、日本では約四年かかる。日本に比べ時間やコストなど治験の負担が大幅に軽いため、限られた特許期間のなかで利益を最大化することが可能になる。
 バイオ技術だけでなく研究者の層も厚いため人材の流動性が高く、優秀な研究者の確保が期待できる点もベンチャー進出を活発にしている。

(11/07日経新聞)

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2007年10月29日 (月曜日)

アンジェスの遺伝子治療薬で学会発表

 アンジェスMG(マザーズ) <4563> は29日、HGF遺伝子治療薬の末梢性血管疾患に対する国内第3相臨床試験の中間解析結果について、日本脈管学会で発表されたとのリリースを出した。それによると、プラセボ(偽薬)との差は統計的に有意であったという。発表資料の中では「本臨床試験によって、重症虚血肢に対する「AMG0001」による血管新生療法の有用性が明確に示されたことは、医療上の意義が高いものと考えている」などとしていた。

(10/29ラジオNIKKEI)

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アンジェスMGの遺伝子治療、足の潰瘍に効果確認、第3相治験の詳細発表

 東証マザーズ上場で創薬ベンチャーのアンジェスMGによる遺伝子治療薬の臨床試験(治験)第三相の詳細が明らかになった。長野県松本市で開催中の日本脈管学会で、治験に参加した東京医科大学の重松宏教授が二十六日発表した。閉塞(へいそく)性動脈硬化症によって虚血状態になった足への薬の効果を調べたところ、特に潰瘍(かいよう)がある重症例で明確な効果が見られた。
 厚生労働省へ承認申請の準備を進めている「肝細胞増殖因子(HGF)」の遺伝子を使った治験薬の中間解析結果。虚血の影響で足に潰瘍ができていた重症例の場合、投与した十一例すべてで潰瘍が縮小した。偽薬(プラセボ)による対照群五症例では改善が確認されたのは四〇%にとどまった。
 潰瘍がなく痛みが主な症状の場合、遺伝子治療薬を投与して改善が見られたのは五〇%で、対照群は二五%だった。
 生活の質は「体の痛み」と「心の健康」の二項目で治験薬を使った改善効果があった。

(10/29日経産業新聞)

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2007年10月28日 (日曜日)

国内初の遺伝子治療薬、血管潰瘍に効果 来春承認申請へ

 国内初の遺伝子治療薬の臨床試験(治験)結果を、重松宏・東京医大教授(血管外科)が、長野県松本市で27日まで開かれた日本脈管学会で発表した。対象は足の血管が詰まる病気で潰瘍(かいよう)ができた重症患者ら。潰瘍が縮小したり、痛みが和らいだりする効果がみられた。薬と直接関係する大きな副作用はなかったという。メーカー側はさらに安全性を調べ、来春、承認申請する方針。

 足の血管が詰まる病気は糖尿病の増加などにつれて多くなり、足の切断を余儀なくされる人は年に1万人以上とされる。虚血性心疾患など、動脈硬化に伴う血管の病気も増える傾向で、これらにも効果が期待される。

 この薬は、肝細胞増殖因子(HGF)という血管新生を導くたんぱく質の遺伝子を用いる。遺伝子のDNAを、ウイルスのDNAの一部などを流用してつなぎ合わせ、プラスミドというリング状のものにした。筋肉注射すると、筋肉内で遺伝子が働き始めて新たな血管作りを促す仕組み。患者のDNA本体に組み込まれることはないとみられる。

 発表されたのは3段階ある治験の最終的な試験結果。4週間の間隔をあけて2回注射し8週間後の様子をみた。57施設が参加した。

 閉塞(へいそく)性動脈硬化症では、この薬と、同じ形状でDNAの入っていないもので効果を比べた。薬を使った27人のうち潰瘍のあった11人全員が改善。平均すると潰瘍は75%以上小さくなった。痛みも16人中8人で和らいだ。

(10/28asahi.com)

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2007年10月26日 (金曜日)

第一三共の9月中間、経常益13%増の1000億円

 第一三共は26日、2007年9月中間期の連結経常利益が前年同期比13%増の1000億円になったようだと発表した。従来予想は9%減の800億円だった。欧米で血圧降下剤「オルメサルタン」が好調だったほか、研究開発費など経費の一部が下期にずれ込んだ。為替の円安も寄与した。
 売上高は9%減の4430億円。非医薬品事業の外部売却などで減収だが、従来予想を270億円上回る。医療用医薬品が好調だったほか、一部の非医薬事業の連結外への切り離しが予定より遅れた影響が163億円発生した。営業利益は従来予想を180億円上回る19%増の930億円となったもよう。
 2008年3月期通期の連結経常利益は12%増の1710億円になる見通し。

(10/26日経ニュース)

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2007年10月25日 (木曜日)

アムジェンが一段高――売上高が予想を上回る

バイオ製薬大手のアムジェンが時間外取引で一段高。通常取引を前日比0.43ドル高の58.13ドルで終えた後、時間外取引で58.70ドル前後で推移している。24日夕に発表した7―9月期決算は大幅減益となったが、売上高が前年同期比0.3%減の36億1100万ドルと市場予想(35億7243万ドル)を上回り、買いが入っている。
 7―9月期の主力の貧血治療薬「アラネスプ」の売り上げは前年同期比23%の大幅減。がんの進行を早めるリスクがあるとして米食品医薬品局(FDA)が投薬対象を限定したほか、公的医療保険「メディケア」の適用対象外となり米国での需要が減った。純利益は82%減の2億100万ドル。特別項目を除く一株利益は1.08ドル、市場予想は1.03ドルだった。
 決算と併せて、8月に発表したリストラ計画に関する費用の予想を従来の6億―7億ドルから7億7500万―8億5000万ドルに上方修正した。リストラはアラネスプの今後の売り上げ減に対応する目的。

(10/25日経ニュース)

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2007年10月24日 (水曜日)

タカラバイオが急反発――9月中間、最終黒字に転換

急反発。値幅制限の上限(ストップ高)にあたる前日比5万円高の35万8000円を付けた。前日23日に2007年9月中間期の連結最終損益が600万円の黒字(前年同期は3億4400万円の赤字)になったようだと発表したことが買い材料。従来予想は3億3000万円の赤字だったが、一転して黒字となったことを好感する買いが集まっている。
 試薬や食品の開発を手掛ける。9月中間期は販売管理費を削減。研究開発費の計上が10月以降にずれ込んだことも利益を押し上げた。
 親会社の宝HLD(東証1部、2531)も23日に9月中間期の連結純利益を従来予想から上方修正。株価は小高い水準で推移している。

(10/24日経ニュース)

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バイオVB、課題多く、先行投資に負担、開発と経営分離

 二〇〇五年までのバイオブームでは技術に対する期待から上場各社の株価が急騰した。ただ、業績低迷が続いて将来展望を明確に示せない企業が続出。バイオVB全体の成長性に疑問符が付けられるようになり、投資家の期待を裏切った。
 現状については「開発段階が進んだ企業もある」(経済産業省生物化学産業課)と一定の評価をする声が多い。ただ、先行投資負担が重いことに変わりはなく、上場十四社のうち直近決算期が最終黒字なのは二社にとどまる。先行投資型VBを育てるために利益が出るまでを支えるのも市場の役目といえるが、投資する側には有望性を選別する能力が求められる。
 バイオ先進国の米国では約三百社のバイオVBが上場し、売上高一兆円以上に成長したアムジェンのような企業もある。新薬の承認期間が日本に比べて短いなどの背景もあるが、成功するVBは経営管理体制の整備も進んでいると言われる。
 日本のバイオVBでは大学などの研究者が経営トップを兼ねることも多く、コスト管理がおろそかになって思わぬ業績失速を招いたケースもある。研究開発と経営の機能分離などを進める必要もありそうだ。

(10/24日経金融新聞)

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バイオVB選別進む、開発成果きっかけ、2年ぶり活況、製薬大手と提携カギ

 株価低迷が続いていたバイオベンチャー(バイオVB)を再評価する動きが出始めた。一部で開発成果が出始めたことがきっかけで主要銘柄の売買代金が回復。新規株式公開(IPO)の機運も高まりつつある。バイオVBが市場をにぎわすのは、二〇〇二年から〇五年に十一社が上場した「バイオブーム」以来二年ぶり。製薬大手との提携など収益化の手法を持つかどうかが評価の分かれ目となっている。(村上徒紀郎)=バイオVBは2面「ミニ辞典」参照
 今月三日、バイオVB見直しの契機となる二つの出来事があった。ひとつは再生医療のジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J―TEC、愛知県蒲郡市)が、やけど治療用の培養皮膚について厚生労働省から薬事法に基づく製造販売承認を得たことだ。
 国内初の再生医療実用化で、バイオ医療全体が注目されるきっかけとなった。未上場のJ―TECによる成果がバイオVB全体の見直しにつながり、上場銘柄を再評価する流れを生んだ。
 同じ日、がん治療薬を開発するオンコセラピー・サイエンス(OTS)も話題に上った。社外取締役の中村祐輔東京大学教授が開発した、がんワクチンに関する学会発表の内容が報じられ、同社には問い合わせが殺到。株価は翌日以降六営業日で倍以上に急騰した。
 OTSに合わせるように他の主要バイオVB株もにぎわった。遺伝子治療薬などを開発するアンジェスMGは、九月に六百億円を割り込んだ時価総額が七百億円台を回復。肺疾患治療薬などを開発するそーせいグループの売買代金は連日で三億円を超え九月初旬の十倍程度に達した。「特定銘柄が上昇したことで、他のバイオ銘柄にも資金が流入した」(新光証券の岩田俊幸アナリスト)
 にわかに注目度が高まったバイオVBだが、前回ブームとの違いは投資対象が選別されていることだ。物色対象となっているのは有望な医薬品候補があることに加えて大手製薬会社との提携関係を持つ企業。アンジェスは第一三共と共同で遺伝子治療薬を開発しており、製造販売承認申請の準備を進める。
 OTSも扶桑薬品工業と抗がん剤を共同開発中で、そーせいもスイスのノバルティス社との提携が評価の対象となっている。

(10/24日経金融新聞)

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バイオVB選別進む―投資マネー、9割、4社に集中

 残るVBは投資家の関心をひき付けられない。十月に入ってからの上場バイオVB十二社(今年上場の二社を除く)の合計売買代金は一日当たり約十八億円だが、うち九〇%がタカラバイオ、アンジェス、OTS、そーせいの四社に集中する。
 開発負担が重いバイオVBは安定して黒字が出せるようになるまでの時間がかかる。PER(株価収益率)などの指標は使いにくく、開発中の医薬品の有望性で評価される。有望性を数値化して段階的に評価することは難しいため、評価が極端に分かれやすい。
 製薬大手との提携は時間と費用がかかる臨床試験負担を軽減できるほか開発後の販売ルート確保にもつながる。そのため投資家の関心は「大手との提携を持つ一部企業に集中する傾向がある」(いちよし経済研究所の山崎清一首席研究員)。
 〇五年以降途絶えていたバイオVBのIPOは今年三月から再開された。未上場VBの中には製薬大手との提携などの成果を出す企業が増加。ジャスダックの技術開発型企業向け新市場「NEO(ネオ)」の立ち上げでバイオVBの活発な上場を期待する声もある。
 ただ、かつてのように厳しい吟味もなく投資を呼び込める状況ではない。収益化への道筋が見えにくい企業の上場を乱発すれば「(業績・株価の低迷が相次いだ)かつての二の舞いになりかねない」(山崎氏)。
 
(10/24日経金融新聞)

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2007年10月23日 (火曜日)

遺伝子治療拡大に力~アンジェスMG取締役森下竜一氏

遺伝子治療拡大に力

 創薬型バイオベンチャーのアンジェスMGは、先進国で初となる遺伝子治療薬の実用化に向け最終コーナーに差し掛かった。大阪大学寄付講座教授で同社の創業者である森下竜一取締役に今後の戦略を聞いた。
 ――末梢(まっしょう)性血管疾患の遺伝子治療薬の開発状況は。
 「国内で第三相臨床試験を終え有効性を確認できた。糖尿病などが原因で足の血流が悪くなる閉塞(へいそく)性動脈硬化症の患者で改善率が七〇・八%に達した。予想よりよい成績で満足している。HGF(肝細胞増殖因子)が注射で体内に入ると、その遺伝子からたんぱく質が作られ、血管新生を促す仕組みを利用している」
 「病気で足を切断するリスクを持つ患者は国内で約一万人。切断を防げれば患者だけでなく、社会経済的にも大きな利点になる」
 ――実用化見通しは。
 「来春までに厚生労働省に承認申請したい。厚労省にも承認期間を短縮する動きがある。米欧でも臨床試験を実施中で、来年に第三相試験に入りたい」
 「遺伝子治療で治療法のない病気の多くが治るとは思っていない。大きな分子も扱いづらいなどの欠点もあるが、ナノテクノロジー(超微細技術)と組み合わせれば、適用できる範囲は広がるはずだ」
 ――HGFは足の血管以外にも効果はあるのか。
 「重症の狭心症や心筋こうそくなどの心疾患にも有効だ。HGFの作用で新しい血管ができて、血流が改善する。心筋細胞にHGFを直接注射するためのカテーテル(細い管)の安全性をもう一度確認したうえで、早急に米国で第二相臨床試験を始めたい」
 「手足が震えるパーキンソン病の治療にも使えるとみている。パーキンソン病はドーパミンを作る細胞が減って発症する。HGFはこの細胞を保護し、死滅するのを防ぐ働きがある。ただ脳に直接打つので安全性を足や心臓より慎重に検証しなくてはならない。実用化の見通しはまだ先だ」
 ――HGF以外は。
 「米バイオベンチャーのバイカルに昨年出資した。米国で臨床試験中の悪性黒色腫の遺伝子治療薬のアジアでの販売権を得た。同社は米食品医薬品局(FDA)と良好な関係を築いており、米国での臨床試験ノウハウも入手できる」
 「NFκBデコイオリゴという核酸もアトピー性皮膚炎の治療向けにアルフレッサファーマと共同開発している。国内で第二相試験を始め、患者の登録が終わった。この物質は血中で分解されるので他の臓器に影響しにくく副作用のおそれも少ない」
 「アミノ酸が連なったペプチドで抗菌作用を持つタイプも薬として有望だ。やけどや床ずれの際に細菌などによる感染を防げる。感染を防ぐために抗生物質を使うと途中で耐性ができる可能性があり、抗菌ペプチドの開発で予防できるとみている」
 ――中国などへ進出する計画は。
 「中国で事業を展開するのは簡単ではない。試験研究のデータ管理を含めてきちんとマネジメントできるかどうか。信頼できるパートナーと組めるかも重要。アンジェスの研究開発費は連結で年間約三十八億円。バイオベンチャーとしては多いが、臨床試験などには多額の費用がかかる。現時点では案件ごとに製薬大手などと組み、日米欧中心でやっていくつもり。心疾患やアトピー性皮膚炎などは先進国に多くの患者がいる」
 ――国はベンチャー育成の旗を振っているが。
 「産業の活性化や社会システムの変革を目指すならベンチャーへの積極支援が重要。ベンチャーへの投資は国のインフラとして割り切って実施すべきだ。シンガポールや台湾では政府が資金を出し大型ファンドを設立している」
 「人材育成も重要だ。制度を整えても人材の流動性が欠けるとうまくいかない。産官学を人が行き来しやすいような環境が必要だ」

バイオVB経営

リスク軽減課題

 大学などの技術をもとに新薬開発や研究支援を手掛けるバイオベンチャーは、これまで話題が先行しがちだったが、ようやく製品実用化の具体的な見通しが立ってきた。再生医療分野でも、やけど治療用培養表皮の開発を手掛けるジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(愛知県蒲郡市)が今月、厚生労働省から製造販売承認を得るなど、動きが活発化している。新薬や医療機器の審査・承認までの期間を短縮する方針を打ち出した厚労省の姿勢もベンチャーに追い風になりそうだ。
 ただベンチャーには経営の安定という課題が常にのしかかる。薬の臨床試験にかかる費用負担は軽くなく、発売後に副作用が多数報告されるケースもある。独立性を保ちつつ経営リスクを減らす工夫が今後も欠かせない。

(10/23日経産業新聞)

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キリン・協和発酵、医薬事業、来年10月統合――両社長会見「提携で技術に磨き」

 協和発酵を傘下に収めることを正式発表したキリンホールディングスの加藤壹康社長と協和発酵の松田譲社長は二十二日、都内で会見した。協和発酵とキリンファーマは二〇〇八年十月一日に合併し、社名は協和発酵キリンとする。統合新会社の売上高は一一年度、五千億円を目指すという。会見の主なやり取りは以下の通り。
 ――今回の提携で世界に通用する規模になるのか。
 加藤社長「規模ではなく、世界に冠たる技術にさらに磨きをかけるための提携だ」
 松田社長「今回の提携はスペシャリティーファーマ(専門特化型製薬会社)になるのが目的で、決してサイズを追ったのではない」
 ――なぜ、十年間五〇・一%の出資比率を維持するのか。
 加藤社長「五〇・一%という数字は色々と工夫した結果だ。両社の持つ力を最大限発揮できる良いバランスだと思う」
 ――買収防衛の意味合いはあるのか。
 松田社長「防衛策として考えたことはない」
 ――今日、協和発酵の株価が下がったが。
 松田社長「目指す方向が浸透すれば、市場は正しく評価してくれると思う」

(10/22日経新聞)

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キリン・協和発酵、医薬事業、来年10月統合――TOB、1株1500円で買い付け

 キリンホールディングスと協和発酵は二十二日、キリンが協和発酵を傘下に収めることで合意したと正式発表した。キリンが三十一日からTOB(株式公開買い付け)を実施し、協和発酵の株式を一株千五百円で二七・九五%(一億一千百五十七万八千株)取得する。最終的に二〇〇八年十月、協和発酵とキリンの医薬品事業を統合する。
 買収金額は千六百七十三億円になる。TOBの期間は十二月六日まで。
 TOB成立後にキリンの医薬品子会社、キリンファーマ一株に対し協和発酵の株式八千八百六十二株を割り当て交付。キリンが協和発酵の株式の五〇・一%を取得して、〇八年四月一日に連結子会社にする。株式交換を含めたキリンの買収総額は三千億円を超える。協和発酵とキリンファーマは〇八年十月一日に合併し社名を協和発酵キリンに変更する。新会社の社長には協和発酵の松田譲社長が就任する。キリンHDは原則として十年間、新会社の持ち株比率を五〇・一%に維持する方針だ。
 二十二日午前、都内で記者会見したキリンホールディングスの加藤壹康社長は協和発酵をグループに取り込むことについて「新会社は医薬を核にした、世界トップクラスの研究開発型ライフサイエンス企業を目指す」と述べた。

(10/22日経新聞)

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2007年10月19日 (金曜日)

名証セントレックスの富士バイオメディックス(3379)はプラス圏で値を保つ 「前立腺癌診断で新技術を開発」

北里大学と前立腺癌の悪性度を客観的に診断する新技術を開発したと報じられたことが下支え要因となってか、プラス圏で値を保っている。
株価は13時10分現在、139,000円の1,000円高。

(10/19兜町ネット)

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ノバルティスが加齢黄斑変成治療薬を申請

ノバルティスが加齢黄斑変成治療薬を申請、遺伝子組み換えFab断片で血管新生を阻害

 ノバルティスファーマは2007年10月17日、滲出型加齢黄斑変性症治療薬の「ルセンティス(一般名:ラニビズマブ)」を承認申請した。

(10/19BTJ)

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協醗醗酵工業(4151)は後場も買い気配 キリンによる買収観測で

キリンホールディングス(2503)が医薬品やバイオ関連の事業を強化する目的で、同社を買収する方向で交渉に入ったと報じられたことが手掛かり材料となって、買いが殺到して値付かずとなっている。
12時34分現在の株価は、1,402円で特別買い気配。
前日終値は1,202円。

(10/19兜町ネット)

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メディネット、共同臨床研究開始

メディネット、東京大学と結腸・直腸がんの肺転移に対する新たな治療法の確立に向けてガンマ・デルタT細胞療法を用いた共同臨床研究を開始

 株式会社メディネットは、平成19年10月18日、国立大学法人東京大学と共同で臨床研究を開始しましたのでお知らせします。本共同臨床研究は、結腸・直腸がんが肺に転移した患者の転移巣切除後における、ガンマ・デルタT細胞療法iの有効性と安全性を検討することを目的としており、東京大学大学院医学系研究科 臓器病態外科学講座 呼吸器外科 中島 淳 准教授の主導のもと、同研究科 免疫細胞治療学(メディネット)講座ii(垣見 和宏 客員准教授)との連携により実施されます。

(10/19BTJ)

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キリン、協和発酵買収交渉、医薬再編の動き加速、抗体医薬、統合効果大きく

 キリンホールディングスが協和発酵を買収する交渉に入ったのは、両社の強みを持ち寄って世界に通用する新薬を生み出す体制を整えるのが狙い。医薬メーカーは国内市場の鈍化と新薬不足という二つの壁に直面している。両社はそれぞれ「抗体医薬」と呼ぶ革新的な薬を開発する技術を持っており、統合効果は大きいとみられる。買収が実現すれば、世界での生き残りをかけた医薬再編が加速するのは確実だ。(1面参照)
 国内では二〇〇五年に合併・統合により、アステラス製薬、第一三共、大日本住友製薬などが相次ぎ誕生した。今年十月一日にも田辺製薬と三菱ウェルファーマが合併して田辺三菱製薬が発足した。
 世界の製薬市場で生き残るには、年間三十億ドル(三千四百五十億円)以上の売上高が必要といわれている。新薬を継続して生み出すためには、一定水準の研究開発費が必要だからだ。
 ただ国内は三十三兆円にのぼる医療費の抑制に向け、医療費の二割を占める薬剤費の圧縮に動いている。政府は薬価の安い後発薬を二〇一二年までにシェア三割に普及させる目標を掲げる中、日本の医薬品市場の成長は頭打ち。実際、世界市場における日本の地域別売上高は二〇〇五年に一一・三%と、十年前の約半分に低下している。
 国内の製薬企業が成長していくには、欧米など海外市場に打って出なければならない。研究開発強化に加え、海外進出の資金力が必要。このため、各社がM&A(買収・合併)による規模拡大を急いでいる。
 ただ、キリンと協和発酵の医薬品事業の年間売上高を合わせても二千億円に満たない。買収が成立した場合、両社は事業基盤の強化に向け、まず技術のシナジー効果を狙うとみられる。
 両社が強い抗体医薬は生物の免疫反応を応用した医薬品。がんなど病原を狙い撃ちするので、既存の薬に比べて副作用が少なく、効き目が強いとされる。
 キリンは抗体医薬を効率よく作製する技術を持ち、特に副作用を起こしにくくする「ヒト化」と呼ぶ技術などで注目されている。協和発酵は抗体医薬の効き目を最大一千倍に高める技術を保有。二社の技術を組み合わせ、キリンの安定した事業基盤のもとで腰を据えて研究開発を進めれば、有力な新薬開発につながる可能性もある。
 ▼抗体医薬 免疫機能を担う「抗体」と呼ぶ特殊なたんぱく質を使った医薬品。一般的な薬は化学合成で作るのに対し、抗体医薬は培養細胞で作る。病気の引き金や悪化のカギを握る物質に結合して作用を妨げる。がんや関節リウマチの治療薬として急速に普及しており、世界市場規模は年二兆円弱に達する。武田薬品工業や第一三共、アステラス製薬も製品や関連技術導入を急いでいる。

(10/19日経新聞)

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キリン、協和発酵買収交渉、医薬・バイオ強化、買収額3000億円超も、上場は維持

 キリンホールディングスが東証一部上場の医薬品大手、協和発酵を買収する方向で同社と交渉に入ったことが明らかになった。キリンは協和発酵を傘下に入れて医薬品やバイオ関連の事業を強化し、ビール事業の伸び悩みを補う。少子高齢化や医療費抑制で市場が低迷する食品・医薬品業界でM&A(合併・買収)が一段と加速してきた。(関連記事11面に)
 キリンは買収後、協和発酵の上場を維持し、経営の独立性を尊重する。そのうえでグループの医薬品事業子会社、キリンファーマを協和発酵に合併させる方針。二社合計の医薬品事業売上高は約二千億円となり、国内十位の塩野義製薬とほぼ同程度になる。
 キリンは友好的な形で協和発酵の株式の五〇%超の取得を目指し、TOB(株式公開買い付け)も選択肢に入れている。協和発酵の十八日終値から算出した時価総額は四千七百九十八億円。仮にTOBで一般的な三〇%のプレミアムを乗せた場合、買収総額は三千億円を超える。
 キリンは主力のビール事業でアサヒビールと首位を争っているが、国内の酒類事業は頭打ちが続く。このため二〇〇六年に酒類のシェア拡大に向けワイン大手メルシャンを買収。医薬品事業では七月に医療機器大手のテルモと資本・業務提携した。七月一日付で持ち株会社制に移行。M&Aなどを通じビール以外の事業拡大を目指している。
 協和発酵は医薬品と化学品、アミノ酸などのバイオ系化学品など複数事業を手掛ける。医薬・バイオに経営資源を集約するため化学品と食品を分社して事業持ち株会社に移行している。稼ぎ頭の医薬品事業は主力品の特許切れによる減収が続いているが、副作用の少ない「抗体医薬」と呼ぶ先端分野に強みを持つ。
 キリンも別の抗体医薬技術を持っており、両社の技術を組み合わせることで新薬開発力の底上げが期待できる。資金力のあるキリンの傘下に入れば、多額の費用がかかる新薬の開発もしやすくなるとみている。
 ビールなど食品業界では昨年以降、アサヒビールがカゴメに出資するなど、M&Aや提携が活発になっている。
 キリンホールディングス 東証一部上場の総合飲料最大手。前身のキリンビールは一九〇七年設立、二〇〇七年七月純粋持ち株会社制に移行。ビールを中心とする酒類の他、清涼飲料、医薬、機能性食品などを手掛ける。〇六年十二月期の連結売上高は一兆六千六百五十九億円(うち医薬事業は六百七十二億円)、経常利益は千二百八億円。〇七年六月末の連結従業員数は二万三千七百人。
 協和発酵 東証一部上場の医薬会社。一九四九年設立。医薬品のほか、アミノ酸などバイオ系化学品や食品も手掛ける。酒類事業は二〇〇二年にアサヒビールに売却した。〇七年三月期の連結売上高は三千五百四十二億円(うち医薬部門は千三百十五億円)で経常利益は三百九億円。三月末の連結従業員数は五千七百五十六人。

(10/19日経新聞)

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2007年10月18日 (木曜日)

ノバルティス、「リタリン」の効能削除申請

 スイス系製薬会社のノバルティスファーマは十七日、向精神薬「リタリン」のうつ病に対する効能を削除するよう審査機関の医薬品医療機器総合機構に申請したと発表した。幻覚などの副作用があるリタリンは依存症などが問題となっていた。製薬会社による効能削除の申請は異例という。
 リタリンの適応症は突然眠り込んでしまう病気「ナルコレプシー」だけになる。うつ病の治療薬は他に有効な薬が開発されており、同社はうつ病を適応症から削除しても医療現場への影響は少ないと判断した。
 リタリンは医師が薬物依存者に安易に処方するなど社会問題化した。リタリンは海外でも販売しているがうつ病は適応対象外という。

(10/18日経産業新聞)

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ジェンザイム・ジャパン、ムコ多糖症2型、国内初の治療薬

 米バイオ医薬企業の日本法人、ジェンザイム・ジャパン(東京・千代田、中村良和社長)は十七日、先天性の難病「ムコ多糖症II型」の治療薬「エラプレース」を発売した。ムコ多糖症は複数のタイプがあり、II型の治療薬は国内で初めて。
 エラプレースは患者が持たない酵素を補う働きをする。国内ではI型の治療薬しかなく、II型は骨髄移植しか治療法がなかった。
 厚生労働省が優先的に承認審査を実施し、申請から九カ月で承認を取得した。
 ムコ多糖症は、ムコ多糖を分解する酵素が生まれつき欠けているため、骨の変形や筋力低下など様々な障害が起きる病気。国内の患者数は百五十人程度とみられる。

(10/18日経産業新聞)

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2007年10月16日 (火曜日)

バイオベンチャーでマザーズのトランスジェニック(2342)が仏CELLECTIS S.A.より遺伝子改変技術のライセンスを取得

仏CELLECTIS S.A.より、10月15日付けで、相同組換え法による遺伝子改変技術に関する特許群の非独占ライセンスを取得したと発表している。
株価は10時06分現在、34,750円の100円安。

(10/16兜町ネット)

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2007年10月13日 (土曜日)

自然免疫系にバイオ企業注目――日本発の大型新薬も

TLR解明 研究に弾み
 生命科学分野で二年連続世界中で最も科学者が引用した論文を執筆した研究者が日本にいる(トムソンサイエンティフィック社調べ)。自然免疫の解明に打ち込む大阪大学微生物病研究所の審良静男教授だ。
 常にノーベル賞候補にうわさされるほどだ。自然免疫系を調節する医薬品も多数開発され、ここ二、三年以内には本格的な実用化が始まる。ワクチンなどで実用化が先行した獲得免疫系に代わり、自然免疫系に世界の製薬・バイオ企業が熱い視線を向けている。
 免疫というと抗体やT細胞を思い浮かべる人も多い。だが、これは一度感染した病原体の再感染を防ぐ仕組み(獲得免疫系)で、一回も感染したこともない新規の病原体には獲得免疫系は役に立たない。
 生物が生存するには未経験の病原体の感染を監視し生体を防御する仕組み、自然免疫系が必要なのだ。昆虫や哺乳(ほにゅう)類以外の脊椎(せきつい)動物も自然免疫系を持つ。獲得免疫系よりはるかに古くからある防御システムだ。
 自己と非自己の違いを認識する獲得免疫系に比べ、自然免疫系は細菌やウイルスを構成する物質を認識する。人体内にはほとんど存在せず病原体に存在する物質を認識することで、新規の病原体の感染を防ぐ。
 自然免疫系は体内にあるマクロファージや樹状細胞という外部から侵入した病原体や異物を食べるアメーバ状の細胞が担っている。これらは不審者の侵入に目を光らせる警備員のような存在で、体内のあらゆる組織で活動している。感染の機会が多い消化管や皮膚の下にはマクロファージが列をなし、病原体の侵入を常に防いでいるのだ。
 実は自然免疫系は昔から知られていた。しかし、ワクチンや抗体医薬として疾病撲滅に貢献しノーベル賞受賞者を輩出した獲得免疫系に比べ、今までは極めて地味な研究分野だった。
 近年注目が集まったのは、病原体由来の物質を特異的に認識する自然免疫系のアンテナ、Toll様受容体(TLR)を分子レベルでつかんだためだ。
 研究の引き金を引いたのは意外にもハエの研究だった。ハエのカビに対する感染防御に、TLR遺伝子がアンテナとして働いていることが一九九六年に分かった。翌年に哺乳類でもTLRがあることが発見され、現在までにヒトで十種類が突き止められた。審良教授らはTLR遺伝子を破壊したノックアウトマウスを使い、TLRが病原体のどんな物質を認識するか、次々と明らかにしていった。
 世界的に自然免疫系の解明は猛烈な競争が繰り広げられている。TLRの種類によって、インターフェロンや炎症を引き起こすようなサイトカインが生産されることや、実は自然免疫と獲得免疫がともに働いて体を守っていることも次々と明らかになってきた。
 今や最も熱い生命科学の分野に自然免疫系はこの十年で変貌(へんぼう)した。当然、バイオ産業も見逃しはしない。TLR3や同4、同7を標的にしたエイズウイルス(HIV)やB型肝炎、ヘルペスなどの感染症治療薬が一部実用化、臨床試験も活発に進められている。ワクチンの効き目を良くする補助剤としても注目されている。
 TLR9を標的にした医薬では、がんやぜんそく、アレルギーの治療薬の臨床試験が始まった。いずれも欧米のバイオベンチャーが開発中のTLRを刺激する医薬品だが、TLRの作用を妨げる医薬品も有望だ。この分野は日本の武田薬品とエーザイの独壇場だ。
 両社がTLR4の阻害剤をそれぞれ開発、臨床試験の最終段階、フェーズIIIに入っている。重い感染症の時に生命を脅かす敗血症の特効薬として、三年以内にも日本発の大型新薬が世界市場にデビューする可能性が濃厚である。

(10/12日経産業新聞)

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2007年10月11日 (木曜日)

新薬実用化へ前進、遺伝子治療薬申請へ

原料生産にもすそ野
 創薬に関連する関西のバイオベンチャーが、新薬実用化に向けた研究開発を大きく前進させている。大阪大学発ベンチャーで、遺伝子治療薬の開発を進めるアンジェスMGが臨床試験で遺伝子治療薬の有効性を確認。原料の核酸を量産する施設も完成するなど、事業のすそ野も広がっている。
 アンジェスは六月、末梢(まっしょう)性血管疾患の遺伝子治療薬の臨床試験第三相で有効性を確認したと発表。今年度内にも厚生労働省に承認申請するとみられる。利用するHGF(肝細胞増殖因子)の遺伝子から作られるたんぱく質は体の組織を再生したり、傷つくのを予防したりする。糖尿病などで血流が悪くなった足に遺伝子を注射すると新しい血管ができて血流を良くする。
 同じ原理が心疾患にも使えるため、重症の心不全患者を対象に米国で臨床試験を開始。神経細胞の再生を促してパーキンソン病の治療に応用できる可能性もあり前臨床試験で効果を確認した。
 HGF遺伝子のような核酸医薬は、体内でたんぱく質が作られ完成するまでの過程で働き、必要なたんぱく質を大量に作ったり、病気の原因になるたんぱく質の合成を抑えたりする。完成したたんぱく質に直接働き掛ける既存の薬よりも少量で効き、副作用も軽くできると期待されている。
 国内では原料の核酸確保が課題だったが、創薬支援などのジーンデザイン(大阪府茨木市、湯山和彦社長)は、核酸を高品質で生産する国内初の工場を九月に稼働させた。一度の核酸の合成量は臨床試験前の開発段階で使うのに十分な数グラム単位。薬同様に不純物が取り除かれた無菌状態で、核酸を薬として使った際の効力を判別しやすい。
 海外には高品質な核酸を作る工場があるが、数キログラム単位での受注生産。初期研究開発段階にある国内企業にとっては量が多すぎ費用もかかる。同社は少量の受注生産にも応じる方針で「国内での開発促進に役立てたい」(湯山社長)。
 診断薬分野では、京都工芸繊維大学発ベンチャーのプロテインクリスタル(大阪市、森肇社長)が、熱や乾燥に弱いたんぱく質を頑丈にし、検出に応用する技術を開発した。昆虫に感染するウイルスが作る特殊な箱形結晶にたんぱく質を詰めて守る仕組みだ。
 特定のウイルスにくっつくたんぱく質を詰めた結晶を作れば、安くて簡便な感染症の診断薬として応用できる。二―三年後にも鳥インフルエンザのような家畜向けの診断薬として実用化し、人の感染症へも応用を広げたい考えだ。

(10/11日経新聞)

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LTTバイオがストップ高気配――今期経常黒字に

朝方から買い気配が続き、現在は気配を値幅制限の上限(ストップ高)となる前日比5500円高の7万4000円まで切り上げた。現時点で約1600株の買い越しとなっている。創薬ベンチャー。10日、医療機関経営支援のアスクレピオスを完全子会社化したことに伴い2008年3月期の連結経常損益が9億2500万円の黒字(前期は5億5300万円の赤字)になりそうだと発表。従来予想の6億100万円の赤字から黒字転換することを好感した買いが集まっている。国内証券会社の情報担当者は「研究開発費の負担が重い創薬やバイオベンチャーの経常黒字は珍しいと受け止めた投資家の買いが入っているようだ」と話す。
 もっともLTTバイオによるアスクレピオスの完全子会社化を巡り、東京証券取引所は「不適切な合併」と判断。LTTバイオ株は9月1日から2011年3月31日まで上場廃止の猶予期間に入っている。このため、「先行き不透明感から積極的な買いが継続しない可能性がある」(国内証券会社の情報担当者)との指摘も聞かれた。

(10/11日経ニュース)

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タカラバイオ、天津医大と臨床研究…がん免疫療法確立へ

 宝ホールディングスグループで、遺伝子工学研究などを手掛けるタカラバイオ(滋賀県大津市)は、中国の天津医科大学天津市腫瘍病院と、がん細胞免疫療法の臨床研究開発を共同で実施する契約を結んだ。タカラバイオが天津市腫瘍病院に、がん細胞免疫療法に使われる「レトロネクチン」と呼ばれる組み換えタンパク質の拡大培養法を技術供与し、両者が協力して難治性がんを対象とする免疫療法の確立を目指す。

 がん細胞免疫療法は、がん細胞を攻撃する性質を持つTリンパ球を拡大培養し、患者に投与して治療する技術。従来はヒトリンパ球上に存在する抗原分子を特異的に認識する抗体「抗CD3モノクローナル抗体」で、患者のTリンパ球を刺激して増殖させていた。

 タカラバイオは、Tリンパ球の拡大培養時に抗CD3モノクローナル抗体に加えて、レトロネクチンを共存させることで、2週間の培養で、従来法の2倍となる約1200倍にTリンパ球を増やすことに成功。この方法で増殖したTリンパ球には、実際にがん細胞と戦うナイーブT細胞と呼ばれる細胞が従来法に比べ約3倍含まれることが判明している。

 天津市腫瘍病院は、中国初のがんの専門病院で、中国では特に乳がんを中心としたがん治療の主要拠点の一つに位置づけられている。細胞免疫療法で約10年の治療経験があり、現在では抗がん剤と細胞免疫療法を組み合わせたがん治療に力を入れている。

(10/10フジサンケイビジネスi)

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2007年10月 5日 (金曜日)

バイオ株が軒並み上昇、製造承認など材料視

 4日の新興株市場で、オンコセラピー・サイエンスやアンジェスMGなどバイオ関連銘柄に買いが集まった。前日に未上場の再生医療ベンチャーが、やけど治療用の培養表皮で厚生労働省の製造販売承認を得たことで、「上場するバイオベンチャーに見直し買いが入った」(国内証券)。一部の銘柄では学会での研究発表を材料視する向きもあったようだ。
 がん治療薬を開発するオンコセラピー・サイエンスは、制限値幅の上限となる前日比5000円高の7万円まで気配値が上昇。買い注文が売り注文を大きく上回り、値が付かないまま取引を終えた。「社外取締役で東大教授の中村祐輔氏による癌(がん)ワクチンの効果に関する学会発表が材料視された」(国内証券)
 遺伝子治療薬のアンジェスMGの終値は前日比2万1000円(3.6%)高の60万3000円と、1カ月ぶりに60万円台を回復した。創薬系のそーせいグループは前日比7000円(3.4%)高の21万5000円、遺伝子改変マウスのトランスジェニックも5.0%上昇した。

(10/4日経ニュース)

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2007年10月 3日 (水曜日)

再生医療を事業化、厚労省第1号承認、愛知のベンチャー企業、培養皮膚を製造販売

 厚生労働省は薬事・食品衛生審議会の薬事分科会を三日開き、ベンチャー企業のジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J―TEC、愛知県蒲郡市、小沢洋介社長)が申請していたやけど治療用の培養皮膚の製造販売を承認した。損傷した臓器や組織を修復する新しい治療技術として注目されている再生医療の事業化の国内第一号となる。

 承認されたのは患者の皮膚の細胞を培養して表皮(皮膚の最も外側の層)をつくる「ジェイス」(商品名)。近く販売を始める。二週間ほど培養してから傷付いた部分に張って治療する。一平方センチメートルほど採取するだけで一千平方センチ以上の表皮を作ることができる。
 患者本人の細胞から作るため、他人の表皮を移植する場合と比べ拒絶反応が起こりにくい利点がある。当初の価格は一回一千万円を超える見込み。公的医療保険の適用を目指す。対象となる重症やけど患者は国内で年四千―五千人発生しているという。
 J―TECは眼科機器メーカーのニデック(蒲郡市)やINAXなどが出資して一九九九年に設立した再生医療ベンチャー。ひざの軟骨や目の角膜上皮などに使う製品でも承認取得をめざす。
 患者から採取した細胞を体外で培養して作る医療用製品は、培養時の病原体混入による感染症などの危険も懸念されている。このためJ―TECの申請は二〇〇四年十月だったが、厚労省は慎重に審査を続けていた。

(10/3日経新聞)

再生医療の事業化承認、バイオ産業の刺激材料に

 培養皮膚に製造販売承認がおりたことで再生医療は広く利用される普及期に向けて前進した。技術開発や株式上場が実際のビジネスより先行しがちだったバイオ産業の刺激材料にもなりそうだ。

 再生医療には医師法と薬事法という二つの基準がある。今回の承認は薬事法に基づくもの。医師法によれば、担当医師の責任と裁量で幅広い内容の治療ができるが、担当医師本人が培養しなければならず臨床数は限られる。大学病院などでの先端的な治療のほとんどは医師法に基づく。
 これに対し薬事法では臨床試験などに基づいて有効性と安全性を確認して承認される。審査基準が厳しく時間もかかるが、承認されたら薬と同様に全国で利用が認められる。
 医師に特徴や正しい処置の方法を伝えるなど課題はあるが、幅広い普及による新産業の創出が射程に入ってくる。

(10/3日経新聞)

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タカラバイオ、米社にLA─PCR法のライセンス供与

 タカラバイオ<4974.T>は3日、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)関連試薬の製造販売を行っている米カパ・バイオシステムズ社に対し、LA─PCR法の非独占的実施権を供与すると発表した。LA─PCRの実施権供与は世界で21社目となる。

 PCRは、微量のDNAを数時間のうちに数百万倍に増幅する技術。LA─PCRは、PCRの能力を飛躍的に向上させた新技術で、遺伝子工学や生化学、生物学、創薬など、幅広い分野で需要がある。

 タカラバイオは、カパ・バイオシステムズ社から、契約一時金及びライセンス対象商品の売上げに応じたランニングロイヤリティーを受け取る。同社によると、LA-PCR関連の売上高は年間2億円程度で、拡大基調にあるという。

(10/3ロイター)

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2007年10月 2日 (火曜日)

ムコ多糖症新薬、あす承認へ=舛添厚労相が見通し

 先天性の難病「ムコ多糖症」で最も患者が多い2型の治療薬について、舛添要一厚生労働相は2日の閣議後記者会見で、「3日開かれる(薬事・食品衛生審議会薬事)分科会で事実上の決定ができると思う」と語り、承認が了承されるとの見通しを示した。
 ムコ多糖症は遺伝子異常で代謝がうまくできず、体内に「ムコ多糖」が蓄積してしまう病気で、1型から7型まである(5型は欠番)。
 同省によると、国内に数百人の患者がいるが、うち2型の患者は150人程度と最も多い。これまで1型の治療薬しか承認されていなかった。

(10/2時事通信)

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2007年10月 1日 (月曜日)

第一三共、新薬の承認取得、米で高血圧薬拡販

 第一三共は九月二十八日、主力の高血圧薬に別の高血圧薬の成分を加えた新薬の承認を米国で取得し、欧州では承認を申請したと発表した。米国では十月に発売し、約千四百人へ増員した医薬情報担当者(MR)を中心に売り込む。米国での高血圧薬の売上高を二〇〇九年度に〇六年度の二倍弱に当たる千四百億円に引き上げ、事業拡大の原動力とする。
 この薬は「AZOR」(米国製品名)と呼ぶ。カルシウム拮抗(きっこう)剤とアンジオテンシンII拮抗剤(ARB)という血圧を下げる二つの成分を混ぜた配合剤。同社は米国でARBを販売しており、新薬投入でカルシウム拮抗剤の需要も取り込む。
 同社はこの薬を〇六年十一月に米食品医薬品局(FDA)に承認申請。米子会社のMRを増員するとともに、米フォレスト・ラボラトリーズ(ニューヨーク州)と共同販促契約を結び、米国での足場を固めてきた。
 高血圧薬市場は競争が激しいが、米大学の研究グループによる臨床試験(治験)の成績が良好だったことから、強化した営業力を活用して新薬を一気に拡販する。
 一方、欧州では「SEVIKAR」の製品名で二十八カ国に承認申請した。〇八―〇九年の承認取得を見込んでいる。

(10/1日経産業新聞)

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2007年9月28日 (金曜日)

ノバルティス、鉄過剰症飲み薬、優先審査品目に

 スイス系製薬会社のノバルティスファーマ(東京・港、三谷宏幸社長)は厚生労働省に申請中の慢性鉄過剰症の飲み薬「エックスジェード」が優先審査品目に指定されたと発表した。鉄過剰症は何度も輸血することによって体内に鉄が蓄積されて発症し、死亡する場合もある。現在は毎日注射して鉄を除去する治療法しかなく、患者の負担が重い。エックスジェードが承認されれば日本初の飲み薬となる。

(9/28日経産業新聞)

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トランスジェニック、糖尿病関連抗体、研究試薬で販売

 バイオベンチャーのトランスジェニックは二十七日、糖尿病などに関連するとされる物質「AGE―3」の抗体を、研究用試薬として発売したと発表した。病気の発症メカニズムの解明など基礎研究用で、製薬会社や大学などからの需要を見込む。初年度に五十本から百本の販売を目指すという。抗体の作成は、トランスジェニックの独自技術で、抗体を作成する働きのB細胞を多く持つよう遺伝子を改変したGANPマウスを使う。価格は抗体十マイクロ(マイクロは百万分の一)グラム入りで五万七千七百五十円。

(9/28日経産業新聞)

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2007年9月19日 (水曜日)

バイオジャパン2007が開幕‐オープンイノベーションに拍車

 日本最大級のバイオ産業イベントである「バイオジャパン2007」が19日、横浜市のパシフィコ横浜で開幕し、今日21日まで開催される。日本と海外18の国・地域から403の企業・団体が新製品や新技術などを出展し、セミナーでは抗体医薬やRNA干渉など最先端の創薬技術や今後の製薬・バイオ産業の方向性などを第一線の経営者、研究者を講師に迎え議論される。初日の基調講演では、医薬、エネルギーなどの多くの分野で、バイオ技術によるイノベーションの進展がみられ、イノベーションが国際競争力につながっていることが指摘された。

 副題は「バイオの世紀、オープンイノベーションの発想で」。開会式では、同組織委委員長の原田宏氏が主催者を代表してあいさつに立ち、「外部からシーズ、テクノロジーを導入し、資産化していくオープンイノベーションが大きな社会的価値を生むことが実証されている。一企業の枠を越えた取り組みがイノベーションを推進する」と述べ、今回を契機とした取り組みの広がりに期待を寄せた。

 ライフサイエンス推進議員連盟の尾身幸次前財務大臣が来賓として出席し、「バイオインダストリーは、日本を含め将来性が大きいにもかかわらず、現実のものとなっていない」と話し、特に新薬開発体制の遅れを指摘。「治験、承認にめちゃくちゃ時間がかかっている。国全体のポテンシャルのわりには成果が出ていない。遅れている政策的枠組みを作り直し、世界に競争していける体制を1日も早く作りたい」と、政治の側から支援していく姿勢をアピールした。

 19日に行われた基調講演では、RNA干渉技術による創薬を行う米国のバイオベンチャーであるアルナイラムのジョン・マラガノアCEOが、化学品よりバイオ技術による医薬品の承認が米国で増えてきていることや、ファイザーなど巨大企業もNo.1バイオ企業を目指す動きを見せていることを挙げ、バイオ医薬の中に成長のカギがあるとみていることを紹介。

 その上で同社が、内外の大手を含む数多くの企業とアライアンスを進め、新技術と共に資金調達を確保し、成長につなげてきたことを強調した。

 内閣特別顧問の黒川清氏は、世界の貧困や環境問題、疾病などの課題に対し「バイオ技術がどんな役割を果たすか。イノベーションが世界の中のキーワードとなっている。イノベーションが国の競争力と同義と認識されている」と指摘。「今、イノベーションがお経のお題目のようよに唱えられているが、行動が伴わないといけない」と述べ、第5の革命といわれるITとネットワークを駆使し、自らの弱点を最適なパートナーと提携することで、需要に応える技術・サービス・製品を作り出す、スピードをもった事業展開が必要だと訴えた。

(9/19薬事日報)

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2007年9月15日 (土曜日)

進化するバイオ技術――バイオジャパン組織委員会北里一郎氏

バイオジャパン2007組織委員会委員長 北里一郎・明治製菓最高顧問
測定機器の発達貢献
積極的な情報開示重要
 「バイオジャパン2007」の開催にあたり、組織委員会委員長を務める北里一郎・明治製菓最高顧問に、バイオ産業の現状や課題などについて聞いた。
 ――今のバイオ産業をどう見ている。
 「測定機器の発達がバイオテクノロジーの進化に大きく貢献している。島津製作所の田中耕一氏がノーベル賞を受賞したたんぱく質の質量分析技術がいい例だ。微量すぎて分からなかった成分も測定できるようになり、今まで考えられなかった切り口で開発を進められるようになった」
 「測定技術や機器が発達しても、ノウハウを一社で抱え込んでしまう傾向があるのは問題だ。技術発展の妨げになるだけでなく、地球温暖化に伴う環境問題やエネルギー問題に対応しきれなくなる」
 ――解決には何が必要か。
 「積極的に技術に関する情報を開示し、産業に結びつけることが重要だ。今回初めて付けた副題の『バイオの世紀、オープン・イノベーションの発想で。』には、情報を公開すればビジネス上の協力がしやすくなるという意味を込めた。展示やセミナーで最新情報をつかみ、ビジネスモデル構築などに活用してほしい」
 「バイオ産業は各社が独自開発したバイオテクノロジーやナノテクノロジーなどの先端技術を特許化し、資産として活用しているため閉鎖的になりがちだ。それでは技術がビジネスに結びつくまで時間がかかるため、世界に取り残されてしまう」
 ――注目分野は。
 「医療分野ではDNA(デオキシリボ核酸)だけでなくRNA(リボ核酸)に着目した薬の開発や、病気の発症に関係を持つたんぱく質の研究が盛んだ。研究を進めれば、画期的な新薬が生まれる可能性もある」
 「農業では生産性をあげるために遺伝子組み換え作物の開発が必要になるだろう。世界の人口がこのまま増えれば食料不足が予想されるためだ。エネルギー分野でも(廃材など)食料以外のものを使うバイオ燃料の開発に力を入れなければならない」
 ――日本のバイオ産業の問題点はどこか。
 「国民の理解を得られていない点だ。みそやしょうゆなど発酵食品で培ったバイオ技術は日本のお家芸とも言える。にもかかわらず、『バイオ』というと危険なイメージを持つ人が非常に多い」
 「理解が得られないために技術の進歩が遅れることが心配だ。バイオ産業にかかわりのない人もバイオジャパンの会場を訪ねて最先端の技術を肌で感じれば理解を深めてもらえると期待している」
(9/14日経産業新聞)

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進化するバイオ技術―産学連携で新薬の芽、バイオVB

バイオVB 国内に500社 
遺伝子薬開発や研究支援 
上場・提携…増す存在感
 大学の研究成果を基に新薬の開発を目指したり、研究機器などを提供したりするバイオベンチャーは現在、国内に約五百社。東証マザーズや大証ヘラクレスなどの新興市場に株式を公開した企業も十社以上に達した。中でもアンジェスMGは、臨床試験(治験)を進めてきた遺伝子治療薬で有効性を確認、厚生労働省に製造販売承認の申請準備を進めるなど具体的な成果も見え始めている。
 大阪大学の研究成果を基にHGF(肝細胞増殖因子)の遺伝子を使った血管疾患の治療薬などを開発しているのがアンジェスMG。大学発バイオベンチャーの草分け的な存在で、二〇〇二年九月に東証マザーズに上場、時価総額は七百億円前後に達する。
 注目を集めるのは、糖尿病などで足の血流が悪くなる末梢(まっしょう)性血管疾患の遺伝子治療薬だ。体に入ったHGF遺伝子がつくるたんぱく質の作用により、新しい血管がつくられ病状の進行をくい止める。
 六月には国内で実施していた第三相の治験で七〇・八%の改善率があったと発表。現在、厚生労働省に承認申請する準備を進めている。承認されれば先進国で初の遺伝子治療薬がバイオベンチャーの手で生まれることになる。
 開発中の新薬で海外のメガファーマ(巨大製薬会社)と提携した企業も現れた。そーせいグループは開発中の慢性閉塞(へいそく)性肺疾患の治療薬の販売、開発権を総額約二百十億円でスイスのノバルティスに供与した。一〇年の承認申請を目指し臨床開発を進めている。
 新薬開発だけでなく、遺伝子の解析など研究支援型のバイオベンチャーの活躍も見逃せない。
 スイスのロシュグループや独キアゲン、米インビトロジェンなど名だたる医療機器メーカーにDNA(デオキシリボ核酸)の抽出精製装置をOEM(相手先ブランドによる生産)供給するのがプレシジョン・システム・サイエンス(PSS)だ。磁気を帯びた物質を使い、自動的に血液などからDNAを抽出できる仕組みを考案、日米欧で特許を取得しており、世界の企業から引き合いが来る。
 熊本大学発ベンチャーのトランスジェニックは体内で抗体をつくる「B細胞」を多く持つよう遺伝子を改変したマウスを使い、抗体を作成する技術を開発。マウスの体内にウイルスを入れると、マウスの体内にそのウイルスに対する抗体ができる仕組みだ。
 一方、バイオベンチャーは新株発行などで資金を集め、収益に先行する形で研究開発を進めるため赤字に陥りやすい特徴もある。新薬開発を目指す場合、臨床試験という過程を経るため時間も必要になる。資金難に苦しむ企業も少なくない。バイオ産業のすそ野をさらに広げるためには、国や地方自治体の支援に加えて、バイオに投資するベンチャーキャピタルなど投資家の育成も欠かせない。

(9/14日経産業新聞)

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進化するバイオ技術――産学連携で新薬の芽、バイオジャパン

「バイオジャパン2007」19日横浜で開幕
抗体から燃料までVBの企画も豊富
 国内有数の国際的なバイオイベント「バイオジャパン2007」が十九日、パシフィコ横浜で開幕する。開催期間は二十一日までの三日間。共同出展を含め約四百社・団体の約三百ブースが並び、抗体からバイオ燃料まで幅広い分野の最先端技術が一堂に会する。
 バイオジャパンの展示の特徴は、自治体などが主導した共同出展が多く、普段はなかなかお目にかかれないバイオベンチャーの企画も豊富なこと。北海道から九州まで、各地のベンチャーが創薬支援など得意技術を披露する。
 海外からの出展にも注目が集まる。世界初の哺乳(ほにゅう)類クローン、羊のドリーのふるさとからやってくるスコットランド国際開発庁もその一つ。研究段階の化合物を実用化に結びつけるための、臨床試験(治験)の環境のよさなどをアピールするという。地元、横浜市も日英独のバイオベンチャーを紹介するセミナーを開く。
 初日午前九時半の開会式に続く基調講演の演者は、内閣特別顧問の黒川清政策研究大学院大教授のほか、抗体の「次の本命」と期待される核酸医薬で世界をリードする米アルナイラム社のジョン・マラガノア社長も予定されている。国内ではまだ芽が出始めたばかりの、短い二重鎖リボ核酸(siRNA)における技術革新の秘密に迫れそうだ。
 午前十時から午後五時まで、すき間なく予定されているセミナーも見逃せない。二日目の二十日には武田薬品工業の長谷川閑史社長、アステラス製薬の青木初夫会長、第一三共の庄田隆社長と、日本を代表するメガファーマのトップ三人がそろう。「日本の医薬品産業の国際競争力」をテーマに激論を交わす。
 バイオジャパンは新技術の紹介だけでは終わらない。二〇〇七年も、ビジネスパートナーを発掘するマッチングシステムを実施する。事前に興味のある企業などとのミーティングをインターネットで登録。当日、会場内で個別の打ち合わせができる仕組みだ。
 〇六年は約二百件のミーティングが実施され、大手企業との契約成立にこぎつけたケースもあるようだ。欧米では同様のマッチングイベントが盛んだが、数十万円の費用がかかる。バイオジャパンは無料で利用できるのが魅力だ。
 〇七年のバイオジャパンのテーマは「オープンイノベーション」。自前で技術を調達するのでなく提携先と得意分野を生かしながら、効率よく革新的技術を開発しようという考え方だ。バイオ分野の世界の知が集まるこのイベントは、オープンイノベーションを実現する格好の機会になる。
 バイオジャパンの入場料は千円。ホームページ(http://expo.nikkeibp.co.jp/biojapan/)で事前登録すれば無料になる。

(9/14日経産業新聞)

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進化するバイオ技術―バイオ燃料すそ野拡大、廃食用油

廃食用油、食材車両を動かす
植物性油脂と触媒を反応
企業やNPO、全国に拡大
 軽油を代替して化石燃料の使用を減らし、二酸化炭素(CO2)の排出を抑えるのが、バイオディーゼル燃料(BDF)だ。植物性油脂と触媒を反応させてつくる。日本では廃食用油をリサイクルして燃料にする試みなどを自治体や企業、非営利組織(NPO)が進めており、プロジェクトは全国に広がる。
 持ち帰り弁当店「ほっかほっか亭」などを展開するプレナスは、十月から店舗で出た廃食用油を配送車の燃料に再利用する。九州と山口県の九百四十一店舗を対象に、年間約百十八万リットルのBDFを製造する。
 福岡県朝倉市にある同社の物流センターに専用の給油所を設け、各店舗へ食材などを届ける車両に燃料を供給する。年間に約三千百トンのCO2削減効果を見込む。今後は東日本にも拡大したいとしている。
 今年一月のダカール・ラリー。元F1ドライバーの片山右京氏が、使い終えた天ぷら油から作ったBDFで参戦し、完走した。この燃料を供給したのが、ベンチャー企業のレボインターナショナル(京都市)だ。
 レボは京都市と協力し、廃天ぷら油を一般家庭や飲食店などから集め、それを原料にBDFを生産する。同社は京都市内に約千カ所の拠点を設け、一般家庭から二〇〇六年度に十五万リットルを回収。前年度比で約二〇%増加した。生産したBDFは、京都市のごみ収集車や市バスの燃料として、市民の暮らしを支える。
 インドネシアのスマトラ島でベンチャーの日本植物燃料(東京・品川)が、資源作物であるジャトロファを大規模に栽培し、BDFの量産に乗り出す。ジャトロファは五年ほどすれば一本あたり五キログラムほどの種子がとれる。毎年植える必要もない。成長も比較的早く収量も多いのが特徴。「東京ドーム千個以上の広さがある一帯に植える」(同社)計画だ。
 海外をみると、欧州では菜種、北米では大豆、東南アジアではパームなどを原料に生産している。日本企業も現地で事業にかかわる例も増えてきた。双日はマレーシアで現地企業のグリーン・バイオ・フューエルズと組み、パームを原料に年間十万トンのBDFを生産する。
 技術開発も進む。新日本石油とトヨタ自動車は、水素を利用して燃料の劣化をまねく酸素を除去する処理を施した次世代BDFの実用化へ共同研究に取り組む。軽油に一〇%混ぜた燃料を使い、近く都営バスで走行試験を始める。地球環境産業技術研究機構は木くずや雑草からディーゼル燃料をつくる技術を世界で初めて開発。三年後の工業生産を目標に掲げる。

(9/14日経産業新聞)

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進化するバイオ技術―バイオ燃料すそ野拡大、木くず・ふん

木くず・ふんも活用せよ
「地産地消」工場が注目
 バイオ技術を応用した燃料は、バイオエタノールやバイオディーゼルばかりではない。工場や発電所などでは木くずや排水、生ごみ、家畜のふんなど多様なバイオマス(生物資源)を燃料に活用する動きが広がっている。石油の使用に伴う二酸化炭素(CO2)の排出量を抑制する効果に加えて、石油価格の上昇に対応したコスト削減効果も普及を後押ししている。
 製紙工場では紙の乾燥などに使う蒸気をつくるボイラーの燃料として、木くずや紙くずなどの利用が目立つ。大王製紙子会社のいわき大王製紙(福島県いわき市)は二〇〇八年八月、いわき市内の工場で建設廃材などを主燃料とする新ボイラーを稼働する。同工場で二基目となるバイオマスボイラーの稼働で、工場では重油の使用がゼロになる。
 王子製紙や日本製紙もバイオマス燃料の利用を広げる方針だ。このほか製紙業界では、紙パルプの原料となる木材チップから繊維を取り出した後に残る廃液(黒液)も燃料として有効活用している。
 積水ハウスの浅井工場(滋賀県長浜市)では木くずをガス化して燃料にする取り組みが始まった。木造住宅の部材を作る際に出る製材くずからガスを作り、コージェネレーション(熱電併給)システムの燃料として利用する。「プレナーくず」と呼ばれるおがくずをガス化炉で蒸し焼きにして可燃性ガスを生成し、ガスコージェネに使う。
 ビール工場や下水処理施設などでは、排水や下水汚泥から発生するメタンガスを燃料に利用する例が増えてきた。
 キリンビールは二〇一〇年をめどに国内全十一工場にバイオガスエンジン式コージェネレーションシステムを完備する。全ビール工場の一割程度の電力を賄う。生産工程で生じる排水が含む汚濁物質を、微生物を使って分解する際に発生するメタンガスを回収する仕組みだ。
 工場などから出る廃棄物である木くずや汚泥などをバイオマス燃料に転換する取り組みは、石油など化石燃料は輸入に依存せざるを得ない日本にとって有効な手だてといえそうだ。
 こうした「地産地消」の発想は地域の自治体に広がっている。市町村が中心となって地域で発生するバイオマスを活用する仕組みづくりを目指すのが「バイオマスタウン構想」だ。
 稲わらなどを利用してエタノールを生産し活用する実証実験のほか、家畜排せつ物や生ごみなどからガスや燃料用チップを作り出そうという試みもある。身近なところにある廃棄物を燃料に活用できる一石二鳥の取り組みを活用する企業や自治体は今後も増える見通しだ。

(9/14日経産業新聞)

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進化するバイオ技術――バイオ燃料すそ野拡大、穀物から量産

穀物から量産 ガソリン補完
小麦・コメ…原料幅広く
 バイオ技術が成果を発揮しているのはヘルスケア分野に限らない。地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)の排出を抑制する取り組みの中でも、特に自動車の化石燃料消費量を削減する試みでは、バイオエタノールやバイオディーゼル燃料の普及が始まった。重油の代わりに廃棄物などから取り出したバイオマス燃料を使う工場も増えるなど、技術の応用範囲は広がっている。
 温暖化対策が喫緊の課題になり、CO2の排出抑制の一環として日本でもバイオエタノールの量産に向けた動きが活発になってきた。原料として一般的なサトウキビやトウモロコシを十分供給できない日本では、間伐材や稲わらなどセルロースで製造する試みも進む。バイオエタノールを混ぜたガソリンの利用も自治体や企業の間に広がり始めた。
 北海道清水町にあるホクレン十勝清水製糖工場。この敷地内にテンサイや規格外小麦を原料に年間一万五千キロリットルのバイオエタノールを生産する国内で最大規模の設備の建設が始まった。事業者は北海道農業協同組合中央会やホクレン農業協同組合連合会が設立した北海道バイオエタノール(札幌市)だ。
 二〇〇九年度の稼働に向け、プラント工事を手掛けるのが三菱商事やキリンビールなどだ。三菱商事は北海道バイオエタノールに出資したほか、役員も派遣するなど、事業を強力に後押しする。
 キリンビールはビール副産物を使ったバイオエタノールの生産にも乗り出す。年内にも取手工場(茨城県取手市)内に実験プラントを設け、麦芽の皮など醸造かすから製造する。
 コメでバイオエタノールを生産するプロジェクトも進んでいる。北海道ではオエノンホールディングスが苫小牧市で生産する。全国農業協同組合連合会(JA全農)は、〇九年から新潟県で多収穫米を原料に年間一千キロリットル生産する。
 製造したバイオエタノールは〇九年四月から供給する予定で、ガソリンに三%混ぜた「E3」にして、同県内のJA系列の給油所で販売する。エタノールとガソリンの混合設備はJA全農の油槽所に設ける。
 四月末から石油元売り各社は首都圏五十カ所の給油所でエタノールと石油製品を合成した「ETBE」を混ぜたバイオガソリンの販売を始めた。一般消費者のほか、東京都杉並区が六月から公用車十五台でバイオガソリンを利用している。
 政府は三〇年度までにガソリン消費量の一割にあたる六百万キロリットルを国産バイオ燃料で賄う方針を打ち出している。普及に向け揮発油税などの減免など、税制面での支援の検討に入った。普及には様々なコストをいかに抑えるかが大きな課題。技術開発やインフラの整備など、どう乗り越えるかまだまだ工夫が必要だ。

(9/14日経産業新聞)

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進化するバイオ技術―治療・検査に新手法、人工臓器

丈夫で副作用少なく
 病気や事故で機能を失った臓器の代わりに、体内に入れて命をつなぐ人工臓器の開発が進んでいる。耐久性の高い補助人工心臓や副作用の少ない人工血管が出始めた。臓器や組織を人工物で置き換えるのではなく、再生させる未来の医療も実用化が視野に入ってきた。
 重症の心不全患者で心臓移植が必要な人に使う補助人工心臓。テルモの「デュラハート」は耐久性の高さに加え、動力部が既存品に比べてかなり小さいのが特徴だ。ポンプ内部で回転して血液を送り出す羽根車を磁力で浮かせる世界初の機構を採用しており、部品どうしの摩擦がないため長期間の使用に耐えられる。
 補助人工心臓は、ドナーから臓器の提供を受けて心臓移植ができるまでに、心臓が弱って死亡するのを防ぐために使う。場合によっては二年の長期使用もあり得る。欧州では八月に発売しており日米でも開発を急ぐ。
 心筋梗塞(こうそく)や狭心症の治療へ応用を目指し、泉工医科工業(東京・文京、青木真社長)と大阪大学が開発を進めるのが生分解性の人工血管だ。
 人工血管は動脈硬化などで心臓に酸素や栄養を送る冠動脈が詰まった際に、迂回(うかい)路を作って血流を回復させるのに利用する。ただ、異物であるため、体内に入れると血栓(血の塊)ができてしまうといった問題がある。
 泉工医科工業と阪大は体内で消えて無くなる最先端の人工血管を開発中。動物実験段階だが血栓ができることもなく経過は順調だ。患者本人の血管と置き換わり、成長するため先天性心疾患の小児の治療にも有効と期待が集まる。
 一方、「未来の医療」と呼ばれる再生医療のけん引役はベンチャー企業(VB)。中でも国内で最も実用化に近いとされるのがジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J―TEC、愛知県蒲郡市、小沢洋介社長)だ。やけど治療用の培養表皮について、製造販売承認を申請した。
 このほど厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の医療機器・体外診断薬部会で製造販売申請の承認を受けた。十月に開催予定の同審議会・薬事分科会でも審査され、認められれば製造販売が可能になる。
 東京女子医科大学の技術を基に角膜上皮の再生医療に取り組むセルシード(東京・新宿、長谷川幸雄社長)は欧州で臨床試験(治験)を申請。ステムセルサイエンス(神戸市、中島憲三社長)は尿失禁の治療法として尿道の筋肉再生を目指す。
 人工臓器や再生医療の実用化では開発力や資金力も不可欠になる。大手企業と大学、VB間での連携が加速する可能性がある。

(9/14日経産業新聞)

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進化するバイオ技術―治療・検査に新手法、健康増進食品

付加価値向上狙う
ペット向けも登場
 食品メーカー各社が健康増進効果のある素材を使った食品を相次いで発売している。消費者の健康志向と美容への意識の高まりが背景にある。スーパーなどで安売りの対象にされやすい加工食品に比べて、付加価値を高められる利点もある。
 日本ミルクコミュニティ(日本MC)など食品メーカー五社は八月、美容効果が期待されるとして注目が高まっている成分「N―アセチルグルコサミン」を配合した商品を販売すると発表した。いずれも焼津水産化学工業がカニやエビの殻から抽出した成分を使用している。
 N―アセチルグルコサミンは単糖類の一種で、人体の保湿成分であるヒアルロン酸を構成している成分だ。関節痛の緩和効果や肌の保湿効果などがあると期待されている。ヒアルロン酸より分子量が小さく腸での吸収性も良いという。
 雪印乳業が九月一日にスキムミルク「グルコサミン500スキム」を発売したほか、日本MCは九月二十五日にコラーゲンも配合した乳製品乳酸菌飲料「きらぷる」を発売する。サッポロビール子会社のサッポロエージェンシー(東京・渋谷)はコーヒーなどに溶かして飲む粉末、雪印乳業子会社のビーンスターク・スノー(東京・新宿)は食事を代替し摂取カロリーを抑えるドリンクタイプの食品を売り出す。森永製菓は通販限定の調整ココアを開発した。
 一方、植物性乳酸菌を生かすのはアサヒビール子会社のエルビー(埼玉県蓮田市)。七月に一個で一食分の緑黄色野菜を摂取できる「朝の1食 野菜ヨーグルト」を発売した。ヨーグルトに野菜汁と新たに発見した植物性乳酸菌を加えた。
 植物性乳酸菌は「LbPl―4」と呼ばれるタイプで、アサヒビールとアサヒ飲料が共同研究で発見した。野菜が発酵する際に生じる臭みを和らげる効果があり、免疫力の増強効果も期待できるという。
 ヨーグルトに含まれる野菜汁はニンジンのほかレタス、ピーマン、キャベツ、カリフラワーなど二十一種類。一個(百二十グラム)につき四十グラム分の野菜汁を含み、厚生労働省が定める一日当たり目標摂取量の三分の一に相当する。
 健康志向対応食品はペットフードにも波及している。サントリーは八月、ペット用のサプリメント(栄養補助食品)「ペットヘルス ARA+DHA」を発売した。ペットの高齢化に伴い健康維持に配慮する飼い主が増えており、ペット用のサプリメント需要が伸びていることに対応する。動物用医薬品メーカーの共立製薬(東京・千代田)と共同開発した。
 一般のサプリメントでも使用しているアラキドン酸(ARA)とドコサヘキサエン酸(DHA)を一対一の割合で配合。犬での安全性試験を実施したところ、軽度の認知症状が認められる犬では夜鳴きや生活リズムなどの改善や、しっぽを上げる動作など反応性の向上が観察されたという。

(9/14日経産業新聞)

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進化するバイオ技術――治療・検査に新手法、DNAチップ

「中空糸」使い検出精度向上
 最先端の医薬品開発もそれを支える技術の進歩があってこそ。特定の遺伝子を検出できるDNA(デオキシリボ核酸)チップは病気と遺伝子の関係や薬の副作用の研究に使う。検出精度などを高めたチップが研究開発を加速する。生体内のたんぱく質の様子などを生きたまま観察する「バイオイメージング」も存在感を増してきた。
 〇二年にDNAチップ市場に参入した三菱レイヨンは免疫研究向けのチップを開発した。繊維技術を応用した独自規格のチップで、免疫反応にかかわる約二百種類の遺伝子を検出できる。中心に空洞がある「中空糸」と呼ぶ繊維を検出部に使っている。
 中央部に二百カ所のくぼみが並び、くぼみの中に詰めた中空糸の表面に人工遺伝子(プローブ)を付けた。平らな基板にプローブをはり付けた一般的なチップに比べ、検出精度が高まると同社は期待する。くぼみの中で反応させるため遺伝子と人工遺伝子の結合反応が起こりやすいためだ。
 チップは人間とマウス向けに、それぞれ免疫反応に関係する二百種類の遺伝子を検出可能。食品や花粉のアレルギー基礎研究や炎症を抑える薬の開発などに活用する。
 薬の開発候補品を服用する前後に血液を取り、血中に含まれる遺伝子の量が変化する様子を調べれば、薬の有効性を検証できる。
 バイオイメージングの分野では、富士フイルムが遺伝子やたんぱく質などの解析に使う画像解析システム「LAS―4000」シリーズを投入。最上位機種は赤外線や紫外線の光源を備えており、マウスなど動物の体内にあるたんぱく質の位置などを生きたまま画像で確認できる。
 がんの基礎研究や重症急性呼吸器症候群(SARS)など感染症の研究などに使う。赤外線は生体を透過するため、例えば蛍光色素を付けた薬剤をマウスに注射して、薬が病巣に集まっているかどうかを確認するといった利用が考えられる。
 一方、オリンパスはインド国立生命科学研究センター(NCBS、バンガロール市)の研究支援に乗り出した。NCBSと共同で、九月一日に同センター内にバイオイメージングラボを開設。顕微鏡などオリンパスの最先端の光学機器を設置した。
 分子レベルで物質を観察できる「一分子蛍光観察システム」や解像力の高い「蛍光マクロ顕微鏡」など五製品を、オリンパスが全額負担して設置した。オリンパスは利用者からの反響を新たな技術開発や次世代機器の開発につなげる。
 バイオイメージングは病気の仕組みや薬の効きやすさなどを研究するのに有用。創薬や新治療法の開発で、こうした観察装置の重要性は高まっている。

(9/14日経産業新聞)

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進化するバイオ技術―患者の負担小さく、検査薬・診断装置

遺伝子・たんぱく質活用 短時間で結果判明
 病気の新しい治療方法や、治療に必要な正確な検査手法の開発でバイオ技術が威力を発揮している。治療効果を高めるのはもちろん、より患者に負担が少ない治療や検査方法など応用分野は幅広い。日々の食事を通じた健康維持に関心を寄せる消費者も増えており、食品メーカーにとってもバイオ技術が持つ重要性はこれまで以上に大きくなっている。
 遺伝子やたんぱく質を活用し病気の早期発見、診断につなげる検査方法の開発が活発だ。従来法に比べ短時間で結果が分かる方法や血液で検査できる方法など、独自技術の開発に各社が技を競い合っている。
 日立ハイテクノロジーズはたんぱく質に着目し、国立がんセンターと共同でがんの血液診断の実用化に取り組んでいる。血液に含まれるたんぱく質の中からがん患者特有のものを割り出し、関連性を調べる。二〇〇九年度までに試作機の完成を目指して、検査装置の開発を進めている。
 国立がんセンターは〇八年度までに一千症例を集めて研究し、胃がんや大腸がんなどに関与するたんぱく質の割り出しを担当する。がんセンターは難治性の膵臓(すいぞう)がんの目印となるたんぱく質を特定するなどの実績を持つ。
 細胞やウイルスの遺伝子を検出して検査する技術の開発も盛んだ。医療検査機器大手のシスメックスは、胃がんの悪性度を三十分程度で判定できる遺伝子診断技術の実用化に乗り出した。胃の周辺にあるリンパ節の一部を切り取り、がんの遺伝子が含まれているかどうか調べて転移の有無を見極める。
 採取したがん病変近くのリンパ節を装置にかけると、がんの遺伝子を抽出して増やし転移を判定する。約三十分で結果が分かるため、がん病変の摘出手術中に周辺のリンパ節を切除すべきなのか治療方針を決めることができる。
 これまで結果が出るまで時間がかかっており、再手術が必要になることもあったが、実用化されれば一度の手術で済むため患者の負担を軽減できる。
 〇六年四月に欧州で発売した乳がんの悪性度を自動で判定する遺伝子診断装置をベースに胃がんや大腸がんにも使えるよう試薬などを改良し、早期の実用化を目指す。
 がんだけでなく、感染症分野についても開発が進んでいる。
 検査薬メーカーの栄研化学は遺伝子を増やす自社開発技術「LAMP法」を使った診断薬を発売する準備を進めている。年内に肺炎を起こすマイコプラズマとレジオネラ菌、H5型の鳥インフルエンザウイルスを検出する三種類の診断薬について厚生労働省に製造販売承認を申請する予定。
 従来の検査方法では検出できる菌のタイプが少ないなどの理由で感染の判定が難しかったが、遺伝子検査を使うことで、解決することができる。
 患者数が多く市場規模が大きい感染症やがんを重点分野とみなす企業は多い。それだけに医薬品と同様に検査薬や診断装置でも、大きな技術革新が予想される目の離せない領域となりそうだ。

(9/14日経産業新聞)

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進化するバイオ技術―患者の負担小さく、抗体医薬

エーザイや第一三共 がん向けで追撃へ
 生物が持っている防御システムである免疫の仕組みを応用しており、副作用が少なく効き目が確かな医薬品として期待が集まる抗体医薬。国内では中外製薬と協和発酵が開発で一歩リードしていたが、ここへ来てエーザイや第一三共やアステラス製薬などによる追撃の動きが目立ち始めた。
 エーザイの米子会社モルフォテック(ペンシルベニア州)は年内に膵臓(すいぞう)がんの新薬候補物質の臨床試験(治験)を第二相段階に進める。
 この候補物質はがん細胞の表面に大量に作られるたんぱく質「メソセリン」に結び付く。メソセリンはがん細胞の転移などに深く関係しているため、この新薬候補が結び付くことで転移などを抑える効果がある。
 モルフォテックは皮膚がんの一種である転移性メラノーマの治療薬と、がん細胞に血管が伸びないようにして栄養の補給を断つ新薬の開発も進める。これらは二〇〇八年度中に第一相治験に取りかかる計画だ。
 第一三共は七月、米製薬会社のアムジェンから開発中の抗体医薬「デノスマブ」について国内での開発販売権を取得した。骨粗しょう症や骨のがん、関節リウマチの大型薬に育てる。デノスマブは骨を壊す破骨細胞の働きを抑える世界初の抗体医薬。アムジェンが世界で治験を進めている。
 日本では骨のがん向けに第三相、閉経後の骨粗しょう症向けに第二相の段階。第一三共はこの抗体医薬の治験をアムジェン日本法人から引き継ぎ、関節リウマチでも治験の実施を検討する。
 血液がんを除く固形がんの抗体医薬「DE―766」も第一相の治験中だ。がん細胞の表面に多い「EGF受容体」というたんぱく質だけに結び付く。このたんぱく質はDE―766と結び付くと細胞の増殖を促す物質と結合できなくなり、がん細胞の増殖が止まるという。
 EGF受容体は、大腸がんや頭頸(けい)部がんや肺がん、乳がんなどの細胞表面に特に多い。多様ながんの中から最も効果の高い種類を見極めて、第二相以降の開発につなげる。
 第一三共の主力製品は高脂血症や降圧剤。新規の成長エンジンとしてがん分野に本格参入する計画を掲げており、抗体医薬がその柱になる。
 アステラス製薬は十月に研究本部と営業本部を組織改正する。抗体医薬の研究開発を担当する部署を新設して、開発のスピードを高める。ベンチャー企業を買収するなどして開発力を高めている競合他社に対抗する。
 産学連携にも積極的だ。京都大学と共同で「京大アステラス融合ラボ」を設立し、免疫分野の創薬研究を始める。アレルギーや自己免疫疾患、再生医療、がんなどの治療につながる優れた成果の創出を目指す。
 十年間で病気の標的となる分子を二十五個以上、臨床で使える薬剤候補と抗体など生物製剤を各三個以上見つけ出す。研究期間終了後は、候補物質の中から三個以上を治療薬に結び付けたい考えだ。

(9/14日経産業新聞)

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進化するバイオ技術――患者の負担小さく、医薬品・試薬

高分子「糖鎖」に注目 病気発症に関係
 製薬会社や素材メーカーなどが、糖が鎖状につながった高分子「糖鎖」を応用した医薬品や試薬の開発を進めている。糖鎖は体内で様々な種類が作られ、細胞と細胞が情報をやりとりするアンテナの役割をしている。病気の発症などにも関係が深いと考えられており、開発競争はますます激しくなりそうだ。
 キリンファーマ(東京・渋谷)は七月、腎性貧血治療薬「ネスプ」を発売した。主力の注射剤「エスポー」の後継品で、エスポーよりも赤血球を増やす作用が長続きする特徴がある。投与回数を週三回から一回に減らせるため患者の負担を軽減できる。
 ネスプは米製薬会社アムジェンとの共同開発品。赤血球を増やすよう骨髄に働きかける「エリスロポエチン(EPO)」と呼ぶ糖たんぱくを、培養細胞を使って量産する。効き目が長く続くのは、バイオ技術を活用して糖鎖を変えて、エスポーより体内で分解されにくくしてあるためだ。
 サミット・グライコリサーチ(東京・中央)は住友ベークライトと組み、細胞表面の糖鎖を識別できるチップを開発した。再生医療に使う培養細胞の仕分けができる。年内にも研究機関向けに発売する。
 新開発のチップは縦八センチメートル、横十二センチメートル。ここに八ミリメートル角の九十六個のマスが並んでいる。特定の糖鎖に結合するように作った人工的な「レクチン」と呼ぶたんぱく質を、特殊な有機化合物でチップに張り付けた。チップは脂質などレクチン以外の物質が吸着しない特殊な化合物で表面を覆ってある。
 検査の際は対象の細胞を含む溶液をチップにそそぐ。液を洗い流すと、人工レクチンと結合する特定の糖鎖を持つ物質だけがチップ上に残る仕組みだ。一枚のチップで最大一千種類の糖鎖を識別可能という。
 再生医療では臓器や組織のもとになる幹細胞を体外に取り出し、試験管の中で培養して治療用の臓器や組織を作り患者に移植する。培養した幹細胞の質はたんぱく質を見て確認する方法がある。サミット・グライコは再生医療で糖鎖が重要な役割を担っているとみており、「レクチンチップ」を使えば、治療用の細胞から患者個人に適した細胞を選別することが可能と期待している。
 住友ベークライトは七月、四時間程度で糖鎖を精製できるキットを発売した。糖鎖と結合する直径百マイクロ(マイクロは百万分の一)メートルの微粒子と試薬で構成する。がんなどの病気が疑われる組織や血液を溶かした液体に微粒子を混ぜて使う。血などを洗い流してから試薬を加えると、表面に付いた糖鎖を回収できる。
 四、五日かかっていた糖鎖の精製時間を大きく短縮できるため、研究を効率よく進めることが可能になる。将来は個人の体質に応じた治療方法を選ぶテーラーメード医療を支える診断器具への応用を目指す。

(9/14日経産業新聞)

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進化するバイオ技術――ヒトを守る、環境を守る

「生活に密着」で存在感
抗体医薬・器具開発競う
 日本のバイオ技術が存在感を増している。ヘルスケア分野では、人間に備わっている免疫反応を応用した抗体医薬などで相次ぎ成果が生まれ、化学など医療やバイオとは異なる業種の企業も診断器具などの開発にしのぎを削る。環境分野では温暖化を防ぐ手段の一つとして注目される新燃料の普及にも貢献。生活に密着した様々な分野で各社の得意技がキラリと光る。
 国産抗体医薬の実用化第一号、中外製薬の「アクテムラ」。ノーベル賞級の成果とされる大阪大学の免疫研究の成果に基づいて作られた実力派の薬が、潜在能力を開花させようとしている。
 現在の適応はリンパ節が腫れる難病「キャッスルマン病」。二〇〇五年に、この病気の薬として日本で発売された。
 アクテムラの「本命」の対象疾患は関節リウマチだ。患者数は世界で五百万人にのぼるとされ、この適応が認められれば売り上げは飛躍的に拡大する。中外は〇六年四月に関節リウマチの効能追加を厚生労働省に申請しており、〇八年にも承認を取得できる見通しだ。
 中外は効能追加に伴う需要の拡大に備え、宇都宮工場(宇都宮市)に百四十四億円を投資。一一年秋までに抗体医薬などの注射剤を製造する新棟を完成させる。
 海外では親会社のスイス・ロシュが開発を担当。年内にも欧米で関節リウマチ薬として販売承認を申請する計画だ。
 関節リウマチの治療では武田薬品工業や田辺製薬などが手掛けるバイオ医薬品も効果を上げている。調査会社のユート・ブレーンLLC合同会社(大阪市)によると、医薬品成分別の売上高ランキングで武田の「エンブレル」と田辺の「レミケード」は売上高が前年に比べて二割以上伸び、この二剤はトップテンに躍進した。
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 抗体医薬の二番手グループは協和発酵とキリンファーマ(東京・渋谷)の二社の兼業医薬品メーカーだ。いずれも他の企業へのライセンス供与で、抗体医薬ビジネスを拡大している。
 「百倍×十倍=一千倍」。協和発酵の二つの技術を組み合わせると、抗体医薬の薬効が最大一千倍に高まるという。
 同社は抗体の内部の糖を取り除いて薬効を最大で百倍程度高める「ポテリジェント」と呼ぶ技術を持ち、米子会社を通じて武田など十社以上に技術を供与している。このほど二つの抗体を融合させて薬効を十倍に高める「コンプリジェント」と呼ぶ技術を開発したことも明らかにした。
 キリンは抗体医薬を効率よく生み出す「工場」となる動物を作製している。培養細胞を使う現在の手法に比べて、製造コストを十分の一以下に抑えられると期待されている。
 米バイオ企業のメダレックスとマウスの開発に成功しており、国内外の数社と契約済み。薬の成分を含む牛乳を作るウシの開発も進めている。
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 国内の大手製薬もこぞって抗体医薬の研究開発体制を強化中。エーザイが米抗体医薬ベンチャーを買収し、第一三共はバイオ医薬大手のアムジェンから抗体医薬の候補品を導入した。化学合成で作る「低分子薬」の開発が世界的に滞るなか、抗体医薬への期待は高まっている。
 ヘルスケア分野で新たな台風の目となりそうなのが、医薬が本業ではない「異業種組」。化学などそれぞれの本業で培った技術が武器だ。
 富士フイルムはフィルム製造に欠かせないナノテクノロジー(超微細技術)を医薬品開発に応用する。「フィルム主原料のゼラチンを使い、効き目の長い塗る抗がん剤の開発に着手した。五年以内に実用化したい」と戸田雄三執行役員は話す。
 塗り薬は身近なものだが、抗がん剤の成分を化粧品のクリームなど既存の基剤に安定配合するのは難しい。そこでゼラチンを直径約百ナノ(ナノは十億分の一)メートルの微粒子にして薬に含ませることで、薬の成分が徐々にしみ出すようにした。
 日本化薬は、がん病変を狙い撃ちする新型の抗がん剤を開発中。化学技術を応用して作った、油にも水にもなじみやすい独自の高分子で薬の成分をくるむのがポイントだ。
 抗がん剤の成分は高分子のカプセルに包まれ、直径百ナノメートル前後の超微粒子となる。患者に投与するとがん病変の周囲の血管から集中的に漏れ出るため、正常な組織への副作用を最小限に抑えられる。乳がんなどの治療に使う「パクリタキセル」などを内包した三品目の開発候補品を治験中で、一二―一三年の製品化を目指している。
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 東レは患者一人ひとりに最適な治療法を選ぶ「テーラーメード医療」に的を絞ってバイオ事業の開拓を進めている。
 樹脂やフィルム、特殊繊維の製造などで培った材料技術を軸に、バイオとナノテクノロジーを融合。感度が百倍高い新型のDNA(デオキシリボ核酸)チップを開発した。
 一般的なDNAチップはガラス製で平板だが、東レのチップはアクリル系合成樹脂製。中央がくぼみ、微小なビーズが詰まった特殊な構造をしている。このくぼみに血液などから抽出した液体試料を垂らし、チップを何度も傾けてビーズで液体をかくはん。試料中の遺伝子とチップ上の遺伝子検出用人工DNAを結合しやすくする。
 一枚で人間の遺伝子九千種を検出できるチップを昨年発売。京都大学と食道がんや腎臓がんを狙った診断用チップの研究を進めており、「革新的な診断ツールとして、二年内に製品化したい」と阿部晃一研究本部長は意気込む。
 半導体メーカーのコバレントマテリアル(東京・品川、旧東芝セラミックス)は、再生医療への進出を視野に、細胞を効率よく増やせるセラミックス製の小型培養チップを開発した。
 一般的なプラスチック容器の場合、再生医療に使う「胚(はい)性幹細胞(ES細胞)」を増やすには、別の細胞を一緒に培養する必要がある。ES細胞はセラミックスの上だと効率良く増えることができるので、このチップを使うと別の細胞が不要になるという。
 再生医療は現時点では研究開発の域を出ないが、あと十年程度で本格的な市場が立ち上がるとみられている。十年後、二十年後を見据えた長期的な技術や製品開発の戦略を立てられるかどうか、各社の力量が問われそうだ。

(9/14日経産業新聞)

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2007年9月14日 (金曜日)

進化するバイオ技術―産学連携で新薬の芽

 国内有数の国際的なバイオイベント「バイオジャパン2007」が十九日、パシフィコ横浜で開幕する。開催期間は二十一日までの三日間。共同出展を含め約四百社・団体の約三百ブースが並び、抗体からバイオ燃料まで幅広い分野の最先端技術が一堂に会する。
 バイオジャパンの展示の特徴は、自治体などが主導した共同出展が多く、普段はなかなかお目にかかれないバイオベンチャーの企画も豊富なこと。北海道から九州まで、各地のベンチャーが創薬支援など得意技術を披露する。
 海外からの出展にも注目が集まる。世界初の哺乳(ほにゅう)類クローン、羊のドリーのふるさとからやってくるスコットランド国際開発庁もその一つ。研究段階の化合物を実用化に結びつけるための、臨床試験(治験)の環境のよさなどをアピールするという。地元、横浜市も日英独のバイオベンチャーを紹介するセミナーを開く。
 初日午前九時半の開会式に続く基調講演の演者は、内閣特別顧問の黒川清政策研究大学院大教授のほか、抗体の「次の本命」と期待される核酸医薬で世界をリードする米アルナイラム社のジョン・マラガノア社長も予定されている。国内ではまだ芽が出始めたばかりの、短い二重鎖リボ核酸(siRNA)における技術革新の秘密に迫れそうだ。
 午前十時から午後五時まで、すき間なく予定されているセミナーも見逃せない。二日目の二十日には武田薬品工業の長谷川閑史社長、アステラス製薬の青木初夫会長、第一三共の庄田隆社長と、日本を代表するメガファーマのトップ三人がそろう。「日本の医薬品産業の国際競争力」をテーマに激論を交わす。
 バイオジャパンは新技術の紹介だけでは終わらない。二〇〇七年も、ビジネスパートナーを発掘するマッチングシステムを実施する。事前に興味のある企業などとのミーティングをインターネットで登録。当日、会場内で個別の打ち合わせができる仕組みだ。
 〇六年は約二百件のミーティングが実施され、大手企業との契約成立にこぎつけたケースもあるようだ。欧米では同様のマッチングイベントが盛んだが、数十万円の費用がかかる。バイオジャパンは無料で利用できるのが魅力だ。
 〇七年のバイオジャパンのテーマは「オープンイノベーション」。自前で技術を調達するのでなく提携先と得意分野を生かしながら、効率よく革新的技術を開発しようという考え方だ。バイオ分野の世界の知が集まるこのイベントは、オープンイノベーションを実現する格好の機会になる。
 バイオジャパンの入場料は千円。ホームページ(http://expo.nikkeibp.co.jp/biojapan/)で事前登録すれば無料になる。
【図・写真】「バイオジャパン2006」は12年ぶりに大阪開催で注目を集めた
 大学の研究成果を基に新薬の開発を目指したり、研究機器などを提供したりするバイオベンチャーは現在、国内に約五百社。東証マザーズや大証ヘラクレスなどの新興市場に株式を公開した企業も十社以上に達した。中でもアンジェスMGは、臨床試験(治験)を進めてきた遺伝子治療薬で有効性を確認、厚生労働省に製造販売承認の申請準備を進めるなど具体的な成果も見え始めている。
 大阪大学の研究成果を基にHGF(肝細胞増殖因子)の遺伝子を使った血管疾患の治療薬などを開発しているのがアンジェスMG。大学発バイオベンチャーの草分け的な存在で、二〇〇二年九月に東証マザーズに上場、時価総額は七百億円前後に達する。
 注目を集めるのは、糖尿病などで足の血流が悪くなる末梢(まっしょう)性血管疾患の遺伝子治療薬だ。体に入ったHGF遺伝子がつくるたんぱく質の作用により、新しい血管がつくられ病状の進行をくい止める。
 六月には国内で実施していた第三相の治験で七〇・八%の改善率があったと発表。現在、厚生労働省に承認申請する準備を進めている。承認されれば先進国で初の遺伝子治療薬がバイオベンチャーの手で生まれることになる。
 開発中の新薬で海外のメガファーマ(巨大製薬会社)と提携した企業も現れた。そーせいグループは開発中の慢性閉塞(へいそく)性肺疾患の治療薬の販売、開発権を総額約二百十億円でスイスのノバルティスに供与した。一〇年の承認申請を目指し臨床開発を進めている。
 新薬開発だけでなく、遺伝子の解析など研究支援型のバイオベンチャーの活躍も見逃せない。
 スイスのロシュグループや独キアゲン、米インビトロジェンなど名だたる医療機器メーカーにDNA(デオキシリボ核酸)の抽出精製装置をOEM(相手先ブランドによる生産)供給するのがプレシジョン・システム・サイエンス(PSS)だ。磁気を帯びた物質を使い、自動的に血液などからDNAを抽出できる仕組みを考案、日米欧で特許を取得しており、世界の企業から引き合いが来る。
 熊本大学発ベンチャーのトランスジェニックは体内で抗体をつくる「B細胞」を多く持つよう遺伝子を改変したマウスを使い、抗体を作成する技術を開発。マウスの体内にウイルスを入れると、マウスの体内にそのウイルスに対する抗体ができる仕組みだ。
 一方、バイオベンチャーは新株発行などで資金を集め、収益に先行する形で研究開発を進めるため赤字に陥りやすい特徴もある。新薬開発を目指す場合、臨床試験という過程を経るため時間も必要になる。資金難に苦しむ企業も少なくない。バイオ産業のすそ野をさらに広げるためには、国や地方自治体の支援に加えて、バイオに投資するベンチャーキャピタルなど投資家の育成も欠かせない。
【図・写真】研究開発を進めるトランスジェニック
 「バイオジャパン2007」の開催にあたり、組織委員会委員長を務める北里一郎・明治製菓最高顧問に、バイオ産業の現状や課題などについて聞いた。
 ――今のバイオ産業をどう見ている。
 「測定機器の発達がバイオテクノロジーの進化に大きく貢献している。島津製作所の田中耕一氏がノーベル賞を受賞したたんぱく質の質量分析技術がいい例だ。微量すぎて分からなかった成分も測定できるようになり、今まで考えられなかった切り口で開発を進められるようになった」
 「測定技術や機器が発達しても、ノウハウを一社で抱え込んでしまう傾向があるのは問題だ。技術発展の妨げになるだけでなく、地球温暖化に伴う環境問題やエネルギー問題に対応しきれなくなる」
 ――解決には何が必要か。
 「積極的に技術に関する情報を開示し、産業に結びつけることが重要だ。今回初めて付けた副題の『バイオの世紀、オープン・イノベーションの発想で。』には、情報を公開すればビジネス上の協力がしやすくなるという意味を込めた。展示やセミナーで最新情報をつかみ、ビジネスモデル構築などに活用してほしい」
 「バイオ産業は各社が独自開発したバイオテクノロジーやナノテクノロジーなどの先端技術を特許化し、資産として活用しているため閉鎖的になりがちだ。それでは技術がビジネスに結びつくまで時間がかかるため、世界に取り残されてしまう」
 ――注目分野は。
 「医療分野ではDNA(デオキシリボ核酸)だけでなくRNA(リボ核酸)に着目した薬の開発や、病気の発症に関係を持つたんぱく質の研究が盛んだ。研究を進めれば、画期的な新薬が生まれる可能性もある」
 「農業では生産性をあげるために遺伝子組み換え作物の開発が必要になるだろう。世界の人口がこのまま増えれば食料不足が予想されるためだ。エネルギー分野でも(廃材など)食料以外のものを使うバイオ燃料の開発に力を入れなければならない」
 ――日本のバイオ産業の問題点はどこか。
 「国民の理解を得られていない点だ。みそやしょうゆなど発酵食品で培ったバイオ技術は日本のお家芸とも言える。にもかかわらず、『バイオ』というと危険なイメージを持つ人が非常に多い」
 「理解が得られないために技術の進歩が遅れることが心配だ。バイオ産業にかかわりのない人もバイオジャパンの会場を訪ねて最先端の技術を肌で感じれば理解を深めてもらえると期待している」

 
(9/14日経産業新聞)

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進化するバイオ技術―バイオ燃料すそ野拡大

 バイオ技術が成果を発揮しているのはヘルスケア分野に限らない。地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)の排出を抑制する取り組みの中でも、特に自動車の化石燃料消費量を削減する試みでは、バイオエタノールやバイオディーゼル燃料の普及が始まった。重油の代わりに廃棄物などから取り出したバイオマス燃料を使う工場も増えるなど、技術の応用範囲は広がっている。
 温暖化対策が喫緊の課題になり、CO2の排出抑制の一環として日本でもバイオエタノールの量産に向けた動きが活発になってきた。原料として一般的なサトウキビやトウモロコシを十分供給できない日本では、間伐材や稲わらなどセルロースで製造する試みも進む。バイオエタノールを混ぜたガソリンの利用も自治体や企業の間に広がり始めた。
 北海道清水町にあるホクレン十勝清水製糖工場。この敷地内にテンサイや規格外小麦を原料に年間一万五千キロリットルのバイオエタノールを生産する国内で最大規模の設備の建設が始まった。事業者は北海道農業協同組合中央会やホクレン農業協同組合連合会が設立した北海道バイオエタノール(札幌市)だ。
 二〇〇九年度の稼働に向け、プラント工事を手掛けるのが三菱商事やキリンビールなどだ。三菱商事は北海道バイオエタノールに出資したほか、役員も派遣するなど、事業を強力に後押しする。
 キリンビールはビール副産物を使ったバイオエタノールの生産にも乗り出す。年内にも取手工場(茨城県取手市)内に実験プラントを設け、麦芽の皮など醸造かすから製造する。
 コメでバイオエタノールを生産するプロジェクトも進んでいる。北海道ではオエノンホールディングスが苫小牧市で生産する。全国農業協同組合連合会(JA全農)は、〇九年から新潟県で多収穫米を原料に年間一千キロリットル生産する。
 製造したバイオエタノールは〇九年四月から供給する予定で、ガソリンに三%混ぜた「E3」にして、同県内のJA系列の給油所で販売する。エタノールとガソリンの混合設備はJA全農の油槽所に設ける。
 四月末から石油元売り各社は首都圏五十カ所の給油所でエタノールと石油製品を合成した「ETBE」を混ぜたバイオガソリンの販売を始めた。一般消費者のほか、東京都杉並区が六月から公用車十五台でバイオガソリンを利用している。
 政府は三〇年度までにガソリン消費量の一割にあたる六百万キロリットルを国産バイオ燃料で賄う方針を打ち出している。普及に向け揮発油税などの減免など、税制面での支援の検討に入った。普及には様々なコストをいかに抑えるかが大きな課題。技術開発やインフラの整備など、どう乗り越えるかまだまだ工夫が必要だ。
【図・写真】石油元売り各社は、首都圏50カ所のガソリンスタンドで、バイオエタノールを含んだ「バイオガソリン」の販売を始めた(4月、東京都杉並区)
 バイオ技術を応用した燃料は、バイオエタノールやバイオディーゼルばかりではない。工場や発電所などでは木くずや排水、生ごみ、家畜のふんなど多様なバイオマス(生物資源)を燃料に活用する動きが広がっている。石油の使用に伴う二酸化炭素(CO2)の排出量を抑制する効果に加えて、石油価格の上昇に対応したコスト削減効果も普及を後押ししている。
 製紙工場では紙の乾燥などに使う蒸気をつくるボイラーの燃料として、木くずや紙くずなどの利用が目立つ。大王製紙子会社のいわき大王製紙(福島県いわき市)は二〇〇八年八月、いわき市内の工場で建設廃材などを主燃料とする新ボイラーを稼働する。同工場で二基目となるバイオマスボイラーの稼働で、工場では重油の使用がゼロになる。
 王子製紙や日本製紙もバイオマス燃料の利用を広げる方針だ。このほか製紙業界では、紙パルプの原料となる木材チップから繊維を取り出した後に残る廃液(黒液)も燃料として有効活用している。
 積水ハウスの浅井工場(滋賀県長浜市)では木くずをガス化して燃料にする取り組みが始まった。木造住宅の部材を作る際に出る製材くずからガスを作り、コージェネレーション(熱電併給)システムの燃料として利用する。「プレナーくず」と呼ばれるおがくずをガス化炉で蒸し焼きにして可燃性ガスを生成し、ガスコージェネに使う。
 ビール工場や下水処理施設などでは、排水や下水汚泥から発生するメタンガスを燃料に利用する例が増えてきた。
 キリンビールは二〇一〇年をめどに国内全十一工場にバイオガスエンジン式コージェネレーションシステムを完備する。全ビール工場の一割程度の電力を賄う。生産工程で生じる排水が含む汚濁物質を、微生物を使って分解する際に発生するメタンガスを回収する仕組みだ。
 工場などから出る廃棄物である木くずや汚泥などをバイオマス燃料に転換する取り組みは、石油など化石燃料は輸入に依存せざるを得ない日本にとって有効な手だてといえそうだ。
 こうした「地産地消」の発想は地域の自治体に広がっている。市町村が中心となって地域で発生するバイオマスを活用する仕組みづくりを目指すのが「バイオマスタウン構想」だ。
 稲わらなどを利用してエタノールを生産し活用する実証実験のほか、家畜排せつ物や生ごみなどからガスや燃料用チップを作り出そうという試みもある。身近なところにある廃棄物を燃料に活用できる一石二鳥の取り組みを活用する企業や自治体は今後も増える見通しだ。
【図・写真】キリンビールはバイオガスエンジン式コージェネレーション(熱電併給)システムで工場の電力の一部をまかなう(神奈川県の工場で導入しているバイオガス発電設備)
 軽油を代替して化石燃料の使用を減らし、二酸化炭素(CO2)の排出を抑えるのが、バイオディーゼル燃料(BDF)だ。植物性油脂と触媒を反応させてつくる。日本では廃食用油をリサイクルして燃料にする試みなどを自治体や企業、非営利組織(NPO)が進めており、プロジェクトは全国に広がる。
 持ち帰り弁当店「ほっかほっか亭」などを展開するプレナスは、十月から店舗で出た廃食用油を配送車の燃料に再利用する。九州と山口県の九百四十一店舗を対象に、年間約百十八万リットルのBDFを製造する。
 福岡県朝倉市にある同社の物流センターに専用の給油所を設け、各店舗へ食材などを届ける車両に燃料を供給する。年間に約三千百トンのCO2削減効果を見込む。今後は東日本にも拡大したいとしている。
 今年一月のダカール・ラリー。元F1ドライバーの片山右京氏が、使い終えた天ぷら油から作ったBDFで参戦し、完走した。この燃料を供給したのが、ベンチャー企業のレボインターナショナル(京都市)だ。
 レボは京都市と協力し、廃天ぷら油を一般家庭や飲食店などから集め、それを原料にBDFを生産する。同社は京都市内に約千カ所の拠点を設け、一般家庭から二〇〇六年度に十五万リットルを回収。前年度比で約二〇%増加した。生産したBDFは、京都市のごみ収集車や市バスの燃料として、市民の暮らしを支える。
 インドネシアのスマトラ島でベンチャーの日本植物燃料(東京・品川)が、資源作物であるジャトロファを大規模に栽培し、BDFの量産に乗り出す。ジャトロファは五年ほどすれば一本あたり五キログラムほどの種子がとれる。毎年植える必要もない。成長も比較的早く収量も多いのが特徴。「東京ドーム千個以上の広さがある一帯に植える」(同社)計画だ。
 海外をみると、欧州では菜種、北米では大豆、東南アジアではパームなどを原料に生産している。日本企業も現地で事業にかかわる例も増えてきた。双日はマレーシアで現地企業のグリーン・バイオ・フューエルズと組み、パームを原料に年間十万トンのBDFを生産する。
 技術開発も進む。新日本石油とトヨタ自動車は、水素を利用して燃料の劣化をまねく酸素を除去する処理を施した次世代BDFの実用化へ共同研究に取り組む。軽油に一〇%混ぜた燃料を使い、近く都営バスで走行試験を始める。地球環境産業技術研究機構は木くずや雑草からディーゼル燃料をつくる技術を世界で初めて開発。三年後の工業生産を目標に掲げる。

(9/14日経産業新聞)

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